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    kazu10030310

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    kazu10030310

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    舎弟くんとコロッケの話。
    ※幻覚の商店街の皆さんがしゃべるモブとして沢山出てきます。
    こちらの話を含めた、ひたすら舎弟くん(時々センセー)がいろんなご飯食べてるだけの本を9月ミラフェスにて発行予定です。

    商店街の熱々コロッケ夕方4時過ぎ頃、夕飯の買い物をする主婦層で賑わう商店街を、一人の男が闊歩していた。
    赤い髪に色付きのサングラス、2連のごついチェーンのネックレスに柄シャツ。少々猫背気味だが、180はありそうな高身長のせいで周りより頭一つ分飛び出している。
    チンピラ風の服装と上背のせいで一見近寄りがたい雰囲気のある男だが、周りは怖がるふうでもなく、それどころかわいわいと近寄り気軽に声をかけていく。
    「あら一真君、お夕飯買いに来たの?」
    「今日はお肉屋さんが特売の日だから、それ目当てでしょ」
    「そーそー、今日はセンセーから金預かってきてるんで、久しぶりにすき焼きするんすよ!」
    「いいわねー。これ、さっきネギが安売りして買いすぎちゃったから1本あげる」
    「八百屋で白菜も安売りしてたわよ。お肉買えたら早めにいかないと売り切れるかも」
    「あざっす!」
    ワイワイと妙齢の女性たちに囲まれ、その集団から離れたころには一真の持っていた果物柄のエコバック(しわくちゃのスーパーの袋を買い物袋代りにしていたのを見かねたおばちゃんに貰った)にはネギやら林檎やらみかんやら飴やらが放り込まれ、ずっしりと重くなっていた。
    商店街中ほどにある肉屋はほどほどに客が来ていたが、ひょこりと顔を見せた一真の姿に人好きのする笑みをした店員が待ってましたとばかりに声をかける。
    「来たね、一真ちゃん。今日はどうする?豚と牛肉が安いけど」
    「えーと、牛肉600g。切り落としで」
    「牛なんて珍しい。臨時ボーナスでも入った?500ね…ちょっとおまけしとくね」
    「おばちゃんサンキュー。今日はセンセーの財布持ちだから贅沢できるんすよ。あと、コロッケも1つ」
    「ハイハイ、一真ちゃんが来ると思ってちょうど揚げたてだよ。ここで食べてくだろ?」
    「勿論!」
    フライヤーの横に積まれた揚げ物の山から一つ拾い上げられたコロッケが紙袋に入れられ、一真へと差し出される。手に持つとじんわりと熱が伝わるそれは、言われた通り揚げたてのようだ。
    「じゃ、いただ…」
    「まった一真ちゃん、店の方じゃなくて通りの方向いて食べて」
    「お、おう?」
    言われるまま体ごと人通りの多い通りに向かう。道行く人の視線が少々気になるが、一真に食べられるのを待っている良い色に揚がったコロッケを前にしては些細なことだ。大きな口……を開けたいところだがそれだと二口で食べ終わってしまうので、少し控えめにコロッケをかじる。ザクッと良い音がして、口の中にジャガイモと玉ねぎの甘味。噛み締めれば牛ひき肉の旨味がじゅわりと広がる。少し形の残ったじゃがいもが火傷しそうに熱いけれど、この熱さがまたたまらない。はふはふと口の中を冷やしながらもう一口、とかじっていると、近くを通りかかった通行人が一人二人三人……と吸い寄せられるように肉屋へとやってきて、皆一様にコロッケを買っていく。
    『この時間にここ通っちゃだめだわぁ』
    『ねえ、あんなトラップ用意されちゃ買うしかないもの』
    『あれだけ美味しそうに食べられちゃねえ』
    もぐもぐとコロッケを咀嚼し終わった頃には、あれだけ山盛りになっていたコロッケはほとんどなくなっていた。
    「いやあ今日も良く売れたわぁ」
    「おばちゃんの手作りコロッケめちゃくちゃ美味いもんなぁ」
    「勿論味に自信はあるけどね、やっぱ街頭広告の効果は抜群だよ」
    「……広告?」
    何のことかわからず首をかしげる一真に、牛肉500gが入った袋と、もう1つ別の袋が差し出される。
    「はい、お肉とおまけ。コロッケ4つ入ってるから、泉家先生とちゃんと半分こしなよ」
    「えっいいよおばちゃん、ちゃんと払うって」
    「いいのいいの。その代わりに、次の特売の時もこのくらいの時間に絶対にお肉を買いに来てちょうだいね。ね?」
    「は、はい……」
    にっこり笑った顔から謎の威圧感を感じつつ、とりあえず頷き受け取っておく。
    牛肉をエコバックにいれ、まだほんのりと温かく生肉と一緒にできないコロッケの袋は手に持つ。この後は八百屋で白菜としいたけと春菊、豆腐屋で焼き豆腐を買って、コロッケが冷め切る前に事務所へ戻ろう。
    すき焼きを食べるのに何で買い食いしているんだとセンセーからお小言を貰ったが、二人ですき焼きもコロッケもしっかり完食したのは2時間後の事。
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    kazu10030310

    MENUセン舎本新刊サンプル。
    昨年9月の無配とTwitterにちょっとだけあげていた小話の再録と書き下ろし小話あり。
    サンプルは無配にしていたセン舎の話(R18)になります。
    これ以外の小話の方はそういう雰囲気の話もありますが全部寸止め芸か全年齢になります。
    新刊サンプル「一真、そろそろイく…」
    「ふ、あ……せん、せぇ……」
    腰がつくほどに深く埋め込んだそれをゆっくりと浅いところまで引き抜く。皺が限界まで伸びた縁がひくひくと絡みつき、これ以上抜かせないと引き留めてくるようだ。その願い通り、引き抜いた時の何倍もの速さで奥へと腰を叩きこんだ。
    「あ゙、あ、ぁ———……ッ」
    「ッは、あ……」
    掴んだ腰にぐりぐりと押し付け、中へ吐精した。真っ赤になった背中にぽたぽたと髪を伝って汗が落ちる。吐いた息が跳ね返り、酷く熱く感じられた。
    荒い息を整え、何時までも熱くとろける中に埋め込んでいたい衝動をこらえながらゆっくりと腰を引くと、「あ——……」と間延びした声が上がった。いつもより少し枯れたその声にまた腹の奥底が熱くなりかけたが、頭を振り払って萎えた自身からゴムを引き抜き口を縛る。それを放り投げた先のごみ箱の中には使用済ゴムが層をなしている。
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