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    かつら

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    かつら

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    🦊が👟にぶたれる話が書きたかったんです……
    許して……
    シュウがヤンデレっぽくなってます……お気をつけて……

    🦊が👟にぶたれる話はじめに来たのは衝撃、次に痛み、そして最後はなんでって、そんな単純な疑問だった。
    バチンッ!!と穏やかな部屋に不釣り合いな音が響いて、ぐわりと視界が揺れた。
    なんで…?なんで、オレ…シュウにぶたれたの……?
    仕事が終わって、帰ってきて、大好きなシュウが出迎えてくれて、一緒にディナーを食べて。
    暖かいココアを飲みながらソファに横並びに座って他愛ない話をする。そんな至福の時間。
    だからかもしれない。
    ちょっと気が緩んでしまって、つい
    今日の仕事の愚痴をこぼしてしまった。

    今日の依頼は若い女からで、恋人の浮気調査だった。
    もう慣れたような依頼で、特に苦労もしないだろうとタカをくくっていた。
    オレにとって、予想外だったのはその目的の恋人がゲイだったことと、俺の顔が好みらしかったこと。

    なかなか証拠が見つからなくて手っ取り早く言質をとろうと接触したのが運の尽きだった。
    そいつの行きつけのバーで証拠となる音声をレコーダーに収めて、キリのいいところで話を切り上げて事務所に戻ろうと店の外に出た時だった。
    いきなり腕を引っ掴まれて路地に押し込まれた。まぁ所謂そういうことをされそうになったんだけど。
    必死の抵抗のおかげかなんとか逃げ出せた。
    組み敷かれた時のあの気持ち悪い息遣いと腕にうっすら残った痣のおかげで最悪の気分は免れなくて
    だから、笑い話というか、サラッと流して欲しかったんだ

    けど、まぁ、結果は見ての通りで

    突然の出来事に、俺はただじんじんと痛む頬に手を添えて、ただ震えて俯くことしか出来ない。
    どうしよう、めちゃくちゃ怒ってる。
    今はとにかくこの冷たく長い沈黙を終わらせたくて


    「し、……シュウ………?…あ、あの…オレ……」

    「ねぇミスタ」

    「ぁ…ぇ……ぁ……」


    その声音に体が震える。やばい。
    俺が仕事で無茶した時、シュウの注意を聞かずにやらかしたとき、そんな時に俺を本気で叱る時の声
    冷たくて、優しくないやつ
    おれ、これ、知ってる
    ダメなやつだ

    「ミスタ」

    ビクッと大袈裟に体が揺れる。
    怖い。どうしよう。怒ってる。どうしよう。
    シュウの顔見れない。謝らないと。
    そんな俺の気持ちを踏みにじるようにシュウは俺の顎を引っ掴んでグイッと上を向かせる。
    涙でぼやける視界に、シュウの顔が映って

    「ぁ……」

    「僕ちゃんと教えたはずなんだけどなぁ」

    「ねぇ、ミスタ」

    ぼろりと涙が落ちて視界がクリアになる。
    目と鼻の先に紫が広がって、それがシュウの瞳だって理解する前にガブリと噛みつかれるようにキスをされた。

    「んっ…っぅ……ぅ……!!」

    いつもの優しいやつじゃなくて、口の中をかき混ぜるような乱暴なキス。
    顎を掴まれて上から押し込まれるように舌がねじ込まれる。苦しい。息継ぎができない。
    逃げる舌を絡め取られて、上顎を擦られ、ゾクゾクと快感が背中を駆ける。流れ込んでくる唾液がオレのと混ざって口の端からこぼれていく。
    脳にじんわりと快感が広がり、快感と恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
    でも、今の俺にはシュウを拒絶する勇気なんてなくて。
    ただこの捕食するようなキスを受け止めることしか出来ない。


    何分こうしていただろうか。いつの間にかソファから落ち、情けなく床にへたり混んでいた。それでもシュウは俺の顎から手を離さず、口内を蹂躙し続けた。
    酸欠で頭がぼぅっとし始めた頃、ずるりと舌が引き抜かれる。足りない酸素を取り込むため、犬のように息をする。
    はっはっと息を乱す俺をシュウはさっきよりか幾分かマシな顔で見つめていた。それでも怒りは消えていないようで。
    顎を掴んでいた右手が外れて、ぶたれた頬をするりと
    撫でる。ジンっと少し頬が痛む。ただ今はとにかく謝らないといけない。その一心で快楽に溶ける脳をフル稼働させ、乱れた息を無視して言葉を絞り出す。

    「は、…ぅ、しゅ、ぅ……あの……ごめ…、オレ……」

    「あのねミスタ」

    ひやりと嫌な汗が背を伝う。言葉一つ一つが重たくて名前を呼ばれる度に体が震える。

    「僕自分のものに手を出されるのってすごく気に食わないんだ」

    「ね、わかるかな……?」

    するりと頬から右手が落ちて、指先でチョーカーを撫でる。
    瞬間、ぐいっと上に引かれ、たまらずシュウに縋り付く。
    冷たい双眸に捉えられ、目が離せなくなる。


    「賢いミスタならわかるよね?」


    ふわりといつもの優しい笑顔


    「ミスタ」

    「君は僕のなんだよ」


    痛む頬、恐怖で震える体、快感で溶けた脳
    そんな自分が今正常に判断なんてできるだろうか。
    いや、正常でも異常でもきっと俺は喜んで言うだろう。
    愛しい彼の願いだから


    「………うん」

    「…ふふ、いいこ」


    叩いてごめんね、と包み込むように抱きしめられる。
    あたたかい体温とシュウの香りに包まれる。
    もうそれだけで俺にとっては全てどうでもよかった。
    幸福も快感も痛みも恐怖も

    シュウから貰えるならなんだって俺は喜んでしまうんだ
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