「やっと着いたね」
朝日が昇った頃、俺たちは大きな町に辿り着いた。朝一だとは思えないくらい活気に溢れ、人がごった返している。どこを見渡しても人、人、人……。屋敷にいた時に見ることは無かった大勢の人に圧倒された。そして色とりどりの屋台に美味しそうな匂い…。この場に立っているだけで五感が刺激されて胸の高鳴りが止まらない。
「すごい……すごいね、町って!!人も建物もいっぱいだよ!
あれは何?これは…?ねえマシュー、早く中が見たいよ!」
「ふふ…アルってばはしゃぎすぎだよ。まずは何か食べようか、お金は持ってきたから何でも食べられるよ」
チャリ…と金貨が入っている袋が音を鳴らす。こっそり何枚か持ってきたようで、暫くは暮らしに困らない程あると言っていた。
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