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    reiandritsu315

    あんスタの腐イラスト、小説置き場
    絵柄安定しないマン
    ほぼ零凛
    時々他カプ

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    reiandritsu315

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    零凛

    ありがとうを泣きながら『今もこれからも、どんな君でも強く愛することを誓うよ。これが一生に一度の愛だと、決して忘れないことを約束する』








    恋を、した。
    人を、愛した。
    大事な、大事な人。


    ***
    静かな朝。
    「おはよう、凛月」
    「おはよう、兄者」
    髪の毛も、服もきちんとセットし終えた零がテーブルに着く。それを見計らって、凛月は朝食をテーブルに並べた。
    「おお、今日も美味しそうじゃ♪」
    「美味しそう、じゃなくて美味しい、の」
    「そうじゃな、凛月の作る料理はどれも美味じゃ」
    手を合わせて、一緒にいただきます、と言う。一口舌鼓を打てば、零はにっこりと笑った。毎日毎日、飽きずに凛月の料理を美味しいと言ってくれる。それを正直に嬉しいだなんて思ってしまうほどには、凛月も大概零に惚れていた。
    「凛月、今日も美味しい朝ごはんをありがとう」
    「…ん」
    揃ってご馳走様をして、それぞれ仕事の用意を始める。零は今日はユニットの仕事が入っており、凛月は午前中に雑誌のインタビューが入っている。
    「……いってきます」
    零の声の方へ振り向けば、ちゅっ、と軽いキスをされた。
    「……行ってらっしゃい。俺も行ってくるね」
    「うむ、行ってらっしゃい。気をつけて」
    「あ、…夕飯は?」
    「7時半ほどには。じゃが、なるべく早く帰ってくるぞい」
    「分かった」
    そのまま、2人で手を振ってそれぞれの場所へ行く。






    付き合って4年目の秋の日だ。



    ***
    レタスのサラダには生ハムをいつもより多く入れて。
    カラフルなピックを綺麗に切って整えたカツサンドに刺して。
    じっくりと煮込んだビーフシチューを乳白色の陶器に装って。
    香ばしい匂いのするバケットにバターを塗って。
    「……完璧」
    今日は2人が付き合って4年目だから、凛月はいつにも増して腕を奮って料理をした。時計を見ると、零がそろそろ帰ってくる時間だ。
    エプロンを取り、テーブルの真ん中にあるキャンドルに火を灯す。
    そして、テーブル近くの引き出しをそっと引いた。
    「……」
    小さな白い箱があることを確認して、凛月は零の帰りを待った。

    ***
    形にこだわるなんて、俺らしくないかもしれない。
    だけど凛月だって、4年目という節目で己のけじめを付けたかったのだ。これからもずっと零の隣で歩いていきたいという、この思いを形にしたかった。
    「ねぇ、ナッちゃん〜」
    「あら、どうしたのォ?」
    Knightsでの個人インタビューが先に終わった凛月は、同様に終わって控え室に居た嵐に話しかけた。
    「凛月ちゃんがアタシに相談なんて珍しいわァ。もしかして恋の相談?」
    うふふ、と笑って隣の席に座るよう促した嵐に従う。
    「まぁ……そんなとこかなぁ?」
    そう言うと、誰、とは聞かずに……でもどこか全てを知っているような顔だ。
    知ってるか知らないかは置いておいても、こういう時茶化さないで話を聞いてくれることに少しだけ救われる。
    「ねぇ、どこかいいジュエリーブランドを知らない?」


    ***

    ドアベルが鳴る。
    凛月はどこか落ち着かない心臓を宥めて、玄関へ向かった。
    「…おかえり、兄者」
    「凛月、ただいま」
    どちらかが今日は記念日だね、なんて言った訳じゃない。決して零達はそんな会話をする性ではなかったから。
    それなのに食卓についた途端、赤いワインボトルを取り出した零に凛月は目を丸くした。
    「え、兄者…」

    よく見ると、なかなか名の知れたブランドである。
    「だって、今日は特別な日じゃろ…?凛月の作ってくれたご馳走によく合いそうじゃ」
    普段はおじいちゃんぶってるのに、こういう所は抜け目ない男だ。毎年毎年、こんなふうに一緒に祝ってくれる。
    「あ、ありがとう…」
    「凛月、我輩の恋人でいてくれてありがとう」
    「こ…こちら、こそ…その、ありがとう」
    照れくさい言葉を、いい大人なってもちゃんと言葉で伝えてくれる。優しい愛で包んでくれる。優しい眼差しが、眩しい。
    だから、俺はこの人を好きになったんだ。
    「じゃあ、いただこうとしようか」
    「うん」
    そろりそろりと口に運ぶ。うん、我ながらこれは100点満点の味だ。
    「美味しいのう…♪ほっぺたが落ちちゃいそうじゃ」
    「落ちても俺が拾ってあげるよ」
    「それならいくらでも食べられるのう」
    ふたりして笑って。
    なんて平和なんだろう。
    幼い頃、ベッドでひとりこのまま死ぬんだろうかと泣いていた凛月が、そんな凛月を2人だけの世界に連れていってくれた零が、こんなふうに夜を過ごしているだなんて誰が想像ついただろう。
    ここまで来るのに、何度もぶつかった。数え切れないくらい泣いて、傷付き合った。でもその苦しみまで愛せる、そんな気がする。
    ずっと、こうしていたい。
    ずっと、そばに居たい。
    永遠の愛を。
    この人と誓いたい。
    「……ねぇ、兄者」
    「ん?」
    「……俺、と、付き合ってくれて、ありがとう」
    バクバクと鳴る心臓を落ち着かせたい。
    零が優しく微笑んで、こちらこそ、と言った。
    「今まで、いろんなことがあったよね…それこそ、夢ノ咲の時からさ」
    「そうだな」
    ダークナイトハロウィン、節分祭、オペレッタ……思い出して2人して笑った。
    「俺は正直、兄者とこんな関係になれるなんて思ってもなかったよ。でも、人を愛するって感情も、この暖かい思いも、全部全部、兄者がくれたんだ」
    「……」
    「…自分で言うのもなんだけど、俺は、素直じゃない……いっぱい、兄者に、迷惑掛けてきたし、これからも、かけると思う」
    椅子からたって、零から見えないようにこっそりテーブル横の引き出しから例の箱を取り出す。零は何も言わずに凛月を見上げた。
    「それでも、兄者は俺といてくれる?」
    「もちろん……何を断ることがあるんだよ」
    「俺もね…俺も、兄者とずっといたい」
    だから、そう言って真っ白な箱を零の目の前に置いた。
    「え、」
    息を吸う。
    「朔間零さん、俺と、結婚してください」
    よく考えたら、『普通』では男の人が女の人にプロポーズするのが常識らしいから、抱かれる側の俺がプロポーズされるのが、もしかしたら世間の正解なのかもしれない。
    でも、『俺』が望んでこの人とそばに居たいんだ。
    4年間恋人として過ごして、気付いたんだ。
    ただの『形』でしか無いかもしれない。だけど、永遠の愛を誓いたい。
    俺たちの愛のかたち。
    「…………」
    「…………………………?」
    零が席から立ち上がる。そしてそのまま部屋を出る。
    「え、?」
    もしかして、振られた?
    頭が真っ白になる。何も言わずに出ていくなんて。
    早とちりだったのかもしれない。零は結婚なんて望んでいなかったのかもしれない。
    「…あ、兄者」
    手がわなわなと震えた。みるみるうちに視界がぼやけて、間もなくとめどなく涙が溢れた。
    「……っう…」
    ガチャリと音がして、零が再び部屋に入ってきた。泣いている凛月を見ると、すぐさま駆け寄って抱きしめる。
    「あにじゃ……っ」
    「りつ、凛月…」
    失敗してしまった。凛月は抑えられない涙で零の肩を濡らす。
    「凛月……話がある」
    「……」
    ああ、きっとこれが別れ話だ。明日には4年前の2人に戻ってしまうのだ。
    「凛月、」
    零は身体を離すと、凛月に跪いた。
    「凛月……朔間凛月さん」



    「俺と、結婚してください」
    目の前に差し出されたのは、白い箱に収められた指輪。
    凛月が零に選んだ物の、宝石違い。
    零はテーブルの上の指輪を自身の指に嵌めると、凛月に指輪を差し出した。
    サファイアの青が、滲んだ奥で輝いた。
    「……っ、うう……」
    知らなかった。
    凛月は涙を流しながら、零から指輪を受け取った。




    今度は幸せの涙だった。







    ***

    "I vow to fiercely love you in all your forms, now and forever. I promise to never forget that this is a once in a lifetime love."


    「愛しているよ、凛月」
    「俺も、愛しているよ…お兄ちゃん」
    真っ白な世界は、いつか見た真っ黒な世界と正反対でどこか可笑しい。
    風に乗って舞い落ちる花弁を1つ、手に取る。
    幸せに、なる。
    眩しすぎる光の中で、2人で、幸せになる。
    そう思うとなぜだろう、無性に涙が込み上げた。





    「一緒になってくれて」


    遠いところで祝福の鐘がなるのが聴こえる。





    「ありがとう」









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