最後の間数多の敵やボスを倒し、ようやくラスボス部屋の前へと着いた。その扉は自身の身の丈の何倍も大きく、まるで来る者すべてを拒むかのように固く閉ざされていた。しかし、今自身が見ていたのは、その扉ではなかった。その前に、静かに鎮座している…一人の男だった。
「…ん?ああ、あんたか…よう、久々、だな?」
その男はこちらをちらりと見ると、片手をあげて挨拶した。こちらを知っているかのように語る理由は、今までの旅路でよく出会っていたからである。それは、ただ孤独な旅人として各地を歩いていたはずなのだが、今回は旅人ではないらしい。もう片方の手に持つ物は、地図などではなく…その者の凶暴性を表すかのような、朱色の鎌であった。
「…驚いたか?最後の門番が、その仕事を忘れて色んなところ回ってる、って。門番にも休みは必要なんだよ。といっても、ほぼずーっと遊んでたんだが」
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