つかれたつかれた
今日も疲れた。嫌なやつといっぱい接した。不快なことも言われた。毎日毎日そうだった。頼る相手は彼だけ。でもかれにかなしいおもいをしてほしくない。無性に今はイライラしている。あいつを殺したい。めちゃくちゃにしてやりたいゆるさないしんでもぜったい…
「やあ、おかえりなさい。」
家についていた。ルーンくんが出迎えてくれた。
「あ…る、ルーン…くん…」
「どうしたんだい?疲れている、というよりすごく苦しそうだよ?」
「ううん、なんでもないよ。大丈夫。」
「そっか、それならいいんだけど…」
なんとか誤魔化せたみたい。
私のこんな気持ちなんて彼に知ってほしくない。
「ごめんねルーンくん。ちょっとだけゲーム、借りるね。」
「もちろんだよ。僕はご飯の準備続けるから」
「今日の夕飯は何か教えてくれたり…」
「今日は、君の大好きなハンバーグだよ!」
!?
少しばかりイライラが吹っ飛んだ。
「え、ほんとに!?じゃあ楽しみにしてる!!」
「うん!楽しみに待っててね。」
・・・・・・・・
ご飯を食べているとき、ゲームで忘れていたあのむしゃくしゃが蘇った。
忘れたくて勢いついてしまったのか、むせた。
ルーンくんにも心配された。
私って本当に駄目なやつだなぁ…
辛い。楽になりたい。このいらいらはどこにぶつければいいの???
「・・・」
「ねぇ」
アイスを食べていたら突然ルーンくんに話しかけられた。
「僕に嘘をついたでしょ」
「えっ…?」
心臓が締め付けられた。
「君は今日疲れていたのに加えてとても爆発的な何かを秘めていると見えた。」
「・・・」
「どうして黙っていたんだい?」
なんて答えればいいのかわからなかった。バレた。ルーンくんに迷惑をかけたくなかったのに…
「…ごめんなさい」
「…?」
「ルーンくんに迷惑をかけたくなかったのに、結局ルーンくんを怒らせるようなことになって…でも私そんなつもりなくて」
「何を言っているんだい?」
「え…?」
恐る恐る顔を上げると彼は怒っているよりむしろ心配しているような顔だった。
「うーん、たしかに僕に黙っていたことは褒められることではないけど、むしろ君を心配しているよ。」
…なんだか恥ずかしくなってきた。
「そこで、僕なりの解決策を思いついたんだ。」
ダイブ世界に行こう
訳も分からずダイブ世界に連れて来られた…
隣にいたルーンくんはいつの間にか前に立っていた
そして…
「僕の考えた解決法はね…」
彼の姿が変わる
「僕にその感情を思いっきりぶつけてくれ!」
流石にここまでしないと彼女も落ち着かないだろう、それに
「今の君ならきっと今までより良いスコアを叩き出せる!」
「そ、そう…かな?」
「もちろん!君のその感情と実力があれば過去の自分を上回る事ができる!」
「わ、わかった。」
「それじゃあ、始めようか。まずはウォーミングアップからだね」
やはり…彼女の動きが今までと違う。表情もだ。何かを打ち倒そうとしているのか、覇気をまとっているようにも見れる
「お疲れ様、それじゃあスコアを…!?」
何だこのスコアは…今までの君よりも圧倒的に成長している…!
「面白い…素晴らしいよ!!」
「へ?」
「こんなスコアは見たことがない!!!あぁ…興奮してきたぁ…っ!」
「る、ルーンくん?だ、大丈夫…?」
「ああ……!やはり君は素晴らしい……!!さぁもっとだ!もっと僕に君の力を見せてくれ!!」
それから、僕と彼女はたくさんの勝負をした。今までは手も足も出なかった曲でさえクリアまで到達していた。
しかし、彼女も人間だ。さすがに体の限界が近づいてきているのが分かる…それに、僕もそろそろ限界だった。
「そろそろ疲れてきただろう?それに明日も君は学校だ。そろそろ切り上げて…」
「駄目」
?
「ルーンくんお願い、とびきりの曲を。」
「し、正気なのか!?そんなことしたらいつ君が壊れてもおかしくない!!」
「ふーん、ルーンくん私のお願い聞いてくれないんだぁ……?」
「っ!?」
僕が怖気付いてる?
「ふふ、ルーンくん、お願い♡」
甘えるような声、こんな彼女は知らない。僕もどうやら本気を出さなければならないようだ…
「…君が言ったんだ…後悔するなよ?」
そう言って僕は姿を変えた。
「ほら、始まるぞ」
「はぁーい♡」
ゆらり、ゆらりと彼女は構える
始まったと同時に、彼女の動きはおぞましくも早く、僕ですら捉えることが出来なかった。
それだけじゃない。いつものお淑やかさは消え、まるで肉を見つけた飢えた獣のように、猛々しい。
興奮を覚えると同時に、恐怖してしまった。今までは追えていなかったものがこんなにも容易く突破されていっているのだから。
曲の終盤、彼女が揺らぐ。バランスを崩したかのようにぐらりと。
クリアする意思か、体幹が良かったのか、倒れることなく続ける。
そして…
「あ、あぁぁぁ!!」
曲が終わった。
「……クリアだ。」
「え!?ホントに!?やったあぁぁぁッッッ!!!!」
座り込んで無邪気に喜ぶその姿、普段は微笑ましいものだが…
「ねぇ、ルーンくん!!みてた!?わたしできたよ?!すごいでしょ!ほめてほめてほめて♡♡♡」
僕も全力を出した。それに、この提案をしたのは僕だ。結果、彼女はほぼ壊れてしまった。しかし…
「ああ!!しっかり見ていたさ!キミがこれほどの存在だとは!全く信じられないよ!!!」
興奮を抑えきれなかった。
「そうだよね!!!わたしすごいよね!!あんな奴らとは違う!私は凄いんだ!!!ルーンくんにも…みとめてもら…え…た…。」パタリ
突如、電池が切れたように彼女は倒れた
「!?おい、どうした?だいじょ…」
「スゥ…スゥ…」
長いこと勝負をしていた。彼女も疲れてしまったのだろう
「今はゆっくり眠るといい。さあ、帰ろうか」
こうして、僕達はダイブ世界を後にした。
「んぁ、あれ?」
いつの間にか私は眠っていたのかな?ダイブ世界に行って…それから少し遊んで…
「おや、ようやくお目覚めのようだね。」
「あっ、ルーンくん。私ダイブ世界に行って、ルーンくんと…あっ!」
思い出した。少しだけ。
「ねぇルーンくん、ありがとう」
「なんの事かな?」
「あー!もうそうやって誤魔化すー!」
私は知らないけど、ルーンくんが何かしてくれたから収まったんだ。
…明日、ルーンくんの好きなケーキでも買ってきてあげようかなぁ