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    Traveler_Bone

    骨。

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    Traveler_Bone

    DOODLE旅骨は時々、真っ黒な夢を見る。
    床だけが存在していて、そこには壁も天井も何もない世界。
    そこで、旅骨は何を想うのだろう。
    生きる意味意識が右に動き、左に押され、右に引かれ。そうして、ゆらりゆらりと揺れている。海の上の船にいるわけでもなく、遊園地の乗り物に乗っているわけでもない。ただ、揺れているという感覚だけが今、唯一感じられるものだった。

    「...はぁ」

    そんな中、旅骨はうんざりとした様子で目を開ける。そこには、ただ何もない、真っ暗な空間が広がっている。黒い地面があり、天井も壁もなく、奥に見えるは黒い霧のような何か。気づけば揺れている感覚もなくなり、そこにあるのは視覚と聴覚の情報のみだ。それも、単調な。
    旅骨は昔からこの夢が嫌いだった。身体の体力が回復するまでの間、精神の体力を削らなければならないのだ。ここには剣技を練習するための武器はない。ましてや、気を紛らわせる話し相手すらいない。虚無しかない空間だった。それが、暇で暇で仕方がなかった。せめて、小石一つでもあれば楽しめたのに、と苛立つ。願ったところで、何かが起きるわけでもない。旅骨はただ一人、その虚無の空間で一人体が起きるのを待つしかなかった。
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