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    ⚔️勝利の厚焼き玉子⚔️

    @bwgenryu

    曲擬の進歩絵や色々ぶん投げる所。自宅の世界観の話やキャラ、キャラにまつわるバックストーリーとか設定多め。
    ※独自の解釈で曲擬をしているため独特な世界観や設定で作ってます。

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    POIPOI 46

    ドラリィ編の最新話のうちの前編!!後編は更に面白い展開が待ち受けているのでお楽しみに!!!!
    スカイハイビジターが残した碑文を求めて更に北へと向かったリィミンとドラン、スカイハイビジター…。碑文のある場所に待ち受けていたのはなんと『冬将軍』と呼ばれる者であった……

    百の夜訪れる大地、陽炎の先の島<前編>リィミンとドランが乗った汽車は夕方終点に着く。駅から近い宿を取り、今夜を過ごすことにした。夕食を食べ、今日の出来事をスカイハイビジターも交えながらまったりと話す。そしていつもより早くベッドに入り眠るリィミンとドラン。翌日から更に北へ向かうべく馬車と汽車を乗り継ぎ、街から街へと陸路を使いながら移動をしていく。その行程には徒歩での移動もあり、休憩を挟みながら北へと向かう。民家に泊まったり、宿に泊まりながら約3日程経った頃『その場所』に近い所にまで来た。
    「今の時期に来れてよかったわ。冬なら雪と吹雪で来れないからね。…やっと近い所まで来た。」
    「この先にあの石碑があるの?周りは草原だし岩山もある…村も無い場所だよ?」
    「でもこの先にあるとヒントをくれたのは祖先が書いたあのメモよ。『冬に行けない場所でその石碑はあった。だけど、その土地には冬将軍が住み長居は出来ない』って書いてあった。…『冬将軍』の住処……即ち過去に人が住んでいた伝説の土地の一つ『ヒュペリボレアス』だと推測した訳。」
    「へぇ、リィは頭いいね。『冬将軍』が気になるけど強いのかな?」
    「ヒュペリボレアス……、確かに私達が生きていた時代には都市はあった。よそからきた私とカナデを歓迎してくれたわ。……『冬将軍』…、彼は神様の様な者でかつての住民は神様と崇めていた。別の名は『冬を司る竜』と…。」
    「『冬の竜』?僕と同じ竜人族と関係あるのかな?神様は強いよな…でもどんな姿してるんだろう?」
    ワクワクするドランと『ヒュペリボレアス』までの道のりを地図で確認するリィミン。スカイハイビジターは一切のヒントも出さずリィミンを見守る。
    「うーん、地図で見る限りあの岩山辺りが入口かしら?」
    遠くにある岩山に指を指し、行先を確認し再び歩き始める。荒涼とした道無き草原を歩きおよそ一時間、目的の岩山に着いた。崖のように急峻な岩肌が続く岩山の壁面に道のような破れ目があるのが見える。そこへ向かおうとした時、空から「グェーッ」という何者かの鳴き声が聴こえてきた。リィミンとドランは身構える。
    「ん?何か来たぞ」
    「もしかして私達を見つけて追い払おうとしてるのかも…。でもあの姿……グリフォンよ」
    「グリフォン?」
    「そう。翼が生えた凶暴なモンスター…ワシの嘴と前足、ライオンの体を持つの…。こんな所で見たのは初めてだけど、危険だわ。」
    リィミンがその姿でグリフォンと判断し、攻撃を避けようと煙玉を腰のポーチから取り出す。だがドランは臆することなく左腕に太鼓を抱え、腰に差したバチを右手に持ち演奏の準備をし始めた。
    「…モンスターなら僕の演奏効くかもなあのレプグナの植物モンスターにも効いたし、このグリフォンにもきっと効果あるよ」
    ドランは自信満々の笑みを浮かべる。その間にもグリフォンは急降下して攻撃をしようとしている。
    「わはは、お前に僕の音楽聴かせてやるぞそらっ」
    ドランはグリフォンの様子を見ながら演奏を始める。優しい音色は辺りに響き渡る。ドランの音色を聴いたグリフォンはスピードを緩め空中に止まり、首を上下に振りまるでドランの演奏に合わせるかのように踊っている仕草を見せる。
    「ドラン凄いわ凶暴なグリフォンさえあの太鼓の音色で襲撃を止めた…。」
    「『混血』でも竜人族の力は凄いわね。他のモンスターにも影響も与えるなんて…。私達がこの場所を訪れた時はグリフォンはいなかったもの…。」
    「ふふっ、ドランありがとう貴方のおかげであのグリフォンは警戒心を解いて、飛び去って行ったわ。」
    「わはは僕の力が役に立って嬉しいよそれにアイツ嬉しそうに僕の演奏聴いてたよ」
    ドランは嬉しそうに笑った。グリフォンが去った後、漸く岩山の隙間にできた細い道を周りに気を付けながらリィミンとドランは歩く。二人の様子を見守るスカイハイビジター。30分程狭く細い岩山の隙間の道を歩くと目の前に開けた場所に着いた。周りを城壁の様に取り囲む岩山が外からの侵入を防いでるようであった。リィミンとドランは開けた場所に足を踏み入れる。
    「ここに人が住んでいたの…?」
    二人の目の前には、住居や建物があったと思われる石積みの基礎や崩れた石柱があり、長い年月で風雨や雪に曝され風化した町の跡が残っていた。
    「アウローラで見た遺跡よりボロボロだ。この場所がスカイハイビジターが書き残した『百の夜訪れる大地』なのか?」
    「そう…。『百の夜』は約100日間太陽が昇らない『極夜』ってことなの。その地域に当てはまる昔の遺跡を調べたらここが当て嵌まったわ。」
    「へぇ、太陽が昇らないことがあるのか‼世界には不思議がいっぱいだなぁ」
    のんびりと話していると急にひんやりとした風が吹き抜ける。
    「えっ、何?今は冬ではないのにひんやりとした風が…。」
    リィミンはストームグラスを確認したが晴れの状態を示していた。原因を考えているとドランが抱きついてきた。
    「なぁ、急に寒くなってきた。わはは、リィは温かい…。」
    「私の方こそびっくりしたわよ。…いきなり冬の様な寒い風が吹くから驚いたわ。何だろうね…。」
    二人は不思議がっていると再びひんやりとした風が吹く。
    『……ここは我の聖域。人間よ、何しにこの場所へ来た?理由を言わねば命はないぞ‼』
    ひんやりとした風と共に現れたのは、背が高く顔の一部を仮面で隠している者であった。頭には雪の結晶の様な枝分かれした白い角が生えている。その声は低く男性と思われる。
    「あ、貴方は誰なの?…私達は貴方には敵意も無いし、攻撃もしない。ただこの遺跡に遺された碑文を探してこの場所に来たの…。」
    「ほぅ、我を恐れない強い女…。お前の言う通り敵意は無さそうだ。隣にいる竜人族も敵意はないようだ…。そうか、あの碑文を……。」
    「リィ、怖くはないか?あいつ強そうだけど、リィが話したら分かってくれたのはいい奴だな。」
    「そうね。私とドランのこと分かってくれたのは嬉しいわ。……貴方はあの碑文をご存知なの?」
    「あぁ。1000年以上前にここを訪れた二人の人間が遺し、何か文字を刻んでいた。よほど大切に残すべきものだったのであろう…、我は二人に碑文を守る約束をした。紹介が遅れてすまぬ、我名は冬竜。」
    「冬竜さんねこちらこそよろしくね。」
    「……あぁ。お前達はあの碑文に用があるのだろう。我に着いて参れ。案内する。」
    冬竜は背中を向け碑文がある場所へと歩き出す。リィミンとドランはその後を追うように歩く。膝の高さまで伸びた長い草むらをザッザッと音を立て20分程歩くと所々風化した石碑が現れる。
    「この碑文だな。」
    「うん。…太陽と菱形を模した紋様が刻まれている。受け継がれてきた文字も刻んであるわ…早速読んでみるわ。」
    「なんて書いてあるんだ?」
    ワクワクしているドランはリィミンを見守る。
    「……表の文にはこう記されている……。『記憶の番人すら凌駕する記憶がこの場所に存在した。そして未来すら記録されている…』……『記憶の番人』って誰?」
    「『記憶の番人』?僕も凄く気になるよ」
    「そうね。最初に解読した石碑に『記憶の回廊』とあったけど何か関係はあるのかな?…さて、ドラン。隠されたメッセージの解読の為にいつものやるわよ」
    「わはは、よしきた僕はいつでも演奏はできるよ。あとはリィ次第」
    「ふふっ、私はOKよ」
    ドランは左の小脇に太鼓を抱え、バチを構える。リィミンは心を落ち着かせるように深呼吸をし歌う準備をする

    「さぁ、やるわよ」
    「おうっ」
    二人は呼吸を合わせ演奏を始める。力強く歌うリィミンの歌に合わせドランは七つの音色を重ねていく。
    「ほぅ、どこか懐かしい雰囲気だ…。あの二人の人間の魂が歌と音色に宿っているように感じる。」
    冬竜もリィミンとドランの演奏に聴き入っていた。二人の演奏が綺麗に重なった時、淡い光となり隠されたメッセージが現れる。演奏を止めるとリィミンはメモを取り出す。
    「ありがとうドランメッセージが出てきたわ。私はいつも通りに解読するわ。」
    「今回は何て書いてあるんだ?」
    「ちょっと待っててね。……えっと、『太陽は真実を映し出す。理想郷の道標、2つの太陽を重ねた時、その理想郷は浮かび上がる。』……『忘れ去られし理想郷』って4つある石碑がある場所の一つのはずよ。それなのに何故?アカシックレコードが存在する真の場所を示す石碑があるのかしら?それに2つの太陽を重ねた時って…」
    リィミンは浮かび上がった文章をメモに書き取り、さらなる謎に頭を悩ます。
    「ほぅ、お前達はアカシックレコードを探しているのだな。あの二人はアカシックレコードを見つけた後にここに来て、この碑文を残した。不思議な文字は我には読めぬがそんな細工がされていたとは…。」
    「そう。私はそのアカシックレコードを探して旅に出て、『スカイハイビジター』が残した碑文を探して解いているの。ここのは一つ目、次は『陽炎の先にある島』へ行くのよ名残り惜しいけど私達は次の場所へ行かなきゃ。」
    「ん?そうなると『黒い森』を通らないといけないよなまだレプグナがいたら大変だよ、リィどうする?」
    「そ、そうね…。アウローラまで戻っても結局『黒い森』を通らなきゃ船を留めている港町まで最短で行けなくなるわね。」
    リィミンとドランは今までの道程を振り返り、思い悩んだ。特に『黒い森』での出来事は忘れられずどうしても避けて通りたいと思っていたからだ。だが悩む二人を見て冬竜は口を開いた。
    「……なら我がお前達を船が留めてある港町近くまで乗せてあげよう。それならお前達が避けて通りたいと言う『黒い森』を飛び越えてゆける。」
    「えっ冬竜さん、いいの?」
    冬竜は目を瞑り頷いた。そして一歩後ろに下がると背中から一対白い翼がバサリと現れる。雪を思わす淡い光が彼を包み込み、暫くするとリィミンとドランの前に威厳溢れる白い竜が現れた。
    「これが我のもう一つの姿。母も兄妹も皆同じく人間の姿と竜の姿に変えられるのだ…。さぁ我の背中に乗れ。」
    「へぇ、母さんも兄妹も同じなんだカッコいい竜になれるのすげぇ」
    「ふふっ、ありがとう。」
    リィミンとドランは冬竜の背中に乗ると、背中に生えてる棘を掴む。リィミンはドランの胸に手を回す。
    「私達ならいつでも大丈夫よろしくお願いするわ」
    「あぁ。」
    冬竜は『バサリ』と翼を羽ばたかせると風に乗って舞い上がり、軽やかに南に向かい飛んで行く。まだ先の季節の北風を纏い速度を上げると20分程で『アウローラ』の上空に差し掛かり、そのまま『黒い森』の上を抜けると目の前に青く煌めく海が見えてきた。冬竜は人気の無い場所に降りる。
    「えっ、もう着いちゃった⁉ふふっ、流石竜の飛行能力は凄いわ。私達をここまで乗せてくれてありがとう」
    「ホント速くて空なら一瞬だったよ空から町や森の上を見ると楽しいなありがとう」
    「我も久しぶりに人間に会え、会話を交えたのも嬉しく思う。……お前達の旅が無事で『アカシックレコード』を探し出せることをあの地で願おう。」
    リィミンとドランは冬竜から降り、笑顔で手を振る。その光景に冬竜は思わずニコリと口角を上げ、そして天高く飛び上がると再びヒュペリボレアスへと帰って行った。
    「ここに戻ってきたの久しぶりな感じだよ。」
    「そうね、この町で汽車に乗って『黒い森』でレプグナの植物モンスターに襲われたりして散々だったわ…。でもドランのおかげで助かったし、アウローラの町でルーキスとも出会えた……なんだか凄い冒険だったね」
    「うん。リィがあの植物モンスターに連れ去られた時は怒りを覚えた。けど僕の中に眠る力…僕もビックリしたけど何処かで秘密が解けたら楽しいな」
    「二人ともアウローラの町に来る前に散々な目にあったようね…。ふふっドランはリィミンを守る為に戦った…、貴方はリィミンを大切に想っているのね。」
    姿を消していたスカイハイビジターが再び現れる。
    「私にも竜人族の友人がいたわ。彼女は優しく私とカナデを出迎えおもてなしをしてくれた。竜人族は本当は優しい心を持った種族…。大切に想う人がいる程強くなれると聞いたの。」
    「へぇ、そうなのかじゃあ僕はリィのこと好きだから強くなったのかな?わはは、僕もっと強くなりたい」
    「ふふ、逞しくなっていくドランが私は好きよ。何だろう……凄く嬉しいわ」
    リィミンはそっとドランを抱き締める。
    「わはは、僕はリィが好き」
    抱き締められたドランはニコリと笑顔を浮かべ、リィミンの背中に腕を回しそっと抱き締めた。二人の仲の良い姿にスカイハイビジターは過去を思い出すかのようにその光景を見守っていた。
    「……さて、今から市場で買い物をして次の『陽炎の先の島』へ向かうわよ今日の夜ご飯と航海中の食べ物を買うから、ドラン手伝ってくれる?」
    「わはは、勿論いっぱい買うなら僕が荷物を持つよ。久しぶりのプレアデス号だな。次の島に行くまでも楽しみだ」
    リィミンとドランは離れると港の市場へと向かい、買い物をし始める。塩漬け肉や魚の干物等日持ちをする物から、オレンジやレモンといった果物を買い込み二人で手分けして港の波止場の桟橋に繋留しているプレアデス号の前に荷物を降ろす。
    「ふふっ、ただいま、プレアデス号。待たせてごめんね」
    リィミンは我が家同然のプレアデス号に帰ってきたことを告げる。そして船の側面に垂れ下がった縄梯子を登り、甲板に降りると桟橋に置いてある荷物を乗せるための丈夫な縄でできた大きな縄籠を下へと下ろす。
    「ドラン、その荷物をこの籠に入れてくれる?」
    「おう、了解だ……でもこれ全部乗せたらリィ一人じゃ持ち上げられない…よな?わはは、荷物乗せたら僕も甲板に行って一緒に上げよう」
    「そうね、じゃドランお願いできる?」
    「任せろ」
    桟橋に下ろした縄籠に荷物を入れていくドラン。全て入れ終わると縄梯子を登り、リィミンの待つ甲板へと降り立つ。そして二人で息を合わせ縄籠の紐を手繰り寄せて甲板に下ろした。
    「ふぅ、ありがとねあとは手分けしてキッチンと食糧庫に置いていくわ。」
    「僕も手伝うよ」
    リィミンとドランは二人で協力しながら荷物をキッチンと食糧庫を往復し、その場所へ置いていく。20分もしないうちに移動させ終わる。
    「まだ明るいけど出発するのか?」
    「ううん、今日はこのまま一夜を過ごして明日出発するわよ」
    「そっか。僕また操舵をするよ」
    「えぇ、頼んだわ」
    明日の出発を楽しみにしながら二人は操舵室や甲板、キッチンや寝室を軽く掃除する。陽が水平線に沈む頃、リィミンはキッチンに立ち久しぶりにカレーを作る。それは今回の旅で頑張ってくれたドランへのお礼を込めて――。できあがるとマストの上で太鼓を叩いてたドランを呼び、テーブルにカレーとサラダを置き飲み水とコップを用意する。ドランは目を輝かせ、リィミンが作ったカレーを美味しく食べおかわりしていく。
    「ふぅいっぱい食べたぞリィが作るカレーは美味しいから幾らでも食べれる」
    「ふふっ、今日もモリモリ食べてくれて私は嬉しいわ。ありがとうドラン」
    ニコリと優しい笑顔をドランに送るリィミン。少し休憩した後、二人は甲板に寝転び満天の星空を見ながら今回の旅の話をしていく。二人の絆が強まり、よりお互いの夢と目標を胸に刻んで旅を続けていく約束をしながら――。この日は旅の疲れもあり早くベッドに入り、明日からの航海に向けて英気を養うのであった。

    翌日の夜明けの時間、いつもと変わらずにリィミンは起き薄紫色掛かった空を見ながら背伸びをする。そこへスカイハイビジターがリィミンの元へ飛んできた。
    「あら、スカイハイビジター。おはよう」
    「おはよう、リィミン。……貴女と出会って私は嬉しい。貴女にも『黎明の声』が聴こえるんでしょ?」
    「うん。スカイハイビジターと出会った翌日の夜明け頃に起きてきた時は、私は驚いたもの。……『黎明の声』…、本当は何なのかこの先の旅で判ればいいなぁ。」
    「……ねぇ、リィミン。一度貴女と一緒に"あの歌"を歌いたかったの」
    「えっ⁉も、勿論‼ドランは寝て太鼓の音色はないけど『夜明けの歌姫』と歌えるなら私は嬉しいわよ‼」
    「ありがとう…」
    夜明けの空の下、リィミンとスカイハイビジターの美しい歌声が静かな波止場に響き渡る。東の水平線が明るさを増し新しい一日の始まりを告げようとしていた。
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