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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    学パロ宇妓

    ##宇妓
    ##学パロ

    甘酸っぱくない初恋「なぁ…男が男を好きになるって、やっぱ気持ちわりぃかぁぁ?」

    放課後、自分の教室で宇髄は、椅子に座った生徒にそう唐突に聞かれた。生徒の名は謝花妓夫太郎。放課後によくこの教室にやって来ては、宇髄と雑談をしていく生徒だ。
    そんな妓夫太郎からの質問に、宇髄は一瞬目を丸したが、フッと笑みを溢してその質問に返答していく。

    「別に気持ち悪くなんかねぇよ。他人を好きになるって良い事じゃねぇか」

    そう笑顔で告げて、用意したコーヒーを妓夫太郎へと差し出す。差し出されたコーヒーに妓夫太郎は視線を向け、「そっか…」と呟き、コーヒーに映る自分の姿を見つめた。

    「男の事が好きなのか?」

    宇髄からの質問に妓夫太郎は体をビクッと震わせる。そんな図星をつかれたと言わんばかりの妓夫太郎の横に宇髄はドカッと座り、持ってきたコーヒーに口を当て、言葉を続けていく。

    「別に恥ずかしがる事じゃねぇよ。お前だってもう高校生なんだからよ。恋愛の1つや2つしたっておかしくねぇだろ」
    「……1つ目だよ」
    「初恋か。そりゃ甘酸っぺぇなぁ」

    視線を泳がせ気まずそうにしている妓夫太郎とは真逆で、宇髄はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら妓夫太郎を見つめた。

    「そうかそうか。学園一の不良のお前が初恋ねぇ」
    「ッ……」
    「何なら恋愛相談に乗ってやろうか?ん?」
    「いや…良い」
    「遠慮すんなって。百戦錬磨の俺様に任せろっての」

    俯きいつも以上に猫背になっている妓夫太郎。そんな妓夫太郎の肩を宇髄はポンポンと叩いてはそのまま肩に手を置き、顔を覗き込んでいく。覗き込まれた妓夫太郎は、決して宇髄へ視線を向けようとしなかった。

    「ん〜?どうした謝花く〜ん?何でセンセーの目ぇ見ねぇんだ〜?」
    「ッ〜!そりゃ、そうだろッ…恋愛相談とか、した事ねぇんだからよぉッ」
    「あ〜照れてんのか。なるほどなぁ」

    妓夫太郎の反応が面白いのか何かあるのか…宇髄はずっとニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ続ける。

    「んじゃよ…その好きな男の特徴、教えてくれよ」
    「ぃ、言えるわけねぇだろがぁッ」
    「大丈夫大丈夫。誰にも言わねぇからさ」
    「無理だぁッ」
    「ぜってぇ?」
    「ぜってぇッ」
    「ほぉーん…」

    頑なに好きな男について語ろうとしない妓夫太郎に宇髄は少し思考し、口元にニヤリッと不敵な笑みを浮かべた。

    「…んじゃ、俺が当ててやろうか?」
    「…は?」

    宇髄のその言葉で妓夫太郎はようやく俯いていた顔を上げ、宇髄へと視線を向けた。そこには、意地の悪い笑みがあり、妓夫太郎はビクッと震えてしまう。

    「まず、イケメンで長身で筋肉質だろ?」
    「ッ…!」
    「んで、お前より年上で、ド派手好きで」

    スラスラとある男の特徴を口にしていく宇髄。その言葉に妓夫太郎はその身を宇髄から離していくが、宇髄が肩を掴んで引き戻していく。

    「いつもパーカー着てて、赤と緑のネイルしてて」
    「ゃ、やめッ……」

    知られている…確実に…その焦りから妓夫太郎は目を見開き、全身に冷たい汗をかく。
    逃げたい…この場から…だがそれは、目の前の教師によって阻まれる…その赤と緑で彩られた爪をもつ大きな手によって…

    「瞳の色は、お前の青と対象的な赤…」

    見開いては震える青い瞳を、細められた赤い瞳が射抜き続ける…

    「んでもって、放課後お前とよく雑談してる、美術教師……正解だろ?」

    細い妓夫太郎の身体を、逞しい筋肉質な腕が引き寄せる…そして、意地の悪い笑みを浮かべた美術教師は、その唇を妓夫太郎の唇へと重ねていく。
    妓夫太郎は何が起こったのか分からなかった。何が起こったのか分からないまま、目を見開いて、初めてのキスを捧げることになった。好意を向けている美術教師に。
    触れるだけのキスを終え、宇髄は唇を離し、にんまりと笑って妓夫太郎の頬を優しく撫でていく。

    「もしかしなくても、ファーストキスだよな?」

    その言葉に妓夫太郎は顔を赤く染めていき、ふるふると小刻みに震え出す。

    「かっ、からかうなよなぁぁあッ」
    「ん?からかいでキスなんかしねぇよ?」
    「は、はぁぁッ!?」
    「お前の初恋頂いたからな。ちゃんと責任とるつもりだぜ、俺は」
    「な、何言ってッ…」
    「俺もお前が好きだって事だよ、妓夫太郎」

    それは意地の悪い笑みではなく、優しい微笑みで告げられた…名前と共に。
    妓夫太郎の心音は激しさを増していく。身体が熱くて、胸はバクバクで…声が上手く発せない。発せるのは「ぁ、ぅぅッ…」と言葉にならない声のみ。

    「…可愛過ぎんだろお前」

    そう真顔で告げられた後に、再び唇を重ねられていく。今度は、唇を吸って少しだけ舌を絡めたキス。それは今の妓夫太郎にとって、肩を大きくビクゥッと震わせてしまう程刺激的なものだった。その反応が可愛くて、宇髄は更に欲情していく。

    「え?ディープなやつしていいか?」
    「む、むむむむむッ、むりだぁぁぁッ」

    小刻みに顔を横に振る妓夫太郎。その顔は真っ赤に染まり、青色の瞳は薄っすら潤んでいた。そんな妓夫太郎が愛らしくて、

    「え?する」

    我慢できずに宇髄は舌を絡ませ口内をねっとりと犯していく濃厚なキスを妓夫太郎にしていくのだった……
    こうして妓夫太郎の初恋は実ったわけだが…

    「初日にッ!しかも告白から数分しか経ってねぇのにディープキスしてくんのアンタぐらいだからなぁぁぁッ!」
    「俺、百戦錬磨だから」
    「だったら耐えろやぁぁぁッ!」
    「つかお前から「好き」って言ってもらってねぇんだが?」
    「話逸らすなよなぁぁッ!」
    「分かった。言ってくれねぇなら、キスで応えてもらうしかねぇな」
    「〜ッ!す、好きッだ……」
    「誰が?」
    「あ、アンタ…」
    「名前」

    ずいずいと近付いてくる宇髄の顔…その意地の悪い笑みを浮かべた顔に押され…

    「て、天元の事、好きだッ……」

    妓夫太郎は恥じらいながら上目遣いで告げてきた。その瞬間、宇髄の中で何かの糸がプツンと切れた…

    「は?無理。可愛過ぎ」
    「は?……ちょっ!待ぁぁッ…!」

    妓夫太郎、本日2度目のディープキスにて腰砕けにされました。
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