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    かつら

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    かつら

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    書きなぐりだァ……
    慰めてくれる👟が書きたかっただけの話

    メンブレ🦊を慰める👟気分が悪い。
    吐きそうとか、目眩がするとかそういうのではなくて。
    なんとなく気分がマイナスよりなのだ。
    何もやる気が起きなくて、乱雑にスリッパを振り払ってベッドに飛び込んでもう何分たっただろうか。
    静寂の中に時計の音だけが響いている。
    時計の音すらウザったくて、壁にかかった時計を睨みつけると、そんなオレの気分なぞ知らぬといったように秒針はかちこちと動き続けていた。
    午前2時。

    風呂上がってからなんもしてないな……
    なんて、くだらないことを考える。
    さっきまでただボーッとしてただけなのに、一度思考を始めると嫌なことばかり思い浮かぶ。
    今日の配信、面白くなかったな。
    終わった後、Twitterでエゴサしたらつまらないアンチを見つけてしまったし。
    昨日の探偵業では客にキレられたし、帰りは通り雨にあった。
    明日の仕事は大丈夫だろうか。また失敗するんじゃないだろうか。
    そんなことがぐるぐる頭をめぐってより一層気分を悪くする。

    あぁ、いやだ
    俺を嫌うリスナーも、すぐキレる客も、こんなくだらない事でイライラする自分も、
    全部


    「……はぁ」


    なんか喉乾いてきた。
    重たい身体を動かして、散らばったスリッパをひろう。
    ズルズルと引きずるように、階段を下ってリビングに向かう。
    階段をおりきると、リビングの灯りがついていることに気づいた。
    最悪だ、今1番会いたくない人がそこにいる。


    「……シュウ」


    ぽろりとこぼれた言葉に、振り向くシュウ。
    その瞬間、花が咲くようにふわりと笑う。


    「ミスタ!起きてたんだ」


    名前を呼ばれた途端、思った通り、身体が言うことを聞かなくなって、足は勝手に歩みを進め、シュウの元へ向かう。
    シュウの前に立つと、そのまま足は動かなくなってしまった。


    「?ミスタ…?」

    「……」

    「!……」


    シュウが顔を覗き込む。やめてよ、今最悪な顔してるのに。
    そう思うのに身体は動かないし、視界はぼやけてくる。
    伸びてきた手に頬を触れられる感触があって、生暖かい粒がシュウの手を濡らしていく。
    シュウは何も言わないけど、オレの頬を撫でる手つきが酷く優しくて、暖かくて、そのまま崩れるようにシュウに抱きついた。


    「ぅ"〜……っふ……ぅ……」

    「……よしよし、よく頑張ったね」


    シュウは優しい。こんな夜中に泣いて縋るオレをこうやって優しく抱きしめてくれる。
    服を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしても怒らないし、甘やかすように頭を撫でてくれる。
    まるで赤子のようだと少し恥ずかしくなるけど、泣いてしまった手前、もうどうでもいい。


    「っぐ……ぅ……あのさ……」

    「うん」

    「オレ"っ……今日さぁ……っふぅ……」

    「うん」


    ぽつりぽつりと溜め込んでいたものがこぼれ落ちていく。愚痴なんて聞いたところで解決しないし、相手を嫌な気分にさせるだけなのに、シュウは優しくオレの話を聞いてくれる。
    こうやって毎回甘やかされてしまう。
    いけないと思っていても、それでもオレはそこに縋り付く。
    ひどく心が弱いから


    「頑張ったね、ミスタ」

    「偉いね」


    そう言ってオレを一際強く抱きしめてくれる。
    シュウ、シュウ
    そう名前を呼ぶだけの俺にシュウは律儀に相槌をうってくれる。
    どろどろと心にまとわりついていたものがいつの間にか消えて、ふわふわと頭が軽くなる。
    すんっと鼻を鳴らしながら肩から頭を上げ、ボーッとシュウを見つめていると、そっとシュウはオレにキスをした。
    ちゅっちゅと愛おしいという気持ちが溢れんばかりに伝わってくるキス。
    オレがこれ好きなの知っててやってるからタチが悪い。
    答えるようにオレからもキスを贈るとふへへとシュウの嬉しそうな笑い声が聞こえる。
    多幸感が脳にしみて、途端に眠気が襲ってきた。


    「ミスタ眠いの?」

    「…ぅん……」

    「このまま寝てもいいよ?」

    「それは……やだ……」

    「ちゃんとベッドまで運んであげるよ」

    「ちがくて………シュウ…」

    「ん?」

    「一緒に寝たい……」

    「!…ふはは、…うん、もちろん」


    そう言って腫れた目を擦るオレの手を引いて、ベッドルームに向かう。
    ベッドに着くとおいでと優しく呼ばれ、シュウの腕の中に飛び込む。
    俺より少し低い体温と優しい匂いに包まれて、一時かもしれないけれど、どうかこの幸せが続くようにと
    意識が途切れる瞬間、そう思った


    「おやすみ、愛しい僕のミスタ」




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