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    ⚔️勝利の厚焼き玉子⚔️

    @bwgenryu

    曲擬の進歩絵や色々ぶん投げる所。自宅の世界観の話やキャラ、キャラにまつわるバックストーリーとか設定多め。
    ※独自の解釈で曲擬をしているため独特な世界観や設定で作ってます。

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    POIPOI 40

    スカイハイビジターのお墓を目指すリィミンとドラン。彼女が眠っている町に着くが不思議な現象にリィミンは襲われる……。

    そしてお墓に着き二人が出会ったのは……。明かされるスカイハイビジターの本名とパートナーの秘密。

    Sky high visitor "Lucis ortus"朝陽は昇り空が青みが増して来る頃、寝ていたドランがあくびをしながら起き上がる。右肩を回し、痛みがあるかどうか確かめる。
    「おはようドラン怪我の具合はどう?」
    「わはは、大丈夫だよ。痛みは無いしもう平気それにしてもリィが塗ってくれた薬すげぇな」
    「大抵のダメージなら塗れば寝たら治るわ。何があるか分らないし、いつも持ち歩いてるから役に立てて嬉しい。」
    ドランの右肩を気にしていたリィミンは安心したようでニコリと笑みを浮かべた。これから朝食を食べに行く為に二人は服を着替える。宿の食堂で朝のバイキングを食べる。お互いに好きな物を皿に盛り、席に着いて食べ始めた。パンを千切りスープに付けゆっくりと食べるリィミンに対し、ドランはお腹が空いていたのか肉をメインにモリモリ食べおかわりしていく。
    「よほどお腹空いてたのね。美味しい?」
    「うん、すげぇお腹空いてたからさ。わはは、いっぱい食べてもっと元気になるぞ」
    デザートのプチケーキとオレンジジュースを飲みながらドランをリィミンは優しく見守った。朝食を食べ終わると再び部屋に戻りその日の行程を地図で説明するリィミン。
    「今はこの村にいるからそこから馬車で二つ先のアウローラの町に行くわよ。そこから少し歩いたらスカイハイビジターの墓に辿り着ける。そうね、時間は今からだとお昼前には着くかしら。」
    「おっ、今度は馬車かぁ。陸の乗り物に乗って旅をするのも楽しいね。」
    「ふふ、そうね。…でもスカイハイビジターの墓を訪れてその先にあの『石碑』の場所へと向かうけど、村や町の間が離れてたりする土地を通ることになるの。途中までは汽車が走っているけど、徒歩で何時間歩くこともあるかもね…。」
    「陸での移動は大変なんだなぁ。」
    和気あいあいと話しながら二人は宿を出る準備を進める。鞄や太鼓等の荷物を忘れないようにチェックし宿を出る。少し歩いた所で止まっていた馬車を見つける。
    「あの…、二人なんですけど乗れますか?」
    「やぁ。大丈夫だよ、何処まで乗るんだい?」
    「アウローラの町までお願いできますか?」
    「勿論だよ。アウローラの町だね。さぁ後ろに乗って。」
    「よろしくお願いします」
    リィミンとドランは馬車の幌が付いた後部に乗り込むと馭者(ぎょしゃ)は手綱を引き、2頭の馬を走らせた。石畳に蹄のパカパカという音と車輪が回る音が心地よく聴こえる。二人は馭者が馬を引く様子を見ながら変わりゆく景色を見ていた。
    「…アウローラの町は大昔、大きな国の中にあった町だったんだ。遺跡が所々に残る歴史の町だが、今でも『ある伝説』が残っていてね。」
    「古代からの歴史あるのね。遺跡も気になるけどその伝説って?」
    馭者の話にリィミンは興味深そうに食い入る。
    「それは『夜明けの歌姫』、……別名『黎明の歌姫』とも呼ばれた若い女性がいて、季節に関係なく夜明け頃に美しい声で歌っていたそうなんだ。何故か彼女にか聴こえないという『音』を歌にして表したものらしい。その彼女の噂は近隣諸国に広まり彼女の歌を聴こうと人が沢山訪れたみたいなんだ。…でも彼女は一人の楽器演奏者の男性と旅に出て数年後、再び国に帰ってきてその男性と結婚し、幸せに暮らした…。この辺りでは有名な伝説だよ。」
    「『夜明けの歌姫』…。私達、その人のお墓を訪れにこの国にきたの。そっか…私が以前読んだ文献と重なる所はあるようね。」
    「わはは、リィみたいな素敵な歌声の人だったのかな?」
    「あら、ドランありがとう。歌姫かぁ…。もし現代に生きていたら一緒に歌いたいわね。どんな歌声だったのかしら…。」
    ドランの一言でちょっぴり惚気けるリィミン。二人の仲良しな姿に馭者もにこりと笑った。どんな歌姫だったのか想いを馳せていると、一つ目の町に着いた。そこに新たな乗客が三人乗り馬車は再び走り出した。田園風景が広がる道を駆け抜けて行く。リィミンとドランは幌の窓から外の景色を見る。森の中にひっそりと佇む崩れかけた城の跡や、城壁や砦を囲っていたであろう壊れた石塀がかつて国があったことを物語る。古代のロマンに浸っているといつの間にかアウローラの町の近くまで来ていた。古い石造りの門をくぐると、人が溢れ賑やかな通りの中を馬車はゆっくりと走る。そして乗降所へ着くと馭者は馬を止めた。
    「アウローラに着いたよ。」
    「わぁ、賑やかな町ね。ふふっ、ありがとう、素敵な馬車の旅だったわ。」
    「いやいや、こちらこそ。…「夜明けの歌姫」のお墓へ行くにはこの先にある広場から東に進むと行けるよ。それではよい旅を」
    リィミンは二人分の料金を払うとドランと一緒に幌の付いた馬車の後部から降りると、馭者に手を振りながらその場を後にした。アウローラの町は古い石造りの建物が残り、人も多く行き来する。大昔の重要な町であった名残を至る所に残す町中を広場を目指し歩く二人。暫く行くと4つの道が交差する広場へと出る。
    「なぁ、あそこに人の像みたいなのあるぞ。」
    「誰のかな?像が作られる人は王様か地位の高い人、英雄等が有名だわね。きっとそういう人達のよ。見に行こうか」
    広場の真ん中で立つ像へと近付く。それは意外にも驚くべきものであった…。
    「ん?髪が長い女性…それに台座に刻まれた言葉は『夜明けの歌姫』……これがその姿を模した像なの?」
    「わぁ、この人どこかリィに似てるよ。ほら、ケープ着てるよ。」
    「えっ⁉……お母さんから聞いた昔話と古い絵に描かれた人に似ている…、もしかして、この女性の像は『スカイハイビジター』なの?」
    それは朝日が昇るのを待っているかのように凛とした表情で東を向いていた。
    「どこか凛とした顔付きに決意漲る目…。でも優しい笑顔をしている…何だろう、どこか懐かしい…。」
    「リィ?」
    「あっ、ごめんドラン。なんだか私懐かしい気持ちになってて、ふふっ。…そ、そうね、東の道へ行こうか」
    何かリィミンの不思議な雰囲気にドランは気になる様子だった。広場から東の方へ伸びる道を歩き進む。暫く歩くとリィミンは花屋の前で止まり、店先にある切り花を見ていた。
    「綺麗な花だね。どうかしたの?」
    「ん?これをスカイハイビジターのお墓に供えようと思って。ふふっ、どれも綺麗な花だから迷うのよ。んー、どれにしようかな…。」
    「じゃあ、この色どうかな?リィと一緒に見た夜明けの空と同じ色」
    「えへへ、そうね。綺麗な薄紫色の花ねきっと喜ぶわよ。」
    リィミンとドランは数種類花を選び、店員に渡すと綺麗な花束が出来上がった。お金を払い店を出る。
    「ドラン、ありがとう。おかげで素敵な花束ができたよ」
    「わはは。これでスカイハイビジターも喜ぶね。」
    お互いに笑顔で顔を見合わせ嬉しくなる二人。
    花束を持ち、道を進むと開けた場所に出る。崩れた石造りの建物の跡が所々に残っていた。どうやら住居跡のようである。住居跡の中を通りながら先へ行くと古代の墓地らしき場所に着いた。風雨に削られ角が欠けたり、丸くなったり苔が生えた石の十字架や墓碑が長い年月を物語る。複雑に張り巡らされた道を歩きながらスカイハイビジターのお墓を探す二人。その時リィミンは何かを感じ、ドランの手を取り急ぎ足で道が分かっているかの様に進んでいく。緩やかな石の階段を登り小高い丘の上に着いた。そこには一本の木が生えており、その近くに一つのお墓があった。
    「リィ、急にどうしたの?」
    「あっ、ごめんね。んーなんて言えばいいのかな?『誰か』が私のことを呼んでて道を教えてくれたんだ。優しい女性の声が聞こえたの…。」
    「僕達迷っていたからリィを導いてくれたのかな?」
    「そうね。でもそのおかげでここに着けたわ…。墓碑に刻まれたこの紋章、……私の家に伝わるものと同じ。ほら、私のケープとプレアデス号の旗にも描かれた紋章よ。」
    リィミンとドランは少し笑顔を浮かばせながらスカイハイビジターのお墓の前に並んで立った。
    「伝説に語り継がれているだけあって、現在もお墓を訪れる人はいるのね。ふふっ、お花が沢山添えられて嬉しいのかな?私達も貴女に会いに旅をしてきたのよ……、スカイハイビジター……本当の名前『ルーキス・オルトゥス』。」
    「えっ⁉リィ…スカイハイビジターの本当の名前…初めて聞いたよ」
    「隠してた訳じゃないよ。あの時話したのは『祖先が書いた本に書き記された魂との会話、その魂が今も生まれ変りを探してる様子からスカイハイビジターと名付けた』内容だったの…。」
    「僕もその話覚えてるけど、今でも空を飛び回っているんだっけ?」
    「うん。自由気ままに空を飛び回って『生まれ変り』を探してる…。きっとそれには意味があると思うの。」
    リィミンは"何処で飛び回っているであろう"スカイハイビジターに想いを馳せる。先程買った花束をお墓にそっと置き、にこりと笑顔を見せる。
    「私はスカイハイビジターに色々聞きたいし話したい。あの歌のこと、アカシックレコードへの道標を残した意味を…。ふふっ、私もいつかアカシックレコードに辿り着いてみせるわ」
    笑顔の中に決意を顕にするリィミン。
    「なぁ、リィ。あの歌を作ったのがスカイハイビジターだから今から演奏したいぞ僕が持ってるこの太鼓も知っているなら、音色も届くと思うんだ。まぁ何処にいるか分らないけどな、わはは。」
    「ドラン…。ふふっそうね。時を越えて贈る歌と音色、素敵ね。やろうか」
    いつものようにドランは背負っていた太鼓を左腕に抱え、腰に差したバチを取り出し準備をする。リィミンも深呼吸で心を落ち着かせ歌う準備をする。
    「ドラン、準備はいいかしら?」
    「リィ、勿論大丈夫だよ」
    リィミンは大きく息を吸い、いつものようにあの歌を歌い出す。ドランは歌に合わせて七つの音色をアドリブを入れながら奏でていく。小高い丘に美しい歌声と音色が響く。暫くすると墓碑に淡い光の文字が浮かび上がる。その光にリィミンは気付く。
    「……えっ、待って⁉…碑文以外であの時と同じ文字が浮かび上がってる………。」
    「えっ⁉」
    「これはスカイハイビジターのメッセージ…だわ。……『私の魂は生まれ変り、姿を変えてあなたの前に現れるでしょう。それは「黎明の声が聞ける者」。』……えっ、それじゃあ私……。」
    リィミンはスカイハイビジターのメッセージを読み終えると、ビックリしたかのように目を丸くする。『まさか自分が生まれ変りなのでは』という不思議な感覚を覚える。それを驚きと心配な気持ちでリィミンを見つめるドラン。
    「スカイハイビジターの生まれ変りでも、リィはリィだよ。僕は分かる。」
    「ドラン…。ふふっそうね。スカイハイビジターの末裔なら血は繋がっている。もしかしたら黎明の声が聞けるのは『魂の記憶』なのかもね。分らないことだらけだけどいつか真実が分かると思うんだ。」
    「わはは、その謎が解けるの僕も楽しみだよ。この僕の太鼓も同じだし、きっと解けるさ」
    「そうね。私もドランも解きたい謎がある。この先にきっと答えは必ずあるわ。……あっ、演奏が途中で終わったから文字が消えた…。ごめんね、スカイハイビジター。」
    謎解きを期待している中、ふと気付けば墓碑に現れた文字は消えていた。少し残念な気持ちになる二人であった。

    『ありがとう…』

    「えっ、この声…さっき私を導いてくれた声……。」
    リィミンは周りを見渡し声の主を探す。それはフワリとリィミンの前に姿を現した。
    「…ん?えっ、何」
    「どうしたリィ?」
    「スカイハイビジターのお墓の上に、片翼の鳥がいるの…。」
    「ん?鳥?僕には何も見えないよ。」
    「じゃあ私だけ…」
    不思議な現象にお互い驚く。リィミンにはそれは見え、ドランには見えない者…。
    「ふふ、リィミンには見えるのね…。貴女は私の子孫ね。百年以上前に私と出会った子孫もいたから…。」
    「私の名前知ってるの?……見えるということは子孫ってことになるわね。貴女、もしかしてスカイハイビジター?」
    「そう。百年以上前に私と出会った子孫が付けてくれた別名…。空を飛び回ることから付けてくれたのよ。私の呼び方は『ルーキス』でもどちらでもいいわ。」
    「わ、私…とても嬉しくてびっくりしてるわ。貴女が『アカシックレコード』に辿り着いた旅の話をお母さんから聞いて、私も同じく『アカシックレコード』を探す旅に出たのよ。」
    「私の物語は1000年以上経ても続いているのね。嬉しいわよ。…それにリィミン、貴女は私が残したあの遺跡のメッセージを読み解いた。貴女の歌声と隣にいる竜人族の演奏が私を呼んでくれた、カナデと同じ太鼓と音色…。」
    「なぁリィ、そこにスカイハイビジターがいるのか?」
    「あ、うん。もしかしてドランには見えていないのかな?」
    「彼は一緒に冒険をしているパートナーかしら?私はあの時からずっと貴女達を見ていた。悪い人ではない…ドランにも姿を見えるようにするわね。」
    スカイハイビジターはドランの前で透明の状態からスゥっと姿を現す。それはほんのりと光り、青みを帯びた紫色が混じる片翼の鳥の姿をしていた。
    「見えるようになったぞ。へぇ、さっきリィが言ってた鳥の姿をしている。……けど魂なんだよな?」
    「そう、魂だけど私の子孫か心を許した人にしか姿を見せない…。ふふ、姿が見える魂は不思議かしら?」
    「リィのパートナーだから僕にも見えるようにしてくれてありがとう。そんなことはないさ。よろしくなっ」
    「ふふっ、よろしくね。」
    ドランは嬉しくなり、太鼓を叩き嬉しさを表現した。
    「さっき聞いたわよ。リィミンは『黎明の声』が聴こえることを…。私は1000年以上の間ずっと待っていた。貴女は私の生まれ変り。魂の一部が貴女に宿っている…。私は嬉しい…貴女なら『太陽の羅針盤』を使い、アカシックレコードの存在する場所へ行ける。」
    「ふふっ、やはり私はルーキスの生まれ変りなのね。ルーキスに『黎明の声』のことを聞きたいけど、この旅の何処かで自分で見つけたいんだあと、その、『太陽の羅針盤』って物も使いこなしてみせるわよ」
    ルーキスはリィミンの周りをくるりと回り、何か導く動作をする。
    「さぁ、こっちよ。」
    リィミンとドランはルーキスに導かれるようにお墓を後にしてその場を去った。少し歩いた先に小さな石碑が立っていた。
    「これは私が死ぬ前に子供達に頼んで埋めてもらった…。今まで訪れた子孫には教えてないのよ。…この石碑の下に『太陽の羅針盤』はあるの。」
    「この下に?じゃあ石を退かせばいいのかな?ドラン、手伝ってくれる」
    「わはは、任せろリィ」
    「ありがとう。私はこっちを持ち上げるからドランは反対の方を持ち上げて……いくよ、せーの。」
    リィミンとドランは小さな石碑の下に手を掛け、力を込めて石碑を持ち上げる。やや重めの石碑でリィミンは歯を食いしばりながら一生懸命力を込める。少しずつ石碑が持ち上がる。
    「あと少しだな。頑張るか」
    ドランは気合いを入れ、更に腕に力を入れ持ち上げると石碑の下から何か空間が見え始めた。石碑を横にずらしそっと置くとリィミンはふぅっと息を吐き出す。
    「石碑の下に空間?石を切り出して彫られた感じかな。その中に小さな箱があるわ…。」
    リィミンはそっと小さな箱を取り出す。彼女の掌より少し大きめの黒い木製の箱のようだった。
    「この辺りは雨も降るからタールが塗ってあるわね。1000年以上経っても一応形は保っている…。ねぇルーキス、開けていいのかしら?」
    「勿論よ。」
    黒い小箱を開けるのにドキドキするリィミン。箱が壊れないよう慎重に蓋を開けていく。「ぱかり」と蓋が開くと、中には丁寧に布に包まれた物が入っていた。その布をそっと捲れば太陽を象ったような金属製のプレートが出てきた。それは青みがかっている色だが所々に錆び付いていた。
    「これが『太陽の羅針盤』⁉錆付いているけど色は残っている…。錆を落とせば更に色がはっきりするわね。」
    「ふふっ懐かしいわぁ…、1000年以上ぶりかしら。本当の輝きはびっくりするわよ。」
    「アカシックレコードへ導く羅針盤かぁ本当の輝き見てみたいわ。…でも羅針盤なら指針があるはずだけど見当たらないわね…。」
    「私は知っているけれど使い方は貴女が解くのよ。私は知っていても教えない…、だけどリィミンを導く役目はするわ。」
    「ふふっ。そうね、答えは何処かにあるはずだから私は必ず見つけ出す、頑張らなきゃ。」
    太陽の羅針盤の謎を解くのに気合いが入るリィミン。それを再び布に包み、黒い小箱に入れ蓋をして腰のバッグにしまい込む。そして石碑を元の位置に戻す為にドランと協力し、何もなかったように石碑を元に戻した。
    「ふぅ、これで元に戻したぞ。あっ、そうだ。スカイハイビジターはこの太鼓について何か知っているのか?」
    「勿論知っているわ。同じ形の物をカナデが使っていたから。」
    「カナデ?」
    「一緒に旅をしたパートナーの演奏者。私と出会う前『竜人族の楽器職人』に作ってもらったって聞いたわ。」
    「へぇ、竜人族が作ったのか…これ。何故か知らないけどこの太鼓を叩いてると力が湧いてくるし、癒やしたりできるんだ。」
    ドランはニコニコしながら語り出す。
    「竜人族の職人が作ったのと同じ型は驚いたわ。私もこの太鼓の音色は好きそれにドランの力と相まって強力な技で私を助けてくれたこともあるの。…じゃあ、その職人がいた場所でその太鼓の謎が解けるかもね。ルーキスのパートナー、カナデさんのことも聞けるかもね。」
    「ドランの竜人族としての力が発揮できたのかも知れないわね。その職人も演奏した時に不思議な力が出せたというの…。リィミンもドランもカナデが気になるのね…ふふっ彼は私と一緒に眠っている。私は生まれ変りを探しながらたまにカナデの元に戻っていたのよ…。」
    「えっ一緒にってことはあのお墓に?…馭者が話してた伝説は本当のようね。貴女とカナデさん、幸せだったのね。」
    「そうね、幾らでも話したいことはある。だけど全ては教えることはできない。…それもいつか真実が分かる時がくるわよ。」
    心なしかスカイハイビジターは嬉しそうに笑っているようだった。
    「じゃあここを立つ時にカナデさんにも挨拶しなきゃ。私達これから『百の夜訪れる大地』へ向かうのよ。更に北へ3日程かかるけどね。」
    「彼も喜ぶわ。そこは私が残したあの碑文がある場所ね。ふふっ、1000年以上ぶりに誰かと旅に出るのは楽しみね。」
    「わはは、スカイハイビジターも一緒なら心強いよ。」
    スカイハイビジター・ルーキスとその生まれ変りのリィミン、不思議な力を持つ太鼓の演奏者のドラン、遠い昔の縁が現在に蘇ったのは偶然か…。リィミンとドランは再び元来た道を戻り、お墓の前に立った。そよ風が吹き抜ける小さな丘の上で、もう一人の旅の主人公に挨拶を交わす。
    「カナデさん…貴方のことはルーキスから少し聞いたわ。二人の辿った冒険を次は私とドランで辿る番…。色々な謎をきっと解いてみせるわね。」
    「僕もこの太鼓のことは聞いた。わはは、僕もリィと一緒に旅を辿るよその竜人族の楽器職人のことも聞きたいんだ。」
    「…カナデ、久しぶりに会いに来たけど私はまた旅に出る。また帰ってくるから心配しないでね…。」
    笑顔を見せながら其々が思いを語り、その場所を後にした。

    二人にしか姿が見えないスカイハイビジターは二人の周りを飛び回る。リィミンとドランはアウローラの町で昼食を食べる為に店に寄り、向かい合う席で笑顔を交わしながら昼食を食べる。その後アウローラの町の北側へ向かい、更に北の大地へと向かう汽車に乗り込んだ。夕方まで長い汽車での移動。リィミンとドランは疲れたのかお互いに凭れ掛かって眠っていた。その仲睦まじい姿をかつてのパートナーと重ね、スカイハイビジターは二人を見守っていた。
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