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    hidaruun

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    hidaruun

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    さみさに♀/雨さに♀

    #さみさに
    onInformationAndBeliefs
    #雨さに
    inTheRain

    出かけませんか?手元のスマホをちらりと窺った五月雨はそのままこちらの顔を覗いてくる。
    「頭」
    「んー」
    少し前から何やら様子を伺われているのは分かっていたが、返事をしておきたいメールが何件かあったのでスルーしていた。今すぐにしなくてはいけないメールでも無いけれど、まとめてやってしまった方がいいだろうと彼女は小さな板と向き合っていた。
    「頭、出かけませんか?」
    「んー」
    「天気も良いですし」
    「うん」
    「……頭」
    「もうちょっとだけ待ってて」
    やはりそういう話だったかと、人差し指を画面に滑らせて誤字を直す。本当は朝から言いたかったんだと思う。それに気づいてはいたけれど、でもその誘いに乗ったら作業の予定が潰れる自信があったので見ないふりをし続けて、今である。一応、一番ヤバイ作業については待ってくれていたのだから誘いに乗ってもいいのだけれど、このメールだけはやり切ってしまいたいという気持ちが強い。やめてしまったら次このやる気がいつ出るか分かったものでは無い。
    「……」
    覗き込んでいた五月雨が離れていく気配がしたので納得してくれたかなと適当な絵文字を選んでいると、後ろから突然手が回ってきてそのままぎゅっと抱え込まれてしまった。
    「え!!……えぇ?!」
    慌てる彼女を逃がさないようにとしっかり腰あたりをホールドしてくる腕。挟み込んでくる足と肩に乗る頭。あったかくて擽ったくて恥ずかしくて息が止まりかける。
    「では用事が終わるまでこうしてますね」
    「………ひぃ」
    追い討ちのように恐ろしいことを言われて彼女は全くスマホに集中できなくなってしまった。呆然としているうちに画面から光が消える。
    「五月雨……」
    「はい」
    「で、出かけない?」
    彼女の言葉に一瞬ぴくりと反応した五月雨は肩にぐりぐりと頭を擦り付けて来たので「ひょわ!」と彼女の口からは変な声が漏れた。
    「……もう少しだけ、待っててください」
    「うぅ……」
    ひときわ丁寧に囁かれたそれが意趣返しと分かるから仕方なくまたメールを打とうとしたけれど、一文字も進まなくなってしまった。
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    hidaruun

    DOODLEさみさに♀/雨さに♀
    食事を持ってきてくれる五月雨「やっと解放された……」
    深くため息をつき、彼女は壁に背中を預けてもたれ掛かる。豪華なシャンデリアのぶら下がる華やかなホテルの宴会場の端で、周りの楽しげな様子を彼女はぼんやりと眺めていた。
    審神者五年目研修会、という政府の大きな研修会に参加した。強制参加と言われてげんなりしていたけれど同期との交流は新鮮で楽しかったし、一週間みっちりと座学やら実技やらいろんな研修を行ったのは疲れもしたが大変為になったと思う。その打ち上げだと言われて連れてこられたのがこの宴会場だ。まさかこんな豪華なところでやるとは思ってもみなかった。立食パーティーのような形ではあったけれど、座学のレポート発表会でうっかり良い成績を残してしまった彼女は政府のお偉いさんやら先輩審神者はもちろん、同期からもたくさん声をかけられてしまい食事どころではなくなってしまった。近侍は研修の間、毎日交代するように言われていたのだが今日は五月雨だった。レポートの中身もよく知らない五月雨を巻き込むのも申し訳なく、他の刀剣男士も自由にしていたので五月雨にも「好きにご飯食べてきていいよ」と伝えた後はひたすらお喋りに巻き込まれて、それがようやく終わったのがつい先ほど。
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