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    yuakanegumo

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    恋人ヴィク勇❄⛸
    付き合いたて。ヴィク勇ピロートーク。お世話するヴィクトルとなぜか泣き出してしまう勇利くんのお話😊
    ヴィクトルの愛を実感して嬉しい勇利くん✨
    秒で全てが解決するふたり👍

    #ヴィク勇
    vicCourage
    #SS

    愛のあるところ 二人揃ってのオフの日――差し込んできた明るい朝陽に照らされた恋人の幸せそうな寝顔を前にして、もう我慢が出来なかった。
     すこやかに眠る恋人を見つめること数分、おれの視線に気づいたユウリがゆっくりと目を開き「……おはよう、びくとる」とふわり微笑んでくれた瞬間、おれの理性はきれいさっぱり吹き飛んだ。そして気づいた時にはもう、恋人をベッドの上に組み敷いて深いキスを仕掛けていたのだ。
    「ユウリ。水持ってきたよ。飲める?」
    「……ありがと、びくとる」
    まだどこかぼんやりとしているユウリに、冷蔵庫から持ち出してきたペットボトルの蓋を開けて手渡す。大きなバスタオルだけを肩に掛けた姿はとても扇情的で、ちらりと覗く赤いあざだらけの白い脚には気づかぬふりをした。
     冷たい水を何口か飲み込んだユウリは、ペットボトルを持つ両手を力なく膝の上に下ろし、深い息を吐いた。行為の余韻とは違う、暗い雰囲気の恋人を前に不安が募る。
    「ユウリ、どうしたの?」
    ユウリの隣に腰を下ろし、顔を覗き込んだおれは激しく動揺してしまった。うつむいた恋人のアーモンド色の瞳から、はらはらと大粒の涙が零れていたからである。
    「……ごめん。やっぱり朝からなんて嫌だったかな。ユウリ、ごめん。ごめんね」
    ペットボトルをサイドテーブルへと置き、震える肩を抱き寄せると、その背中を何度もさすった。二人揃ってのオフ前夜――何時もならばそれは、セックスの合図だ。しかし、昨夜のユウリはどこか元気がないように見えたため、おれは恋人を誘うこともせず眠りについた――のだが、その秘めていた想いが今朝、爆発してしまった。
    「……ごっ、ごめ……ちがくて、」
    大人しく腕の中に収まってくれたユウリは、小さくしゃくりあげながらも左右に首を振った。夜の湖面のような瞳がおれを見上げてくる。
    「……安心、しちゃって」
    「……『安心』?」
    意味をはかりかねて首をひねるおれに、ごしごしと乱暴に涙を拭いながら、恋人は震える声で話を続けた。
    「最近……『して』なかったでしょ」
    ユウリの言葉に、はっとする。
    「……き、昨日だって……今日、オフなのにしなかったし……」
    「――」
    「……僕、ヴィクトルに嫌われたのかなとか、思っちゃって。でも、怖くて聞けなくて……」
    「――ユウリ、」
    気づいた時にはもう、おれは恋人の身体をきつく抱きしめていた。
    「ユウリ、ごめん。不安にさせてごめんね」
    胸が詰まった。ここ最近、仕事や私用などが重なりタイミングが合わず、確かにユウリと愛し合うことが出来ない日々が続いていた。それなのに、まるで襲うような今朝の行為も相まり、おれは強い罪悪感を抱いてしまう。
    「もう、大丈夫だから。ごめん、泣いちゃって」
    強く抱きしめるおれの背に、ユウリはそっと腕を回してくれた。きつくバスローブを掴む指先。肩口に推し当てられた熱い頬。とろりとした瞳。
    「……さっきね、ヴィクトル。終わったあともハグしてくれるし、キスしてくれたり、水持ってきてくれたり……して、ヴィクトル、僕のこと大切にしてくれてるんだなって、すごく……思った」
    「当たり前だよ……」
    ――おれはユウリを、愛してるんだから。
    「でもこれからは、いっぱい『して』くれたら、もっと嬉しいな」
    恥ずかしさのためか消え入りそうな声で告げる恋人に、おれは力強く頷くばかりだった。
    「勿論だよ、ユウリ!……さっそくだけど、今からどうかな」
    火照った白い首筋に繰り返しキスをすれば、くすぐったそうに身をよじりながらユウリは笑った。
    「今からはだめ。お腹空いたから、先にごはん食べたい」
    「……全くその通りだね、ユウリ」
    誘われたかと思いきや、あっさりふられてしまう。正論だ。思わず苦笑いを浮かべながらもユウリの身体を開放しようとすれば、恋人の指先は予想に反してぎゅっとおれの腕を掴んできた。
     まだうっすらと涙に濡れるアーモンド色の瞳が、瞬きながらおれを見上げてくる。桃色の唇が、笑みの形に開いた。
    「でもごはん食べ終わったら、いっぱいして?」
    「……する、」
    ――この子は、魔性だ。ツァーリであるおれでさえ、膝を折るほどの王子様だ。おれはとんでもないユウリの一面を引き出してしまったのかもしれない。そんなことを嬉しく考えながらも、軽やかにベッドを飛び降りた恋人の肩を抱き寄せて、おれはキッチンへと向かったのだった。
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