エンドロール金曜の夜といえば映画、という認識が染み付いたのはいつからだろうか。毎週金曜日、左馬刻は映画を観に銃兎の家へやってくる。理由を問えば「銃兎ん家が一番音がいいんだわ」と屈託ない笑顔で言われてしまえば、断るような無粋な真似は出来なかった。遠慮ということを知らないコイツもコイツだが、素直になられると途端に断れなくなる自分も大概だと理解はしている。しかし、銃兎はそのことをどうしても納得はしたくなかった。
ビール片手に上がり込んできた彼は、スクリーン前を陣取っている。テーブルを囲むように並べていたはずの椅子はいつの間にか並べられていて。隣に座れという無言の要求に仕方なく従い銃兎は腰を降ろした。
「今日はこれ観ようぜ」
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