ヴォミまとめ
記憶を失ったヴォックスに冷たい態度を取られたらメンタルぶっ壊れちゃうって避けてたミスタがヴォックスに見つかって「記憶にはないが、俺は君のことが大層大事だったらしい。話を聞かせてくれないか?」って優しく両手を繋がれて屈んで紳士的に話しかけられる。ミスタがパニックになったあと宥めるときの姿とよく似ていて一気に泣く。
んで記憶がないなりにイチャイチャしてミスタも安定してきたあたりで事件。
アイクと二人で会ってるのを目撃。何となく気まずくて隠れてしまう。聞き耳をたてずとも聞こえてくるヴォックスの声「いやはや、不思議なものだな。君ほどタイプな人には出会ったことがないのに、君にはマーキングがないんだ。君ともミスタともあった時期はそう変わらないのだろう?心底不思議だな、なぜ前の俺はミスタを選んだのだろう」
それ聞いてずたずたになるミスタ。やっぱ、俺じゃだめだったんだ、ホントはアイクが良かったんだ。やっぱりヴォックスは俺にいやいや付き合ってくれてただけでほんとは、ほんとは、
で泣きながら走って逃げる。
アイクが溜息をついて「それ、ミスタに聞かれたらどうするつもり?君一生後悔するよ。」って言おうとしたらヴォックスの瞳孔がきゅっと縮んでフレーメン反応起こした猫みたいにクワッとなって、鼻をすん、と鳴らした。
「ミスタが泣いてる」
荷物も全部おいたまま走り出すヴォックス。
呆気に取られるアイク。だんだんクスクス笑って、
「なんだ、とっくにわかってるんじゃないか」
ミスタがヒグヒグ家に帰って下手くそに泣いてたらドアベルがけたたましく鳴り響く。放っといてくれという気持ちで無視するとドアが壊れそうな勢いでガンガンガン!と叩かれる。怯えたミスタがより涙を溢れさせると音は更に激しくなる。
「ッ、だれだよ…!」
震える唇から息よりも小さい声が漏れた。
ドアの音が止む。
「あぁ、ミスタ、そこに居るんだな。開けてくれ、俺だ。ヴォックスだ。泣いているんだろう、どうしたんだ」
「ヴォックス……?」
扉をカリカリとひっかく音がする。
「そうだよ my boy. おまえの涙の匂いがしたんだ。この匂いは信じられないくらい胸を締め付けてくるんだ。早く君を慰めたい、お願いだから開けてくれないか。君を今すぐ抱き締めたいんだ」
甘い声と先程の発言が交互にミスタの頭を巡る。
「いいから、ほっといて、帰ってよ、俺は一人になりたいんだって」
扉を引っ掻く音が一瞬止む。
「ミスタ」
「帰れってば」
「ミスタ、開けてくれ」
ガリッッガリッッガリッッ
長い爪が扉を強く引っ掻く音が響く。
「だ、だでぃ……?」
「ミスタ、ミスタ、開けてくれ、話をしよう、気が狂いそうなんだ。側にいさせてくれ、拒絶しないでくれ」
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ヴォックスとミスタのドムサブユニバース絶対あるじゃん!!!!!アイクを入れて三角関係でも良き!!!あ~~~~~なんだ???パートナーだけの関係のアイク&ミスタで、ミスタがヴォックスに片思い、バース性も一致してるから「運命なんじゃないの」ってちょっと浮かれちゃうミスタ。段々とお互いに仲良くなっていくし、付き合うんだけど。
ロールプレイの掛け合いで離婚プレイとかアイク巻き込みプレイをしてるから(もちろん冗談だけど)なんとなくバース性的にはすべてを明け渡すくらいに信頼はできなくて付き合う前〜今に至るまでスペースに入ることができなくて「最初だし慣れてないのかな」って思ってたヴォックスも段々と不安になって疑心暗鬼になってくる。んで不安の残るプレイをお互いにするから不完全なものになって、ついにミスタが体調を崩す。(ヴォックスは鬼だから打たれ強い、が普通に削れてはきてる。ミスタのが早かっただけ)
そこで前回プレイだけのパートナーだったアイクがケアをするんだけど、スペースに入って、心底安心したみたいな顔で甘えるから、ヴォックスがディフェンス起こしちゃう。「俺のサブだぞ!!!!」つてGlareぶつけて、流石に鬼だから強くてアイクも抑え込まれちゃう。んでスペースに入ってたミスタは急にGlareをぶつけられて混乱、サブドロップを起こす。落差もあってパニック状態に。
そこでヴォックスも正気に戻って、自分がドロップさせたことに気付いて自己嫌悪に陥る。
「、すまなかった。ミスタを頼む。」
っていってフラフラ部屋を出ていく。
も~~ほんとに何なんだ!巻き込まないでくれ!
って思いながらお人好しだからミスタのケアをして、落ち着いた所で事情聴取。
「うーん、ミスタが不安になるのもわかるけど、ヴォックスも不安だったと思うよ。特にsubに信頼されてないってdomとしては名折れだからね。いくら飄々としてるヴォックスでも悩んだんじゃないかな。」
二人は色々考えすぎだよ。あれは付き合う前からやってたロールプレイだろうに。僕はいつも巻き込まれてるだけ、ポケモンの枕としか寝たくないし、プレイするのもグループ内が楽だからだし。
とりあえずゆっくり話してきなよ。それで全部うまくいくから。
って落ち込んで閉じこもってるヴォックスの部屋に行くミスタ。
「ya、ヴォックス、ごめんね、迷惑かけて。」
「………いや、ミスタ、お前は何も悪くない。アイクが居てくれて良かった。俺はdom失格だ。お前をドロップさせてしまった。これじゃ信頼されないのも仕方ない」
自嘲するヴォックスが可愛くて可愛くてこんなに大事にしてくれてたのに俺は変なこと考えてた。ってやっと実感するミスタ。
「ヴォックス!ごめんね、本当にごめん!俺が悪かったよ!ロールプレイで俺を振ってアイクにデレデレしてるのに妬いてたんだ!それでモヤモヤしてプレイに集中出来なかったんだ、ヴォックスのせいじゃない!」
バッと顔を上げてミスタの肩を掴む
「はっ、?それはこっちの台詞だぞミスタ!ただでさえ前までアイクとプレイしてたのに頼るのはアイクじゃないか、だから俺はいつ盗られるかヒヤヒヤしてたんだ!俺とのプレイは上の空だから余計にだ!」
数秒の沈黙の後おかしそうに笑い出す二人。
「同じ相手に見当違いな嫉妬してたんだな」
「アイクは巻き込まないでくれって言ってたよ」
「ほんとに悪いことをした」
「ふふふ、」
みたいな。その後アイクが配信で『なんか疲れてる?』って言われて
「ああ、うん、そうだね。バカップルの喧嘩に巻き込まれてたんだ。それで疲れてるのかも。」
みたいなのがあって、後日アイクになんかお礼しに行く二人。
みたいなのをざっと考えてた。
長い!!!!!!!!!!!!!
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鬼の生は長くて、今まで何度も人を愛したし、見送ったし、それでも時間が傷を癒やして、また人を愛せたし。だからミスタを愛したときも、彼の人生いっぱいいっぱいまで最大限の愛を注ごうと決めていた。そこに悲観はなかった。それは本当だったのに。彼を抱きしめて寝るのが好きだった。彼の体温が好きだった。彼の声が好きだった。彼の笑顔が好きだった。あぁ、忘れていた。そうだった。愛するものを失うのは心が引きちぎれるほど悲しくて、過ぎ去ることはわかっていてもその時間が果てしなく長く感じる。彼のことをずっと覚えて抱えていたいのに、あまりにも辛すぎて今すぐ忘れてしまいたくもなる。あと何年で忘れてしまうのだろう。あと何年で忘れられるのだろう。この傷が愛おしいのに辛くて堪らない。日本では49日で魂があの世へ行くらしいけれど、私の心にはミスタが染み付いて離れない。死んでしまいそうなくらいギュウギュウと締め付けてくるのに、決して殺しはしてくれない。ミスタに会いに行かせてくれない。鬼の身体を呪うしかない。焦がれて、力の制御もうまく行かずに引っ掻いたシーツが引き裂かれても、もがくことをやめられない。ああ、いっそ愛さなければよかったのにと思ってしまうほど、苦しくてつらい。楽しい思い出が輝くほどに、彼を思い出すほどに、憎くなる。なぜ私を置いていく。頼むから、置いていかないでくれ。泣き叫んで、縋り付いたっていい、どんなに情けない姿になってでも、ずっと側にいてくれるならそれでいい。たのむ、みすた、一人にしないでくれ。金色の瞳からポロポロと涙が溢れる。牙のある口から嗚咽が溢れて、雨の日も、雪の日も、晴れの日も風の日も、嵐の日も、昼も、夜も、朝も、ひたすら墓にすがりついていた。一ヶ月が経ってもニヶ月が経っても三ヶ月が経っても、半年が過ぎても、四季が巡ろうとも、涙は止まらなかった。両手の指を超える年を経ても未だに夢に思い、起きては絶望した。取り繕う余裕もなく、余りにも変わらず居るものだから、街中の話題になっても、国中の話題になっても世界中の話題になっても、頭の中にはミスタしか居なかった。ひとりぽっちになってしまった鬼が、いまだにわんわん泣いている。
彼はあの世でごめんねって泣いていた。彼だって置いて行きたくなかった。でも慣れていると、平気そうに言っていたから惜しみながらも安堵で命を終えた。死んでから初めて彼の愛を思い知った。魂のまま彼をずっとずっと抱きしめて、なんどもキスを落とした。どうか泣き止んでくれとどうか忘れてくれともういいから苦しまないでといっそ嫌いになってもいいからと泣きながら縋り付いた。それでも魂はあの世に行かねばならなくて、死後すら側にいられない自分を呪った。それからもずぅっとずぅっと上から届きもしない手を伸ばして、涙を拭おうとしてしまう。彼だって愛していたのだ。愛しているから死ねないのだ。お互いに見えないまま、いまだに愛し合っているのだ。苦しみながら、憎みながら、愛しながら、泣いているのだ。二人がそれを終わらせるまで、泣き止む日は来ないのだ。いつだって、終わりには時間がかかるものだから。
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ヴォックスは複数愛者で、同時に何人もの人を愛するセクシャリティらしい。そしてヴォックスの複数いる恋人の一人が俺。
俺は唯一に浸りすぎるのが怖くて、恋愛もまともにできなかった。ヴォックスがルームシェアしてから複数の人物とデートを重ねている話を聞いて、これなら逃げ出したくならないのではと志願したわけである。
斯くしてミスタはヴォックスの恋人(の一員)となり、複数人の一人ということで愛される不安もなく、今までの人生で一番幸福度の高い生活を送っていたのだが。
人ってのは無い物ねだりらしい。
一人と付き合えば愛される資格がないと恐れ、怯え、俺なんかがこの人を独占していいのだろうかと思考が止まらず別れを切り出した。
ヴォックスと付き合えば素敵な人を分けてもらってる、お溢れで幸せになってる、身の丈にあった愛をもらえる幸福感があるのに、もっともっとと強請る欲が増してくる。
今だってそうだ。二人っきりで寄り添って映画を見てるのに、ヴォックスのスマホはピカピカ光って通知を訴えている。最初はバイブレーションの通知だったのを(俺が付き合う前からヴォックスのスマホはひっきりなしに鳴っていた)俺が嫌がるから設定を変えてくれた。なのに俺は他の誰かがヴォックスを呼んでいるのかも、なにか緊急の連絡でそれを見たら俺をほっぽりだして何処かに駆けていってしまうのではと気が散るのだ。
おはようのチューで起こされて、頭を撫でられながら体を引き起こされる。いい匂いがして朝食も用意してくれる。抱き締めて、愛してると言ってくれる。微笑んでくれる。一番になったらきっと耐えられないのに、一番になりたいときゃんきゃん鳴く心が煩かった。
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ヴォックスは愛しの恋人が不機嫌そうにスマホを見つめている事に気が付いていた。
ミスタが見たいと言い出した映画なのに、気もそぞろにヴォックスのスマホを見つめているのをずっとずっと眺めていたのだ。
あぁ、なんて可愛らしい嫉妬なのだろう。ミスタは知る由もないが、ヴォックスの恋人はただ一人、隣の彼だけなのである。
しかしまぁ彼は愛情に飢えながら愛情に酷く怯えるからこうしてヴォックスが調節しているわけである。人外の身であるヴォックスの気は長い。
このまま飢えて、飢えて、この子がどうしょうもなく欲しがったときに少しだけ与えてやるのだ。それを繰り返せばいつかすべてを受け入れる日が来るだろう。だから今はこの可愛い小狐の嫉妬をただ見守るのだ。
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子狐は、鬼と添い遂げたいと、言いました。
鬼は、それを、叶えてやろうと思いました。
方法はありました。しかし、成功するかは五分五分です。なので、それを正直に伝えました。
が、子狐も引きません。小生意気に、
「一人ぼっちなんて寂しいだろ、俺が一緒にいてあげる」と笑うのです。残念ながら、後ろに隠した手が震えていましたが。鬼は子狐の意志を尊重することにしました。
「こわいぞ?」「平気だよ、ダディが居る!」
「つらいぞ?」「ダディもでしょ、一緒に泣こう」
鬼はくちをかぱりとあけて、子狐を少しずつ、バリバリむしゃむしゃ、とよくかんで食べました。
鬼は満足そうにおなかをなでて、
「ずっといっしょにいような」
といいました。
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あ、食われる、と思った。
ヴォックスは俺より身長が少し高い程度で巨人とかじゃないし、俺を丸呑みになんて出来るはずないのに、ただ、そう思った。背中も足も、というか全身、凍り付いたような感じがした。体感ではそうなのだが、現実には俺の体はガクガク震えていて、いつの間にか床に座り込んでいた。
ヴォックスが近付いてくる度に電流が走ったみたいに足がびくりとはねた。身体はうまく動かなくて、逃げることは敵わなかったけれど。
ヴォックスに足を掴まれて、人外の力で宙吊りにされる。靴を億劫そうに脱がされた。
口が、ゆっくり開くのが見えた、体がビクビクと跳ねている。逃げる事は敵わない、ああ、でも、ヴォックスになら、食べられるのも悪くないかも。
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人間を人外にする方法、ヴォックスが知るのはただ一つであった。
人間を丁寧に咀嚼して飲み込む、そうすると、腹の中でどろどろに溶けて、それで、人外の力、妖力とでも言うのだろうか。それをじっくり、じっくり、じっくりと注ぎ続けると、また腹の中で作り直されるのだ。
ヴォックスはこのとき、子を身篭った母のようであり、芋虫を変体させる蛹であり、ただの人食い鬼でもあった。
ヴォックスとしては上手くいかずにそのまま吸収されようと、うまく作れなくて異形になろうとも、上手くできて人外として生まれ直そうとも、どれでも良かった。
かわいい小狐を丸々食べてしまえただけで満足であった。他でもない自分が子狐の最期となったのが途轍もなく幸福であった。
「かわいいミスタ、元気でな、」
これがお別れの言葉なのか、それとも待ち侘びる言葉なのかは鬼しか知らない。
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仕事中以外ヴォックスに飼われているミスタは配信中はあんなに快活なのに一度配信が終われば四つん這いで移動して、首輪をつけて、お座りをして、人語も話さず、床に置かれた皿から水や食べ物を食べる。頭を撫でられて尻尾を振る愛玩動物へ早変わりなんだなぁ。
この場合ヴォックスが配信中でも自分の配信が終わったら首輪咥えて四つん這いで着けてもらいに行く。ヴォックスは「少し待ってくれ」ってミュートにして首輪をつけてあげる。ちょっと撫でて再開。
配信で触れるとしたら「可愛いドギーが来てね、可愛がってたんだ」とか。
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ぼんやりした顔でヴォックスの足元に座っているアイクを見ながら、ミスタは差し出された薬をなんの抵抗もなく飲み込んだ。
ミスタは全部覚えていたし、わかっていた。
アイクは考えるのが出来ないようになってる(ヴォックスがそうした)からいつもぼんやりしている。たまに合う虚ろな瞳に、傷口が膿んだような、そういう感触を思い出す。
なんで、ふつーに幸せになれないんだろうなぁ。
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全く経緯がわからない。そう言われそうなほど生活習慣も職業も、全く共通点がない、共同生活に向かないであろうミスタとアイクは不思議なことに同居していた。
全く共通点がないように思える二人には「考え事がやめられない」という共通点があり、その点においては最大の理解者であり、最大の共感者であった。
考え事、思考には肺活量がいる。潜って潜って潜って、思索に耽ける。それは一定まで潜ると深海のように何もわからず、何も見えず、闇に包まれ、精神を削るようになる。そこで止まるか、息継ぎをしにいくのがフツウだか、二人においてはゴボゴボと泡を吐き出しながらひたすら潜るのだ。
削られ、削られ、ボロボロになり、発狂するまで、思考が止められない。
ミスタは自己採点に基づく過去の反省会がやめられなかったし、そこから始まる自己嫌悪と自己否定がずっと続いて暴れまわる。
アイクはすべてを理解せずに執筆することに強い抵抗感があり、一から十まで自分で理解して書かないと気がすまず、どう考えても時間が足りない、一つ極めるには人生は短く、なにもしないのには長すぎる、そういった言葉があるが、アイクは一行しかない表現の正否を問うため莫大な資料をもとに知識を詰め込んていく。時間がいくらあっても足りない。しかし締切はある。だからアイクはいつも締切が近づくとボタボタ泣きながら暴れた。
調べないと書きたくない。しかし調べるには時間が足りず、そしてアイクは書かずにはいられない。だから書き続けるしかなく、しかしそうすると調べることが増える、そして調べるには、、、と無限ループが続く。アイクにとって物書きは呼吸に等しいものであるようで、書かなければ生きていけないようだった。
だから結局妥協せざるを得ず、それを世に出すことに酷くショックを受けるのだ。
□□
ミスタは毎朝きっかり出されるこの薬が何錠であるかや、効能に全く興味がなかった。ミスタはいつもどおりすべてを水で流し込み、ちろりとヴォックスを見た。よく飲めたな。とホッとした顔で迎えられる。これが毒だろうが薬だろうがどうでも良かった。でも、ミスタはこれを飲むと(これの効果なのかはしらない)トンと考え事が出来なくなるので落ち込むこともなくて、ただ単にヴォックスのペットをしてりゃ良くなるので楽だった。
アイクはもっと酷かったから、俺よりももっと考え事が出来なくなってるみたいで、目があっても人形みたいにぼんやりしていて、アイクはアイクじゃなくなったんだな、ってうっすら思う。
ヴォックスは俺たちから思考を取り外ししてくれて、それは救いでもあり、俺たちの死でもあるんだと思った。だって、抜け殻みたいになってる今が正しい生き方だとは到底思えなかったし。でも、正しい生き方なんてもの、一部の選ばれた真人間しか熟せない。他の奴らはのたうち回りながらそれを熟そうとする他ない。俺たちはもっと不器用だったから、余計に。
こんな、ぜろかひゃくじゃなくて、ふつーに生きたかったな。
「ミスタ」
ああ、脳みそを使いすぎたみたいだ。
ぺたんと床に座って、アイクの居ない方の足へ抱きつくように、体を預けた。
さりさりと地肌が掻き分けられて、あたまを撫でられる。思考をやめれば、褒めてもらえる。
柔らかい微睡みが迫ってくる。とろりとろりと瞬きが遅くなる。
ぼやけた視界で、アイクと目があった気がした。
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妄想感傷代償連盟
ヴォミでもいいな。
何度目かの曖昧な関係性でのお家デートでぽろっと言っちゃったあとにキョトンとしたヴォックスの顔を見て慌てて帰るやつ。アイクが好きなことは知ってるけど、って。でもいつまで続けられるんだろうって布団で丸くなる。そんでアイクの顔に生まれ変わりたいなぁ、あぁってね。
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セクピスパロ
ショタ🦊に「おまじない」って言って毎朝顔射して塗りつけるダディ👹
お隣さんの青年🖋、🦊を毎朝ナデナデして送り出してあげるけど🦊が角を曲がった途端にいやそ〜な顔して「そろそろ辞めたら?ロリコン爺」とかやいのやいの言ってるし👹は🦊のこと娶る気満々だけど🖋のことも好きなのでふたりとも囲い込もうとしてる。
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人外だから好きになっちゃいけない、って自制してる👹(全然自制出来てない)と👹はアイクのことが好きなんだからこんなことしてちゃ駄目なのにって思いつつセフレを断れない🦊によるお互い悲嘆に暮れてるけど普通にずっとベタベタしてるしお前に思われてるやつが心底羨ましい、みたいな顔しながらお互いにベタベタ離れないからお前らさっさとくっつけよ馬鹿……みてるこっちが飽き飽きしてきた……しんど……みたいな扱いされてる👹🦊
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ヴォックスとミスタは博愛主義と愛されたがり、浮気性に寂しがり屋、どう考えても相性最悪であろうにお互いの見た目と内面に惚れてなんやかんやイザコザありつつラクシエム全員を巻き込んだ紆余曲折をどうにか乗り越え両思いのバカップルとして爆誕したのだが。
マァ相性は最悪であるがゆえに、問題が発生した。
わかりきった結果である。
きっかけといえばミスタが純粋なことになんとも初心なことにヴォックスとのデートの日を心待ちにしていた所から始まる。なんともいじらしいことに、ヴォックスとのデートの日が決まると、リビングに置いてあるカレンダーにハートマークの印をつけたのだ。赤いペンでグリグリと大きくマークを描いて、なんとも可愛いことにそれが目に入るたびににこにこ照れ照れしていた。
だのに、歳だけとってまったくのわからず屋であるヴォックスは「あれま、この子ったら今日楽しみな予定があったんじゃないか、ソッチを優先しなさい」とお家に来た瞬間踵を返して帰っていた。
お前じゃあるまいにミスタは一途な良い子なのでハートマークをつける相手はヴォックスだけなのである。そんで、ミスタはしばらく呆然としてその後寂しくなってちょいと泣いたあとにシュウにくすんくすん電話をかけた。ミスタは自分から追っかけるなんてことできないのである。ひどく臆病なので。
いつもだったらシュウに電話をかけることも出来ないはずだが、よほどショックだったらしい。
そんで哀れに思ったシュウがプライバシーガン無視で不思議な呪術パワーを使ってヴォックスの居場所を突き止めてくれた。
「君とのデートをすっごく楽しみにしてたんだよ、って好きな子から言われて喜ばない男なんて居ないよ」と後押しまでしてくれて、ミスタは少し赤くなった瞳を抱えてヴォックスのもとへとちまちま走っていった。
そこで見たものと言えば、バインバインのナイスバディを持つお姉さんとデートしているあの野郎であった。代わり見つけるのが早くないか?どう考えても。キープ多すぎるだろうが。
しょうがないのでショック通り過ぎてチベスナ顔になった狐くんはアイクに電話をした。
クラスの中で結託した女子よりも悪口で盛り上がったあと、死ぬほど男前な声で「OK任せてミスタ敵は僕が取ってあげる」といった。絶対にアイクを好きになったほうが幸せになれるな、コリャ。と思った。
アイクはさっさとルカに連絡を取ってチャーター機を用意してもらって爆速で飛ばしてもらってスウェーデンからイギリスへと降り立った。なんか知らんが三十分で着いた。マフィアってすごい。
そんでシュウのプライバシーガン無視呪術を使ってヴォックスの元へ行き、バインバインの美女をさっさと掠め取った。ヴォックスはアイクを見た瞬間花も綻ぶような笑顔になり、何度も話しかけていたが一瞥もくれずにアイクはおっぱいに夢中だった。当初の計画ではヴォックスにしなだれかかって路地裏に連れ込みタマを潰す筈だったのに。まあアイクもいっぱしの男の子なので仕方ない。
しかし顔もいいし英語もうまいし可愛いしカッコいい男なので美女も靡いた。不細工には一生出来ない所業である。
さてはてアイクに全く相手にされず、美女までとられたヴォックスは段々項垂れて、カッコいいお顔が台無しにしわくちゃの顔をした。ミスタはそれを見てかわゆく思ってしまったので惚れたほうが負けとはこのことだな、と思った。
しょうがないので、てちてちヴォックスに近づいて
「ダディ、俺ね、今日のデート一週間ずうっと楽しみにしてたんだよ。だからあんなにデッカイハートマークつけてたわけ。なのに何も聞かずに帰っちゃうなんてすっごく寂しかったんだけど、責任とってよ」
とぎうぎう抱きつきながらグリグリ頭を押し付けて言った。可愛さの致死量である。
ヴォックスは萎びていたところにあんまりにもかわいい健気な狐が来てくれたのでメロメロになっちまった。そんで二人で喜び勇んでお家に帰ってネットフリックス&チル、いわゆるベッドインで終了ってわけ。おしまい。
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かわたんで落とした新刊
「こンの浮気者!」
何度目か、兎にも角にも両の手では足りないほどの回数、同じ光景。ミスタはワナワナと身体を震わせて、ヴォックスに詰め寄った。いっそ頬を引っ叩いてやろうと胸ぐらを掴んで、ふと、堪忍袋の緒が切れるとは此のことだろうか。怒りは収まらないものの頭が冷えていく。
「もーいい、諦めてやる、諦めてやるよ」
据わった目で深いため息を吐く。
ヴォックスと一緒にいたセクシーな女の子がオロオロと戸惑っているのが見えて、にっこりと笑顔を向けた。女の子に罪はない。そこの素知らぬ振りを貫いている男は別として。
「ごめんな?デートの邪魔して」
スルリと艷やかな髪を撫でる。女の子はちょっぴりドキドキして、ミスタをジッと見つめた。ミスタもヴォックス負けず劣らずいい男だった。
そして、恋する者は等しく魅力的なものなので。
その少し影のある微笑みはときめきを感じさせるにはうってつけだった。
「やぁ、ミスタ。ご機嫌いかがかな」
「わかりきったこと聞いてんじゃねぇよ」
ヴォックスはいつだってそうだ。ミスタが泣こうが怒ろうが恋人だろうが何一つ響いちゃいない。
また怒りが再燃しそうになって、噛み殺す。
その代わりに分かりきった問いを投げかける。
「なぁヴォックス、オレの事好き?」
「もちろん好きだよ、ミスタ」
予想通りの答えにハッと鼻を鳴らして、掴んだ胸ぐらを引き寄せて、勢いよくキスをする。
俺に好きって言ったその口でまた他のヤツにもおんなじ事言うんだろうが。その答えに喜んでしまうのも、胸クソ悪い。
前歯がぶつかって、血の味がする酷いキスだった。
ヴォックスは少し驚いた顔をしたものの機嫌よくキスに応じる。目は閉じなかった。睨みつけたまま舌を絡めて、吸って、下唇を噛んで離れる。
何回お前が浮気したって、他のやつに愛を囁いたってきっとオレはヴォックスのことが好きだ。
上等だよ色男、ぜってぇ振り向かせてやる。
ミスタは静かに覚悟を決めて、くるりと踵を返した。腹を括った男が一番強いのである。
□□□
さて、まずは依存からの脱却である。ミスタはADHDの傾向も含め、生活能力が少し低めだった。
そして最たる例としてミスタが振る舞った料理でヴォックスが腹を壊したことは記憶に新しくない。
そんなこんなでそこまで離れてもいないヴォックスの家に呼ばれては、飯をご馳走になり、ゆったりと時間を過ごす。
この流れを繰り返して、いつの間にやら半同棲のようになっていた。生活に必要な物はヴォックスの家に当たり前のように用意されていたり、増えたりと。そして同じ家にいれば世話を焼かれるし、きっと接すれば接するほど覚悟が緩んでしまう。
だってアイツは甘やかすのが上手すぎる。
だから出ていくことにした。もとから正式な同棲な訳でもない。ただミスタが入り浸っていただけだ。適当なエコバッグとゴミ袋を出して、片っ端から私物を回収して、要らないものはゴミ袋へ入れいく。流石に大きいものはそこまで持ち込んでいなかったようでホッとした。生活用品やらパジャマやらアクセ、スキンケア用品がこの家にあることが、かなり不味いのだが、もう出ていくので気にしないことにする。
久しぶりに帰ってきた家は少し埃っぽくなっていて、どこか他人行儀になっていた。自分の家に帰ってきたはずなのにそこまでの落ち着きはなく、自分の中での家があちらになりかけているのを感じてから笑いをこぼす。慣れない片付けやらで疲れたミスタは少し湿度を含んだ、寝心地の悪いベッドで眠りについた。嫌なことに独り寝の寂しさには慣れていた。
□□□
啖呵を切ってからとくにヴォックスとは連絡を取っていない。家を出たことについてもノーリアクションだった。そんで、買い物行ったらコレかよ。
「アイク、ほんとに君は素晴らしいよ」
「あぁそう、別に口説き文句に興味はないからさっさと帰ったら?」
カフェテリアでパソコンを開き恐らく原稿をやっているアイクと、正面に座りにこにことした笑顔で甘やかに言葉を紡ぐヴォックス。アイクは完全に無視を決め込んでいる。
見慣れてっけどさぁ、やっぱクるもんがあるよな。
痛みを誤魔化すみたいに浅く息を吐いて目を逸らして、振り払うように早足で立ち去った。
その夜、アイクからDiscordで電話がかかってきた。
「hi アイク、どうしたの?」
「hi,ミスタ。いや大した事じゃないんだけど、今日の昼間××通りのカフェテリア近くにいた」
「ア~、うん。アイクとヴォックスが居るとこを見かけたよ。買い物の後だったからそのまま帰ったけど」
「声掛けてこないの珍しいな、と思って。しかもどうせ一緒の家に帰るんだし、ヴォックスを回収してくれれば良かったのに」
あ、そっか。アイクはオレがヴォックスの家から出てったことを知らないんだ。というか、ヴォックスも話さなかったんだ。ちょっとムッとしてため息をついた。
「……ヴォックスと喧嘩でもした?」
何かを感じ取ったらしいアイクが声のトーンを抑える。その気遣いがくすぐったくて、やっぱり一人で抱えるには無理があったから、甘えたくなった。
「ビデオ通話に切り替えようぜ、そんで酒でも飲みながらさ、話していい?」
シラフじゃこのヘラった思考は余りにもイタいから、酒の力を借りるに限る。アイクは嬉しそうな声音で、「もちろん!」と言った。
□□□
「___ってワケ」
ヴォックスはアイクを好んでおり、アイクは芯を持っていて揺らがない。ミスタは芯をヴォックスに預けていて依存気味である。では、まず依存から脱却しなくてはならない。言うなれば自立である。
しかし、そう上手く行くわけでもなく。
ミスタが出ていこうがヴォックスは揺らがず、それどころか相変わらずアイクを口説いている始末。暖簾に腕押し、凹むものは凹む。
「なんだか、ええと、ごめんね、ミスタ……」
気まずそうに言葉を選ぶアイクに力なく手を振った。
「んや、アイクは悪くないよ。全然、まったくね」
酒を舐めるようにして飲んで、喉を焼く。少しぼんやりとした頭で、探偵の性というか行動と心理を予測してしまう。
「アイツさ、支配者気質なんだよな。もとより、なんつーの?上位種族だか、領主だったか知んね〜ケド」
「たぶん、ナメられてんだよ。」
ガキの反抗期とおんなじくらいに思ってるんだと思う。で、アイクとかシュウとか、上手く自分の支配下に入らないヤツが珍しくて面白くて、惹かれてるんだと思う。
「マ、オレとは真逆なわけ。速攻でオチたし」
アイクは困った顔をして、酒をチビチビと飲む。
「あ~あ、なんでヴォックスなんか好きになっちまったんだろう」
そんなことを言いながらミスタの口はムニムニ弧を描いていた。アイクはなんだか強烈な惚気を聞かされているような気分になって少々頬を染めながら目を逸らした。恋っていいなぁ、と思いながら。
□□□
「よう、ルカ」
「ミスタ!久しぶり!」
ひらひらと手を振ると大型犬が尻尾を振っているみたいに喜色満面でルカが駆け寄ってくる。勢いよく
抱きしめられて、満更でもなくワシャワシャと撫で回した。この明るさが眩しいときもあったけれど、今では面映ゆいものの少しずつ受け入れられるようになった。
二人でのんびりと公園を歩きながらポツポツと近況を話して、ルカが思いついたように言う。
「ミスタ、なんか明るくなったよ」
「そうか?全然変わってねぇと思うケドなぁ」
「変わったよ!」
ルカはきっぱりと言い張る。その目はいつになく真剣だった。気圧されるように黙る。このゴールデンレトリバーのように無害な男は、時に人を黙らせる雰囲気がある。
「だってさ、ミスタ、前までならオレがどうやって誘ったって、外になんか出てこなかったもん。ましてや『散歩しながら喋ろう』なんてさ、」
前までならきっとDiscordで十分だって言ってたと思うよ。だから、変わったよ。
どこかホッとした顔で太陽のようにニッカリ笑うルカにつられて吹き出した。
「そーかよ、」
「うん」
確かに、環境的には変化があった。と言っても生活のほぼ全てに関わっていたヴォックスと少し距離をおいただけだ。自分では何か変えられたような実感は無い。それでも、ルカが変わったと真剣に言うのだから、少しは変われたのだと思えた。
「ルカ、ありがとな」
「どういたしまして!!」
POG!なんて口癖とともにやっぱりルカは太陽みたいに笑った。
□□□
なんだかんだ、ヴォックスから離れて自立を目指したことはミスタにも良い影響を与えていた。
もとより溜め込みがちで甘えベタだった性質が、ヴォックスに頼るまいと他のメンバーに相談し、酒を飲みながら愚痴を喋ることによってハードルが下がり依存先が分散された。
魅力的であろうとジムやら普段の運動量と外出が増え、そうなると消費カロリーも増えるものだからヴォックスが居なくたって飯を3食食べるようになった。
さらにどうせ3食食べるのならば、と惣菜やスーパー、外食に頼りつつも適度にバランスを考えるようになって、まぁ、みるみると心身共に健康体になったわけである。劇的ビフォーアフターだった。
そして肝心のヴォックスとの関係と言えば___
「ン"」
「どうしたんだい、ぼうや」
クツクツと喉で堪えるように笑う。
頭をヴォックスの肩に預けてグリグリと擦り付ける、ミスタなりの『撫でろ』の合図であった。
「随分甘えたじゃないの、」
ア~、この脳みそまで砂糖が染み込むみてぇな感覚、ひっさしぶりだなぁ、なんて考えながらクシクシ撫でてくれる大きな手に擦り寄り。
「甘えてンの、甘やかせよ」
ビイ玉みたいに澄んだ瞳を向けて上手にオネダリをした。甘えベタだった子狐はどこへやら、素直な態度にヴォックスは内心舌を巻いた。
頭を少し強めにワシワシ撫でてやるとミスタは気持ちよさそうに目を細めた。
mysta:ヴォックス、明日お前んち行っていい?
vox:もちろんだとも、ボウヤ。いつでもおいで。
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かわたんの新刊のプロット
冒頭
何度目か、兎にも角にも両手では足りないほどの数
俺に好きって言ったその口でまた他のヤツにもおんなじ事言うんだろうが。上等だよ色男、ぜってぇ振り向かせてやる。
って噛みつくようにキスをするヴォミの話書きたいんだよな。
ミスタはヴォックスと出会い、熱烈に恋に落ち、付き合い、メンブレを繰り返した。両手を超えるほどのメンブレを繰り返した後に泣き腫らした目を拭って、据わった目で啖呵を切った。
「この浮気者、もーいい、あきらめてやんよ。ぜってぇ一途にしてやるからな」
そんでヴォックスの胸ぐらをひっつかんで噛みつくようにキスをした。鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くしたヴォックスを睨めつけたまま、深く、舌を絡めて。
「首長くして待ってろよ、色男!」
ミスタの戦いはここから始まったのである。
序盤
ヴォックスが好きなのはアイクであり、アイクは芯を持っていて揺らがない。ミスタは芯をヴォックスに預けていて依存気味である。では、まず依存から脱却しなくてはならない。
しかし、そう上手く行くわけでもなく。
「なんだか、ええと、ごめんね、ミスタ……」
気まずそうに言葉を選ぶアイクに力なく手を振った。
「んや、アイクは悪くないよ。全然、まったくね」
ヴォックスからの自立を目指すと引き止めもせずヴォックスはあっけなくミスタを見送った。
ほぼ半同棲のようになっていたヴォックスの家から埃を被った我が家に戻り、生活をする。もとより器用な質ではなかったから料理に洗濯、ただの日常生活でもミスタは手こずった。
「アイツさ、支配者気質なんだよな。もとより、なんつーの?上位種族だか、領主だったか知んね〜ケド」
「たぶん、ナメられてんだよ。」
ガキの反抗期とおんなじくらいに思ってるんだと思う。で、アイクとかシュウとか、上手く自分の支配下に入らないヤツが珍しくて面白くて、惹かれてるんだと思う。
「マ、オレとは真逆なわけ。速攻でオチたし」
アイクは困った顔をして、酒をチビチビと飲む。
中盤
シュウとバーで飲んだくれて話す
「ア"ーーー」
「んはは、苦戦してるね」
「ん、やっぱこう、あいつに依存してたんだなって改めて痛感したわ」
シュウの柔らかい相槌に甘えてべらべらと喋る。
「なんか、ふとした瞬間にあいつのこと考えるんだよね」
服も、靴も、ネイルも、ちょっとした仕草でも、アイツのことが思い浮かんで、その度にやっぱ幸せなんだよな。
「その依存をさぁ、自分から突き放すのってむじぃよ」
話を聞いていたシュウがこらえきれないようにクスクス笑い出す。ミスタがハテナを飛ばしていると、目尻に浮かんだ涙を拭って、やっとこさ説明をした。
「だってミスタ。それは依存じゃなくて恋だよ。ミスタは冷静に恋をしようとしてるんだよ!恋は冷静にするものじゃないのに!だからおかしくってさ」
シュウの言葉をゆっくりと噛み砕いたミスタは反射的に叫んだ。
「ウワ!!!!」
徐々に顔を真っ赤に染めて、机に伏せる。くぐもった声でポツリと、マジじゃん、と呟いて。
「オレってヴォックスのこと呆れるくらい好きなんだな」
「愛だね」
「ハズ、この話題やめてい?」
「やだよ、盛大な惚気を聞かされたんだから」
ウーウー唸り声を上げるミスタにシュウは追撃をする。
「いつでもあの人のことを考えて、思い浮かべて、それだけで嬉しくなっちゃう、って少女漫画だね」
「マジでハズい、マジで忘れて」
「やだ」
「おっちゃん!ウイスキージョッキで頂戴!!!!!!」
ミスタは記憶を飛ばすことにした。恥諸共酒で流し込む。
後半
なんだかんだ、ヴォックスから離れて自立を目指したことはミスタにも良い影響を与えていた。
もとより溜め込みがちで甘えベタだった性質が、ヴォックスに頼るまいと他のメンバーに相談し、酒を飲みながら愚痴を喋ることによってハードルが下がり依存先が分散された。
魅力的であろうとジムやら普段の運動量と外出が増え、そうなると消費カロリーも増えるものだからヴォックスが居なくたって飯を3食食べるようになった。
さらにどうせ3食食べるのならば、と惣菜やスーパー外食に頼りつつも適度にバランスを考えるようになって、まぁ、みるみると心身共に健康体になったわけである。劇的ビフォーアフターだった。
そしてヴォックス、惚れた相手に甘えないのも辛いため、たまのときに時間を決めてどっぷり甘えた。
ミスタの好きなようにゴロニャン甘えて、ヴォックスに主導権は握らせなかった。ただ膝の上に乗ってグリグリ抱きついているだけでもミスタは酷く落ち着いたから。
ラスト
そんでどんどん自立して自分が必要ないのかもって過ぎったあたりでスルリするりと抜けて掴ませないミスタをいつの間にかヴォックスが必死に追いかけるハメになる。
「ミスタが私の元を離れるんだ」
ヴォックスが神妙な顔でそう言うと
「結構前からじゃない?」
とバッサリアイクが切る。
「でも、あの子は不安定だから私がついていないと」
少し慌てて反論するも
「もうミスタは安定してるよ、引きこもったり日がな泣いたりご飯を抜いたりもしてない」
シュウが事実を述べる。
「しかし、」
弱ったようにヴォックスが続けようとしてルカが遮る
「ヴォックスはさミスタにどうして欲しいのさ?ミスタは子供じゃないんだからそりゃずっと側に居るわけでも無いだろ」
首を傾げて投げられた質問に口を噤む。
「俺は…」
紅茶を飲み終わったアイクが席を立って
「それもわかんないんじゃ君はミスタよりよっぽど子供だよ」
よくよく考えてみたら?
と言い残して去っていく。
んでミスタにうちに来ないかとか誘ったり家事が大変だろうとか、なんとなく支配的になったり、ベッドに誘ったり誘惑してもミスタは乗らない。
花束を用意したって服を買ったってケラケラ笑うだけ。なりふり構わず引き止めて名前を呼ぶ。
「ミスタ!」
「やっと一途になったかよ。
タイトルで↓
この浮気者!」
晴れやかに笑うミスタ。
□
バラの花束をもらってケラケラ笑って
「んだよこれ、花束ってさ!」
「ヴォックスらしいや、」
「ふは、カワイーやつ」
あんまりにも多いものだからバスタブに入れて見たり、逆さ吊りにしてドライフラワーにしたり、残った5本は花瓶に入れた。
頬杖をついて、薔薇を眺める。
やっぱり考えるのはヴォックスのことで、ミスタは薔薇をツンツン突いて、愛おしげに笑った。
もし、ルカが見ていたら顔を赤くするくらい、つられて照れるくらいには、愛に満ちた瞳だった。
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かわたんの新刊の元ネタ
俺に好きって言ったその口でまた他のヤツにもおんなじ事言うんだろうが。上等だよ色男、ぜってぇ振り向かせてやる。
って噛みつくようにキスをするヴォミの話書きたいんだよな。
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その喉笛を噛みちぎってしまいたい。
定例で考えるならヴォミで恨めしそうに睨みながら零す、とかかなって思う
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ヴォックス&ミスタ
「ミスタ、下ろすぞ」
こくこくと頷く。ゆっくり、ゆっくりと支えられながら片足が床に着く。そこからもう片足、背中、と吊られていた縄が外されてぺしょりと座り込んだ。
スルスルと慣れた手付きで解かれていくのに身を任せる。背中でまとめられていた腕が自由になって、胸の上に通っていた縄が解かれると一気に開放感がくる。は、ぁ、と吐息をもらすとあぐらをかいたヴォックスが膝を叩いた。ノロノロ四つん這いで歩いて、膝の上に上体を預ける。頭を緩やかに撫でられてリラックスする。上から低い、落ち着くテノールが聞こえる。終わった後の特有のぼんやりとした、酩酊感に近い感覚に身を任せていると。
「可愛いものだろう、さっきまで虐められていたというのに、こんなにリラックスして。だからこうなる」
ばちんっ!「ぎゃん!」
ミスタは急に尻たぶを引っ叩かれて目をパチパチさせながらサササッと逃げた。
「あ(な)にすんだよ!ヴォックス!」
音だけで然程痛くはなかったが、急な刺激にびっくりしてしまった。猫が威嚇するみたいに可愛いマリンブルーを不機嫌そうに歪めるミスタ。対象的にヴォックスは呵呵と笑っていた。
「ほら、おいで坊や。足の縄がまだ解けてないだろう。もう何もしないから」
宥めるように優しく声をかけられて渋々足を差し出す。しゅる、と縄が回収されて、「ほら、おしまい」とその声に安堵する。何もなくて良かったような、なんとなくさっきは気が抜けてたからびっくりしちゃっただけでもうちょっとくらい虐められても良かったような。ともやもやしながらミスタもそこら辺に放り投げられた縄を纏めて片付けていく。
その気持ちをわかってて上手いことやって内心にまにましてるヴォックス。
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ヴォのちくぴ開けるのミであって欲しいなぁ〜〜〜。もしくは浮気したときに別モブに開けられてて帰ってきたときにミが引きちぎるとか。
ヴォがちくぴ開けられるときにちょっと震えたり声を出しちゃったりしてウワ〜〜〜いつも余裕あるヴォがこんなになるなんて新鮮〜〜!ってなるとか。
ベッドの上でわりと酷い喧嘩したときにちくぴひっつかんで「ヴォックスの馬鹿!もう知らない!(ト●ロ)」ブチィッッて引きちぎってバタバタ出てったあと、ヴォックスは悶絶してるしミスタは冷静になったあと手に血塗れのちくぴあるの見てアイクに電話かけそう。「アイク、どうしよ、ヴォックスの乳首引き千切っちゃった………」「ハァ?!」みたいな。
こういうギャグ路線もいいなぁと思いました。