覚悟を決めたらどうなんだ「あーさみ!すげーさみぃ。おい水戸、はやく暖房付けろ!」
「はいはい。あ、ミッチーそのまま入んないでよ。ちゃんと外で雪落として」
「んな冷たいもん触れっか。ほら、部屋んなかビショビショにされたくなくば早く落とせぃ」
なんて横暴な。この雪の中、『駅にいるから来い』と呼び出した挙げ句のこれである。
寒さで顔を赤くした2個上の先輩を外に押し出してパタパタと叩いてやる。ん、と両腕を開く姿は世話をされ慣れている。癪だがしょうがない。手袋を忘れたらしいこの人の手が、しもやけでも起こしたら大変だ。なんせ親友の花道の、元チームメイトなので。
「ミッチー、ほら後ろも」
「……」
何だその不服そうな顔は。ジトッとした目つきでにらまれ、仕方なく自分から三井の後ろに回り込む。肩が遠い。正直しゃがんで欲しい。ぱ、ぱ、と雪を払って、別に雪のついてないところも払ってやる。ほら、埃が付いてたから。
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