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    もののふ

    @mono_nofu01

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    もののふ

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    #第1回ふぁくまにあ
    👹🐏 序盤殺伐としてますが後半甘々です。ふーちゃんがめっちゃめんどくさい子になってるので苦手な方はご注意を
    全年齢向け

    無題 パシン、と乾いた音が部屋に響き渡る。Fulgurは痛む頬を抑え、今しがた起こったことを認識しようと、ふらつきながら前を見据えた。目の前の悪魔からはこれまで感じたこともないほどの怒気が漏れ出ている。
    「顔をはたくとかシャレにならないぞ、特に今の時代ではな。」
    「まだそんな減らず口が出てくるのか、お前は俺の怒りをこれっぽちも理解していないらしいな、そのオンボロな頭をもっと働かせてみろ。」
    VoxはFulgurをきつく睨みながら普段よりも一段と低い声で言葉を返す。その様子にFulgurは息をのみつつ、負けじと言い返そうとした。
    「確かに少し言い過ぎたかもしれないが、全て事実だ。だが、お前には分からないだろうな、いつだって特別な存在であり続けるお前に。」
    「お前・・・」
    「ああ、そうだ、理解なんてできるわけない!所詮俺とお前とでは住む世界が違うんだ、理解しあうなんてできっこない」
    突き放すようなその言葉に、Voxはグッと痛いほど拳を握る。爪が皮膚に食い込み、彼の指の間からはポタポタと血液がしたたり落ちていた。
    「おい血が・・・」
    「お前がここまで馬鹿だとは思わなかった。そんな頭でよくもサイボーグなどと名乗れたものだな、思考しないくず鉄などもはやゴミ以下の代物だ。今すぐその肩書を変えた方がいい。Noctixも困ったものだな、こんなお荷物相手ではいい加減辟易してくるだろう。」
    「・・・」
    何も返さないFulgurにVoxはさらに追い打ちをかける。
    「それとも、‘彼ら‘もあほなのか?お前に構ってやってるという時点で同じ穴の狢だったわけか。」
    瞬間、紅の拳骨がVoxめがけて繰り出される。彼は首を傾け、間一髪で避けるもすぐ横の壁にはミシシ、とひび割れが起こるほどの傷ができていた。恋人を殴る威力とは思えないほどのパンチをした張本人であるFulgurは怒りを隠せず、声に熱がこもる。
    「俺のことを言うのはいいが、あいつらのことまで否定するならただじゃ置かない。」
    「ほう、なら久々に殺りあうか?いや、やめておこう。今のお前とじゃつまらないだろうから、なっ」
    言い切る前にVoxはFulgurの腹に蹴りを入れる。突き飛ばされたFulgurは尻もちを突き、ゲホッゲホッとせき込みながら揺らぐ視界でVoxをとらえた。
    「Voxxy・・・」
    「二度とその名で呼ぶな。」
    そう冷たく言い放ちVoxはその場を後にする。Fulgurはただ茫然とそれを見ていることしかできなかった。


    「それで、いったい何があったの。」
    コトリ、と紅茶をテーブルに置き、Shuはその向かいの席に座った。彼の部屋に来訪者が訪れたのはつい三十分前のこと。めったに訪れることのなかった人物の突然の来訪に、Shuは目をぱちくりさせるも、何かを察した様子で彼を招き入れた。
    「配信とかではいつもたくさん喋ってるけど、こうして二人で会って話すのは久々だよね、ふーちゃん。」
    ふーちゃん、と呼ばれた人物は疲れ切った様子で苦笑いをすると「紅茶、ありがとうな。」と礼を言ってティーカップに口をつける。
    「せっかくの再会なのにそんな顔してどうしたのさ。普段はうるさすぎるってくらい明るいふーちゃんの辛そうな顔見てると、僕まで悲しくなってくるよ。」
    「悪いな・・・Shu」
    「謝らなくていいけど理由を教えてほしいな。僕のもとに来たってことは何かしら考えがあるんでしょ。」
    Shuはホラホラ話しちゃいなよ、と手をひらひらと揺らしながら後輩に詰め寄る。ふーちゃん、もといFulgurは一度大きく息を吐いた後、つらりつらりと事の顛末を語り始めた。

     それは昨日の朝のこと、Fulgurは朝食を食べながらふと、思いついたようにVoxにこう言い放った。
    「なぁ、俺たちもう別れないか」
    「は??」
    恋人からの突然の爆弾発言にさすがのVoxも目を見開く。
    「だから、別れよう。」
    「・・・、俺に不満でもあるのか?」
    「いや特にない」
    「なら理由はなんだ」
    「ぐぬぬ・・・」とFulgurは答えたくなさそうに口をすぼめる。その様子をみたVoxは仕方ないとばかりにため息をついた。
    「なんだ、昨晩のアレでは物足りなかったか?仕方ない、次からはもっとお前の意見も取り入れ「そういうことじゃない!!この変態!!スケベ!!ハゲちまえ!!」
    「・・・ガキかお前は」
    Fulgurも無茶苦茶なことを言っているのは承知のようで、嫌々ながらもあの発言に至った理由を説明し始める。
    「夢を、見たんだ」
    「夢?」
    「そう、お前の夢だよVoxxy。お前は400年前の日本についに帰るんだ。そして日本を統一し現代にまで生き残る。悪の総統Vox、そんなバカみたいな夢だ。」
    「何言って、」
    「だけどその隣には俺はいない」
    Fulgurは目を細めてぽつり、とそうこぼした。
    「実は前から考えてたことなんだが、俺はお前に釣り合ってない。お前はいつだってカリスマでリーダーでトップだ、いつの時代でも人々を魅了し、導く存在。それは過去でも現代でも変わらない。」
    朝食は冷めきっている。室内には異様な雰囲気が流れていた。そんな空気に臆さず彼は続ける。
    「対して、俺はどうだ?俺はただの小説家、サイボーグなんて言ってはいるが元居た未来ではこんなの珍しくもなんともない。俺はただのオタクでなんのとりえもない、たわいない存在なんだ。特別とは真逆の存在。別にみじめたらしく自分を卑下してるわけじゃないぞ。ただ考えてしまうんだ、お前の横に並ぶのは俺であるべきじゃないってな。」
    Fulgurは言い終えると、正面からVoxを見据える。その目は真剣でとても冗談を言っているようには見えなかった。Voxは拳をキュッと軽く握りしめる。
    「前に言ったはずだ。俺はお前が好きで、お前は俺を好いている。それが全てだ、とな。重要なのは肩書やこれまでの話じゃない。こうして巡り合った現代で一緒に未来を築くことこそが大切なんだと。」
    「ああ、分かるよ、Voxxy。だが、それはお前が本当に俺を好いていてくれたらの話だ。」
    「何を、言っている」
    「お前の俺への愛は所詮一過性のものだ、子供が一時的に玩具に熱中しているのと同じ、だってそうだろ?悪魔が機械人形を愛すなんて冗談、それこそそんな種明かしでもないと誰だって信じられない。だからそのうち飽きが来て、俺は捨てられる。」
    握りしめすぎたVoxの拳からメキッと音が鳴る。唇はわなわなと震え、漆黒の髪は少し逆立つ。怒りをにじませた声で彼はFulgurに問いかけた。
    「つまり、お前は俺のこの感情を否定するということか。」
    「そうだ、お前の俺への好意は間違いなくまがい物、だから捨てられる前に俺から捨ててやる。」

    ーそして冒頭へ戻る。


     Shuは一連の話を聞き終え、心底あきれたように口を開いた。
    「ねぇ、それふーちゃんが全面的に悪くない?Voxがかわいそうなんだけど。」
    「言いたいことはわかる、だが俺の主張も聞いてくれ!」
    えー、とShuは口をとがらせる。後輩がひどい顔で来るものだからてっきりVoxが何かやらかしたかと勘繰っていたShuだったが、今回の話は想像とは全く逆でVoxに同情したい気持ちに駆られている。
    「なんでVoxにそんなひどいこと言ったのさ。」
    「その、Voxが俺を想ってくれているのは十分に理解している。だから、俺への好意をまがい物、といったのはでまかせだ。けど俺が自分に自信が持ててないのは本当なんだ。だからあいつの気持ちを無かったものに仕立て上げて彼から離れようとした。」
    「ん-なるほどね。で、結局ふーちゃんは何しにここに来たの?」
    そう問いかけるとFulgurは俯き、ティーカップの中を見つめながら答える。
    「俺の計画通り、Voxとはもう破局になったし、また前の生活に戻ることができる。だが昨日からずっと胸が痛いんだ、ふとした時に考えてしまう、本当にこれで良かったのかって。だからとにかく誰かにこの話を聞いてもらいたくて・・・それでShu先輩のとこに・・・話しやすそうだったし。」
    こういうところはかわいいんだよな、とShuはクスリと笑った。Voxの前では素直になれない彼が今、目の前でこうして打ち明けて自分を頼ってくれることに喜びを隠せない。
    「おっとっと、いけない、こんなこと考えてるとVoxに殺されちゃう。」
    「?」
    ゆるむ頬を必死に抑えながらShuは優しく語り掛ける。
    「ふーちゃんはね、もっと自信を持っていいと思うよ。ふーちゃんは自分には何もないっていうけどそんなことない。オタクでBL大好きで語り始めたら止まらないし、笑い方やかんだし、キレるとめんどくさいし、運転下手だし、嫌いなゲームは絶対やらない頑固者!だけど俺やNoctix、ENのメンバー、そしてComfydantsのみんなはふーちゃんが大好きだし、そんなふーちゃんだから好きになったんだよ。これってもうみんなの特別ってことになってるんじゃない?そして、Voxも同じだよ、ふーちゃんだってあいつの肩書に惹かれたんじゃないでしょ?なら逆も同じだよ。」
    「Shu・・・」
    「それにね、ふーちゃんはあいつをなめすぎ。」
    こてんと顔を傾けながら満面の笑みでShuは言う。先ほどまですごい感動に包まれていたFulgurはその笑みに少し違和感を覚えた。
    「さっきVoxとは破局したって言ってたけど、あいつ本当に‘別れる‘っていったの?」
    「Shu??」
    すると、その時コツコツと外から聞きなれた靴音がShuの耳に入る。同時にFulgurも気づき、目を見開く。そんな彼を見てShuはさらに笑みを深くした。
    (まったく、ちょっと遅いんじゃないの、まあでもいっかふーちゃんのかわいいとこも見れたし)
    「まさか、この足音・・・おいShu!どういうことだ!」
    「ごめんねふーちゃん、一応あんなんでも‘僕たち‘のリーダーだからさ。」
    ガチャッと扉が乱暴に開けられる。そこには白スーツに赤い着物を羽織った普段通りの装いのVoxその人が立っていた。
    「おい、いつまでここにいる、帰るぞ。」
    凛とした声でVoxはそう言い放つ。
    「何言って、俺たちはもう別れただろうが!!もう俺は絶対に帰らないぞ、ここからてこでも動かな、ぃ」
    Fulgurが立ち上がって抗議しようとした途端、突然の眠気が襲い掛かってきた。身体は崩れ落ち、視界が急激に狭くなる。
    「ま、さか・・・あの紅茶・・・」
    ごとり、と完全に意識を失ったFulgurをVoxはそっと抱きかかえ、Shuに向き直ると
    「世話になったな。」
    そう礼を言って部屋から出ていく。その背中を見送りながらShuは先ほどまでの話を思い出していた。
    「ふーちゃん、君は、Voxの気持ちに気付いているといっていたけど、たぶんこれっぽちも分かっちゃいないよ。」
    彼があそこまで執着している姿はShuでも見たことがない。きっと彼のFulgurに対する気持ちは誰にも理解できる代物ではないだろう。好意なんてかわいいものではない、もっと薄暗くドロドロとした何か・・・もっと複雑なものだ。
    「あー、もう考えるのやめよ、そうだ今回のことMystaにでも喋って酒のつまみにしてやろ。」
    それにしてもほんとにはた迷惑なカップルだなぁと、呟きながらShuは友にこの出来事を話すべくパソコンを引っ張り出した。


     ぼんやりと意識が浮上する。Fulgurはベッドの上で目を覚ました。あたりを見渡すと、白い壁に見覚えのある写真たちが飾られ、窓には黒色のカーテンが掛けられ、さわさわと揺れている。ほかにも見覚えのあるカーペットやら小物などが転がっており、この場所が間違いなく自分たちの同棲している家であることを認識した。壁にかかった時計は深夜12時を指そうとしている。
    「まだ、頭が重いな・・・Shuのやつ相当やばいやつ混ぜただろ。」
    Fulgurが気だるい体を起こそうとすると、ガチャリと寝室のドアが開いた。ドアの向こうからVoxが現れる。
    「もう起きたのか、調子はどうだ。」
    「おかげさまで、最っ悪の気分だよ。」
    「フン、元気なようで何よりだ。」
    けっとFulgurはそっぽを向いた。もう今更話すことはないといわんばかりに目も合わせようとしない。そんな彼の様子を見てVoxはおかしそうにクツクツと笑う。Fulgurは流石に何かがおかしいことに気づき、訝しげに眉を寄せる。
    「なにがおかしい、昨日のことを忘れたのか。」
    Voxの笑いは止まらない、それどころかどんどん大きくなっていく。Fulgurが顔をしかめてる前でひとしきり笑い終えたVoxはベッドに腰かけた。
    「いや、忘れていないとも、昨日は久々に本気で怒りを覚えたからな。まぁお前の意図していたことを知ったうえで後から思い出すとあまりにも滑稽で笑いが止まらなくてな。」
    意図していたこと、とFulgurは顔を傾げる。Voxはズボンのポケットからスマートフォンを取り出して通話履歴を開いて見せた。Shuとの通話が一番新しいものとして表示されている。時間はちょうどFulgurがShuを訪ねていた時と一致していた。
    「クソ!!Shuのやつ!。」
    「馬鹿め、奴の家に言った時点で俺の勝ちだよ。」
    Fulgurは頭を抱えたくなった。つまりShuの前で言っていたことは全てVoxに聞かれていたということになる。
    「頼む、全部忘れてくれ、もう無かったことにしたい。」
    「いや、」
    Voxからはふと笑みが消え、真剣な顔でFulgurに向き直る。
    「絶対に忘れない、忘れてやらない。何せあの時俺は怒りもしたが、傷ついてたんだぞ。」
    「はっ?」
    「だから、絶対に覚えておく、この恨みとともにな。」
    Voxは徐々にFulgurとの距離を縮めていき、鼻と鼻とがくっつきそうなほどにまで近づくと、視線は外さずに低い声で囁いた。
    「確かに俺たちは立場も産まれた時代も何もかもが異なる。だがそんな関係の中に生まれた愛こそ本物だとは思わないか。」
    「・・・っ。」
    「この愛を否定するなFulgur、俺だってこんな感覚は初めてなんだ、無かったことになんてしたくない。」
    Fulgurが思わずぎゅとVoxを抱きしめた。鉛色の瞳からは次々と涙があふれ頬を伝っていく。
    「わ、悪かった、おれが自分に自信を持ってなかったせいだ。お前に愛される資格が無いって勝手に決めつけてた。でも今日Shuと話して、お前の気持ちを知って、だんだんと自信がついてきたよ。」
    「ああ、」
    嗚咽交じりの声でFulgurは必死にそう伝えた。
    「あ、お、れ、愛されていいんだな。」
    Voxは抱きしめる腕に力を入れる。
    「ああ、そうともお前は愛されていいんだ、何せ俺が直々に選んだ相手なんだからな。」
    肩が生暖かくじんんわりと濡れていく感触にVoxは笑みをこぼした。

    「ほんとうに、めんどくさくて間抜けな奴め。」

    カーテンの隙間から月明かりが入り込み二人を照らす。暗闇の中でほのかな光に包まれながら抱き合う二人はまるで一枚の絵画のように芸術的な美しさを放っていた。


    「あー、久々に泣いたから目が腫れて痛い。」
    「ブハハハ、ぶっさいくになってるぞww。」
    「おい、Voxxyお前ナチュラルに最低だぞ。」
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