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    蒼紅+モブ紅本サンプル
    ※サンプル冒頭は以前Twitterにも上げたモブレエロシーン部分を含みますのでご注意ください。

    新刊サンプルそれはちょっとした、子供の好奇心だった。たまに視察と称してお忍びで連れて行ってもらえる街の中や森、山の中を、共は連れず好きなように散策してみたいと思い立った。
    そうと決めれば蒼生はさっそく年の近い兄の紅蓮を誘った。生真面目な性格なのもありあまり気乗りではない顔をしていた紅蓮だったが、屋敷の中を探検していた時に見つけた秘密の抜け穴を教えると、最終的に少しの間なら、とそのたくらみに乗ってくれた。人一人がやっと通れるくらいの小さな抜け穴通って外へと飛び出した時、その口元が楽し気に揚がっていたのを蒼生は見逃さなかった。
    小遣いなんかはもっていなかったが、人や物の多い市場をふらふらとするだけでも楽しい。香ばしく腹の虫を刺激する匂いに思わずぐうと腹の音を立てれば、紅蓮が屋敷から持ってきたという絹織物の小物やちょっとした細工物を懐から取り出した。それを適当な店の店主に売って金に換えていて、実は兄もこのお忍びを楽しみにしていたのだと知る。
    足元をみられて大した金額にもならなかったが、子供二人の腹を満たすだけなら十分。二人で串に刺さった焼きたての肉汁の滴る肉や甘辛いタレの絡んだ甘い団子なんかを齧りながら、様々な人種が混じる人込みを歩くのは楽しかった。
    金が尽きれば次は森の中へと飛び込んだ。屋敷の庭も十分に広いが、整備された木々よりも自然のまま自由に生える草木の中を走り抜けるのは大層気持ちが良い。なっている木の実を齧りその甘さやしぶさに一喜一憂し、木から木へ飛び移り小鳥を脅かしてみたり、川にそって遡って岩魚の多い淵を見つけて覗き込んでみたりと全力で野山を駆け回る。
    そうして夢中になって遊んでいるうち、気づけば随分と遠くまで来てしまった。
    高い山の頂から見える街や屋敷は随分と小さくて、ぐるりと見渡す景色はとても雄大だった。
    「すげぇ……」
    思わず声を漏らせば、隣から小さく笑い声が聞こえた。
    「あの山向こうやあの平原の先、ここから見える景色とその先全てを父上が収めている。全部、父上のものだ」
    そうつぶやく紅蓮の隣に立って、蒼生はその赤い瞳が捉える先を一緒に見つめる。
    あちこちで上がる白い煙は煮炊きをしているのだろうか。先ほど食べた串物を焼いている店かもしれない。 米粒よりも小さな家々には沢山の人の営みがあり、それらを守るのが族長としての務めだと、そのために強くあらねばならないと紅蓮は続けた。
    「紅蓮、父上はすごいな」
    「ああ。俺達も父上の子として、……跡継ぎとして、より頑張らなくてはならないな」
    ため息をつくように言われた最後の言葉に首をかしげてみたが、紅蓮はそれ以上何も言わなかった。




    すっかり暗くなってしまった山の中を急いで駆け下りたが、どうやら降りる方向を間違えたようだった。ふもとの村に降りるはずが、行けども行けども、木々が途切れない。
    遠くに民家の灯りなども見えず、方角さえわかない状態に疲れた足は萎え、冷えてきた夜気に首をすくめる。
    「大丈夫だ、俺が何とかする」
    不安げに蒼生が少し上にある顔を見上げれば、責任感の強い兄がそう口にする。
    けれど外の怖さを何も知らない子供二人、やみくもに歩き回った末、深い森の中で途方に暮れることになった。
    足が棒になってきたところで森の中に古びた猟師小屋をみつけた時は、二人で歓声をあげて中に飛び込んだ。
    小屋の中には縄や篭、使い古した火打石などのちょっとした道具が部屋の隅に転がっている以外はがらんとしているが、定期的に手が入っているのか埃っぽさも少なく囲炉裏の灰の中にはここ数日で煮炊きしたような跡もある。中も子供二人が寝そべるには十分すぎるほどの広さがあり、ささくれ立った木の床ではあるが、土や岩以外の感触がありがたい。
    「まだ使われている小屋のようだな。朝になれば人が通る道が分かる。そうすれば最寄りの村にでられるだろう」
    村に出れば屋敷のある街まで行く道がある。今夜はここで夜を明かし、明け方外をもう一度探そうと言うことになった。
    古い炉の中に拾ってきた枯れ枝を投げ入れ、火打石で火をつけ指先を温めるとやっと人心地がついた。桜も散って久しいが、朝夕はまだまだ冷え込む。
    木がはぜる音と、夜目の聞く鳥の鳴き声が時折聞こえる。人の多い屋敷とは違い随分と静かで、少しだけ落ち着かない。
    こんなに長く紅蓮と二人だけで過ごすのも久しぶりだ。先に元服を迎えてから、族長候補としての勉強が増えた紅蓮はあまりこちら側に遊びに来られなくなっていた。剣術の指導の時だけは必ず来るが、火継が小姓としてつくようになってから気安く会話することも随分と減ったように思う。だから今回火継の目を盗んで紅蓮を連れ出してみたのだが、今頃帰らぬ子息達を探して、鬼族も人間族も大騒ぎになっているだろう。
    「きっと明日の朝屋敷に帰ったら、父上から大目玉だな」
    そう蒼生が言えば、紅蓮が渋い顔をする。優秀な兄はあまり父に怒られることがない。大抵、今回みたいに巻き込まれる形で悪だくみに参加させられて、二人揃って説教されることが常だ。今日は紅蓮だって乗り気で来たのだから、おとなしく一緒に怒られてほしい。
    「父上もだが、不知火と火継……あいつらも怒らせると面倒だ」
    「あー、俺も水簾に何か言われるだろうな……。まぁ紅蓮、言い訳を一緒に考えてくれよ」
    「知らん、自分で何とかしろ」
    そんな他愛のない話をしていた時だった。
    シッ、と紅蓮が口元に指をあてる。
    慌てて蒼生が口をつぐむと、パチパチとはぜる乾いた枝の音以外に、じゃり、と砂を踏む音が聞こえた。数は、わからない。一人や二人でないことは確かだった。
    「紅蓮……」
    「何も喋るな、じっとしていろ」
    こんな夜更け、森の中で複数人の人間がうろつく理由など思いつかない。自然、腰に手が伸びるがそこに愛用の刀はなく蒼生は舌打ちをした。館を抜けるにあたり、下働きの物の着物を二枚拝借してきた。紅蓮も同じく、武器らしいものはなく丸腰だ。焚き付け用の木の枝を握り締めたがあまりにも心もとない。
    建て付けの悪い引き戸ががらりと開き、そこから現れたのは予想通り身なりの粗末な、そして下賤醜悪な男が四人ほど。角のあるものや瞳の色が左右違うものもいる。平民らしからぬ腰に下げた刀や斧などの獲物や体のあちこちにある傷跡などから、男達の正体を知る。山賊だ。
    部屋の隅で固まる子供二人をみやり、ニィと笑うあまりに下卑たその顔に背筋を震わす。
    「鬼の子と人の子か」
    「着物も良いものを着ているな。商人か、金持ちの子か」
    「平民の顔じゃぁなくないか。特に鬼の方、隈取りを入れているのは鬼族の貴人とそれに属するものだろう」
    「ああ、貴族のぼんぼんが共とはぐれて迷い込んだってところか」
     男達が好き勝手話している間、必死に小屋の中に目を走らせる。古い小屋の中、人一人通れるような抜け道もなく、壁をぶち抜くにも道具も何もない。
    ずかずかと土足で中に入り込んできた男はどれも、身の丈が七尺はありそうな大男ばかリだ。見た目に反して隙のない身のこなしの者ばかりで、その横を走り抜けようとしても太い腕にすぐ捕まってしまうだろう。
    「よくみりゃ女のように白くて、綺麗な肌だ」
    一人の男が土で黒くなった汚らしい手を伸ばし、蒼生はそれを持っていた枝で思わず払う。「おーいてえ」と大して痛くもなさそうな顔をした男が、視線だけ蒼生へと向ける。その冷えた温度に思わず身をすくませた。
    「威勢がいいな、坊主。お前から食ってやろうか」
    「その前にお前ら全員、倒してやる!」
    威勢よく吠えた瞬間、視界がぶれた。天井がぐるりと回って見えて、その後に全身に衝撃が走った。遅れて頬がじんじんと熱を持ち、そこでようやく男に殴られたのだと分かった。
    痛みに霞む視界の中に紅蓮の背中が映り込む。蒼生を背にかばうように立ち、男達を見据えて静かに声を上げた。
    「弟に手を出すな」
    ずい、と蒼生の前に出た紅蓮が男に噛みつくように声を荒げる。その様子を見ていた周りの男達が面白い見世物でも見るようにニヤニヤと笑う。
    「なんだ、じゃあ兄ちゃんの方を代わりに食ってやっていいのか」
    「……弟に手を出さないと約束するなら、良い」
    「紅蓮!」と蒼生が声を上げても、後ろ手で壁側に押しやられてしまう。他の男たちも続々と小屋の中に入り込み、蒼生へと手を伸ばしてきた。必死で抵抗をしようとするが、「おとなしくしていろ」とまた頬を張られ、気づけば後ろ手に縛られて部屋の隅に転がされてしまっていた。
    「おとなしくしていろ、蒼生」
    「紅蓮……!」
    必死に名前を呼んでも、もう兄は振り返ってはくれなかった。
     賊の芋虫の様に太い指が紅蓮の衣にかかり、紙か何かの様にそれを引き裂く。炉の心もとない灯りに照らされた青白い肢体に、男共は下卑た顔をより醜悪な様相にしたり、舌なめずりをしたりと様々な反応を見せたあと、一斉にその白い体に手を伸ばした。
    「兄貴が食われる姿、そこで指をくわえて見ているんだな、坊主」



    嵐のようだと思った。
    昨年の秋の頃、十年に一度と言われた暴風雨が屋敷を襲った。家屋がいくつも倒壊し、収穫が間に合わなかった田畑が水に浸かるなどの被害があった。丈夫な柱で建てられた屋敷内でも、瓦が飛んだり柱が折れ半壊したところもあった。あの全てをなぎ倒していく激しい嵐が、今、紅蓮の身体の中にもぐり込んでいる。
    「おい、意識飛ばすにはまだ早いぞ」
    「そうそう、まだ一人目でこれじゃ持たねえぞ。お前がダメなら弟の番だ。ちったあ弟のために頑張ってみろよ」
    「あー、狭いがいい具合だ。こりゃ、なかなかいい」
    「さっさと出せ、あとが詰まってんだぞ」
    「急かすなよ、まだまだ夜は長い。ゆっくり味わわせてもらわねえと」


    男共に引き倒されてすぐ、体中をおぞましい何本もの手が這いまわった。その指が足に下り、太い指が後孔に潜り込んできたことで、食われると言う意味を紅蓮はやっと認識した。
    広げ慣らすような動きをしたその指は、一度引っ込み、油か何かぬめる液体を纏ってまた潜り込んできた。その間も胸や腹をささくれた指や手のひらが好き勝手に這いまわり、声以上に吐き気を押さえることが難しかった。
    再度指を抜かれた時、終わったと少しでも油断をしたのがいけなかった。指どころではない熱くて太いものを押し当てられたと気づいた瞬間、それは容赦なく中へともぐりこみ奥を抉った。
    吐き気どころではない。息が詰まり、押し上げられた胃液が胃からせり上がってきて、喉を焼く。
    「い、ぎ————————?!」
    衝撃はそれだけで終わらなかった。内壁を抉ったそれは引き抜く時も引き攣れる痛みと共に半分ほど抜け、そしてまた同じように奥へと叩きこむ。内臓を押し上げられ、今度こそ溢れた胃液が口から洩れてすえた臭いを狭い小屋にまき散らす。
    「ゲホッ、…は、あ……」
    それぞれがろくに風呂にも入らず酷い臭いをさせているからなのか、その臭いに頓着することもなく、それどころかより興奮を煽ったのかにやけた顔を崩しもしない。
    腰骨を折るのではないかと思う程強い力で紅蓮の腰を掴んだ男が、こ息すらつかせぬ容赦のない動きで奥を抉っていく。
    「ひ、ぃた、あ、ヒッ—————」
    「あー、そろそろ出すぞ、おら、ちゃんと奥で飲めよっ」
    「ぅあ、あっあっ———ッ!」
     より奥へと抉ってくる太い楔が大きく叩きこまれた瞬間、中で爆ぜたのがわかった。
    「あっあ、あ…あぁ……」
     引き攣れる痛みはもうほとんどわからなくなっていて、中で出された液体のおかげか切れて流れる血のおかげか、ゆるゆると中へと押し込まれる腰の動きは先ほどよりも随分と円滑だった。
    霞む目で見上げる先は薄暗い天井とぎらつく男共の眼の光ばかりで、紅蓮はきつく目を閉じた。一つの間隔が遮断されれば、新たに潜り込んできた汚らしいそれの形を粘膜を通してより鮮明に感じることとなったが、これ以上自分の身に降りかかるものを何一つ見たくはなかった。
    先に入ってきた物よりも一回り細いが、長さはある。届かなかったさらに奥まで届いて、抉られた衝撃に脳が揺れる。ただただ圧迫感が酷かっただけの先程と違い、ごりごりとぬめる内壁も抉っていく次の男の腰使いは多少の余裕と、そして体の奥底から湧き出る感じたことのない感覚を呼び起こした。
    「ふぁ、あっあ、あ……」
    漏れる声は次第に甘い響きすら纏い、閉じきらない唇からどんどん溢れていく。
    「ひっ、あ、んぅう、うううぅ」
    「なんだ、声が変わってきたな。良くなってきたか?」
    「大して慣らしてもねえのにこんなぶっとい男根を美味そうに咥えこんでんだ、実は好き者だったんじゃねの」
    「確かになぁ、奥がきゅうきゅうと吸い付くようで……ああ」
    「どうした?」
    「いいぞ、こいつは当たりだ。雌鶏だ、このガキ」
    襲い来る感覚が理性をえぐり取っていくなか、聞き馴染みのない言葉をぼんやりと耳にする。
    めんどり。雌の鶏。鬼族と人族の血以外に、他種族の血は、この身に流れているとは聞いたことがないが、いったい……
    「——が、あッ」
    衝撃で息が詰まる。男の肉棒の先が、体内の何かを突き破った。内臓を上へと押し上げられたがもう吐くものも残っておらず、押し出された空気が笛のように喉から音をだす。
    「あ、ああぁぁあああ」
    がくがくと体が震える。体の奥底から湧き出るそれは内側を炎で舐めるように全身へとくまなく広がり、皮膚をちりちりと焼く。
    自分では制御しようもないそれは、暴力的な程の、快楽の波だった。



    目の前で行われている行為は、蒼生の理解のできる範疇をとっくに超えていた。
    男女が交わり子を成すことや夫婦間での営みというのは元服を間近に控えた良家子息のたしなみとして教えられている。けれど今、紅蓮を襲う男たちのその行いは子をなす為の営みとは程遠い、ただの一方的な凌辱だった.。
    痴垢の多い赤黒い男根を埋め込み、脂肪の多い腹を揺らしながら腰を叩きつけ続ける男と、衝撃に耐えきれず声を上げる紅蓮の姿をみると脳が焼き切れるのではないかというほどの怒りで目の前が真っ赤になった。けれど手首にきつく巻かれた縄は皮膚が擦り切れるほどにいくらねじろうが解けることはなく、体勢を崩してべしゃりと無様に床に突っ伏すばかりだった。
    小さな悲鳴を上げて痙攣した紅蓮の身体から男が離れると、また新たに三人目の男がのしかかる。今度は後ろから、獣の交尾の様なその様子にまた頭に血が昇るに任せてろくに動かせない体で叫ぶ。
    「っ、紅蓮……!やめろ、もうやめろよ!」
    その無様な子供の様子に目をやり、順番待ちをしている男達がせせら笑う。声を上げることしかできない非力な存在は、男共にはそのあたりの石ころと変わらぬ取るに足らない存在なのだろう。
     ふと、紅蓮がこちらを見た。白い頬に朱を上らせ、濁りかけた瞳の奥には彼の理知的な光はもう残っておらず、苦悶と恍惚にまみれた色で染まっていた。
    「ぐ、れ……」
    思わず瞑った瞳から涙が零れ、腫れた頬に染みた。何故兄が、紅蓮がこんな目に合わなければいけない。兄は族長候補として大切にされている人。何時もしゃんと姿勢を正して蒼生の少し先を歩く存在なのだ。こんな、こんな無体を働かれていい存在ではないのに。



    「なんだ、弟の方も楽しんでるみたいだな」
    そう男が声をかけた先を、紅蓮はぼやけた視界で見つめる。真っ赤な顔をしている弟の股座は、何時もより薄い布地の着物のおかげか、確かに分かりやすく膨らんでいた。兄弟であっても同じ屋敷で育ったわけでもないため、そのような状態になっている弟のそこを見るのは初めてだった。
    「みっ……見るな、紅蓮!」
    「ほら、上の口が空いてるだろう。弟の面倒もちゃんとみてやらねえとな」
    別の男が身をよじって嫌がる蒼生の前を手早く寛げる。そこから飛び出したそれは天につくほどしっかりと勃ちあがっていた。
    生理的な涙や涎、鼻水でぐちゃぐちゃになっているだろう顔が、一人前に兆したそこに押し付けられる。大柄な男達のモノにくらべると皮も被って色も薄いそれが愛らしい物に見え、紅蓮はぼんやりした頭でそれに唇を寄せる。先端から滲む先走りに舌を這わせる。塩気と苦みを舌先に感じながら、ちゅうと啜れば熱い息が上から降ってきた。そのままずるずると中へと迎え入れる。
    「ぐれ、ん、駄目だ、だめ……ッ!」
    全て飲み込むことはできずとも、牙をあてないようゆっくりと嬲れば、泣き声のような嬌声が蒼生の口から洩れた。男に髪を掴まれたままたった数回、頭が上下しただけでそれはあっけなく口腔内ではじけた。
    「ぐ、ン、ッ……!」
    喉奥に突きこまれたままで頭を固定され、粘着く液体を吐き出すことも叶わず、少しずつ嚥下する。何度か喉を鳴らし、やっと口から萎えた蒼生のそれを引き抜いて貰えた時にはがくりと首を落とし、荒く息を吐いた。
    飲み込み切れなかった精液が口を伝い薄汚れた床へと落ちたが、妙に白の少ないそれを見て、お男達が「もしかして射精すんのは初めてか?」と弟を囃し立てる。元服前の子供だ、鬼の血が流れるものは晩熟であることが多いのでもしかしたら本当にこれが初めての吐精なのかもしれない。
    涙で目を腫らした顔で唇を震わせる蒼生に、大丈夫だと声をかけてやりたかった。けれど背後の男に腰を強く掴まれ、それはかなわなかった。
    「ッあ、ま、ぁ、ヒあああッ——!」
    しばらく大人しかった埋め込まれたままの男の杭が、ゆっくりと律動を開始する。
    忘れていたかった体の奥の熱が疼き、力の入らない四肢ががくがくと震える。もういいだろう、もう、十分に辱めは受けたのだから。だから――――
    「っあ、ゃ、あっ、ヒ、ぎッ……!」
    「もう終わったなんて顔すんじゃねえよ、まだ夜はこれからだろう?」
    「おい、次は俺だぞ、はやくしろ」
    「好事家の変態に売ってやるには惜しいな、下手な女よりもよっぽど具合がいい」
    「ああ、こりゃ売るよりも飼う方がいいかもしれんぞ」
    「十分堪能させてもらってからでも遅くないな」
    「そうしよう、おら、出し終わったら次に早く変われ」
    「ぐ、あぁ、あ、あ————ッ!」
    どろどろに溶けたような快楽に意識が飲まれそうになる。そうなった方がきっと楽になれる。けれど蒼生が、弟がいる。自分が意識を失えば、きっと男たちの手は蒼生へと向かう。それはこの身を裂かれるよりも恐ろしいことだ。自分の身一つで守れるものがあるのなら、それでいい。
    最奥を抉る男の腰の動きが早まる。男の身体に種を蒔いても結びつくものなどないというのに、なんて、愚かな行為か。そう胸の内で嗤うことで、紅蓮は折れそうな心を必死につなぎとめていた。





    やっと事が終わったのは、夜半も過ぎたころだった。
    反応が薄くなりぼろ雑巾のようになった紅蓮を、賊たちは物のように蒼生の方へと放った。
    力の入らない身体は様々な体液で汚れ、下肢の間からは朱混じりの白濁が垂れ流しになっていた。蒼生が名を呼んでも浅い息を吐くばかりで反応はなく、熱を持ったように熱い体はぐったりとして動かない。
    「雌鶏は便利だな、勝手に濡れるから油を足さなくても突っ込める」
    「ちっとばかし狭かったがなぁ」
    「そこがいいんだろ。反応を見た感じだと初物だぞ」
    「まぁ今は頭のデカ摩羅も入るくらいぽっかり穴が広がっちまってるが」
    「でも鬼だからな、明日には傷も癒えてるだろう」
    「へへ、また一から楽しめるな」
    また一から、と言う言葉に虚ろな目をしていた紅蓮がビクリと身体を震わせる。後ろ手に縛られた手ではその体を抱きしめることができず、大丈夫だ、そんなことはもうさせないと伝えるように、汚液で汚れた紅蓮の顔に、そっと蒼生は頬を擦り寄せた。
    その様子を見た男達が鼻で笑い、そのうちの一人が言葉を放つ。
    「あれだけ溢れるほどしたんだ、孕んじまってるかもなぁ」
    「……は?」
    紅蓮は男だ。慰み者にされたとて、子ができるわけがないのにこの男は一体何を……。
    驚いた顔をする蒼生を見て、男達が一斉に腹を抱えて笑い出す。
    先程の男がにやにやとした下種びた笑みを隠そうともせず、言葉を続ける。
    「何だ坊主、知らねえのか?雌鶏ってのは鬼の特殊個体の俗称よ。鶏の雌と同じように、尻の中に女の器官があってな。そこで孕むことができるんだ」
    「ガキだから本人も知らねえんじゃないか?発情期が来ねえと気付かないもんだからな」
    「それこそ俺らみたいな物好きが尻に魔羅を突っ込めばわかるんだがな」
    「自然に濡れる、穴の奥には子宮口がある。あそこに押し付けてやるときゅうきゅうと吸い付いてきてたまらんのよな」
    男達の言葉に、紅蓮の身体がガタガタと震える。
    もう、大丈夫だと声をかけることもできなかった。本当に紅蓮がその特殊個体なのであれば、確実に孕みそうな量の性液が中に出された。それを掻き出してやることすらできないこの状態で、気休めの言葉などかけたところでより追い詰めるだけだろう。
    「ごめん、ごめん、紅蓮……」
    紅蓮は静かに目を閉じて、ゆっくりと首を振ってくれたが、屋敷の外に出ようなんて思わなければ、紅蓮を誘おうとしなければ、こんな目に合わずに済んだのだ。
    目の前がまたじわりと滲む。縛られたままの手足や引きちぎろうとして擦れた縄の傷の痛みなんてどうでもよかった。紅蓮の身に降りかかった禍比べたら、そんなもの取るに足らないことだ。
    意識を失った紅蓮を守るようにその身に身体を寄り添わせ、早くこの悪夢が終わるよう、ただ祈ることしかできなかった。


    *******************


    蒼生が腰を落ち着けるのを待った紫耀英は徐に、「お前の婚約者が決まった」と告げた。
    予想もしていなかった言葉には?と呆けた顔をした息子に、父はさらに重ねる。
    「相手は鬼族だ。今夜、寝所へと向かわせる。湯浴みを早めに済ませて寝所へと迎え入れるように」
    「ち、父上……?いきなり何を」
    「急であることは詫びよう。だが、迎えられそうな者がお前しかいないのだ。これは鬼族側の希望でもある。それに寝所へ迎え入れたとて、何もしないでも良い。床を共にし、明け方送り出してくれればそれで」
    「父上、それはいったい……」
    「今は何も聞くな。まずは今夜、無事迎え入れられるよう準備をしておけ」
    質問をしようにもそれ以上口を開こうとはしない父に、これ以上食い下がっても無駄かと、頭を下げ部屋から退出した。
    自分の屋敷へと向かいながら、父に命じられた婚約者のことについて考える。
    自分の立場上、いずれどこかの良家の娘を婚約者に、というのは早かれ遅かれ出てくる話だろうとは分かっている。けれどそういった話は元服を迎えてから、まずは顔合わせから始めるものだろう。蒼生しかいないというくらいであれば、良家の息女である可能性も高い。それがいきなり今夜寝所に向かわせるなど、いくらそういったことに疎い蒼生でもおかしいことは分かる。それも、何もしないでいいなど、どういうことなのか。
    それに婚約者を迎えるのなら自分よりも先に兄の紅蓮の方が……と考えてのろのろ動いていた足が止まる。
    あの日から何日たっただろうか。あれから一度も紅蓮の姿をみていない。鬼族側の族長候補である紅蓮は、同族の娘を差し出す事になるこの話を聞いているだろうか。
    紅蓮に会いたい。あの日の身体の傷はもう癒えたと聞いたが、あれだけの理不尽な出来事、身体だけではなく心にまで傷を負ってはいないかと心配になる。それに、あの賊の男が言った言葉……。本当に火継の言う通り問題はなかったのだろうか。
    視線を向けた先には鬼族の住まう館につながる回廊があった。先の方に目をやれば衛兵が館につながる扉の前に立っている。
    あの屋敷を抜け出した日から鬼人族の屋敷は人の出入りが厳しく制限されており、兄弟である蒼生すら奥に通してもらうことはできない。あれだけのことがあった後なので仕方ない事ではあるがせめて遠くから顔だけでも見ることができたらいいのに。
    一つため息を吐いたあと、婚約者という見ず知らずの鬼族の娘を迎える準備に取り掛かるため、反対側にある人間族の屋敷へとのろのろと足を向けた。



    夜になり、そろそろこちらにやってくるだろう婚約者のことを考えて蒼生は寝所の中を所在なくうろついた。
    鬼人族の館を挟み、人間族の館とは反対側にある鬼族の屋敷からの長い廊下とその周辺は今夜一晩誰も近づかないようにと鬼人族族長の命が出ている。通れるのは顔も知らぬ婚約者とその従者のみだ。
    顔どころか名前も知らぬ相手をどう迎えたらいいものか。まずは相手の釣り書きをみて、そのあとは仲人が間を取り持っての御簾越しでの顔合わせから始まるのが通常の婚約の流れだというのに、いきなり二人きりで顔をあわせることになってしまった。しかも、夜に寝所などという普通では考えられない状況だ。
    「いや、何もしなくていいって……じゃあ何をしろって言うんだよ」
    こういう時こそ風雪や水簾に相談をしたかったのだが、父からこの件については他言無用ときつく言い含められており、誰にもこの事を言えず悶々と過ごす羽目になった。
    「ていうか何もしないなら何でこんなところにやってくるんだよ。日中顔合わせをするだけでいいだろう」
    床に胡坐をかき頭を振り考えていたところ、御簾の外から小さな絹擦れの音が聞こえ、思わず息を飲んだ。
    その音はゆっくりとこちらに近づいてきて、蒼生の部屋の御簾の前でピタリと止まった。だが、御簾の向こうの相手は中へ声をかけるでもなく、無言でずっと佇んだままだ。大まかな流れなどは聞いたことがあるが、こういうときの手順など何も知らないので、声をどうかけていいかも、そもそも声をかけていいのかもわからない。
    「あの、取り敢えず入ってきていいから……」
    このままでは埒が明かない、腹を決めてそう声をかけると、一拍置いてゆっくりと御簾が持ち上げられる。
    隙間からするりと中へ入ってきた人物は、赤い寝着に頭から白い衣を被って顔を隠していた。すっと起ち上がった姿は縦に長く、蒼生とおなじくらいの背格好に見える。女にしては随分と大柄だ。
    鬼族の成人をとうに迎えた女だろうか。もしや婚約という体で元服前に伽の練習でもしろということだったのか。だがそうであれば父はそうはっきりと言うはずだ。あんなにも言葉を濁すことはないだろう。
    所在投げに部屋の端に佇むその姿がいたたまれず、「あの、よければ奥へ」と声をかける。
    随分と暖かくなったが、まだ夜は冷える。寝所は一つしか無いが、何とか二人一緒に眠ることはできるはずだ。
    相手へと伸ばした手に、返ってきたのは「いいのか」という聞き慣れた声だった。
    「……え?」
    白布がはらりと床に落とされる。その下から現れたのは、燃えるような赤。
    「……どう、して」
    どうして紅蓮が、ここへ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏
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    kazu10030310

    MENUセン舎本新刊サンプル。
    昨年9月の無配とTwitterにちょっとだけあげていた小話の再録と書き下ろし小話あり。
    サンプルは無配にしていたセン舎の話(R18)になります。
    これ以外の小話の方はそういう雰囲気の話もありますが全部寸止め芸か全年齢になります。
    新刊サンプル「一真、そろそろイく…」
    「ふ、あ……せん、せぇ……」
    腰がつくほどに深く埋め込んだそれをゆっくりと浅いところまで引き抜く。皺が限界まで伸びた縁がひくひくと絡みつき、これ以上抜かせないと引き留めてくるようだ。その願い通り、引き抜いた時の何倍もの速さで奥へと腰を叩きこんだ。
    「あ゙、あ、ぁ———……ッ」
    「ッは、あ……」
    掴んだ腰にぐりぐりと押し付け、中へ吐精した。真っ赤になった背中にぽたぽたと髪を伝って汗が落ちる。吐いた息が跳ね返り、酷く熱く感じられた。
    荒い息を整え、何時までも熱くとろける中に埋め込んでいたい衝動をこらえながらゆっくりと腰を引くと、「あ——……」と間延びした声が上がった。いつもより少し枯れたその声にまた腹の奥底が熱くなりかけたが、頭を振り払って萎えた自身からゴムを引き抜き口を縛る。それを放り投げた先のごみ箱の中には使用済ゴムが層をなしている。
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