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    サネキチ(隔離)

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    サネキチ(隔離)

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    書き途中で放置している
    そのうち続き書くか漫画にするかしたい
    最終更新:2023/2/23

    ブ主/シャドウ (仮文章・途中まで)

     そいつはいつもの上杉とは違った。瞳が金色に輝いている。ニヤニヤと俺を見る表情は今までに見たことのないものだ。俺を逃がさないようにしっかりと後ろから俺に抱きついている。

     そう、だから、すぐにそいつが上杉じゃないと理解できた。

     深い森の中、気付けば1人で歩みを進めていた。先程まで一緒にいた仲間たちの名前を呼んでみるが、返事はない。これはどうしたものかとしばらく立ち尽くしていると、聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。少しばかりの安堵を胸に振り返ると、そこには上杉がいた。いつも綺麗にセットされている赤毛、その奥にある瞳が金色にギラリと光った。その瞳に怯んだその一瞬の隙を突かれ、手首を掴まれ、後ろから動きを封じるように抱きつかれた。

     俺は悪魔に特別詳しいわけではない。だが、人の形を真似する悪魔がいたっておかしくないだろうという察しがつくくらいには、悪魔という存在には慣れてきている。上杉の形をした何かに、左手首を強く掴まれており、すぐには逃げ出せない状況だ。無理に抵抗すると命の危険がある。この状況でまずやるべきは、今までの経験上、"交渉"だと考えた。

    「随分上手い擬態だな、このへんでその姿の人間を見たのか?」

     まず気になったのは何故上杉の姿なのかというところだった。人間を真似しているとすれば、この近くに上杉がいる可能性は高い。もしかして上杉もはぐれて、1人で戦って、こいつに…と嫌な予感が脳裏をよぎる。

    「あれ?おれ様のこと悪魔だと思ってる?違う違う!」

     そいつはでひゃひゃと金色の瞳を細めながら笑う。

    「おれ様もよくわかんねーけどさ、心の中にあるたーくさんの中のうちのいっこが具現化されてる感じでさー」

    「……じゃあお前は……上杉…?」

    「んー、まあ、そう思っといてもらってケッコーよ」

    「…とりあえず離して」

    「え〜?ナオヤってこういうの好きじゃないの?」

     偽物の上杉は俺の手をグイとひっぱり耳元に口を寄せてそう言う。間近で息遣いを感じながら声を吹き込まれると、普段聞き慣れたはずの声なのに全身がぞくぞくと反応してしまう。咄嗟に耳を手で押さえる。

    「耳真っ赤じゃん かわい〜」

    「……。」

     こいつの行動の意図が分からず黙り込む。なんなんだ。こちらをからかって楽しんでいるのか。上杉の中に、こうして他人をからかいたい心があるんだろうか。

    「本物の上杉は?どこにいる?」

    「さ〜?知らな〜い興味ないし」

     ダメ元で聞いてみたものの、やはり居場所は教えてもらえなかった。会話にならない。まだこいつが悪魔ではないという確証はない、油断させて命を狙っている可能性もある。だが、本当に上杉の抑圧された心だとしたら?

     どうしたものかと考えを巡らせしばらく無言でいると、偽物の上杉はようやく体を離す。何が起きたのかと思い振り返り、状況を確認するがそこにはただ上杉が立っているだけだった。改めて目の前にいる上杉を頭からつま先までじっくり見る。本当にどこからどう見ても上杉にしか見えない。形だけは。

    「あら、逃げねーの?」

    「…俺を殺す気はないみたいだし。今、そんなに体力が残ってるわけでもないから」

    「あー、なるほどね。なーんだ」

    なーんだって、なんだ。そう思った瞬間に次は正面から抱きしめられた。心臓がものすごい音を立てはじめる。体が強張る。

    「ほら、そんな緊張しないでさ〜リラックスリラックス」

    「……」

     いつもは聞かない距離で聞く上杉の声。優しく髪を撫でる手。優しく体を包み込む体温。それは俺がずっと求めていたものだ。心臓の音がうるさい。油断するな、落ち着けと自分に言い聞かせても、こんな状況、落ち着いてられるわけがなかった。

     だって俺は、上杉のことが好きなのだから。

    「やっぱこういうほうがいい?」

    「……」

     うんとも、いやとも言えない。どうしていいかが、分からなかった。このまま体を委ねていて良いわけがない、でも、体が言うことを聞かない。上杉から離れたくなかった。
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