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    Umiusi

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    #戦時中博士用

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    2022/02/28のツイート纏め

    ##ネロ
    ##戦時中博士

    【ネロ】兄弟の遺言気が付いたらアズゴアの幼馴染だった彼。彼の親は傍に居なくて、誰も彼が何処から来たのかは誰も知らないし、彼自身さえも覚えていません。そんな彼をモンスターの王様(アズゴアの前の王様)は快く引き取ってくれました。彼は昔から冷静で、非常に頭のいいモンスターでした。

    父親の後を継いで新しい王となったアズゴアは、天才的な彼の才能を認め、王国科学者として雇う事を申し出ました。そんな王の申し出を彼も「友人だから」と受け入れます。ですが、若くして博士となった彼を妬み嫉むモンスターは少なくないのでした。彼は、独りで色々な研究を続けることとなったのです。

    ある日、アズゴアが二人のニンゲンを連れてきました。兄弟だと言う二人は、ニンゲンの研究所から派遣されてきたようです。兄弟はとても明るい性格で、ずっと孤独だった博士の警戒心を易々と解きます。その内打ち解けた博士が兄弟と仲良く研究をする姿が見られる様になって、アズゴアも喜びました。

    ですが、そんな平穏も長くは続きません。ニンゲンがモンスターの力を恐れ始め、雲行きが怪しくなってきました。博士の研究は段々と武器や薬品等、誰かを傷付けるための開発へと成り果て、博士自身も疲弊していきます。更に追い討ちをかけるように博士はアズゴアからとある指令を下されました。

    アズゴアは「兄弟はスパイの可能性がある」と言います。そして「兄弟が怪しい動きをしないか見張ってくれ」と。博士は信じませんでした。ここまで仲良くやって来たあの兄弟がスパイな訳が無いと、半ば祈る様な声で。博士は兄弟を見張るのではなく、兄弟がスパイではないと言う証拠を探し始めます。

    スパイではない証拠も見つかりませんが、スパイであるという証拠も見つかりません。博士の研究室には以前、硬い椅子で腰を痛めていた兄弟の為に調達したソファーが置いてあります。そこで笑い合う兄弟の姿を見ながら、博士は毎日、毎日、毎日、証拠を探りました。

    そして何ヶ月も経ったある日。研究室に来た彼が見つけたのは兄弟の姿の代わりにソファーの上に綺麗に畳まれて置かれた二つの白衣でした。嫌な予感がする、と急いでアズゴアの元へと向かいます。一生懸命走って走って、飛び込んできたのは今にもアズゴアに襲いかからんとする兄弟の姿でした。

    「待ってくれ」と声を荒らげる彼。その声に気を取られ振り向いた兄弟は零します。「殺して」欲しい。そんな兄弟に対して無理だ、私には出来ない。そんな言葉を脳内に浮かべていた彼は、兄弟が浮かべた苦しそうな笑顔を見て、覚悟を決め、兄弟を、兄弟と作った魔力充填式の銃で撃ち抜きました。

    それから、助手であった兄弟の処遇は彼の希望もあり、アズゴアから彼へと一任される事になりました。兄弟がスパイだったことは、アズゴアと彼、二体だけの秘密です。表向きには戦況の悪化により安全の為帰郷したとされました。彼の手によって研究所へと埋葬された兄弟の魂の行方は、誰も知りません。

    また独りになってしまった彼は、研究所にて趣味と称し毒薬の研究に力を注いでいます。研究所には色鮮やかな毒花等が咲き誇り、それを世話する姿も見かけられています。更には時折地面に向かって何かを話し、笑顔を浮かべるそうです。

    余談ですが、兄弟の最後の遺言は「殺してくれてありがとう」でした。兄弟が殺された日、研究室に置かれていた白衣の下には何十枚にも渡る、兄弟から彼へと宛てた手紙が置いてありました。内容は、兄弟は捨て駒のスパイとしてこの研究所に送られてきた事。

    身寄りが無い兄弟は故郷に戻った所で殺される事が決まっていた事。彼を心から慕っていた事。ニンゲンには適当な嘘を流していた事。その他日常であった些細な話。そして、その手紙の最後はこう締めくくられています。「どうせ殺されるんなら博士に殺されたいんだ。オレ達の我儘、聴いてくれよ。」と。
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