だめにさせてよアイクシュウ
甘やかされた微睡みに理性が警鐘を鳴らしている。名残惜しい手を掴んで、頭からぐっと押しのけた。
柔らかく問いかけながらいくつもキスが落とされる。それに引っ張られないように少し鈍く返事をした。きょとんとした目が愛おしげに蕩けた。それを見つめているとだめな気がして、目をそらす。未だに腰に回ったままの片腕に視線を向けて、言葉を続けようとすれば、ぐっと引き寄せられた。
耳から脳みそへスルリと入り込んだ声が、頭をぐちゃぐちゃにする。込められた意味が理解できるのに、甘いはずの言葉がいっそ攻撃的で目を見開く。
頬に添えられただけの手には強制力なんてなにもないのに、蕩けた瞳と視線がかち合う。
はくり、口から息が逃げていく。
ああ、逃げられないな。
なんて、どこか冷静な自分が呟くのが聞こえた。