無題 薬局の前。一足先に買い物を終えた上杉と一緒に皆を待ちながら、ぼんやりとうす暗いアーケード街を眺める。
先ほど、上杉の交渉でうまく切り抜けられた闘いがあった。それについて自慢げに語る上杉に俺はテキトーな相槌を打つ。しばらくそうしていると上杉が突然しゃがみ込み、大きなため息と共に発した。
「たまにさぁ ノリ良いやついるじゃん」
一瞬何のことかと思ったが、今までの話の流れからして悪魔のことを指しているのだと察することができた。
「おれ様のダジャレに笑ったり、ナンパに乗ったり、普通に話せるやつとかいるじゃん。なーんか嫌なんだよなー、それが」
「…嫌?ネタが尽きそうって話か?」
「ちがーう!ちがう!」
「じゃあなんなんだよ」
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