シュミまとめ
<儚いシュミ姉妹百合の破滅まで>⚠NTR
シュミ姉妹はクソな両親を早めに亡くしてて今は二人暮らししてる。近所のヴォックスおじさんが時折面倒を見てくれる感じ。
ミスタがある日下着の広告に目を奪われて、まあまあお高いブランドなので買うお金も無いけど見に行っちゃう。お店の前で買えないのにマネキン見ながらウンウン悩んで。
したらヴォックスおじさんが「Hiミスタ、何をそんなに悩んでるんだ?」ってヒョコって声かけてくる。
んで「この下着すんごくシュウに似合いそうだな〜って思ったんだけど、そんな余裕ないし、でも諦めきれなくて、」ってモゴモゴ説明するのね?
ふむふむ聞いたヴォックスおじさんは「たまの贅沢なら許されるだろう、どうせならシュウのだけじゃなくてお前も色違いかお揃いで買いなさい」ってカード渡してくれる。
ミスタはほんとにすっごく欲しかったから「ありがとダディ!!!!」っていってお店に入ってはたっと気付いて試着するんだけどめっっっちゃくちゃサラサラで着心地がいいんですよ。んでほっぺた赤くしてふんすふんす「買います!ください!」って、オレンジと紫のを買う。んで家帰ってシュウ〜〜〜〜って一緒に着る。嬉しくてその日はミスタは寝るとき裸族なのにそれはほんとに着心地が良いから着て寝るんです。でも紐だし、スベスベした生地だからほどけやすくって、朝起きたら下がはだけて可愛いことになってるんですよ。つやつやしたオレンジがミスタの肌に血色を出してくれて、ホントにピカピカしたキレイな体であどけなく寝てるから
これはいい買い物だったかも……って寝ぼけ眼でシュウが思うんですね。
サテンは滑りやすいので、朝起きたら脱げてることがあるんですよ。シュウが朝日の中そっと結び直してる神秘的な風景がある。
一緒に寝て可愛くはだける姿まで見ていたら、シュウだって他の男にますます渡せないんですよ。
下着着たときにキャッキャ褒めあってほしいし無防備だなぁ、私が守らなくちゃって庇護欲と独占欲の境でうろうろしてその後自覚するきっかけはヴォックスおじさん!!!!!!!このヴォックスおじさんはミスタをちまい子だと思ってるので対象外。
が、ミスタが懐いてくるのが可愛くて可愛がってたら段々道を踏み外して「ほぉ、」って自覚したら全力で囲い込むタイプです
シュウは最近ちょっと警戒した目でヴォックスおじさんを見てると大変可愛い…。
会ったときから一度も酷いことされてないのに何となく警戒してしまってでもミスタは懐いてて、本能的に気付いてるんですよね、ミスタを二人っきりの世界から連れ出すのはヴォックスだって。ヴォックスがいなかったらミスタは結局下着を諦めてしょんぼり帰ってきてて、それでシュウがどうしたの?って聞いて次の日二人で買いに行ってた。
ヴォックスが居なくたってシュウがミスタの笑顔を守ってたけどヴォックスがいるからシュウの出番が減って、それが離れてくみたいで寂しいんですね。
シュウは紫の下着を身に着けて色違いのの下着を身に着けた妹にそっとキスして縋るようにそっと身を寄せて眠るんですよ月明かりの中。これは宗教画。
百合カプの二人きり世界にひびを入れるヴォックスおじさん…そして終わりを感じてるシュウ~っ!!シュウ~っ!!!!!ミに縋るシュウはあまりにも美しい………
世界で二人きりになろうとする百合が大好きなので…
深夜ベッド上開催、二人だけのファッションショーのために可愛い下着とか集めだすシュミ姉妹とかso可愛いです。ベッドの上の狭い狭い世界でお互いガーターベルト留め合いっことかしてくんないかな〜、ふにふに触り合いっこしてる仲良し姉妹。
明らかにシュウの勝ち目がなくて悲しい。あ~…ミスタの取り合いになったら、ヴォックスが持ってちゃうだろうなって…
ヴォックスはミスタにとってクソな両親から初めて会ったマトモな大人なので(干渉も緩やかで無理に入り込んでこない)、父性を求めて、そこから愛に繋がって、恋情を求めるようになるんです。柔らかいシュウには父性はありませんから勝ち目がないわけですね
しゅみあまりにも儚い……儚いからこそ美しい…
ミスタは、いずれシュウとおそろいの可愛いフリフリ下着を買ったお店で、ヴォに見せるセクシー下乳ふにふに下着を買うことに…
下着の意味が変わるのが百合っていう聖域から出て少女から一人の女へと花開いていく、変わっていくんですね。シュウは二人でずっと蛹の中で溶け合っていたかったのにミスタは蝶々になって飛んでいってしまうんですね。ずっとシュウだけ動けないままで、ドロドロに溶けたままなんです。
ヴォミの後に、一人で下着を買いにくるシュなんて見たら涙が出そうです…。
ガーターベルトをぱっちんとめあって、お互いの柔らかさに溺れてたシュミの夜はもう帰って来ないんだなって…
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和パロ
こんな古臭い家に居ながら、ミスタは全くと言っていいほどこの家には似合いません。その明るい髪も、宝石のやうな瞳も、きゃらきゃらした笑い声も。僕の家は呪術師の家系で、みんな、みんな淀んだ目で、息苦しさを感じる家でした。ミスタだけが自由でした。この古臭い家で、唯一人、ミスタだけが宝石のやうでした。ミスタは外つ国の妾から産まれた畜生腹の子だそうです。だから呪の世話係などをしています。しかし、呪にとっては大切な弟でした。愛おしい弟でした。愛する、弟でした。
おとうとは僕を善人のような目でぴかぴか見つめます。僕はそんな立派な人間じゃあないのに、この世の醜悪さを、うちっかわに押し込めているだけなのに。ミスタは、おとうとはスッカリ騙されて、僕を見てくふくふ笑うのです。僕は悪人です、紛うことなき悪人です、しかし、ミスタの柔らかな頬が明るく染まって、幸せそうに笑うのを見られるなら、それでいいと思うのです。
ミスタは、内緒が好きな子供でした。
ナイショだよ、と言い含めるだけで瞳をぴかぴか煌めかせる子でした。始は些細な秘密でした。
ミスタは猪口令糖が好きでした。しかし、世話係の下男には与えられないので、僕が仕事をした際、ご褒美として強請ることにしました。たったの一粒、それだけをこの世の幸福を全部貰っちまったみたいな顔をして、恐る恐る口に含む姿が、とても愛らしいのです。勿論、その後にもっともっと愛らしい笑顔が見れるのですが。
「シュウ!あ!」
世話係に付いたばかりの頃ミスタはスッカリ萎縮していて、片言で「ゴメンナサイ」だけをよく言う子でした。僕はそれが憐れで、頭をそっと撫でてやりました。それを何度も何度も繰返して、ミスタが少しずつ言葉を覚えて、今のミスタになったのです。
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和パロ 別パターン
ミスタは特別でした。このやうな古臭い家で唯一人宝石のやうでした。
ミスタは僕を善人のような瞳で見つめます。綺羅綺羅とした輝きで僕を捉えます。
しかし、僕は善人ではありません。ミスタを騙しているのです。僕は酷く醜悪な人間なのです。お天道様も人の目も僕を責めているように感じます。
ミスタが唯一人気付いておらず、僕に笑いかけてくれるのです。
ミスタは外つ国の妾から産まれた畜生腹の子供だそうです。だからまだ5つにもならないうちから僕の世話係などをしていました。幼いものですから言語も覚束ず、言えたのは「ゴメンナサイ」のたった一言だけでした。
はじめの頃、ミスタはビクビクしていて、瞳も翳っていました。僕はこの陰気な家で、子供が居るのが嬉しくて、兄のような心持ちでした。
だから、世話係などは名ばかりで、部屋に招いては何でもないお喋りを繰り返しました。
そのうち、ミスタはみるみる明るくなって、今のやうな宝石になったのです。
呪いの家業を持つ家で、ミスタだけが輝いていて、陰の者は光を厭うものですから、この家にミスタはいつまで経っても馴染みませんでした。
しかし、ミスタはいじらしくも「あにさまが居ればだいじょうぶ」と照れ照れ云うのです。
私は、その頭を撫でながら、自らを罪深いと思うのです。
ミスタは内緒が好きな子供でした。
ミスタは内緒だよ、と言い含めると悪戯っぽい顔でコクコク頷きます。ふくふくした頬の中に秘密を隠して楽しそうにしています。それを見るのが楽しみで、二人で沢山の内緒を用意しました。
ミスタの好きな猪口令糖をあげるとき、部屋にこっそり招くとき、仕事のフリをしてお喋りするとき、ミスタの粗相の後始末をするとき。
すべてに「内緒だよ」と言い含めました。
ミスタは大切な弟です。愛しい弟です、慈しむべき弟です。愛する、弟です。
僕が初めてミスタを騙したのは、5年前です。お互いにまだまだ子供でした。ミスタがあんまりにも可愛いので、僕はよく唇を寄せていました。まろい頬へ、サラサラした額へ、絹のような髪へ、小さい爪へ、何度も唇を寄せて、ミスタはいつも擽ったそうに笑っていました。
僕はある日、ミスタの母親と僕の父親の逢引を見ました。種類の違う愛を知りました。酷く重く、とぐろを巻く蛇のようにうねうねと交わる二人を見てしまいました。僕はなにだかわからず、怖くなり、ミスタを部屋に呼びつけて、抱きしめました。ミスタの軽く甘いふわふわとした香りを胸に入れて、嫌な動悸を誤魔化しました。ミスタはおずおずといつも僕がするように頭を撫でてくれました。
僕はその時、ミスタへの気持ちが、あの大蛇たちの物と同じだと気付いたのです。
何度も、何度も念入りに言い含めました。僕はミスタを騙すことにしました。今の幸福を捨てたくないけれど、僕の愛も受け入れてほしかったのです。本当に醜悪な自己中心的な欲望に突き動かされ、純粋なミスタを汚すことを決めたのです。
「ミスタ」
「なあにあに様」
人の目を、お天道様を、全てを避けるように押し入れへと手招きします。ミスタは暗闇が嫌いでしたが、僕が頼むと恐る恐る入ってくれました。
「ミスタ、いい?これからすることはとっておきの内緒だよ」
「とっておき?」
「そう、とっておき」
押し入れは湿っぽくて、空気も悪い、なのにミスタだけが縁取られたやうにキラキラして見えました。
「これはね、一等大事で特別な人だけにするんだよ。他の人に言っちゃだめで、二人だけの内緒にするんだ」
そう言って、肋骨が軋むほどの動悸を隠して、ミスタの唇に、唇を寄せました。ミスタもなにか何時もと違うことがわかっているのか、耳まで真っ赤に染めて胸を抑えていました。
「あにさま、これ、すごくどきどきする」
「そうだね、一等特別な内緒だからね」
手のひら、手の甲と交互に頬に押し当ててどうにか熱を逃がそうとするミスタはそれはそれは愛らしいものでした。そして、ちろりちろりとこちらを見ると真っ赤な顔で同じことをしてくれました。幸福で、幸福で、死んでしまいそうでした。
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いつからか、とっておきの"内緒"をするとき、ミスタは僕のことを名前で呼ぶようになりました。
ミスタは漢字がわからないので、ただの音として、名前を転がされるのは不思議な感覚でした。しかし、ミスタの名前と似ている気がして、咎めはしませんでした。
「シュウ、」
「ミスタ」
広かった押し入れも、成長するに連れて狭くなり、体を折り重なるようにして二人でキシキシ入るようになりました。
何度も、何度も唇を合わせました。涎が唇を濡らして、どんどんと境が分からなくなります。ミスタを僕が食べてしまっているようでしたし、ミスタが僕を食べているようでもありました。
何度も何度も繰り返すと、押し入れのなかの空気がどんどんと熱っぽくなります。その熱に浮かされたミスタが僕の上でくったりと力を抜くのです。
額に浮いた汗が、首筋の汗が、きらきら光って見えて僕はまた罪を重ねました。
ちろりと舌を伸ばして、朝露のようなそれを舐め取るとしょっぱく、それなのに甘く感じました。甘露の
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和パロ。転機、シュウ視点
ミスタが両手の歳を越えた頃のことでした。
綺羅綺羅と光る宝石は、隠さなくてはいけませんでした。特に、この陰気な家ではミスタは大層目立ったことでしょう。僕はミスタを騙すことに必死で、周りが見えていなかったのです。本当に愚かなことに、事件が起きるまで、まったく予想もしておりませんでした。
ミスタは、下男に汚されました。汚らしい物を見せられて、穢らわしい好意を押し付けられたのです。
あまりのことに、ミスタは喉をひくひくさせるだけで、叫ぶこともできませんでした。
出来ることならば、あと十分、早く気が付けば、ミスタがそれを知ることはなかったでしょうに。
僕が扉を開けたときには、もう、ミスタはそれを目にしていました。
「見ちゃだめだ!ミスタ!見ちゃいけない!見ちゃいけないんだ!」
僕は、絶叫しながらミスタの頭を、必死に抱え込み、目も耳もすべてを覆って、すべてを無かったことにしようとしたのです。しかし、ミスタはビクビクと跳ねて、嫌がるのです。ああ、手遅れでした。そう、手遅れだったのです。ミスタは僕の蛇を知ってしまいました。とっておきの内緒が、下男と同じただの汚らしい欲望だと日の下で晒されてしまったのです。
下男は、僕が現れた瞬間、慌てて去っていきました。しかし、そんなことはどうでも良かったのです。ただ、ミスタに嫌われたくありませんでした。
騙していた大罪人だというのに、未だに縋るようにあよあよと動いているミスタを強く、強く抱きしめて、ただ、それだけを思っていました。
「違うんだ、違う」
何が違うのだと頭の中の呪が言います。
「ミスタ、ミスタ、僕は君が一等大事なんだ、それだけはそれだけは本当なんだ」
言い訳がましいと頭の中で呪が言います。
僕は、ぼくは、ミスタにどうして欲しいのでしょう、自分でもよくわかりませんでした。もう、何を言えばいいのかもわからず、ただ、ミスタを抱きしめていました。離せば最後、二度と手には戻らないような気がしたのです。強く、強く、強く、抱き締めていました。
「あにさま」
きりりん、と風鈴のような音が胸元から聞こえました。ミスタです。呪の心臓は寺の鐘のように重く響きました。背中に汗がつたいます。いま、呪は正に地獄の裁判にかけられたような気持ちでした。はくり、はくりと口からは何も音が出ません。駄々を捏ねる様に頭を振って、どうか、どうかよしてくれ、何も言わないで、ずっとこのままでいてくれと願いました。
「あにさま」
腕に力を入れて、ミスタをキリキリ締め付けます。もういっそ、このまま心中でもしてしまおうか。
無理矢理に添い遂げれば嫌われてしまうでしょうが、もう嫌われているのならば、大差はありません。
「、シュウ」
思わず、腕を緩めて、ミスタの顔を見上げました。
とっておきの内緒、押し入れの中でだけの、特別な呼び方。それが何を意味するかはわかりませんでしたが、シュウは、不思議と凪いた気分でした。
ミスタは、その朝焼けの瞳を、宝石の瞳をただ真っ直ぐシュウへと向けていました。
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和パロ。転機、ミスタ視点
ミスタはいつも通りあにさまがお仕事をしている間たくさんの雑務を熟していました。ミスタはあにさまのまえでは綺羅綺羅と無邪気に笑いますが、あにさまが居ないときは冬のように冷たく淡々と過ごしていました。ひそひそそよそよ聞こえる陰口、詰まった空気、それらから解放されるのは春の訪れのような微笑みでミスタを呼んでくれるあにさまの前だけでした。そして、一等格別なのは、
「ふふ、くふん」
思い出すだけで、胸が暖かく、擽ったくなります。
あにさまが緊張した顔で言い出した一等特別な内緒。二人だけの秘密。あにさまの手づから与えられる猪口令糖よりも、甘くて、甘くて、とても幸せな行為。普段なら怖くて仕方がない押し入れの暗闇も、あの時ばかりは極楽への一本道に思えるのです。キシキシと重なって、体温を滲ませながら二人で過ごすあの時間。
ミスタの極楽は押入れの中でした。
「やぁやあミスタ、おまえがあの男以外の前で笑うなんぞ珍しいじゃないか、何かあったのか、おんらに聞かせとくれ」
下卑た声です。あにさまのご兄弟付きの下男でした。この男はいつもミスタに話しかけてきます。しきりに話しかけてくるくせして、主人の男や大奥様、旦那様の前ではぴゅいっと逃げて、おんなじようにサワサワ陰口を叩くのです。そのへらへらした軽薄な態度がミスタにはなんとも醜く思えました。
目の前でべらべら話す男を見ていると、あにさまが恋しくなります。早く帰ってこないかしらと何遍も何遍も思います。
「まただんまりか、可愛げのないやつ、そんな様子だから皆に嫌われるのだぞ」
「左様ですか、では失礼致します」
ミスタは下男の言うことにまるで興味がありませんでした。ミスタはあにさまさえ居てくれたらそれで良いのです。あにさまはミスタが上手く話せないときからずぅっと優しくしてくれました。頭を撫でて、ミスタの面倒を見てくれました。ミスタの世界はあにさまが居て初めて回りだすのです。
そこに下男も、本家の方々も、だれも必要ないのです。
ミスタが会釈をして立ち去ろうとすると、腕を強く掴まれました。遠慮のない掴み方に痛みが走って、思わず眉間にしわを寄せました。下男はそれを見てにたにたと気持ち悪い笑みを浮かべます。
あにさまはこんなことしないのに。それを思い出せば思い出すほど鳥肌が立ちました。下男に掴まれた腕が汚れていくように感じたからです。振り払おうとするものの、ミスタと下男はみっつほど歳が離れております。この三年の差は残酷で、全くといっていいほど歯が立ちませんでした。
「まあまて、話しをしようじゃないか、ほら、こっちだ」
下男は嫌がるミスタを無理矢理に引っ張って、奥の物置部屋に引きずり込みました。
物置部屋は薄暗く、埃くさい所で、ミスタはこの部屋が1等苦手でした。息苦しく、うまく動けなくなります。後ろ手に障子戸を閉じた時。下男の瞳は獣のように爛々と、嫌に光っていました。
「なあ、ミスタや、なんでそうも俺を邪険にするのだ。優しくしてやったろうに、おまえの主人はこの家では然程役に立ってなど居ない。おれの主人のが上だ。媚を売る相手は選んだほうがかしこいぞ」
蛇がまとわりつくように、立ち尽くすミスタに下男が語りかけます。
あにさまを馬鹿にするやつの話など聞きたくありません。ミスタは下男を強く強く睨みます。
「なあ、みすた、おれは一等お前のことを」
『ねえ、ミスタ。僕は一等ミスタのことを』
「『好いている』のだぞ」
ミスタは、目を見開きました。背中に怖気が走りました。汚らわしい、汚らわしい、なんて汚いのだろうと息を呑みました。
あにさまの言葉が上書きされるように、なんども何度も下男は繰り返し言います。爛々とした瞳で、じっとりと、湿度を持った瞳で、ミスタを見つめて、ミスタの肩を強く強く握って、何度も何度も繰り返します。
「なあみすた、わかってくれ、おれはお前を好いているんだ」
『ねえミスタ、僕はね、君のことが一等大切なんだよ』
「お前になあ、この家での居場所をやろうと言うのだ」
『ミスタ、君は僕の世話係なんだから、いつでも来ていいからね。怖い夢を見たとき、なにか失敗したとき、楽しいときも、嬉しいときも、もちろんなにもない時も。いつだっておいで』
「それに、本家の奴らはみんな呪いだのなんだの汚らわしいだろう、俺たちは普通の人間で、仲間だろう?」
『嗚呼、僕にも言祝ぎができたら良かったのになぁ。そうすれば何度でもミスタを祝福してあげられたのに』
あにさまの言葉が、泥に上塗りされていきます。下男の発する言葉があんまりにも気持ち悪くて、ミスタはただ、息をするだけで精一杯でした。背中にじっとりと汗をかいて、固まっているしか出来ませんでした。下男の顔が段々と近づいてきます。
ミスタは、ただ、肩に力を込めてギュッと耐えていました。
ぱしん、と障子戸が開いて、光が差し込みました。
「ミスタッッッ!!!」
あにさまの声でした。
くん、と襟が掴まれて、引き寄せられました。下男の手は呆気なく剥がれて、呆然としています。ミスタに見えたのはそこまでで、あにさまの細い指がミスタの目を覆いました。ぎぅ、と抱きしめられて、あの、極楽の匂いがしました。あにさまの体温が、ミスタに伝わります。ミスタは、あの押し入れの中みたいに、あにさまに腕を回したくて、ひっくり返ろうとしましたがびくともしませんでした。
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呪いの給餌
それは、セックスに似ていた。
ミスタはソファに座るシュウの膝に跨って、頬を両手で包んだ。クッと腕に力が込められて、シュウの首を逸らす。なんの感情もない無機質な瞳が交わった。ミスタはゆるゆると口を開き、喉を微かに震わせた。シュウも同じように口を開き、まるでミスタが吐き出した何かを飲み込む様に喉を動かした。
◇◇◇
僕は呪術師だけど、呪を練るには材料がいるんだ。
個人的な私情で呪うならまだしも、機械的に分け隔てなく平等に均一に呪わなきゃいけない。
だから、ミスタのストレス解消を兼ねて材料提供してもらってるんだ。
ミスタの、負の感情っていうのかな。僕の感覚的には蟠りって感じがする。体感的にはもったりした液体。ミスタの喉に軽い術をかけて、言葉越しにその蟠りを文字通り吐き出してもらうんだ。音にはならない。蟠りを言葉で包んで吐き出すから、声ではない、ナニカに変換される。僕はそれを飲み込んでさらに呪いへ変換する。例えばどんよりした気持ちとか、なにか言いたいことを我慢したときの喉の熱さとか、腹の中に渦巻くようなモヤモヤとかそういう感覚を抽出するのに近い。
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呪いの給餌をするしゅうみすの続きで、シュウが何らかの依頼で暴走、体内で呪いでぐるぐるして収まりがつかない。周りに被害を与えないように必死。
『呪い、気持ちは人に移せるんだよね。呪いはそれの変化形っていうか、なんていうか。好きって言われたり嫌いって言われたり、嬉しい知らせ、悲しい知らせ何かしら影響受けるでしょ?僕はそれを材料にしてうまいこと調節できる、それが呪術なんだ』
っていうの呪い給餌の雑談を思い出したミスタが、「呪いが受け渡せるなら反対のものも流し込めるんじゃないか、そしてそれは呪いに対抗し得るのでは」という考えに至る。覚悟を決めてぐるぐるしてるしゅうに呼びかける。
「しゅう」
「俺さ、シュウに何回も救われてきたよ」
「シュウはめちゃくちゃ頼りになってさ、優しくて、面白くて、」
「おれ、シュウのこと大好きなんだよ」
「やだよ、どこにもいかないでよ、ずっと一緒にいてよ」
って+のエネルギーを与えようと声をかける。
シュウの炎が少し和らいで、顔が見える、んで、いつもだったら間接的に渡してたけど、口移しでまた+を流し込むんだ。
(シュウに笑っててほしい、幸せになってほしい、苦しんでほしくない、俺が助けたい、戻ってきて、暖かくて明るいところで、一緒にいようよ)
ってぎぅ、って抱きしめながら長い長いキスをして、消化された炎みたいにぷすぷす収まっていく。
「、みすた?」
「シュウ!!!!」
べそかくみすた
「んへへ、みすた、すごくあったかいね、」
って面映ゆく笑ってコトンと眠りにつく。
それに安心してミスタも気を失う。
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逃げられないようにするには機動力を奪えばいい。両足でなくとも片足切るまではどうでしょう?
シュウが「右足が痛むの?そんなわけ無いじゃん、ほら、見てよミスタ。こんなにキレイに切れたのは初めてだったんだよ。それとも足が恋しくなった?今は僕のだけど元々はミスタのだからね。一旦貸してあげる」って剥製にした足を運んできて、冷たい足を抱きまくらみたいに抱え込むミスタよくない?
ちなみにミスタはそれを見て落ち着くよ、どうしよ、だれかしらを庇って、車に轢かれて右足に酷い傷を負って後遺症で襲ってくる痛みに苦しんでて、切り取ってあげた。元々ミスタが死んじゃうかもって怖かったのもある。
だから痛いの痛いの飛んでけ〜〜!(物理)
だからミスタの痛みは後遺症の痛みで、
「ね、こんな、痛いのはやだよね。とっちゃおうか」
「ウ、グス、とって、たすけて、シュウ」
「……ウン」
って会話のもと、目の前で切り離した。たまにトラウマでよみがえるけど、「大丈夫、もう痛いのはとったでしょ」って何回もシュウは教えてくれるよ。ハッピーだね。
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行かれた呪術士と式神になったミスタ
貧乏学生シュウくんがアパートを見学に来たらなんと満員!ううむ、ここがいいのに、と悩みます。そしてアパートの住人であり、自殺未遂を繰り返しているミスタと出会います。死にたいし今の全部から逃れたいけど死ぬのが怖い。だから死ねない。でも死ねない。そう言ってるのを聞いて、
「ねぇ、僕さ、このアパートに住みたいんだけど今満員みたいで」
「?オウ」
「ミスタが死んだら退去ってことになるよね?」
「お、おう……」
「それで僕呪術師なんだけど!式神が居ないんだ!僕がミスタを呪って殺すから僕の式神になってよ!」
「は?お前真面目な面して頭イカれてんの?」
「えぇ、至って真面目な話なんだけど……、ミスタの死にたいけど死にたくない周りの全部から逃げたいって要望が全部叶うんだよ?いい提案だと思うんだけどな」
んで不思議そうなシュウとぐったりしたミスタの対比。
「わーった、わーったよ。信じてはねぇけど、それができるんならやっていいよ。もう何も考えたくない」
「やった!じゃあ契約だ!おやすみミスタ!またね!」
シュウがとん、とミスタの額に手を伸ばす。あ、という暇さえなく、ミスタの意識は輪郭からぼやけて、パチン、と消えた。
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「ぁ?」
「ミスタ!おはよう!気分はどぉ?」
「いや、お前何したワケ?」
「だから、ミスタを殺して僕の式神にしたんだよ!」
「は?俺だっていま生きてんじゃん、そういうのじゃなくて、あの急に眠くなったのは、」
シュウを問い詰めようとしたところでやけに、周りが赤いことに気づいて、視線がずれる。意識が移ると、部屋が、部屋中が、血塗れになっていた。
「は……?」
「んへへ、ごめんね?呪術ってどうしても人を害する為にあるから僕の意志に関わらずグロテスクになっちゃうんだよね」
「いや、おま、これ、」
「ん?ミスタは覚えてないだろうけど全部ミスタの血だよ。この血を媒介にしてミスタを喚び戻して、今から式神としての契約をするんだ。ギブアンドテイク、僕はミスタに死を捧げたからミスタは僕の力にならなきゃいけないんだ。少なくともミスタが生きるはずだった寿命全部を僕が要望通り奪ったんだから、その年数分は僕といなきゃいけない。」
「は、?」
ミスタはちょっと混乱して、目を白黒させた。
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ヤンデレノシュウ
「ミスタ、諦めて」
やけににっこりと綺麗な笑顔で言われたことを覚えている。
どこに行くにも、「ミスタ」何をするにも、「ミスタ」離れようにも式神がどこからか現れて責めるように周りをふよふよ漂う。渋々帰れば満足げに「ミスタ」一人でヌく隙すらない。「ミスタ」メッセージだってひっきりなしだ。あいつも暇じゃないだろうに。
「諦めてって言ったじゃん」
「拒否権は?」
「無いよ。だから全部含めて諦めてってこと」
最終勧告だったわけだ。いつも掴み所がないシュウは一度執着心を持ったら最後だったらしい。
「重いなぁ~」
「んへへ」
まァ、全部全部面倒になりがちな、一定期間で人間関係をリセットしてしまう癖があるから、この重さが心地良くもある。式神の仕組みはわからないけど逃げられそうに無いし。
「逃さないよ。ずーっと見てる」
「怖えよ」
ミスタが突っぱねてもシュウはニコニコ笑いながら離れない。ミスタはそれに少し安堵をにじませる。
寂しがりやの狐と執着系呪術師は相性が随分と良かったらしい。
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ファムファタール聞いてて思ったんだけど
ヴォミからのシュミ良くない?
妊娠してから逃げてきたのをここぞとばくんとたべちゃう。呪術は鬼と同じく魔の性質、であればして渡り合うには天敵であろう。
それでもお腹を抱えてぐずぐず泣いて、こっちをチラとも見ないだったらそんな悲しい記憶はお腹の子にも悪いからね。消しちゃおうね。
って式神でナイナイする。
起きたらミスタはすんごく苦しい思いをして、記憶を封じ込めちゃったんだねってことにする。
水タバコ薄らいだ記憶の端が、たしかに痛む気がして、目の前の寄り添ってくれるシュウに意識を向ける。
鬼は異変に気付いただが遅い。
ガリガリ扉を引掻こうともだぁれも招いてくれやしない。それどころか産まれたやや子は黒髪で、ミスタに似ているということは兄弟であるシュウにも似ている。
そうして、結界に阻まれ、日本の行事として妻と子に豆の礫で追い払われる。鬼は悲しみと憎悪を膨らませてより人外の姿に変わっていく。
さてはて、霊も長く現世にいると歪み、悪霊と化す。さすれば四百年余生きた鬼とて不思議ではない。
とどめを刺すのが情だとて、そう建前を掲げて、シュウは鬼を封じ込める。
あら?あらあら、後ろから見やるは妻の視線。
「シュウ……?それ、ヴォックス、だよね?なんで、あれ?俺なんでシュウの家で暮らしてるんだっけ、」
あゝ残念、ショックで術が解けてしまったようで。
「ミスタ」
にっこり笑ったつもりなのに、ミスタは何かに怯えて、後退る。あゝ残念。仕方ない。
式神が紫の炎を纏ってミスタを囲む。火に怯えるようにしてミスタは縮こまる。
その顔を両手で包み込んで、囁いた。
「次はどんな記憶がいいかなぁ」
□□□
シュウの瞳が、何故か脳裏に焼き付いている。
結婚して、あの子も産まれて安定している。安定しすぎていっそ不安定なくらい。夫のシュウは献身的だし、ミスタのことも労ってくれてる。
「どうしたの?ミスタ」
「あぁ、いや、なんでもないよ!ちょっとボーッとしてただけ」
不思議そうな顔をするシュウを誤魔化して。
目線を上げた。あの壁のタペストリー。いつからあるんだっけ、白地に、赤の椿が綺麗で、目を惹かれる。その下に飾られた重厚な剣も。
「アレって、いつからあるんだっけ?」
「ん〜?たしか日本旅行で買ったんじゃなかった?」
「そっか、」
しゅうの手が緩く、優しく、頭を撫でる。これにホッとするのに、どこかソワソワする。脳が警鐘を鳴らす。ひどく落ち着かなくなる。でもシュウは一貫して愛おしそうにこちらを見ている。
「何かあったらいつでも言ってね」
___次は、もう考えてあるからさ。
ばたん。
□余談□
因みに鬼の体は呪術的にもイロイロ使えるので切り売りしました。首から上だけ残してある。サロメみたいに持ち上げてきれいに笑ってほしいな。
ヴォックスのおかげでミスタのことを手に入れられたし、でも自分のものに手出しされたのは許せないからこうなってる。
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セクピスパロ
あの混乱とか興奮とかしちゃって魂現?獣の姿になっちゃって伸びちゃうの可愛いから👟に迫られた🦊が「オレの👟はそんなことしない!」ってきゅう、って伸びちゃったり。
あと斑類の慣習に納得行かなくて普通に反論してたら勘当された👟が遠縁の🦊ママに引き取られて義兄弟として🦊と育つんだけど、👟は斑類ってことを隠してるので🦊は知らなくて、バレないと思って寝てるときに、こっそりマーキングしてるのとか。
んで👟は登校後とか🦊と別れたあとにちょっと匂い嗅いで「んへへ、」って照れ照れ笑ってるほのぼの両思い見たい。
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やみにみたいかなんじでミスタにちびミスタ(式神)議事育児させ自己肯定感の向上を狙うシュウ、ミスタはそう成ったけだでもだんだん自分の代替品として扱ってることが苦しくなる。眼の前で破いてあたらしいので再生ってしてもイノチとして認識してしまうのに優しいんたまねって言ってあげて、食べさせてそれまで注いた愛情をまたすたにかんげんされせる。その後編に歪んじゃったみすたがシュウヲたべたがって、たべるとじゅりょかでマーキング出来るのでいいよーっていうはなさは、
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胎内回帰シュミ
呪力を都合のいい棒扱いしてしまうんだけど、胎内回帰願望を叶えられるのってシュウじゃない?
シュウの話なんだけど、オーバーサイズの服を着て、ありそうなのはミスタかな。ミスタを服の中にスポッと入れるんだよ。暗くて、シュウの体温と鼓動が聞こえて、まるまる。二人で添い寝みたいな体勢かなぁ。んで、そのまんまだと誰にでもできるんだけどここで呪力パイセンの出番なんスわ。
呪力でミスタの体ごと自分を包み込むみたいに覆う。そうすると呪力の内側と外側の境界みたいな、膜が生まれるじゃん。その状態でゆっくり撫でて、子守唄を歌ってあげる。いいこいいこ、かわいい子。いつでも戻っておいで、いつでも迎えてあげるからねって。まあ呪力は何時でも変換できる呪いの元みたいなものだから実際には悍ましいものなんだけど、ミスタはその中が一等安心して、微睡むことができるって。どれだけ気を張って、震えてても、この状態になると薬物のトリップ中みたいにふわふわして、力が全部抜けて、怖いものなんて何もなくなる、ここは安全地帯ってなる。
シュウは別にこれで落ち着くならって何も思ってないけどまあゆーて無償の愛よね。人に無償で何も思わず提供できる範囲が広すぎる。シュウにとってなんにも負担になってないことがミスタにもわかるから余計甘えやすい。兄弟パロのほうがいいかな、仄暗さ的に。
「呪いの中で微睡めるのはミスタくらいだよ」
んははって無邪気に笑うのみたいねぇ〜〜
シュウにとっては変換さえしなければ無害って言うのは確定してるけど、周りからすれば爆弾を持ってる人がスイッチにいつでも手をかけられる状態で僕が押さなきゃ大丈夫です!って言ってるようなもんだから、仕事関連の人は怯えるんだよね。身体接触もしないし依頼もできるだけ下っ端を挟む。対面すらしない。そして怯えられてるからこそ危うい仕事をしても殺されない。
だから少し寂しさとかもあって、なんとなくラクxmのみんなとのシェアルームでもグローブつけたまんまなの良い。素っ裸のスウェットの下に、体に、安心して頭を擦り寄せてきて脱力するのはミスタだけなんだよなぁ。ミスタにその自覚はないけど、その信頼と危機感のなさがシュウにとっての愛に繋がってるんだよな。
これ、他の人が話を聞いて試してみてもいいと思うけど、普通の場合遠慮したり、緊張したりするんだよな。まあダチに胎内回帰させてくれなんて言うもんじゃねぇしやるもんでもねぇから当然の事なんだけど。それをシュウは怯えとか恐れだと思っちゃうから。あーだよね。とはなる。だんだん慣れてきて力が抜けても、わかってくれたんだ〜とは思いつつミスタは初っ端からそうだからもう格別よ。って話〜。
お話として導入するなら兄弟への甘えとしてやなことがあったときとかシュウの部屋に逃げ込んできて無言で足の間にスポって入って腹に抱きついてくる。んでシュウは頭を撫でながら作業とかして。ミスタは辛いことの言語化が小さいときはできなくって、辛いことを話そうとすれば自分にとってこれは辛いことで耐えられないことで泣いてしまうけれど他の人はそこまで傷つかないのでは?みたいな小さな差異におびえてるし、「辛いことがあった」だけだと余計に大きいことだと勘違いされそうでいやで、黙ってウウウってなることしかできない。
シュウは聞いてこないし、無理に話しかけても来ないし、慰めてもこないけどただ黙って受け入れて、撫でて、ほっといてくれるから安心できる逃げ場所になってる感じ。
そんでそんなのを何年か続けて、やっとミスタが言語化できて、そんなに追い詰められなくともアーーーーーーーーやなことあったーくらいのちょいもやっ辺りで、適当にゆるゆるダラダラ愚痴を話しながらシュウのお腹に頭ぐりぐりしてて、ふと
「ミスタ、それ小さい時からの癖だよね。なんか理由でもあるの?」
聞いちゃう。ミスタも考えたことなかったけど頭はいいし名探偵なので自分の行動をパチパチ考えて一番納得の行く経路を話す。
「ん~~、甘えたかったのかも。こう、安全地帯で、誰にも見られなくて、閉じ籠もれるけど守られてる場所的なのが連想ゲームみたいに繋がったのが多分腹の中?胎内回帰願望に近いかも。意識してなかったけど、たぶん、ソレかな」
んでそれを聞いたシュウが目をパチクリさせて上を向いて考え込むから、ミスタもそりゃそうなるわな〜って弟が兄に胎内回帰願望もってたってそりゃキツイわ〜みたいな他人事みたいなテンションで見守ってる。引かれるとか拒否されるって考えは全く無い。信頼関係のある兄弟なので。理解と納得と感情は別ってわかってるから、理解できなくとも「そうなんだねー」くらいで済ませそうだなぁっておもってる。そもそも、ミスタが言語化出来るようになったのは最低限否定しないと信頼できるシュウが居たからってのもあるな。ミスタにとって辛かったことを理解できなくとも肯定してくれるから。理解者の味方にはなってくれなくとも共感と肯定をくれるから。
「ミスタ」
「ん〜?なに?」
「僕それできるかも」
「………はァ??」
んで始まる第一回胎内回帰。
思いついたら突き進んでくし、思いついたことを試さずにいられない理系だからやろうやろうってベッドにグイグイ引っ張って、コロンと寝かしてミスタを腹にくっつけて布団被って、布団の上から抱きしめて呪力で包む。んで「ミスタ、これどう?」って聞いてみるけどミスタは混乱しぱなしで、挙げ句になんかよくわからんけど隔たれた自分だけの空間ってのは感覚的に認知できるから何やわからないまんまシュウだしなぁ、って安心しててろてろに力抜いて安心したまんまぐりぐりして。
「……so good~」
って言うわけ。そっからちょっとずつ改善を重ねてくんだなぁ〜〜〜。ミスタは正直だし、シュウは向上心の塊だし、どんどん疑似胎内回帰のクオリティが上がってくんだな。
ミスタのオーバーサイズのパーカー借りてやったり、どっちかって言うと自分のにおいするのは落ち着かないからシュウのがいいってなって、ふたりしてあーだこーだシュウにとって着心地がよくってかつミスタが頭を突っ込みやすい伸びが良くて肌触りのいい部屋着を買いに言ったり、体温が安心するならって地肌に触れるようになった瞬間の話とか。
普段はシュウの肌に呪力が纏われてる。んで、それをミスタごと包み直す瞬間ってたぶん壁が取り払われてミスタが中に取り込まれる感覚と似てるんですよね。だから中に入った、戻ったって感じがする。場合によっては捕食されてる感じもするけどまあそこは信頼感のね。為せる技なわけですよ。
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起きたら首を絞められていた。
まあ、最近よくあることだったので、シュウは落ち着いていた。首元にまとわりつく指の感触はやはり少し息苦しいものの、窒息するほどじゃない。
それに彼の手は震えていたし、目からはボタボタと涙が溢れていたので、怯えるよりも先に心配が来るのだ。だからシュウはそっと手を伸ばして、彼の頬を手で包んだ。
「Hi ミスタ……、というよりリアスかな?今日はどうしたの?」
絶えず流れるその涙を親指で拭いながら掠れた声で問いかけた。
「おまえが、お前がいるせいで!おれは、おれはミスタに捨てられるんだ!お前のせいで!お前なんか!さっさといなくなればいいのにミスタは俺のだ!お前なんかにミスタはやらない!」
泣いているせいで声は震えていて、きっと怒っているのだろうけど、子供の癇癪のように可愛いものに見えた。
「ウ~ン、ミスタが君を捨てるなんてことありえないと思うけどなぁ。もし僕がそう頼んでも泣いて嫌がるだろうし、必死にリアスを守ると思う」
「うるさいうるさいうるさい!気休めを言うな!ミスタがお前を大事にしてるのはわかってるんだから!じゃなかったらとっくに殺せてる!ミスタは寝てるのに、寝てても、意識がなくても!お前の首を絞めようとすると力が入らなくなる!無駄に涙が溢れてくる!今までこんなことなかった!」
「わ~い僕愛されてる〜!」
「ふざけるな!ふざけるなふざけるな!」