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    n_kabosu

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    n_kabosu

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    ボツシーン

    #ボツ
    rejected

    NG大賞「お前、このまま伏黒が術式使えなくなって呪術師やめることになったらどうするつもりだ?」
     突然の質問にパチクリと瞬く。
    「どうするって、そりゃ……」
    「術式が使えなくとも禪院の血だ。高専から追い出されたあの子がその後どうなるかなんてお前が一番に知ってるだろ」
    「…………」
     恵の今後について考えたことが無かったわけじゃない。ただ、まだ大丈夫だと楽観視していた。恵は聡い子だから。きっと自分の置かれている立場を理解出来るだろうと。
    けれど。
    「禪院の血を残す為に繁殖犬よろしく家に閉じ込められひたすら宛てがわれる女の相手をさせられるか、最悪次期当主に始末されるか……」
    「そんなの僕がさせると思う?」
    「でもそうなるんじゃないか? あの子が相伝の術式を無くしてしまえばお前が後見人でいる理由もない」
    「じゃあ後見人じゃなくて伴侶になればいいよ」
     さらっと答えた僕の答えに、硝子は目を丸くしてこちらを見つめる。
    「ついに狂った?」
    「ひっど!」
     酷い言い草に思わず苦笑する。
    「だって絶対恵、僕の事好きじゃん。僕も恵好きだから、だったらいっそ全部僕のものにしちゃえばいいかなって」
     禪院の術式がなくなるのであれば、それこそあの子は禪院にとってお払い箱になる可能性はあるかもしれない。
     だとしたらいっそ……と思ったりするわけだ。ま、恵次第だけど。
     僕の答えを聞いて、硝子は心底呆れた顔をした。
     そして徐に立ち上がると僕の背後へと回り込む。何? と思っていると、ガシッと頭を鷲掴みにされた。
     そのままグイグイと動かされ「この倫理欠如男め」と悪態をつかれる。
     えー……。だってしょうがなくない? 好きなものは欲しいし、手に入れたいものは必ず手に入れる主義なんだよね、僕って。
    「まぁとりあえず、あの伏黒の手のことについて言えることとすれば」
    「うん」
    「精神的なものだろうと思うよ。神経も筋肉も問題はない。だとするとそれ以外に考えられる原因はひとつしかないだろ」
     そこまで言って、硝子は再び椅子に戻ると煙草に火をつけた。
    「何か思い当たる事はないのかお前。例えば……また余計な事をあの子に言ったとか」
    「えぇ〜? そんな事無いと思うけどぉ〜」
    「言ったんだな……?」
     ジトッとした目で見られて、僕は誤魔化す様にコホンと咳払いをする。……全く思い当たらないわけではない。
    「まぁ、うん……そうね。ちょっとチクッとひと針」
    「お前は小学生男子か」
    「だってだって! 最近の恵ってば悪態ばっかついてさ、めっちゃ可愛くないんだよ!?」
    「そんな事知らん」
     冷たく一蹴され、僕はガックリと肩を落とす。
    「やっと反抗期が終わったと思ったらまた反抗期……本当に男の子ってのは」
     お前は万年反抗期じゃないか、と返され「うぐっ」と言葉が詰まる。確かにそうだけど……それとこれとは話が別っていうか。
    「はあ〜……僕は僕なりに恵を可愛がってるのにさあ」
     そう一人ごちれば、硝子は呆れた様な顔で煙を吐き出した。
    「お前、最近伏黒と過ごす時間が少なくなってるんじゃないか?」
    「ええ? そんなはずないよ。だって毎日高専で会うのにさ」
    「暫くずっと虎杖に構ってただろ。ほら、虎杖が死んだことになってた時」
    「あー……まぁ、でもあれは悠二に色々教えるためで」
    「お前が出張ってる時は私が相手してたんだぞ」
    「……」
    「お前が居ない間、伏黒はひとりぼっちだ」
    「……」
    「お前が任務に行ってる間は寮にいるとはいえ、やっぱり寂しいんじゃないか?」
    「……そんな可愛いことすると思う?」
     あの恵が? 僕に構って貰えなくて拗ねてるって? 嘘でしょ。
    「親の愛情が薄い子供がする行動のひとつに、試し行動という物があってだな」
    「試し行動?」
    「わざと悪いことをしたり、叱られても繰り返したりして、どこまで許してもらえるのか反応をうかがう心理的な行為だ」
    「つまり?」
    「お前がちゃんと自分を好きでいてくれているのか確かめたいんじゃないかその反抗的な態度ってのは」
    「……」
     いやいや、まさか。だって恵だよ? 僕がどれだけ恵を大事にしてるかなんて、恵が一番分かってるはずだ。




    (そして文字はここで途切れて(書けなくなって)いた、、、)
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    no_________

    MOURNINGシルディミで犬の話を書こうとしたやつのボツ。マイクランがかわいそうで気に入ってる棒で叩かれる犬を見た。あばらの浮いた犬は、その家の何かを狙っていたようだった。頰のこけた女性は金切り声を発しながら棒を振り、犬をもう一度叩いた。犬はキャンと大きく鳴くと、駆け去っていった。後に残された女性はだらりと腕を垂れ下げ、ヨロヨロと犬がいた場所に近寄った。赤く染まったその場所には食い漁られた鶏がいた。女性がその鶏をどうしたのか。馬車は遠ざかり、シルヴァンは目にすることができなかった。馬車の中には重苦しい沈黙が満ちている。頰を腫らした兄は膝の上で拳を握ったまま唇を噛みしめ、父は無表情で窓の外を眺めている。
    「犬ですら棒で叩けばいうことを聞くというのに」
     ポツリと父が呟いた。兄は口角を吊り上げ、父に向かって唾を吐き捨てる。父の手が翻り、流れるように兄の頰を打った。パァンと響く乾いた音に思わずシルヴァンは目を瞑り、耳を塞ぐ。口の中がひどく乾いていた。手のひらの向こうから口汚い兄の罵倒が聞こえる。父の叱責が聞こえる。息を殺し、自分はここにいないと思おうとした。
     兄の手がシルヴァンの手首を引っ掴む。兄は蒼白なシルヴァンを父に向けて突き飛ばした。父の手がシルヴァンを抱き留める。
    「あんた 1686