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    ミカド

    @N__Eo5

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    ミカド

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    ヤキモチについて語る彰冬+杏こはの同軸。🐹不在

    #彰冬
    akitoya
    ##彰冬
    #杏こは
    ankoha
    ##杏こは

    彰冬+杏こは「ねぇ、冬弥。冬弥って彰人が自分の知らない人と楽しそうに喋ってるのを見ると、どう感じる?」
    「…どう、とは?」
     練習が休みの放課後。WEEKEND GARAGEに呼び出された理由を訊ねたかったが、先に話題を振られてしまった。しかし、意図が理解できず聞き返す。
     白石は手元のアイスティーをストローで回しながら、唸り声を上げる。
    「その〜……ほらあのー…『この人は俺の知らない彰人を知っているんだな』とか、自分といるよりも楽しそうに見えて、モヤモヤ〜ってしたり…とか……?」
    「ない、な」
    「え 嘘でしょ もう一回ちゃんと思い出してよ!」
     椅子から腰を上げた白石は、テーブルに手をついて前のめりになる。コーヒーカップのソーサーが振動でカタカタと揺れた。俺がカップを持ち上げたタイミングがもう少し遅れていたら、テーブルに零していたかもしれない。
    「モヤモヤ、か…」
     白石の圧に押されて、俺は斜め上の宙を見上げる。
     俺の知らない彰人の知り合い——クラスメイトとはそれなりに良好な関係を築けているから、それ以外だと小学校や中学校の同級生、後は元バイト先の方々だろうか。俺は彰人の交友関係を全て把握しているわけではないから、こうして思い当たる範囲もかなり限られている。
     おそらく、『知り合い』や『ダチ』と括られた彼らの話を、俺は何度か耳にしている。しかし、いくら思い返したところで、いっしょに語られた彰人自身に対して感じたことしか浮かばなかった。もし、あまりいい気分をしていなかったら、それも記憶として残っているはずだ。
    「…やはり心当たりはないな。俺の知らない彰人を見てモヤモヤする、というのは」
    「そ、そっか〜……。じゃ、じゃあ、冬弥って彰人が誰かと仲良くしてたら…嫉妬する?」
    「え?」
     なるほど、そういうことだったのか、とようやく合点がつく。そしてその相手がきっとこの場にいない小豆沢だということも。
    「…………おい。オレが呼ばれた理由はなんだ」
     ずっと黙っていた彰人がようやく口を割る。白石の奢りで俺のコーヒーといっしょにパンケーキを注文し食べていたが、すでに完食してしまっていたらしい。空いた皿をテーブルの端に寄せて前で腕を組んでいる。白石が俺にしか話を振らないせいか、なんだか不服そうな低い声だ。
    「だって、アンタ達を引き剥がして冬弥だけ呼んだら、彰人がヤキモチ妬いちゃうでしょ」
    「はあ? そんなんでいちいち妬くかよ」
    「後で私と何話したか全部吐かせるくらいはしそうだし、そしたら私の相談に付き合ってくれた冬弥が気の毒だな〜って思って、彰人も呼んであげたの」
    「へーへー。ンで、要はなんだよ? こはねが自分の知らねえヤツと仲良くしてて、嫉妬したって話か?」
    「あー ズバッと言わないでよ!」
    「お前がウジウジしてっからだろうが」
     持ったままでいたカップに口をつける。白石の話やふたりの言い合いを聞いているうちに、少し冷めてしまっていた。謙さんが淹れてくれるコーヒーは冷めてても美味しいが、温かいうちに飲むのが一番だ。
     椅子に掛け直した白石は、向かいに座る俺や彰人を交互に見た後で、テーブルに頬杖をつきながら長い髪を指先に纏わせてくるくると巻き付けていく。話題を考えているのだろうか。
     たしかに、こういった白石を見るのははじめてかもしれない。
    「…ねぇ、どうしたらヤキモチ妬かないようになるかな…? 余裕ないみたいでカッコ悪いし、こんな黒くて醜い感情を抱えてる自分がすっごい嫌! 冬弥はどうやって割り切ってる…?」
    「俺、か?」
     隣から視線を感じる。俺も彰人の話を聞きたいくらいだが、白石は俺の意見を求めているし、聞くのはまたの機会にするしかないな。
    「そうだな…これはあくまでも俺の考えだが——恋人関係は、お互いの『好き』を信頼し合ってこそ成り立つと思うんだ」
    「うん…? まぁ、そうだね?」
    「俺は彰人が好きで、彰人も俺を好きだと言ってくれる。それを信じているんだ。…本当に俺でいいのか、と不安になることを全くないとは断言できないが、その時は彰人に打ち明けている。彰人は俺を勇気づけてくれて、こいつを疑った俺は浅はかだったな、と気付かされるんだ」
    「じゃあ冬弥は不安になったら彰人にいっぱい『好き好き』言ってもらうってこと?」
    「そういうことになるな」
    「……」
    「冬弥、今すっごい良い顔してる! やるじゃん、彰人! 彼氏っぽーい」
    「そろそろ殴っていいか?」
    「彰人は相棒としても、恋人としても、とても頼れる男だ。かっこよくて、優しくて、俺には勿体ないくらい魅力的で…。俺はそんな彰人に二度も選んでもらえて、幸福者だと思う」
    「あ、それわかるな〜。私から告白した時ね、こはねってば嬉しすぎて泣いちゃったの。だからあの時に、この子を好きになれてよかったって思えたよ。片想いしてた時よりも、恋人同士の今の方がずっとず〜っとこはねが大好き♪」
    「なら、それを言ってやれよ。想ってるだけじゃ伝わらねえぞ」
    「はは〜…だね。ねぇ冬弥、今度彰人に言われて嬉しかった台詞とか教えてよ! 参考にさせて!」
    「おい」
    「ふふ…。わかった。そうだな、これははじめてデートをした時——」
    「ちょ、…お、おい待て、冬弥!」
     
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