しっぱい...自分の意思に反して震える腕と、ただずっと鳴り続ける心拍音。そして、手の中にあるガラス瓶には...憎たらしい、水色の水滴。どれだけ頭で詠唱をしようとしても、まるで暴れる人がいるかのように途中ですべて吹っ飛んで、ぼふんという音と共に失敗の爆発が起きる。体が熱くて、頭が上手く動かない。ついにはその瓶すらも握れなくなって、がしゃんと音を立てて地に落ちた。
「...あー...もうっ...!」
周りの植物も何事かと困惑している。それもそうだ、いきなり固まって瓶を落とせば、誰だって変だと思うだろう。しかしそんなことを気にしている場合ではなかった。私は数分前の私を罵った。
「―――間違えてるじゃないですかあああっっっ!!!」
...時は遡ること四時間前。今日も今日とてポーションや魔道具の製作に迷宮の暗号解読や悩み相談と、多種多様な依頼が数多くあるのを確認し、まずは一番早く終わる製作依頼から、と思って研究所に転移した。
『あっ!はかせ!』
『仕事だ仕事ー!集まれー!』
『今日のお仕事はなんでしょうか』
「んー...これはそこで、それはあそこで、これはそこのそれはそれの...」
『いくぞおーっ!うおーっ!』
『はいはい、なるほど...お任せください!』
それぞれ依頼の内容を確認しながら、召喚した植物たち...正確には、人型の植物に仕事を割り振っていく。植物たちは仕事を受け取ると、棚から材料を引っ張り出し、すぐに調合を始めていく。中には材料が足りなくなったとこっちに来る植物もいる。しかし、すぐに別の扉から補充がやってきて、大丈夫でした!と戻っていく。そうしてがやがやがちゃがちゃごぽごぽと慌ただしく動いている植物たちを見ながら、私は別で残りの依頼を片付けるべく、それじゃ、と声をかけて地下に行った。後ろから、いろんな種類のいってらっしゃいが聞こえた。
「さて...これはー...困りましたね。今ある材料では作れるとは思いますが...」
先ほどとは打って変わって静寂に満ちた地下室を歩きながら、その依頼を見つめる。その依頼は...「魔法を習得できるポーションの製作」という内容だった。
そもそも、魔法というのはゲームで言うスキルみたいにポンと手に入って簡単に使えるわけではなく、魔法の勉強をして何回も練習してようやく手に入れることのできる、言わば熟練度が必要なものだ。そう簡単にポーションを飲んで使えるようにはならない。ただ、例外としてそれをどうにかする方法はあった。
「...あんまりやりたくはないんですがね...」
そう思いながら、棚からスライムの核や荒魔素石、紺夕の魂を手に取っていく。それは至って単純で、体の中に代わりに魔法を司ってくれる存在を用意すればいい。そう、例えば...あの人みたいに。本体が魔法を使えなくても、通訳者のように別の存在が魔法を扱えば良いのだ。
ただ、単純とはいえ簡単という訳ではない。まず最初に協力関係にすること。言語は当然通じないために、仲良くするなんて言うことは難しい。分かりやすく言えば、魔法を扱う存在をその本体に依存させる必要があるのだ。この調整も非常に難しく、魔法を扱う存在があまりにも強大すぎる場合、その本体を乗っ取ってしまうことがある。そうなると誰かに倒してもらわない限り本体の自由はなくなるし、魔法を扱う存在が何をしでかすか誰にもわからない。だからこそ、あまりやりたくはない。あの一本もたまたま上手く出来たわけであって、今その分量を思い出せと言われてもわからない。
「試行を重ねるしかなさそうですね」
当然、その実験体は...自分。自分自身を利用してやるからこそ、あまりやりたくはない。ただ、この調合が上手くいけば教育そのものがガラッと変わる。無理して魔法を覚える必要はなく、その分の時間を別の物に利用できる可能性は大いにあった。他の実験体があれば、楽なのに。
...そうして、まずは体外での動き。魔素なしで生きられないようにしつつ、魔素内では魔法を自由に扱え、指示通りに動くかどうか。これは今上で動いている植物たちとほぼ同じことで、そこまで苦労はしない。問題が...それを体に取り込む過程。それが一番に大変で、やりたくないことだった。それを何個も取り入れては打ち消してを繰り返すのは、あまりにも疲れる。
...そうして、三時間半ぐらいが経過して。上から依頼が全て終わったことを知らせる連絡が届き、今の調合を終わらせて上へと向かう。次の指示を飛ばし、ついでに新しく植物たちを召喚して人手の補給を行う。そうして地下へと戻った。
その時、ある問題に気付いた。
「...あれ、材料が足りません、ね...」
その魔法を扱う存在の強さを調節するための材料たちが不足している。今から回収しに行けばよいのだが、生憎にも今は調合中。仕方ない、と上にいる第一生産部である植物へと連絡を入れる。
「アルデルミウスの茎が不足。支給を」
『了解しました!すぐにお持ちしまーす!』
『何必要?』
『アルデルミウスの茎が―――』
わいわいと集まって話が始まる通信を切り、目の前の調合を冷却してどうにか停止させる。物資補給所に出現したそれを少し手に取ってすり潰し、乾燥させて粉にしてから調合した。...さて、これぐらいでさっきは弱すぎたはず。あともうちょっとだけ入れておけば...完成。
「これで良いかな...?」
その水色の液体をビーカーごとぐるぐると回して完全に反応が終わったかを確認する。時々これで混ざりきっていなかったりすると、どこかしらで調合を間違えたということになるのだが...特にそんなことはなく、きれいに透き通った水色だった。これなら大丈夫だろう。
それをごくりと飲み干すと、ほんの少しの違和感の後に中でふわんと何かが生まれたような感覚がした。試しに少し指示をしてみる...が、"それ"は全くというほど行動を起こさないままに消えてしまった。少しだけ弱かったのだろうか、試しとしてもうちょっと指示をしてみたものの、何の反応も返ってこなかった。
「...失敗ですか」
少しの思考の後に、先ほどの調合で茎が収穫したてだったから魔素が若干足りていなかった可能性や冷却して調合を止めたこと、それ以外にも魔素石に別の物が混ざってそれが魔素保持力を減少させてしまった可能性をそれぞれ思い浮かべながら上へ戻る。これ以上は体が疲れていて、恐らく良い結果は出せはしない。今日は休憩を挟んでから一旦別の依頼に取り掛かろう...そう思って、瓶を片手に上へと戻った。近くの植物がどうしましたか?と声をかけるのに対し、別の依頼を、と言いかけた、その時。体が、ぴたりと停止した。
「...?」
『...んん?』
『あ、はかせだ』
『どうしました?』
身体が言うことを聞かない。体がとても重くて、かなりの疲労が蓄積していたのかと思ったが、そうでもなさそうだった。体の重さというよりかは、まるで錆びついてしまったかのように非常に動かしにくいのだ。
「...え...なに、これ...?」
『はかせ?顔が赤いです...』
『顔赤い!知恵熱!?』
『はかせでも熱になったりするの?』
『なになに?』
手を止めてこちらへと駆け寄ってくる植物たち。その時に、ようやく体が異常なまでに熱いことに気づく。知恵熱を起こすとは考えにくいし、今までにそんなことは発生していない。体が動かしにくいのとも別だろう。風邪でも引いた?でも、そんなに自分の体はやわではない。じゃあ何が...そんな時、ある一つの点を思い出した。さっき飲んだ、ポーション。調合したのは何?確か、核に魂に粉末に液体、茎や鉱石...鉱石...鉱石?鉱石...魔素石...荒魔素石...入れて...
「...あ」
『?』
ようやく、気づいた。荒魔素石を入れていない。他の材料が混ざるのを阻止するために入れるはずの荒魔素石を入れていない。もし入れていなかったら?本来混ざらないはずの核が液体と混ざって、それが葉と茎で混ざって、そしてそれが...魂と混ざる。最後に出来上がるのは...
それに気づいて、急いで頭の中で詠唱を行う。しかし、もう時すでに遅し、詠唱は全くと言うほど意味をなさなくて、ぼふんという音とともに失敗する。
『どうしました...?』
『はかせー?』
『様子がおかしいぞ!しゅうごーう!』
頭がごちゃごちゃと色んなものと混ざりあって詠唱が出来ない。腕が震えて、碌に指示も出せやしない。体が熱くて、ある一つの行動をしたいという欲求に駆られる。ただ、それは...
「...あー...もうっ...!」
がしゃん、という音と共に手からガラス瓶が抜け落ちる。抑えようにも抑えられなくて、体が言うことを聞いてくれない。どうにかしてその効果を消せればいいのに、その方法はどれもこれも潰れてしまっている。効果が切れるのを待ちたいけれど、待つにはこれはあまりにも長すぎる。効果を永続させるために入れたものが、今となって仇となっている。その怒りが...声となって、研究室に響き渡った。
「―――間違えてるじゃないですかあああっっっ!!!」
午後3時。ちょうどお昼も過ぎて、依頼がまた増えてくる。その依頼内容はまるで呪文のように意味が分からず、あいつ...片翼の力でどうにかなるものなのかと困惑しながらも、それを機械に打ち込み、後ろへと送信する。後ろではせっせと子供のような緑色がせわしなく働いていて、その内容を紙に書き込んだり仕分けを行っている。今自分がやっているこの受付もそいつらに任せればよいとは思うのだが、どうやらそれはまだ難しい、と片翼は言っていた。
「...はい、受付完了です。後日連絡が届くと思うので、その時までお待ちください。では次の方」
典型文を喋っては次、喋っては次を繰り返して複数を捌いていく。一体どれくらいいるのか、うんざりとしながらも次の依頼内容を聞き、それを機械に打ち込む。機械に打ち込むぐらいであれば奴らにもできそうなのだが。
「それで。効果は...はい。時間は...なるほど」
こいつはどうやら惚れ薬とやらを必要としているらしい。効果は永続、ずっと一緒でいてほしいとかなんだとかを、デレデレしながらと言ってくる。恋愛とやらが全くと言うほど理解できないがゆえに、その言葉は本当に呪文のようだ。この時ほど、帽子があってよかったと思うことはない。といっても、壁で寸断されてるために顔は見られることはないのだが。そうだとしても、帽子を被っているだけで妙に落ち着く。
「...はい、受付完了です。次どうぞ」
依頼を後ろへと飛ばし、次の依頼者を待つ。しかし、次の声が全く聞こえない。ちらりと監視魔法を見てみれば、もうすでに人はすべていなくなっていた。
「...づぁー...終わりか...」
ぐーっと体を伸ばし、椅子から立ち上がる。後ろにも終わったことを告げて、今日は何をしようか、昼寝でも散歩でもいいな、と思いながら部屋に戻ろうと歩き出すと...がし、と肩を掴まれた。後ろを見れば、よく見たことのある帽子と全くと言うほど動いていない翼が目に入った。
「何してんだ、片翼。なんか用あるか?ないなら離してほしいんだが」
「...」
「...聞こえてるか?おーい」
そちらへと向いてゆさゆさと揺らしてみるも、全くと言うほど反応はなかった。腕をぐいと剥がしてまた歩き出そうとするも、今度は両手でつかまれた。もう一度聞き直しても、無言しか返ってこない。
「本当になんだよ。言うなら言ってくれ...こっちも暇じゃないんだ」
「...っぅぅっ...ぅぅぅ...!」
そんな時、ようやく声が聞こえたかと思えばそれはうめき声だった。何か調子が悪いのか、それとも思いっきりやらかして怒られたのか。にしては息が荒い。その帽子をはぎ取れば、その顔はかなり赤く染まっていた。ぴとりとおでこに手を触れれば、かなりの高温。手は震えていて、恐らく何かの病気にでもかかったのだろう、と思った。
「どうした?お前が病気だなんて珍しいな。魔法でどうにかならねーのか」
「...ん...」
そんなことを言うと、片翼はゆっくりと腕を広げて、こちらをちらりと見てきた。いや、突然腕を広げられても何もわからないが。しかしこいつのことだ、何かしらの助けが必要なのだろう。とりあえずこちらも同じように腕を広げると、片翼はゆっくりと、ゆっくりと近づいて...ぎゅむ、と抱き着いてきた。
「...うう、うううう、ううううう...!!!!」
「...はあ」
その行動で、その顔はおろか、耳すらも真っ赤に染まりきっている意味がようやく理解できた。多分...何かしらポーションを間違えて使って、どうようもなくなって泣きついてきたというような感じだろう。ただ、魔法などなにも使えないのに何を手助けしてほしいのか。何もわからぬままに、片翼を抱きしめたままひょいと持ち上げて...そのまま部屋へと連れて行った。
「...片翼。何があったか説明しろ」
「...っう...ううう...説明しろって...そんなこと言わせるつもりですか...!」
「知らねーから仕方ないだろうがよ」
「このっ...本当に役立たず...!」
謎の罵倒を受けながらベッドに下ろせば、ようやくその腕を話してごろんと寝ころんだ。改めて見直せども、その理由はよくわからない。多分風邪なんだろうな、ぐらいにしか理解が出来なかった。そもそも病気とか言うものは全くと言うほどかかったことがなかったために仕方ないとは思うのだが。
「それで、なんだ」
「...~~~~...!!!!だから、ですね...!」
そういうと、片翼はこちらに腕を広げて、叫んだ。
「...な、撫でてほしいんですっっ!!!」
「...」
...今なんて言ったこいつ。撫でてほしい?撫でてほしい。そうか。そう...そう...?ん?は?聞き間違いか?
「...悪い。もう一度」
「撫でてほしいって言ってるじゃないですか!?早くしてください!このままじゃ依頼も禄に進みませんから!」
「...はあ」
まあ、多分これはそうでもしないとどうにもならない奴なのだろう。思考を放棄して、片翼へと近づく。同じようにベッドに寝っ転がれば、片翼は磁石のようにぎゅむっとくっついて離れなくなった。とりあえず雑にその頭をわしゃわしゃと撫でてみる。
「...こんなんでいいか?」
「...ん、ぅ...んんん...」
普段の姿とは全くと言うほどかけ離れた、生温い声。その声を了承とみなして、撫でを続行しながら今までの状況をまとめる。こいつは病気ではない。そして自分ではどうにもできず、植物たちにお願いもできない。そして求めてきたのは撫で。...さっぱりというほどよくわからない。一瞬発情というのが頭に過ぎったが、こいつが起こすとは思えない。そもそもこいつが起こしている所は一度も見たことがない。一体なんなのだろう。
「...よーしよし、よーしよし」
「うう...!や、やめてください...!もう死ぬほど恥ずかしいのに...!」
「俺にはこの状況がよくわからねーよ...」
ぽすぽすと弱弱しい抗議のパンチを受けながらも撫で続ければ、先ほどまでの抱き締めの力は少しずつ弱まっていくような感覚がした。本当によくわからない。何かにでも乗っ取られたのだろうか。にしては変な解呪方法だな、と思うが。
「どうだ?多少は治まってるか?」
「...は、はい...えっと、それでっ...ぅ...なんです、が...」
撫でを強く、早くすると同時に質問すると、返答が途切れながらも返ってきた。そもそもこいつはそんなに撫でに弱かった記憶がないが、魔法か何かで弱くなっているのだろうか。撫でに弱くなる魔法なんて誰が必要とするんだろうか。さっきのあのデレデレ野郎ぐらいしか使わなそうだが。
「なんだ」
「...は、はねの...つけねを...」
「付け根?」
「...おねがい、します...」
ぷるぷると震えながらもそう告げる片翼に、多少の違和感を抱いた。こいつは羽の付け根を触られるのが大の苦手で、間違って触れてしまった時はしばらくの間追いかけまわされたのだ。なんで今になって触れてくれ、だなんて言うのか。本当に発情でもしたんだろうか。その魔法にかかってしまったとかだろうか。
「本当にいいんだな?後で怒ったらこっちがキレるからな」
「...お願いします...」
そういわれて、一体どういう風の吹き回しか、と呆れながらも、脚でその体を固定して、撫でとは別のもう片方の手でその付け根を...ぴとりと振れた。
「...んぅっ...!?」
途端にびくびく、と震えだす片翼。ゆっくり、さりさりと指の腹でこすれば、先ほどまで殺していたはずの声は漏れ出して、もう少し優しく、だとかと言い始めた。これでもかなり弱くしているのだが、これ以上どうやって弱くすれば良いのだろう。服で触れば良いのだろうか。
「...悪いけどこれ以上は無理だぞ。お前が頑張って耐えてくれ」
「えぁ、まって、くださいっ...これいじょうつよくしないでっ...」
そういう片翼を無視して、先ほどと同様に指の腹でこすこすと擦り続ける。ばたばたと体を動かしてもがき始めるが、所詮その程度。背中の植物でその足を捕まえれば、どうということはなかった。
「ふぅーっ...!んぅっ、うううっ...んいぃっ!?」
「...」
...なんだか、少し面白くなってきた。普段はこんなことはしないというのに、今こうして手の内にあるというのは少し好奇心を沸かせてくる。どうせだ、少し遊ぶとしよう。試しに少しだけ爪を立てて触れてみようと思って、爪で少しだけ、かり、と掻いてみた。すると...片翼はピタッと突然体の動きを止めて...
「...」
「...あ?」
「...~~~~~~~~!?!?!?!?」
「うおっと...!?」
びくびくびく、と体が震えだした。予想以上に身体が反応したらしい、片翼も困惑しながらもこちらを強く抱きしめている。抑えるために強く抱きしめれば、次第にその反応も少しずつ、少しずつ収まっていった。
「...はーっ...はーっ...」
「...大丈夫か?」
「らいしょうふしゃ...ない...」
ぽすぽすと頭をなでれば、すーはーと深呼吸した後、こちらからゆっくりと離れた。しかし、その顔はどこか不満そうで納得のいっていないような表情を浮かべていた。
「何かあったか?」
「...いーえ。もういいです。ありがとうございました」
片翼はそういうと、すぐにぷいっとそっぽを向いてしまった。一体何なんだ、とそう困惑しながらもベッドから離れると、片翼がちょっと、と声をかけてきた。
「なんで行くんですか」
「もう終わったろ...」
「いや、まだです、終わってないです」
「何がだよ」
「早く戻ってきてください」
仕方なしにベッドへと戻れば、こちらに向くという訳でもなくずっと背を向けたままだった。意味が分からず、そのまま後ろから抱きしめれば、ふう、というため息が聞こえた。そのまま頭をなで続ければ、あー、という声が、聞こえてくる。
「...何がしたいんだお前」
「...んー...そうですね...このまま...一緒に寝てほしいな~...って...」
「...そうかい」
なんなんだ、とそう思いながら...今日の予定は昼寝にでもするか、と聞こえるように独り言をつぶやいて、片翼と一緒に布団の中に入る。ゆっくりとやってくる眠気と同時に、今日だけはなんだか悪い夢を見ずに済みそうだな、と思って...
その意識は、いつの間にか体から離れていた。