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    iori_uziyama

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    iori_uziyama

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    🦊 小ネタまとめ

    ミスタ 小ネタまとめ

    辛いときどうすればいいと思う?
    あなただけのカミサマにすがりましょう、さすれば須く解決いたします。あなただけのカミサマは誰でも良いのです。唯一神でも、キリストでも、八百万百の神々でも。神々は私達の信仰により存在を確定します。シュレディンガーの猫理論です。私達が強く強く猫は生きている、と確定することにより、箱の中の猫は生を確定します。少なくとも私たちの中では確定されます。だって生きているんだもの。
    たとえ死んでいようがいまいがそれを確認するまではその確定した事実が真実なのです。
    たとえ神が先より存在していたとていなかったとて貴方があるといえばあるのです。あなたの認知においてあなたは唯一神なのです。
    人は変えられないが自分は変えられるという世迷い言を聞いたことがありますね?そうですよ、自分自身の認知はいくらでも歪められます。今日から青を赤と呼ぶことにしてそれを呼び続けたら本当は青だと知っているけれどあれは言葉に出すのなら赤故にあの信号は赤です、と言ったふうにあなたが決めればそれはそのようになります。
    ですので、神の存在を確定するのも私達であると言えます。その唯一神でありあなただけのカミサマに縋ることは簡単です、たすけてください、たすけてくださいと何かしらの祈りの姿勢をとって助けを求めればよろしい、なにか上手く行けばそれは神の祝福でうまくいかなければすべて神の試練だと思えばよろしい。あなただけのカミサマはあなたの都合の良いカミサマであるからして、責めることもございません。ただ、あなたによって存在を確定されるのみです。

    ✄✄✄✄✄
    ねえ、ミスタ。1つ聞きたいことがあるんだけど、君の神様って何時からいるの?どんな神様なの

    は?

    いるでしょう?あなたの、唯一のカミサマ。

    なんで?

    わかるから。

    アイクは心の中に深淵を飼っていて、集中するときにゴボゴボって泡の出る音?肺の中から全部空気が吐き出されたような感覚がして、すごく暗い深海の淵に自分諸共溶け込んだ感じがして、執筆に潜る。バツンって外界からシャットアウトされる。
    その時は考え事も捗るし、アイクが出ていこうって輪郭を取り戻して上に上がろうって思わない限り何者にも邪魔できないのね?だからシュウとかヴォックスはアイクが無くなってく感じがして気が気じゃない。ルカも天性の感覚でアイクが何かと混じってる、アイクが侵食されてるってゾワゾワしてる。 

    ミスタはちいちゃなときから心の中にカミサマを飼ってて、そいつは姿も形もなくてなんの力も持たないし返事だって帰ってこないけどミスタの中で存在が確定されてる自分だけのカミサマ。
    否定せず、肯定せず、ただ存在して、縋り付く愚かな人間を認識すらしておらず、ミスタはそれに縋るだけ。辛いとき、しんどいとき、怒鳴られてる時、怖いとき、心のなかでカミサマを呼ぶ。最初はカミサマって呼んでたけどだんだん名前ができて、いつの間にか心のなかで名前で呼ぶようになった。
    名前を与えて、信者がいて、だから神が出来うるんだけど、ミスタが十年がかりで捧げた信仰は何もしないカミサマへのものだからカミサマも何もできない。もしミスタが神様が罰を与えうる恐ろしいものだとして考えていたとすればその恐ろしいものが存在として確定していた可能性もある。だからミスタが怖い。たった一人で、一度も存在を誰にも広めず、バレず、ひたすら信仰し続けるその狂気に。畏怖すら覚える。

    ✄✄✄✄✄

    初めて5人揃って対面したとき、シュウとヴォックスだけが少し、目を細めていたのを知っている。

    __「あぁ、シュウ。良かったよ、会えて。判断に困っていたんだ、どう思うか、聞かせてくれ」

    __「だろうねぇ、これは、すんごいや」

    ソレ、少なくとも20年かな、そのくらいは信仰してる。しかも、たった一人で。何も望まなかったんだね。すごいことだと思う。
    ソレが存在できるくらいの熱量で、例えばなんていうのかな、体に爆弾を巻き付けて、スイッチを掲げて、人混みに行って。しかもその爆弾は20年かけた代物で割と凄いことになるんだ。なのに、そのままずっと何もしてないんだ。理由がわからないし、それが爆弾だと気付いたものは判断に迷うんだよ。何をしようとしているのか。
    だから、ヴォックスは悩んでたんだよね。
    その20年分の信仰で出来た神もどきに何をさせるのか。彼自身は丈夫だから死なないからこそ。
    それで、同じく特異な僕に相談を持ちかけたんだ。
    ミスタがそれを認識してるのか、それによって変わるんだけど、色々な危険があって、例えば今爆弾のスイッチを持っているって知ったらその瞬間に爆破テロって望みを叶えちゃうかもしれない。
    ただ、ミスタが持っているってことをしなかったらこの場合は物質じゃないからね、問題ないんだ。
    で、それの確認をしたいけど、確認をしようとすると自覚が伴う。ヤマアラシのジレンマだね。



    実際には神もどきではなく熱心な信仰を捧げるたった一人の信者が、一日に数十回語りかけるので、ソレは形になっていた。確かに、20年ポッキリの存在としても薄いが神として成り立っていた。彼が生み出した神様だった。だから、危険だった。
    20年、ミスタの与え続けた信仰は溜まっている。それを使えば、まぁ神の奇跡の所業が一度だけ、叶えられるだろう。そうして、その神は消えるだろう。
    だので、ミスタには神のなり損ない、神もどきであると伝えた。あの時点で神には及ばぬ存在だとミスタが認知した。ミスタが作り出した存在にはミスタの定義が直に響く。これで神もどきまでの退化は終了。さてはて、では信仰者ミスタの望みは?

    ミスタがただ望んだのはすべてを知る存在。
    天の上の全く違う世界から、こちらをじっと見ていて、でも下の事だから何もしないし、何もできない。ただすべてを見て、知っている存在。
    それがミスタにとってのカミサマで、既存の神様とは違ったある種のイマジナリーフレンドのような存在だった。ミスタの苦しみも苦悩も煮凝りのような感情もすべてを眺めて、ただ、じっと文字列のように眺めているだけの傍観者。知ってくれてるだけで良かった。

    あぁ、ミスタ、君が臆病で良かった。
    彼は臆病で、怖がりで、内向的で、寂しがり屋で、捻くれていて、だからなんの干渉も望まず、すべてを知りながらただ離れていかず、ただ、存在を、望んでいた。だから彼は神様を信じ、訴え、しかし、何もしない神として信じていた。だから、あの神に世界への呪いを語ろうが、誰の死を祈ろうが、ミスタが望んだ__何もせず傍観し続ける神であり続けるのだろう。

    これにて一転落着ってね。


    ✄✄✄✄✄✄

    ボロ屋の天井が低い家に長らく住んでいたせいで伸びをするときに一瞬躊躇してしまう🦊
    そこから始まる勘違い。(DV彼氏?!)(虐待?!)

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    「ねぇ、オレのためになんでもしてよ」
    ってめちゃくちゃセクシーだな………
    チュベローズで待ってるの帯パロなんですが……🦊に言ってほしい


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    見/視えすぎるから外に出るのが好きじゃないほえる兄弟の話。
    呪術的に悪感情やら悪いモノやらが見えるので視界が疲れる。家には結界貼ってるから楽。引きこもり。

    ミスタは人の歩き方喋り方表情、目線の動き手の動き服装匂いすべての情報を細やかにに拾いすぎてしまうから疲れる。それを活かして探偵もしてた。
    でも普段はなるだけシャットアウトしたくて帽子で視界を狭くして、サングラスで更に、横髪でもっと、手袋で感触も。遮光カーテンを閉めて。
    っていうネタ。

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    これはフェラの話なんですが。
    フェラしてて相手がイク瞬間ってめちゃくちゃ情けなくてカワヨ〜〜〜〜!!!!じゃないですか。
    こう、眉間にシワ寄せて喉にくっと息を溜めて、今からくる気持ちいいのを最大限待ち構えてる感じっていうか、なんというか。
    だからフェラが大好きな🦊が居てもいいと思います。🦊はSwitchなので。攻め'sでサドっ気が多い人だと競り負けるんですがそれでも偶にS側の興奮を感じてるとよい。それもまた攻めにとっちゃ躾のしがいがあるってもんよな😌😌


    ✄✄✄✄
    ミスタはサブなのにどこまで明け渡していいの?って迷いがあるせいで全然上手くプレイ出来なくてホントはバニラ系が好きなのにハード系(考えなくて済む)ばっかりやっててできた痣を一人で撫でてえらいえらいってセルフ褒めやってるやつ。

    ✄✄✄✄✄
    ミスタには、寂しい癖がある。
    寝るとき、何かを探して、諦めて、手だけで何かを抱きしめるような体勢で丸まっているのだ。
    シュウは特にミスタを起こしにくる機会が多かったから。毎朝布団をひっぺがして、なんとも言えない気持ちになる。

    「GM ミスタ。前々から思ってたんだけど抱き枕でも実家においてきちゃったの」

    「あ~~~~~、いや、そういうわけじゃないんだけど」

    昔の癖がなかなか抜けなくて。小さい、エレメンタリースクールの時に狐のぬいぐるみを持ってたんだ。小さかったんだけど、抱きしめられるくらいの。んで、貰ったときにすっごく嬉しくて、ミスタってでっかく名前書いてもらったんだ。毎日毎日抱きしめて寝てたんだけど、まあボロボロになるだろ?んである日帰ってきたら捨てられてて、ショックでわんわん泣いて、物には寿命があるけどさお別れはきちんとしたかったんだ。まあでもそれからはぬいぐるみとかは買わないようになったケド。
    ずーーーっと、あの狐のぬいぐるみを探しちゃうんだよね。

    ✄✄✄✄✄✄

    ミスタの寂しい癖の続きで
    なんでミスタが何かを探すことが辞められないのに抱きまくらを持ってないかって言ったら違和感があるからなんですね。ミスタが求めてるのはきつねだから。
    だから、抱きしめられる代わりになってあげることは出来ないんですよ。
    シュウとかヴォックスがその寂しいミスタをほっとけなくて、ミスタ抱きしめて寝るようになるんだけど、ミスタがそれに慣れたとき。もう駄目ですよ。
    二人は一生離れちゃだめです。これ以上寂しい思いをさせるの?まえは抱きしめる子を失って、それでも手を泳がせて、何年も何年も求め続けてるのに。抱き締めてくれる相手も失ったら、今度は背中も寒くなって、体温が恋しくて、体格や香りや、抱きしめる強さや、足や腕の絡め方、気配。そういうのが染み付いて、たとえ居なくなったとて他の人に馴染めなくなる。ミスタは石粉粘土みたいだよね。乾いたら最後もう変われない。
    たぶん、最初は遠慮がちに抵抗して、でも体温に抗えなくて、途中で少しだけ嫌がる、でも理由を聞かれると黙るからそのまま押し通して。んで、ミスタは知らないうちにまた寂しい覚悟を決めてる。いつか捨てられたときの寂しさに耐える覚悟を。
    ねぇ責任取って一生一緒に眠ってねなんて言えないから。覚悟を決めて今日も抱きしめられるんだ。
    責任重大だぜ?わかってんのかよそこんとこ。


    ✄✄✄✄

    ミスタがアイクの部屋に避難するとすれば何を求めてかなって思ったんですけど執筆に死ぬほど集中してるときだとなにも気づかないくらい没入してるから、自己肯定感最悪ぐるぐるタイムになったらアイクの部屋に、こっそり入って、扉のところに座り込んで背中をじっと見てる。膝に顔を埋めるとカリカリと万年筆を動かす音、たまに椅子が軋む音、アイクの肩やら首を鳴らす音そんくらいしか聞こえなくて落ち着く。切り離された世界みたいで。
    んで眠くなってきたらアイクのベッドに勝手に入り込んで丸まる。そのうち寝る。ウワこれシュウもイッショでも可愛いな〜〜〜〜!!!疲れた顔してシュウも来てボソボソ話すんだよ。「君も?」「ウン」「落ち着くよね」「わかる」みたいな。
    基本的に最低に落ち込んだときアイクちょっと回復したらミスタならシュウ、シュウならミスタ、その次にヴォックス、最後にルカ。って順番で頼る。ヴォックスとルカは栄養価が高すぎて元気なさすぎるときだとくたびれちゃうかんじ。
    静寂の空間っていう放置するタイプの癒やしがアイクで、不器用な優しさとか温もりがミスタとシュウ、寄り添って落ち着いて肯定して褒めてくれるのがヴォックス、元気に持ち上げてくれるのがルカ。

    んで、シュウとミスタ揃ってアイクのベッドで丸まって寝るからアイクがキリの良いところまで終わって伸びをして水でも飲みに行こうか、寝ようか、それともお風呂?ご飯?って兎にも角にも立ち上がったらカワイ〜〜塊がいて「wow………」ってなる。起こさないようにふふって笑ってから「so cute~~」
    って写真撮る。ベッドの使用代金。なのでアイクはお風呂に入ってお水飲んでご飯食べて、ゆっくり原稿のチェックしながら二人が起きるのを待つし起きたら「good morning my sweety honeys」ってニンマリいうしあたまワシャワシャ撫でたげる。二人は寝ぼけ眼でワタワタする。かわいい〜〜〜!!!!!
    可愛いなこの空間ゴールデンレトリバー入れてもかわいい。後方彼氏面入れてもかわいい〜もう全部かわいい〜!幸せになあ〜れ!


    ✄✄✄✄✄✄

    あ~~~~~ミスタの隣の家のやべぇやつ(日本人)とか小学校のヒステリックな教師とかに怒られたことがトラウマになってるといい。んで、突発的な怒り方もしくは物への八つ当たりの仕方がソイツに似てるといい。

    おれは、むかし夢中になるとすごく騒いじゃったんだけど、隣に、今思うと日本人かな。のひとが住んでたんだ。んで、すごい勢いでチャイムを押されて、恐る恐る出るとわざわざかがんで、目を合わせて、「騒がないで騒がないで騒がないで!!!!!!!!!」って3回、絶対に3回繰り返して言うんだ。たぶん、子供だったから言い聞かせようとしてたんだろうけどすごく怖かった。
    それでも、昔は病気のことも知らなくてセーブができなくて、いっつも怒られてた。そしたら、それが変わったんだ。何回か。「ゆーあーのいず、ゆーあーのいず、ゆーあーのいず」って辿々しくでもやっぱり3回だった。んで、その次が「なんで騒ぐの?なんで騒ぐの?なんで騒ぐの?」だった。その時は肩をガクガク揺らされて、あぁ、そういえばチャイムを鳴らさずに扉を殴ってドンドンドンってきたんだ。んで、おれは毎度怒られるたびになにか怒られてるってだけで固まってなんも入ってこなかったんだ。でも今思うと悪かったなぁと思う。今はちゃんといい子に留守番だって出来るようになったんだ。

    ✄✄✄✄✄✄

    地下鉄なんか乗らなきゃ良かった。ミスタは早々に後悔していた。車内には小ちゃい子供とヒステリックな母親が乗っていてしきりに叱り飛ばしていた。

    「ぼやぼやしないの!」「なんでそういうことをするの!」「モゾモゾ動かない!」「アンタはろくなことしないんだから!」「家に帰ったらパパに言うからね」「何回も叩かれちゃうよ」「あ~あ、そんなことばっかしてたら死ぬよ」「あ~あ、ままもう知らないから」

    ミスタには小さい時の記憶があるけれど、電車でジッと座っていられなくて怒られたり、靴が窮屈で座ってる間だけでも脱ごうとすれば怒られ、違和感で動けばまた叱られた。

    他所の子供だし、ミスタには口出しできない。

    ✄✄✄✄✄

    ミスタは基本的にヒョロっこくてブカブカパーカーにジーンズとかのメンズライクストリート系の服装をするから女の子ってよりミスタはミスタだよね、みたいな扱いを受けてて、ミスタもケラケラ笑ってたんだけど。

    なんかしらの名探偵の潜入か、尾行か、調査かの時にコロコロ服装変えたり、バーに情報源引っ掛けに行くときとかに背中に大胆なスリットが入ったシャツとかを着て、背骨の美しさが際立つのね?余計な肉がついてなくてすらーっとしてて。

    もしくはルカの所に怪しいやつがいるもんで見てくれないかって頼まれて、準備はこっちでするからって言われたのに断って。

    普段のミスタとして接したいときと、
    自分の着たい服を着るとき、
    異性に魅力的に思ってもらいたいとき、
    ぜーーーーーんぶ違うに決まってんじゃん。

    仕事仕様のミスタにぽやーーっとみんなが見惚れてて、「ど?案外すごいもんだろ?」ってにひひって笑いに来るから余計にあのきれいな子の素を知ってるのは僕たちだけ!僕たちは特別!みたいなかんじで盛り上がっちゃって。

    んで、ボーイズが顔真っ赤にして口説くんだけど

    「俺が夢中にさせたくなるようなオトコになってから出直しな!マイ・ボーイ?♡」

    って言われて奮起するよね〜〜〜。

    後日
    「ミスタァ〜〜〜〜?」って怒られてて
    「ごめんごめんマミー、」って茶化したら
    「ンー、ミスタのマミーにはなってあげられないかな、旦那なら喜んでなるんだけど」ってそのまま腰を引き寄せられて手にキスされたり

    やらドギマギして逃げた先のシュウには
    「ミスタ、君の兄弟って思ってもらえるのはとっても光栄なんだけど……できれば違う方法で君の家族になりたいな」ってんへへって笑われたり。

    Daddy〜〜〜〜!!!って逃げれば
    「んん、本当のDaddyになりたくなったな、なあ、魅力的なLady?俺じゃ今夜の相手にはなれないかな?」とかウィンクされて髪にキス落とされたり

    ルカって逃げれば
    「俺も、ミスタに意識してほしい、ね、ミスタ、おれ他の奴らみたいに上手くは口説けないけど、俺じゃだめ?アリ?ナシ?それだけでも教えてほしいんだ」って抱き締められたりする。

    こういう感じのミスタ愛されでどうでしょう!!、?!?!

    実はミスタのマイ・ボーイ発言は煽ったわけじゃなくて、余裕なわけでもなくてただ友達同士の軽口だと思ったからあしらったのにめちゃくちゃ猛アピールされて慣れてないからウブにあわあわしちゃう。
    この綺麗な子がただ一人のためにおめかしする日が来るんだろうね~!それまでは心臓がバクバクドキドキの刺激的な毎日になるだろうけど😉


    ✄✄✄✄

    どいつもこいつもひと目合った瞬間に全身品定めしてきてさ、そんで胸を見ては一瞬落胆するんだ。
    こんなバカみたいな事あるかよ。

    ミスタは死ぬほどイライラしていた。今日の依頼者がファッキンシットxxx野郎だったので。
    イライラした足取りのままブティックへ入った。
    ウイングチップの革靴から黒の華奢なコードヒールへ、柄シャツとホワイトのストレートパンツをタイトなリブワンピース、丈は長く、大胆なスリットが入っている物へ着替えた。ホワイトコートはそのまま羽織ることにして。着ていたものは贅沢にも郵送。財布とスマホだけはコートに入れた。
    本日の売上は須らくブティックへと寄付されることになったが嫌な気持ちで貰った金なんぞ衝動買いに使ってしまうに限る。金は金であるので。自分の機嫌が一番だ。

    ブラックのネイルと華奢なヒール、リブワンピから覗くスラリと長い脚。上半身は心配になるほど薄いのにヒップは丸く、タイトなシルエットに靡くオーバーサイズのホワイトコートがよりミスタの身体を美しく魅せた。一度笑えば愛嬌のある幼気な可愛さがあるが、ミスタの顔はそもそも整っている。
    美形の真顔とは芸術品のように美しく、周りを突き放すものだ。カツカツとヒールを響かせるミスタを周りが蜘蛛の子散らすように避けていく。しかしその視線はミスタを追い続けている。

    歩きながら指輪同士を当ててカチカチ鳴らす。
    怒りがとぐろを巻いて収まらない。こうなったら残りの金で酒でも買ってやろうか、と思うが残念ながら10時を過ぎていた。ネイルを順番に弾いて家へと歩を進める。


    □□□

    ガチャリ、と玄関の扉の開く音がしてこの家に住む人物でまだ帰ってきていないのはミスタだけだった。
    なので全員何時もの(・・・・)ミスタが入ってくると思って振り返った。が、リビングの扉から入ってきたのは、美しい女性だった。人懐こい笑顔でもなく、いつもの狐帽に柄シャツ、ストレートパンツにウィングチップの革靴、そんな名探偵ミスタ・リアスではなく。
    眉を不機嫌そうに顰めて、指輪を鳴らす。今夜のファムファタールとでも言うべきミスタ・リアスであった。

    僕たち全員が呆気に取られて「お帰り」すら言えてない内にファム・ファタールはカツコツとリビング中心のソファへと向かう。そこに座っていたのはルカで、未だに固まっていた。

    ミスタはじっと見つめてくるルカの瞳を無感情に見たまま近づき、首のタトゥーを爪でなぞるようにしながらソファーを回り込み、ルカの膝の上へと座り込んだ。そのままルカの首へ腕を回し、肩に頭を預けた。

    「ねぇ、今すごく怒ってんの」

    「、POG……どうしたの、ミスタ」

    「今日の依頼者がファッキンシットだったから」

    何時もなら表情豊かな顔が精巧な彫刻のように動かずにルカを見つめる。

    「小娘って言われたんだよ、40になってまで仕事を頼む相手への態度すらわかってねぇの」

    「そ、うなんだ」

    「挙句の果てに人の事下から上へジローーーっと見やがって、胸見た瞬間にシラけた顔すんだよ。中学生じゃあるまいにさ!」

    女の魅力すらわかんないなんてバカなやつ!

    ルカは目の前で話しているミスタが美しすぎて話はほぼ右から左へ抜けていって何が何やらだった。
    それが適当な返事にでも聞こえたのかミスタは眉を釣り上げて黒のネイルでタトゥーをなぞり上げた。

    「は、なに、ルカ。お前もそうなの?」

    「えぇと、ミスタはすごく魅力的だと思う、思わず見惚れちゃうくらいには」

    そしてルカはあいも変わらず混乱していたが、こういうとき何も考えられてないくせして最適解を叩き出す男であった。

    挑発的に笑っていたのに、気の抜けた顔でぷ、と笑いだし、ルカの頭を優しく混ぜるように撫でた。

    「ありがと、ルカ。嬉しいよ」

    魔性の女が天国産の女に早変わりだった。
    そしてミスタはくるりと振り返ってシュウへ向き直る。ミスタとしてはただ、兄妹同然に仲がいいシュウへの甘えだったのだが、服が悪かった。

    「ねぇ、シュウ。靴脱がしてよ」

    スッと伸ばされたは、ワンピースのスリットからなまっちろい肌が除いていた。シュウの頭が沸騰しそうにグラグラしていて、

    「何、どこ見てんの?えっち〜」

    決壊。シュウの鼻から赤い血が垂れる。シュウは慌てながら何処か冷静な部分で興奮しすぎて鼻血出すってホントなんだな……とか、交感神経が興奮したことによって毛細血管が拡張してキーゼルバッハ部位に傷が付いてウンタラカンタラ、だとかを考えていた。もしくは『僕の妹がこんなにも魔性なんて聞いてない』とか。まあいわゆる現実逃避である。
    ボーッとしていたのでミスタが近づいてきたのにも気が付かず、

    「シュウ、大丈夫……?」

    唐突に鼻血を出す原因となった綺羅びやかな妹の尊顔を至近距離で食らったため、ノックダウンすることとなった。

    「シュウーーーーーーッッッ!!!!」

    アイクの悲痛な叫びがリビングに響き渡った。






    「なーに、Daddy、俺今日はそういう気分じゃないの、女の機嫌を読めるようになってからまた来てよ」

    ✄✄✄✄✄✄

    ミスタは近くで呪詛を吐くようなぐちを言われるのが苦手であったし、しかしミスタは残念ながら呪詛を吐く側であった。だからこそ他人を巻き込まないように心がけていたものの自宅での愚痴は際限が無いようにあふれ、自宅に来たシュウには呆れた顔で蠱毒を百個煮詰めた後みたいな空気感だと言われてしまった。(俺の呪詛は本職からしても染み付いているらしく笑ってしまった。笑い事ではないが。)

    近くで呪詛を垂れ流しにされるとベタベタした黒い手が底なし沼へ引きずり込もうとしてくる感じがするのだ。ミスタはただでさえマイナス思考なので引きずられやすい。まともに受け取っていては体が持たないのである。

    代わりと言っては何だが、八つ当たりされるのとイライラしている人間と一緒にいることはストレスにならなかった。ただ、コイツは怒っているのだな、イライラしているのだな、とスーッと通り過ぎるばかりである。母が小さなことでヒステリックに騒ぎ立てる質だったのでミスタには変な耐性がついていた。まさにどこ吹く風である。

    ✄✄✄✄✄✄

    ミスタは探偵の仕事をしているが、事件を追ったりと華やかな仕事は一部だ。実際には人探しからペット探し、浮気調査、素行調査と足を使う地味なものばかり。
    なので、こういう嫌な依頼も来るのだ。

    「大事な一人娘が、もう3日も家に帰らないんです!連絡しても大丈夫の一点張りで、もう心配で心配で、お願いです、娘の居場所を探してください!」

    ホロホロ泣きながら訴えるこの女性、きっと娘思いのいい母親に見えるのだろうな。

    隣の部屋に命からがら逃げてきたその娘さんが居なければ。

    「ええ、ええ、大丈夫ですよ。力を尽くします。」

    そのまま請け負い料金を頂戴する。

    ◇◇◇
    「ほらよ。」

    ミスタは健気な母親(・・・・・)を丁寧に見送ったあと、前払いの報酬を隣室の小娘に投げ渡した。

    「え、なに?」

    「いつか必要になった時用。貯めとけ。」

    訳アリのコミュニティなら教えてやるからどうしょうもなくなったらまたここに来な。

    ◇◇◇◇

    いえーーーーーい久しぶり〜〜〜!!!!!ちょーしどーよ!!!!

    え〜〜(笑)最近???父親からのきんしんそーかん最近無くなって油断してたらきのーーーーーー再開したのまじで死んでくれwww

    ででで〜〜〜www家族運ガチャ失敗組いえーーーーーい!!!!!!!

    いえーーー!!!!そっちはどぉーー??

    ションベン引っ掛けられたおwwwwww自尊心ゴリゴリ削られまくりのSAN値マッハすぎ〜〜(笑)死んじゃう〜〜〜〜ぴえーーん

    わははははwwwwwwいつから道端の電柱になったしwwwwww

    あらら〜〜!!!!!いつもどおり犬のだと思った?????残念wwwじいちゃんですwwwwwwwww

    あちゃちゃ〜〜〜!!!!新技覚えちゃったか〜〜〜!!!!!!

    何その需要なさすぎる技マシンwwwww
    てかさ家ガチで出たいんだけどぉ〜〜(笑)コツコツ貯めた10万円徴収されやしたぁ〜〜〜!!!!!!!チャレンジ大失敗!!!!!もう一回挑戦するドン!!!!!!wwwwwwwwwwww

    そりゃ心折れる案件wwwwSAN値チェックする??ダイジョブ???(笑)

    ででででで!!!!!!!駄目です直葬ーーーー!!!!!ダイスロール出目最悪!!!!!

    そりゃそう(笑)

    そういやねーーー、私の一回のきんしんそーかんにお給料が支給されるようになりまちたわよ(笑)

    なんだそれwww急な導入www
    ちな幾ら?????百万もらっても願い下げでは??????

    それなーーーーーー!!!!!!今すぐ絶縁できるならもう着の身着のままでもはい喜んでーーーーって言って出てくわwwwwwwア、やっぱなし!!!なけなしの金で買った服とかコスメ手放すとか無理wwwwww

    これ以上俺から何も奪うな!!!!!!!(主人公感)的なwwwwwwwww

    そそそwwwwwwwww………なんの話してたっけ???

    あーーーーー、あっ!!そうそう給料支給されるようになった話だわ!!!!

    あーーーーー!!!!!それだそれだ!!!!そ!!!その給料がね!!!!!!驚きの!!!!!!!!(笑)

    驚きの????www

    ワンコイン!!!!!!(爆笑)

    ふぁ〜〜〜〜〜〜wwwwwwwwwwwwwww
    ワンコインwwwwwwwwwwwwwww
    なめすぎでは?ん?????百万円硬貨とかあったっけ??????ん????wwwwww

    ないね!!!!!きっかり百円!!!!www

    百円かよ!!!!!(笑)五百円かと思ってたわ!!!!!!ケチくさ!!!!!せめて甲斐性見せろよwwwwwwwww

    いやもう渡された瞬間、は?????だよねwwwなに??????明らかに桁100個くらい間違ってるけどダイジョブ??????滅亡する???って感じだったwww

    ワハ、滅亡する??は強すぎwww

    「よォお前ら相変わらず地獄みてぇな会話してんな」

    「あ!ミスタさん!」

    「やっほ〜〜新入りちゃん?」

    「そうそう、また面倒見てやってくれよ」

    「あいあいさー」

    「任せとけ〜」

    「お前らは相変わらずみたいだけどまだ大丈夫なのかよ?」

    「んー、まぁまぁ?コミュニティもあるし、いうてずっとだしね。今すぐどうこうってレベルではないかな。大丈夫、ミスタさんの電話は覚えてるから」

    「わたしも〜、まだ期は熟してないって感じ〜。証拠集めも趣味になってきたし、愚痴はここで話せるし、割と元気だよ。地獄は地獄だけどね」

    「おうおう、わかった。無理はすんなよ」

    「「はぁーい」」


    ◇◇◇
    笑い声の響くリビングでの団欒。ミスタは探偵の仕事用、Vtuberの仕事用、プライベートの3台携帯を持っていて、なったのは3台目の携帯だった。
    一瞬で瞳が剣呑さを含み、空気がひりついた。

    「もしもし?どした?」
    「ウン、ウン」
    「今はコミュニティにいんの?」
    「わかった、すぐ行く」

    ミスタは仲間たちに声もかけず走っていった。


    ◇◇◇◇
    ほら、ミスタさん来たよ!
    遅い!
    悪かったって、これでも急いだんだよ。
    ほらどうした見せてみな。
    あーあーあー、こりゃひでぇな。
    ミスタさん………
    どうする?全部お前の気持ち次第だ。
    わたし、わたしは、もう限界。お願いミスタさん、助けて。
    おう、任せとけ。

    ◇◇◇◇
    まず確認するけど、お前の家族は犯罪者になる。OK?
    ウン。
    次にお前は施設に行くことになる。何処になるかは空き具合によるから分かんねぇ。OK?
    うん。
    もし、施設でも最悪な目にあったらまた電話してこい。電話番号は変えねぇから。
    うん、
    元気でな、幸せに暮らせるよう祈ってやるよ。


    ✄✄✄✄

    ソイツは金払いのいい客だったし、怒鳴ったりとか値引きだとかそういうマナー違反をしないから良客の部類なのだろうけど。俺は苦手だった。
    だから、探偵業を縮小して配信をメインにやり始めてから少しホッとしてたんだ。

    ◇◇◇◇
    別に罵倒されるわけじゃない。ただ、しゃっちょこばったパーティーに連れて行かれて、探偵は悪目立ちするわけにゃいかないからTPOを意識する。だからポッシュ発音だって出来るし、Fワードだって言わない。元から品のいい人間みたいに振る舞う。

    「いつもそうしてればいいのに。あの訛りも、柄の悪い仕草ももう子供じゃないんだからあなたも恥ずかしいでしょう?」

    「そうですね」

    にっこりと品のいい笑顔で笑う。頭が馬鹿になりそうだった。これが馴染む日なんて来るのか?と心底思う。上っ面に付け焼き刃をベタベタ貼り付けて、内心とのギャップに何かがガリゴリ削られる感覚がする。それは多分、自尊心だとか自己肯定感だとか言われるものだろう。
    自分にとって自然に出る行動を逐一修正されて、ソレを否定される行為はアイデンティティの否定に近いものだった。きっとあのマダムには一生理解できないものなのだろうけど。

    「あら、リアス君。その笑い方いけないわ。目を細めて薄く笑うのは厭らしい感じがするもの。目をしっかり開いて頬から口角を上げるのよ」

    「リアス君、その立ち方は楽なのはわかるけどあなたは仕事中で私は依頼者よ。腰で立たずに足に重心をかけてしっかり背筋を伸ばして?そう、そのほうが素敵よ」

    「リアス君、この報酬がもらえることを当たり前だと思っちゃだめよ。ミスタくんが成果を上げたから、私がそれを評価したから、報酬が発生するの。偶にはこうやって立派な大人まで育ててくださったご両親に感謝の気持ちを伝えるといいわ、なにかご馳走を食べに行ってもいいし」

    「リアス君、」「リアス君」「ねえリアス君」

    思い出すたびに頭がガンガンと痛んだ。
    除草剤をぶっかけられてる気分だった。俺のナチュラルは彼女にとっては雑草で、ピカピカした庭になったら俺もスッキリすると思ってるんだ。彼女にとっては、雑草まみれの庭は見るに堪えないのだろう。


    ✄✄✄✄✄

    俺が何を食べれて何を食べれないかってそんなに重要?俺がそれを食べられなくてもお前は食べれるんだから良くない?俺のことをそんなに治療したいの?食べられないものを食べて気持ち悪くなって家に帰ってから全部吐き出さないと死んじゃうってくらい嫌いなものってある??それでも食べろって言う?放っといてくれればそれでいいのに。

    ✄✄✄✄

    ミスタは探偵である。
    何かって言えば情報収集であった。
    ひょんなことからルカの仕事を手伝うことになり、ついでに言うとアイクの次回作の資料も兼ねていた。

    「ねぇ、情報収集ったって何からするの?」

    「アイクさぁ、街中の情報を一番持ってるやつって誰だと思う?」

    「ええと、?町長とかかな。色々な所から報告が来るだろうし」

    「う~ん、間違いじゃあない」

    でもそれだと、小学校で一番その内部に詳しいのは校長ってことになる。それよりは学年主任のほうが詳しいだろうし、さらに言えば担任さらに言えば学級委員。その集団への馴染み方によって持ってる情報量が変わるんだな。

    んで、話の聞き方だけど、事情聴取みてぇな仕事感出たりするのはだめなんだわ。

    例えば仕事での監視の話なんだけど。
    新人が仕事してるか監視してる先輩がいる。その時、新人全員を四六時中見張るなんて無理だろ?その中でどうやって誰がいつどんなふうにサボったか調べる?
    例えば目だな。他の奴らに聞く。まあ、自分がいない間どうだった?って周りの奴らに聞く。
    「いい子だったよ」とか「眠たそうだったよ」とか「お喋りしてた」とか聞けるだろうな。
    人の目が多けりゃ多いほど隙は無くなる。
    本当か確かめるにはどうすりゃいいと思う?他の奴らからの報告ってのはどうにも主観が混じったり、私情が混じったりするもんだからな。
    ダブルチェックが必要ってワケ。

    「眠たそうだったって〇〇さんから聞いたけど?」って言って反応でも見る?
    それでもいい、でもこれからもやりやすくなる方法があるんだ。

    「会議、眠たかったでしょ」
    これでいいんだ。したらまあ、とかはい、とか帰ってくるんだ。おんなじ立場でおんなじようなこと考えてるやつには口が軽くなるし、叱ってくるやつには隠そうとするだろ?

    ✄✄✄✄✄
    母乳でも潮でもいいけど噛んで止めて千切れちゃう、あう、ってなってるミちゃんがみたいな

    ✄✄✄✄

    人間、明らかな危険からは逃げようとするが、ジワジワ命を奪うような緩やかな死には抵抗しないものである。
    蛙の実験を聞いたことがあるだろうか、熱湯の中に突っ込もうとすれば爪先が触れた時点で逃げようとするのに水の状態で入れて、ジワジワ沸騰させれば逃げることなく茹だっていくのだという。

    ミスタは、まあ、ここに居続けても即死はしないだろうな、という地獄で生きている。少しずつ殺されている。自由になりたい、死ぬ危険のない、ゆったりとした本物の安心で微睡みたい。
    なのに、この地獄から抜け出すのは酷く億劫だった。だから今日も今日とて希死念慮を募らせながら笑うのだ。

    住めば都、石の上にも三年、そんなことを言いながら会社の金を食い潰している。
    まァ有り体にいえばミスタはお荷物社員だったしいっそ新人よりも使えないやつだった。できない仕事が回ってくればニコーっと人当たりのいい顔で笑って、大抵の人間は自分に懐いている、かつ仲の良い人間には嫌われたくないので文句も言えない。
    だから自分でも使えねぇなぁと思いつつこの甘やかされる環境を手放せないのである。

    ミスタは普通の人ができることができない。
    それは片付けだったりマルチタスクだったり、気遣いだったり。色々あるけれど学生の時分なら許されたそれが社会では何一つ通用しなくて、ついでにいうとミスタの苦手なことに努力があったので余計にだった。
    字をキレイに書くこともテンポよく洗濯物をたたむのも事務処理のパソコンをイジるのも全部全部むつかしかった。仕事が遅いもんだからちょっと他の仕事に気を取られてる間にアッという間に他のやつが片付けてくれる。
    そうなるとミスタのできる仕事がなくなって、監視カメラのない端っこの部屋でうとうと微睡んで給料泥棒をする以外無くなるのだ。
    やることがないなぁ、と思いながらウトウトしてる間に有能なやつは駆けずり回ってるし、内心俺に「コイツは今の時間何してたんだ」って舌打ちしてる。みんなニコニコ俺をかまってくれるけど目がだんだんと冷たくなっていく。それに怯えて冷や汗をかいているのに、まだ、まだと期限を先延ばしにして今日も使えないやつのままぼんやりと一日を終えた。

    「しんど……」

    自業自得なのに苦しみだけはいっちょ前で、死んだ顔でスマホをイジる。誰かに叱って罰して欲しかった。それで許された気になって、また明日も言い訳をしながら穀潰しをしていたかった。停滞していたかった。進むのには体力を使うから。ミスタはずりずり停滞しているつもりでじわじわと後退していた。居心地のいい、にこやかな職場が段々と優しくなくなっていく。ミスタの無能が露呈するたびにジワジワと、不可逆に進んでいく。いつ、「もういいよ」と言われるのかビクビク怯えている。だのにこの仕事には愛着がなくって、人にだけ愛着があったもんだから、「特にしたい仕事でもないし、でも金を稼がなくちゃいけないから、」と言いながらダラダラ仕事をして、ダラダラ他の人の業務妨害をしながらだんだんと嫌われていくこのループから抜け出せずにいた。多分、社会不適合者ってのは俺のことなんだろうな、と冷えた頭で思う。

    ✄✄✄✄✄

    ミスタが洗濯係で、他の従業員に虐げられてるところをアイクに助けられる。

    「おいさっさとリネン回収して回転しろよ!それが仕事だろうが!!」

    「、すんません」

    「トロくせーな!ったく……」

    □□□
    「そういえばお前、知ってるか?洗濯室のミスタ、元はと言えば俺らと同じフロア勤務だったんだってさ」

    「マジで?そっから洗濯係行き?よく辞めねーな、俺だったら耐えらんねぇ」

    「他に行き場がねぇんだろ〜、ミスタ雇う会社なんてねーだろうし」

    □□□

    「ミスタ!!!!!!VIPのシーツ間違ってんぞ!!!ふざけんな!今回急ぎだっつってんだろ!」

    「ァ、スンマセンッ!」

    「ほんとに使えねぇ!さっさと辞めちまえ!!この給料泥棒がよ!!!」

    「ねえ、ここで何してるの?ここはお客様も通るフロアだけど?まあバックに引っ込んでてもその声じゃ聞こえるだろうから意味ないんだけどね。」

    「、マネージャー!!スンマセン、気をつけます」

    「ウン、そうして。いつどこでお客様の目があるかわからないからいつでもホテルマンとしての振る舞いを忘れない事」

    「ハイッ」

    「後ね、君たちは随分と洗濯係を馬鹿にしてるようだけどね。ミスタがやめたら回らなくなるよ。君たちは今でも駆けずり回ってギリギリで業務を回してるのに、そこに5時間分のリネン処理をどうやってするのかな。ミスタ達がいるから僕達の仕事が回ってるんだ」

    それをゆめゆめ忘れないようにね。

    □□□

    「ミスター、これお願いしまーす」

    「ん、ありがと」

    「次の○○様のルームなんだけど部屋変わったインカム聞こえてた?」

    「あ~~~聞こえてない。何処?」

    「803、だから死ぬほど階段ダッシュだよ」

    「ウゲ、了解」

    「ん。それだけ。頑張ってね」

    「オゥ、あ、シュウ」

    「なに?」

    「多分今下降りたら××様がいると思うんだけど、傘持ってないからネイビーの貸し出し用渡しといて。」

    「おっけー!」

    □□□

    「ミスタ……おはよう」

    ぐったりとした様子でシュウがトボトボ近づいてきた

    「おお、おはよ?どしたん」

    「ミスタ昨日公休日だったでしょ?」

    「おん」

    それで、何もしなかったら一日分のリネン溜まっちゃうから、僕は基本的に全体のサポートだからさ、時間も作りやすいし、ちょくちょくリネンやりに来てたんだけど………
    めっっっっっちゃくちゃ大変だった!!!ミスタの有難みを改めて実感したよ、いつもありがとね……

    「んはは、そんなに?こっちこそ忙しいのにリネンまで進めといてくれてありがとな。いつもなら結構溜まってるから休み明け大変だったんだよ」

    照れたように笑ったミスタは少し嬉しそうだった。

    □□□

    『客対応で困ったら洗濯室のミスタに聞け』

    最近流れ始めた噂だけれど、どうにもその噂の出処はバックチーフのシュウらしい。シュウは面白半分で噂を作る為人ではないし、マネージャーのアイクとしても信頼できる人材であった。
    そのシュウが頼りにするミスタとは何者なのか、それが気になってなんとなく洗濯室に足を運んだのだが、先客が居るようだった。なんとなく聞き耳を立てる。

    「なぁ、ミスタ。××様がいらっしゃったんだがなんか機嫌が悪そうなんだ、原因もわかんないから対処のしようがなくてさ、どーすればいいと思う?」

    「はぁ?お前も噂聞いたクチ??俺はただの洗濯係だぜ」

    「なんでもいいからさ〜!お願い!」

    呆れたような溜め息、一拍おいて。

    「確証はねぇけど、もしかしたらってレベルの話な」

    「うん!」

    多分、偏頭痛だと思う。あの人雨降る前日とか雨の日とかは眉に皺寄ってたり、ため息ついてたりするから。リラクゼーションスペース多分今空いてるよな、あそこなら音楽と照明が落ち着いてるし、勧めてみれば?んで、ハーブティー温かいの、確か緑は進みが遅かったから赤の方かな。気にしぃの人だから「本日は雨ですから少し肌寒いですね、よろしければ温かいお飲み物お持ちいたしましょうか?」ってあくまでもこっちが提案する感じで言えば「じゃあお願いしようかな」って言ってくると思う。

    「POGさすがミスタ!!めちゃくちゃ参考になったよ!!」

    はしゃいだような声が段々と扉に近付いてきてアイクは慌てて身を隠した。

    ありがとーー!!と声が遠ざかって行くのを聞きながらアイクは息を吐いた。
    洗濯室のミスタ、今度名簿を確認しなくちゃ、と頭に刻んで業務に戻った。

    □□□

    アイクはその立場上気難しい客の相手をすることが多い。が、アイクとて完璧に対処できる訳でもない。今日ご予定の**様はアイクの最も苦手とする人物であった。なんというか、含みの多い話し方をする方でそれを読みつつどう流せばいいのやら頭を酷使するハメになるので。
    来る前から疲れたような気分で、どうにかならないか、と頭をくるくる回して思い当たったのがミスタだった。この際頼ってみよう、参考にはなるかもしれないし。

    「や、調子はどう?」

    「あ、え、おまえ、マネージャーの、いや、はい、どうも?」

    「ごめんね、ちょっと聞きたいことがあって」

    「エッ、俺なんかやらかしましたっけ?」

    「いや、違う違う、個人的な内容だよ。客対応で困ったら洗濯室のミスタに聞けってね」

    「いち洗濯係の俺がマネージャーに言えることなんて無い、ですよ」

    「んじゃ、ただの想定ってことにしよう。嫌味っぽい人にはどうやって話したらいいと思う?」

    ミスタは嫌そうに眉間にシワを寄せた。手はパタパタと淀みなくタオル類を畳み続けている。

    「どうせ**様だろ」

    「さあね?ただの想定っていったでしょ」

    軽く返しながら内心アイクは舌を巻いていた。

    「マネージャーが対応するVipで、嫌味っぽくて、今日予定に入ってんのは**様くらいしか居ねぇし、誤魔化す気無いだろ……」

    アイクは否定も肯定もせずニコニコとミスタを見つめた。

    「、アドバイスとかそんなんじゃねぇけど。」

    嫌味っぽいやつっていうか、ただのそういう喋り方だと思えばいい。典型的な上流階級のイギリス人気質なんだよ、あの人は。んで、ミラーリングって知ってる?自分と同じ動作とか似てたりすると親近感を抱くんだよ。人によるけど。で、**様は頭ん中の辞書が嫌味に偏ってるだけだからそんなに性格悪い人じゃないんだ、だったら、脳内の辞書を寄せてやれば、気に入られると思う。ちょっとだけ回りくどい言い方でキレイに笑ってやれば、ウケるんじゃない。とくにお前はパッと見固そうだし、そのほうが面白いんじゃねーの。

    「ふんふん、例えば?」

    ニヤニヤとアイクが促せば。ウゲッと舌を出したあと嫌味になりそうなほどキレイな笑顔と態とらしいポッシュ発音で「今日はとてもいい天気ですね?」と言った。今日はというより今日とて曇りで、そのギャップにアイクも吹き出した。

    ↑「今日"も"」のがいいかもしれん。

    「なるほどね、ありがとう。とても面白かったよ!」

    ケタケタ笑いながらアイクは部屋を出た。


    これはミスタ視点で書き直したほうがいいな。


    □□□

    「ねぇ、ヴォックス。上に上げたい人が一人いるんだけど」

    「ふむ、そうは言うけどね、理由もなく人を上げるのは色々と面倒なんだ」

    「それはそうだよね、でも結果はついてくると思うよ、そのくらいの面倒、対処してくれないの?」

    「ははは、相変わらず生意気だな!この俺にそんな口をたたくのはお前くらいだよ!」

    アイクはにっこりきれいに笑った。
    ヴォックスはケタケタ笑って、

    「なあ、フロア担当が一人減ったろ?新たに採用するまでの間何処からか手伝いに呼んでもいいかもな。例えば、洗濯係とかな」

    「それはいい案だね、うん。そうしようかな、なんてったって人手不足だからね」


    □□□

    めちゃくちゃ忙しい日にミスタが駆けずり回って些細なサポートをしまくってウロウロしてる人には指示を与える。

    締めが終わったあと興奮した様子でアイク

    ミスタ!君は本当にすごいよ!その観察眼を活かすべきだ!こんなところじゃなくって、もっと上に行こう!一緒に働こうよ!


    はは、

    色良い返事が来ると信じて疑わない顔。
    心底苛ついた。

    こんなとこ、ってさ、結局お前も見下してんのな。
    おれさ、上行きたいって言った?お前らと働きたいって言った?洗濯係がヤダとか一言でもいった?
    俺を勝手に憐れんで救おうとすんじゃねぇよ偽善者が。

    ちが、ミスタの能力が勿体ないと思って

    俺のさ、これは、いま、この場所だから役立てられんの。お前らってコネもあるから伝えて上手く活用してくれんじゃん。
    俺だって元はフロアで働いてたの。お前は観察眼だとかシャバいこと言うけどただ単に注意散漫なんだよ、もしくは変なところに執着するADHDの特性。
    だからドアマンしてるだけで目がアッチャコッチャ行くしそうなると来た客を見逃してたりすんだよ。
    ここなら8時間中5時間は一個に集中できるし足はつれぇけど楽なの。何も考えなくていいから。


    ✄✄✄✄✄✄


    洗濯室のミスタが管理室(パソコンと監視カメラとカルテ棚がある部屋)のミスタになるところが見たくて………休みの日にわざわざ出勤してカルテを黙々と読んでるところが見たくて………そんで結局居るから頼られて普通に仕事してしまい、ヴォックスからお前は労働基準法違反で俺のホテルを潰す気か?って詰められるやつが見たくて………最終的にミスタが居るからって個々人の努力とか配慮が薄れてきてこのままじゃ組織としてダメになると踏んだヴォックスによってクビにされたミスタと向いてるけどキャパは自然にオーバーしてるミスタを見て拾い上げた自分の責任だって気にしてたシュウがホテルを辞めて呪術師と探偵のなんでも屋を始める話とかみたいな………ミスタがやっと得た場所を失って空っぽになりかけるのを本業の手伝いしてくれないかなって誘ったら見えない聞こえないくせに第六感で感じてて、不思議なものってのは認知を歪めるから認識しづらくなってるのに第六感で違和感を感じたあとはその違和感を突き詰めて怪異を紐解いてしまう才能があったりしてセカンドステージが始まるんだね。別の話でやれってこった。

    ✄✄✄✄✄✄

    ミスタが落ち込んでるときに手負いの獣みたいな感じで人の気配があると落ち込みきれないから夕方まで部屋に籠もって耐えるけど無理すぎてボサボサの髪にダル着着て外にフラッと出てくのみたい。
    テキトーなやっすいカラオケ屋入って固い黒のソファで丸まってぐったりする。結局外出ても人の気配はするから微妙な気持ちでまた1時間位で外出て、一人の部屋で黙って落ち込みてぇな、って思いながら、のたのた帰るんだよ。
    んで、アイクの部屋に避難するんだな、構ってほしいような、なんにも干渉してほしくないような、そういうときにアイクの執筆部屋が最適なんだな。ひとの気配はするけど、こっちを認識してないってわかるから。ヴォックスは重すぎるんだな、こっちが元気じゃないとくたびれちまうんだな、すっごく耳触りのいい事だけを言うから、素直に聞けるときならいいんだけど、弱ってる時だと突っぱねちまうんだな、駄目になっちまうから。

    ✄✄✄✄✄✄
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