助けてよ、ヒーロー(3) 次の日から、千冬はいつものように場地の家に押しかけていくことをやめた。やめたというよりできなかった。
何となく、一虎や場地の顔をまともに見られる気がしなかったからだ。
だがそうして二人を避けている間にも、場地と一虎の間に何かあるのではと思うと、気が気じゃない。
(場地さんが寝てる間に……あんなこと……してたんだから、一虎は場地さんに、色々バレたくねえってことだろうけど……)
一虎が場地に対して妙に距離感が近い理由は、嫌というほどわかった。ろくでもない下心があるからだ。
ろくでもない下心、と言葉にして考えた瞬間、千冬は腹の奥が痛むような感触を味わった。
(……オレだって一緒だろ)
そんなもの、持っていないつもりだった。昨日までは。
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