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    ⚔️勝利の厚焼き玉子⚔️

    @bwgenryu

    曲擬の進歩絵や色々ぶん投げる所。自宅の世界観の話やキャラ、キャラにまつわるバックストーリーとか設定多め。
    ※独自の解釈で曲擬をしているため独特な世界観や設定で作ってます。

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    POIPOI 40

    そし勇のミシェルとVixの勇者オーバラ・ウィニングの物語。
    戦闘、流血、暴力表現有

    Another brave今から120年程前の話…。
    当時この世界には二人の勇者がいた。『Vixの勇者』当代継承者オーバラ・ウィニング、もう一人は屈強な力で軍隊を一騎当千をしたミシェル。
    生まれも育ちも違う二人の勇者……。

    これは二人の勇者が出会い、未来へと紡いでゆく物語。

    ポカポカな陽射しが降り注ぐ春の昼下がり。依頼を終えたミシェルは、馬を走らせ宿がある近くの村へと向かっていた。赤いマントをたなびかせ、背中に背負った大剣が陽の光でキラリと輝く。開けた草原を走っていた時、ミシェルの視界に魔物と戦う女性の姿が目に入った。
    「誰かが魔物の戦っている。少し不利な状況になっている…。」
    ミシェルは馬を止め即座に走り寄った。その女性は魔物の攻撃を受け止めるのが精一杯なのか剣を楯にして耐えていた。そこへミシェルは背中に背負った大剣を抜刀し、魔物の腕を斬り裂いた。
    「大丈夫か?」
    「…は、はい。えと、ありがとうございます。」
    「まだ本体が残っている…。どうする?君が留めを刺すかい?」
    「わ、私が留めを刺します。」
    女性はのたうつ魔物に力強く縦斬りを浴びせ魔物を倒した。
    「あの、助けて頂きありがとうございます。」
    「僕は近くの村へ行く途中で偶然見掛けただけだから…。ははっ、戦いに困ってる人を見ると助太刀したくなっちゃってね…。」
    「貴方も近くの村に行くのですか?私、その村の依頼で魔物退治をしていたから…よければ、お礼を兼ねて村へ行きませんか?」
    「いいのかい?」
    「勿論です私を助けてくれたお礼ですから。」
    「そうか、ありがとう。じゃあ、馬に乗って行こう。こっちだ。」
    ミシェルは女性を連れて二人で馬に乗り、村へ向けて走り出した。軽快に草原の道を駆け抜けると目的地である村へと着く。馬を柵に繋ぎ留め、二人は村の村長の家へと向かう。女性は魔物退治をしたことを報告すると報酬金を幾つかのお礼を貰った。
    「ふふ、報酬金をこんなに貰ってビックリしちゃった。あの、この村にある酒場でお礼を奢りたいです。」
    「あぁ、もちろん。」
    二人は酒場に入ると各々飲み物を頼む。
    「私は未成年なのでオレンジジュース。」
    「ぼ、僕も未成年なんだよ。僕は氷結ソーダで。」
    暫くすると店員が飲み物を持ってきた。飲みながら話を続ける。
    「…未成年ということは私と歳近いのかな?あっ、私はオーバラ・ウィニング。『Vixの勇者』現継承者ちなみに16歳。」
    「『Vixの勇者』噂や本で読んだが実際に会えたのは嬉しいよ。…僕はミシェル、18歳。勇者として世界を回りながら困った人達を助けたり、悪人やモンスターを討伐している。」
    「わぁ、ミシェルさんも勇者なんですかさっき私を助けてくれた時、普通の人とは違う感じがしてましたけど…、ふふ、驚きました。」
    「僕の方こそ違う勇者に出会えてビックリしたさ。…そうだ、オーバラ。もし君が良ければ僕とパーティーを組まないか?」
    「パーティーを」
    「二人の勇者が一緒にいればどんな敵とでも戦える気がしてね…。その戦いを通して経験値を積めば君はもっと強くなるはず。」
    「…そうね。一人では倒せない敵も二人なら倒せるし、困ってる人がいたら安心できそうだわ。私もパーティーに誘ってくれてありがとう勿論了解よ」
    「ははっ、今日から僕らは同じパーティーの仲間だ頑張ろう」
    ミシェルはオーバラをパーティーに誘いお互い旅に出ることを決意した。その日は村の宿屋で体を休めた。翌日から二人はパーティーとして旅を始め、困っている人や村や町での依頼、野良モンスターの討伐依頼、挑戦者などを相手にしながら世界を旅した。その間ミシェルはオーバラに剣術を教えたり手合わせをして彼女を強くしていく。オーバラの記録した「勝利の手記」はミシェルの力添えもあれど、一人で強敵を撃破し勝利した記録も残していった。

    やがてミシェルとオーバラは恋に落ち結婚し、二人の間に男の子が産まれた。


    ーーそれから数年後
    ミシェルは27歳になり、その地域で頼りにされる勇者となっていた。ある日のこと、ミシェルの元に伝令による手紙が届いた。
    「手紙?なんて書いてあるの?」
    オーバラは手紙の内容が気になっていた。
    「あぁ、読んでみるよ。…なになに、『勇者ミシェル殿。城内に正体不明の怪人が現れ、次々に兵士や召し使い達が殺されている。どうか貴方に正体不明の怪人を倒して欲しい。王とその家族は安全な避難している。』……つまりはこの正体不明の怪人を倒せということか…。」
    「えっ、あの城でそんな事件がそれは一大事だわ。」
    「…これは早めに駆け付けて倒せねば、予期せぬことが起こるはずだ……。オーバラ、僕は怪人を倒しに行ってくるよ。」
    「ふふ、そうね。あの城の王や兵士達は貴方を信頼している。『きっと倒してくれる』ことを。」
    「そうだな。城で殺戮した後で城下町にも手を出す可能性もある。ここも城下町の外れとは言え安全ではないかも知れない。」
    ミシェルは部屋に置いてある鎧を身に付け、武器の大剣を背負い、準備を整えた。歩く度に赤いマントが揺れる。
    「…ミシェル、行ってらっしゃい。私達は貴方の帰りを待っているわ。」
    オーバラはミシェルに抱き付き、そっと頬にキスをした。
    「ありがとう。では行ってくるよ」
    ミシェルは家を出ると馬に乗り、城へと向かった。城下町の外れから城までは10分程で着く。街中は住民が避難をしたのか静まりかえっていた。そこへ巡回に来ていた城の兵士がミシェルの前に現れる。
    「勇者殿」
    「伝令をありがとう。読んで早急にここへ来た。…怪人は何処にいる?」
    「まだ城の中を徘徊し、生き残っている者を探し回っている…。兵士や召し使いは200人程殺された。」
    「それは酷い、問答無用か…。」
    「はい、どうか…どうか、怪人を倒して下さい。」
    兵士は自分の力が及ばなかったことを嘆き涙を浮かべてミシェルに話した。
    「大丈夫だ。僕が来たからには怪人は討伐する。」
    「あぁ…お願いします。」
    ミシェルは兵士に敬礼すると城に向け馬を走らす。城に近付くにつれ悲鳴が聞こえてきた。護衛が居ない城門を抜け馬から降り、自らの足で城を歩く。ミシェルの周りには血を流し、絶命した兵士達が無惨にも転がっていた。
    「何処にいるんだ?」
    急ぎ足で廊下を抜け部屋を一つずつ見て回る。その時、『うわぁぁぁ』という声が聞こえてきた。ミシェルはその声の方に向かって走り出した。

    「ど、どうか…命だけは、取らないでくれ……。」

    それは命乞いする兵士の声だった。ミシェルはその光景が視界に入ると背中の大剣を抜刀し駆け付ける。兵士の前には背の高い角が生えた白髪の怪人が刀身の長い武器を振り下ろそうとしていた。

    「…………終わりだ。」

    「そうはさせるかぁぁぁぁ」

    『ガキン』と金属がぶつかる音が響く。ミシェルは怪人が振り下ろした刀身を大剣で受け止めたのだ。
    「ここは僕に任せてくれ。君は逃げろ」
    「ゆ、勇者殿あ、ありがとうございます。」
    兵士はミシェルにお礼を言うとその場から逃げるように去って行った。
    「何のつもりだ?」
    「君がこの城で殺戮を起こした怪人か?僕は君を討伐しに来た『勇者ミシェル』だ」
    「勇者だと?ほぅ、私に刃向かえる人間…貴様の力はどれ程か見せてもらおう。」
    怪人の口元は恐ろしい牙が生えた異形なる者のマスクに覆われていた。
    「君は何故この城で殺戮を起こしたんだ?それに名前を名乗れ。」
    「……そうだな、東国の地獄で呼ばれていた一族の呼び名『オニ』とでも呼んでもらおう。ただ私は旅の果てにこの地に着き、この国を我が物にしたくてなぁ…。」
    「オニ…か。くっ、征服が目的か。なら、君からこの国を守るまでだ」
    ミシェルはオニから受けた刃を受け流し、少し距離を置いた。
    「その刀身の長い剣は見たこともない…。未知の武器…、見た目間合いも長く懐にも入り辛いな。なら、中距離からの攻撃で懐に入るしか…。」
    「私の『羅刹』に警戒しているようだな。」
    「多少はね。だが、これはどうだい?『フレイム』」
    ミシェルが呪文を唱えると掌から火の玉が現れ、それをオニに向けて飛ばした。火の玉を受けたオニは上半身が炎に覆われる。
    「…炎か。だが、残念だな。私には炎は効かん。」
    オニは左腕で上半身の炎を振り払い消した。
    「そうか。炎以外なら利くのか試してみようか。」
    「ふん、下らん。貴様は目障りだ、消えてもらおう。」
    オニは再び剣を構えるとミシェルに向かって振り下ろす。ミシェルはひらりと身躱し、反撃に出る次の呪文を唱えた。
    『カマイタチ』
    周りから風が突然吹き、刃物の様な形となりオニの体をザクザクと斬っていく。
    「ぐわぁっ、…小賢しい真似を。」
    カマイタチが当り斬られた箇所から血が出てくる。だがオニは動じない。
    「私に傷を付けたのは貴様が初めてだ。なら、貴様にも見せてやろう。…この地に来て最近得た力。完全には扱えぬが貴様を殺すくらいなら十分だろう……。」
    「なんの力だ?」
    ミシェルは剣を構え警戒をする。オニの腕から黒い炎が吹き出す。その炎は腕を伝い剣へ移る。
    「ははは、闇の力…。現世では強すぎる故に禁断な力と聞いた……。私に相応しき力を受けてみるがよい。」
    黒い目から覗く赤い瞳が不気味に輝く。オニは一呼吸おくと剣を振り回した。その威力は石床を切り割き、黒い炎によって灰塵と化した。
    「闇の力か。私もそろそろ本気を出して自慢の剣撃で応戦しよう。……本当は使いたくはない『力』…。………『バーサーク』」
    ミシェルが唱えた呪文は自らの攻撃力を上げ、防御を捨てるという諸刃の剣。彼の目から光が失われ、凶戦士の様に剣を振るう。オニの闇の力をまとった剣撃に応戦する様に鍔迫り合いを繰り広げる。
    「はぁぁぁぁぁ」
    『裏状態』になったミシェルは力の限りオニの剣撃を受けては時より受け流し、オニ本体を斬りかかろうとする。だがオニの使う剣の間合いは長くなかなか懐には入れない。半分焦るミシェル。
    「貴様は気付いているか?この闇の黒い炎が刃を交える度に黒き火の粉が貴様の鎧を蝕んでいることを……な」
    「なんだと?」
    オニとの刃を交えて暫く経ってからのことだった。ミシェルの身に着けている金属の鎧が所々ヒビが入り、一部が欠けていた。それは防御力を奪う緊急事態であった。オニは「それ」を待っていた。腕に力を入れミシェルの剣を払うと、すかさず防御力の弱くなった一部が欠けた鎧を貫く様に剣を突き刺した。
    「うわぁぁぁぁ………」
    ミシェルは右脇腹を刺され、苦悶の表情を浮かべた。傷口からじわじわと出血し、オニの剣の刀身に流れ伝わる。突き刺した剣を抜くと彼の傷口から更に出血し、地面に血溜まりができる。
    「ふぅ、ぐぅ……。」
    痛みと苦しみに耐えながらも剣を支えにしながら立っていた。
    「くそ……、バーサークの……時は『回復』は使えない……。何と…か、先に、倒せねば……。」
    「ははは、勇者よ。苦しいか?貴様は誤算したようだな。」
    『バーサーク』の魔法が効いてる間にオニを倒したいミシェル。彼は最愛なる家族、仲間、平和を思い深手を負いながらも剣を構える。オニは容赦なく再び襲いかかる。鍔迫り合いもするも傷に気に取られ油断し、防御力が無くなった鎧ごと『ザクリ』と何度も斬られることとなった。無惨にも斬り崩された鎧はミシェルの肉体に届き、酷い出血を負うことになる。もう彼は満身創痍だった。刃で斬り崩された鎧から血がボタボタと流れ落ちる。
    「ははは、次は貴様の心臓を狙おう。それで決着としようではないか。」
    オニは余裕の笑みを浮かべ再び剣を構える。

    『ホーリー…バイン…ド……』

    「な、なんだ?体が動かぬ…。指一本も動かせないとは、貴様何をした?」
    ミシェルは残された魔力を使い光属性の魔法をオニへと使った。
    「……はぁ、はぁ、それは…『闇』の魔法を封じ…る『光』の魔法……。オニ……、君はこの魔法とは、相性が、悪い…。」
    それは闇属性の力を封印する光属性の魔法。闇の力を持つ者であれば闇魔法どころか体すら動きが封印されるものだった。
    「さぁ、……これが僕にとって……最後の技となる。……どんな、強敵…にも、臆することなく…立ち向かい、正義を貫く………それが、『勇者』だ……」
    満身創痍のミシェルは勇気を奮い立たせ、剣を構える。残された最後の力を振り絞りオニへと剣を振るう。

    『デモンズ……バスター』

    体の動きが封印されたオニは反撃もできないままミシェルの渾身の剣技を食らった。胴に深い一撃を負ったオニは「ぐはっ」と口から血を吐いた。
    「……人間でここまで私を追い詰めたのは……褒めてやる。…だが貴様も長くは生きてはいまい…。」
    そう言い残したオニは意識を失い、絶命した。
    「……はぁ、はぁ、た、倒したぞ。『オニ』…異国より来たようだが…君の様な者は、初めて……だ……。」
    全ての力を出し切ったミシェルはその場に倒れこんだ。「バーサーク」と「ホーリーバインド」の効果は消え、ミシェルには「バーサーク」の代償ともいえる受けた痛みが一気に体に走る。もう彼の命は消える寸前であった。意識が朦朧としてくるミシェル。
    「……僕はここで死ぬのか…?回復魔法ですら効かない……。あぁ…頭の中に…走馬灯が見える。それに……雑音の様に聴こえる、幻聴……。懐かしき家族の声…、友達…、皆すまない。………ニーケ、お前は立派な『Vixの勇者』になれる…。強くなれ、僕はニーケをいつでも見守っている……。オーバラ……君と出会えて良かった…。冒険の思い出は、忘れない……。……愛しているよ……………。」

    ミシェルは目を閉じ、一筋の涙を流し、一人の勇敢な勇者としての最期を迎えた。

    暫くして戦いの行方を見に来た兵士達が絶命したミシェルを見付けた。だがオニの姿はどこにもなかった。ミシェルが倒したのだと思い、兵士達はミシェルに最大の敬意を払った。その悲しい知らせは城下町の端に住むオーバラとニーケに伝令として伝わった。オーバラは泣き崩れそっと息子のニーケを抱き締めた。でもオーバラは、ミシェルが勇者としての最期を迎えたことに「悔いない」と感じていた。
    ミシェルの亡骸は城下町を見下ろす丘の上に埋葬され立派な墓が建てられた。


    それから数年後ーー
    12歳になった息子のニーケはオーバラから『Vixの勇者』を受け継ぎ、一人前の勇者になるべく旅に出る。先代の母に別れの挨拶を済ますとある場所に向かって走りだした。ーーそこは父ミシェルの墓。
    「父ちゃん俺、母ちゃんから『Vixの勇者』を受け継いだよ見て、この装備、カッコいいでしょ?」
    無邪気な笑顔を浮かべながらニーケは背中に背負った剣を取り出した。そしてその剣を空に翳す。
    「俺も父ちゃんみたいな立派な勇者になるよ。…どんな敵にも負けない強い勇者になる俺がこれから作る「勝利の物語」をいっぱい聞かせたいな。空から俺を見ててくれるかな?じゃあ、俺は行くね。また会いにくる。」
    ニーケは剣を納刀すると墓を後にした。

    『……ニーケ、行ってこい強くなったお前、楽しみにしている。』

    「えっ、父ちゃん?……何か聴こえる…?小さい時に父ちゃんが歌ってくれた歌……。」
    そよ風が吹いた時、ニーケが幻聴かも知れないと思った出来事だった。いつかミシェルがニーケに歌ってくれた懐かしい歌。ニーケの旅立ちに添える魂の旋律にも聴こえた。



    ニーケの時代から100年以上経った現在。あの時の彼と同じ『Vixの勇者』を新たに受け継いだ者がミシェルの墓を訪れた。
    「…ここがミシェルさんの墓。やっと辿り着いたよ。家を出て二日…僕は辿り着けたんだ」
    銀髪の若きVixの勇者は墓に手を合わせた。
    「僕らVixとは違う偉大な勇者だったと、話は聞きました。でもミシェルさんの魂は僕の体の中で生きているの、感じるよ。へへ、僕もミシェルさんみたいな立派な勇者になるのが夢なんだいっぱい修行して、強い敵と戦って一人前の勇者になるんだ」
    背中に背負った剣を取り出し空に掲げる。
    「僕にも僕だけの「勝利の物語」を作っていく。強い敵と戦って勝利した話を聞かせてあげたいよ。」

    『君も立派な勇者になれる。若きVixの勇者よ……、勇者の力を受け継ぎし者よ。』

    「えっ、今のミシェルさん……?」

    丘を駆け抜ける風が吹いた時、若きVixの勇者の耳に響いた声だった。その若きVixの勇者は旅立って間もないヴィクトワールであった。
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