イラセグ『いっ、イーラはんすけべなことしよるから今日はペシミズムとこいく』
『へっ?』
『おぉ悲しい…ペシミズムの塔は広くはないのに…角に気をつけよ…。ほら、もう言わんこっちゃない。もう少し屈んで…そうそう。寝るならそっちの方で寝るが良い。あっちはだめだ、ヴァニタスが寝る』
『ヴァニタスはん自分の塔ありまんがな…どして…??』
『あ、あのセグニティス?僕の塔で寝ればいいじゃないか?!なんでわざわざそうイラつかせることするかな君は…!!ちょ、なんでそっぽむくんだ!?』
顔を真っ赤にしたセグニティスにそっぽ向かれてしまいペシミズムの方へふよふよと着いていってしまった。
するとガシッと肩を掴まれイラッとして振り向くとファンネル全装備をこちらに向けて明らかにブチギレてるヴァニタスと目が合う。
後ろには楽しそうなクーヌスがいる、最悪だ。
『ちょっとそこでお話ししましょうよ、えぇオイイーラくんよ……』
『ち、ちょっとまってよ、誤解してないかい?僕はセグニティスにそんな、ぁだだだだっ!!!!めり込んでるっ!!めり込んでるから!!!』
『ヴァニタス、殺すなよ!一体何をしたんだ?ん?ん?イーラはそういうことには無頓着と思っていたからなぁ〜いやいやなんだなんだ、やはりそういうことするのではないか!すけべめっ!』
クーヌスはぴょんぴょんと周りを跳ねながらペチペチ体を叩いてくる。
抵抗したいが、ヴァニタスにアイアンクローされてる上にメシメシと聞いたことない音が頭の装甲に響く。
これはやばいやつだ、早急にヴァニタスの誤解を解かなければ不味い。
ヴァニタスは性質上セグニティスを非常に気に入っている、見栄っ張りという点しか共通項が見えないが可愛がっていた。
甘やかしてもらえるのが嬉しいのかセグニティスも母艦内部ではヴァニタスと一緒にいることも多くよく背中に乗せてもらって移動するところを目にした。
それくらい僕にも出来るので言えばやってあげるのにと回路をバチバチと焼き切らせながら思ったものだ。
『ヴァニタス、ご、誤解です僕は決してですね、あのセグニティスをいじめていたわけではなく』
『じゃあ何してたのよォ?んー?おい?』
『何をいうか!えっちなことだぞ!えっちなこと!スケベなことしたんだぞ!!イーラめ!セグニティスでドーテーソツギョー?したんだ!!』
『はいはい、覚えたての言葉使いたいのわかったからクピリダスかポーパルチープムと遊んでらっしゃい!!アタクシはまだこいつに聞き出さなきゃいけない事あるんだからァ…』
あ、これ終わった。
さらに掴まれる強さが増して、脳核がやばい。
『多数決で決まって塔に住まわせてんのは知ってるわよォ?えぇアタクシは賛否両論のピ側に位置してたけれどみんなサンの側で決まったからアンタの塔に置かせてあげたのよ。でもねぇなんでセグニティスの口からすけべなんて言葉が出てくるのかしらァ…?何かましてくれたのかしら…?気になるわァアタクシ…。手塩にかけて育ててきた子がいつのまにか食われてるんですもの…どういう事ォ?』
『いやそのあの、なんと言いますか、その、こう流れで…』
『流れ?流れってどんな流れかしら?清流?伴流???濁流の方かしらァ…?』
心臓部が緊張によって嫌に高鳴っていく。
頭にまでその鼓動が響く感じがして冷や汗が止まらない。圧で呼吸が乱れる。
『まぁ別にあの子だって子供じゃないからとやかく言わないつもりだったけど…あんな言い方してアンタの塔から出たとなるとそれ相応のことが起きたと見るべきよねぇ…?』
『あっ、ッスー、あのですね、ヴァニタス、その別に僕がセグニティスに対してこうなんというか、あの、非同意の何かをした訳ではなくってぇ…』
『当たり前のこと言うのやめてくれないかしら、その時点でアンタはもうこの船に居ないわよ』
ジリジリとファンネルに溜まっているビームを遠目に当てられて焼ける感覚がする。
『ほらどうしたの?早く言いなさい、焦げたくないでしょォ?』
『……────ま、た…』
『あん?なんだって?』
『セックスを……、セッ…セグニティスの限界までやり込みましたっ……』
『へー』
『ッスー…えー、あー、んと…あとはですねその…────』
洗いざらい思いつくことをヴァニタスは白状する。
いつのまにか体勢を正座させられヴァニタスに見下ろされる形になる。
ぺちぺちと尾鰭が床を叩く音が増すにつれて自分の寿命の何かが倒されていく感覚になり身震いする。
やはりヴァニタスは怖い。
カチカチとなるファンネルに背筋が寒くなる。
『へー』
全部言うと先ほど発した言葉をもう一度言われ終わったと頭が埋まる。
許されるなら今すぐ逃げたいが遠距離型のヴァニタスに逃げるのは悪手だ。
『なるほどねェ…』
どっちだ、どっちの方だ。
思考が巡るが欲しい答えは出ないし、デスドライヴズの中で上から数えたほうが早いヴァニタスが本気で怒った姿は本当に怖い。
すると雰囲気が柔らかくなったのを感じ、ホッとする。
良かったと思った瞬間、シンプルな言葉は何よりも鋭い刃物なのだと痛感した。
『良いわァ、…一旦頭冷やすのも兼ねて死になさい』
そう言われたと同時に視界が閃光に包まれた。
気がつけばリスポーンしたようで自分の寝床におり、どうしたものかと頭を抱えてとりあえずセグニティスに謝ろうと思い立ち上がる。
ペシミズムの塔にいるのだったか。
とりあえず一旦自分の塔へ戻りたかった為より開いた瞬間
『お、おかえりぃ…イーラはん』
『へ、セグニティス…?』
『あ、あの、ぅ、ヴァニタスはんから聞いて…その、あの…あぅ…ご、ごめんなぁワイ、あのっ…意地悪でやられてた思うてて…』
『ちょ、待て!』
慌てて周囲を確認しセグニティスを押しながら塔へ入る。そしてそのまま抱きしめる。腕が全然回らないこの体が愛おしい。
ヴァニタスに詰められ抑えていた諸々が吹き出しそのまま持ち上げていつも寝ているところへ行く。
もう我慢ができない目一杯セグニティスを可愛がりたい。セグニティスは少し慌てた様子だったが何されるのかわかったのかそっと抱きしめ頭を撫でられる。
それに腹の底から頭のてっぺんまでぶわりと怒りが込み上げくる。
『ーーっ…本当に君はイラつかせるな。寝れると思うなよ絶対に』
『んっ…、うんっ…♡がんばるから…♡ワイ、イーラはんのために、頑張る…♡』
ガンガンと殴られたみたいにクラクラし始めて興奮で排熱が止まらない。
顔を赤くしたセグニティスが僕の腕を撫でる、お返しに頬を撫でてやれば甘えるよう擦り寄られ蕩けた目が細められる。
どちらからともなくキスして、軋む床に抜けませんようにと願いながらセグニティスを下ろした。