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    Hotate_Whisky

    @Hotate_Whisky

    自立思考型電脳人形No.217(@No_217_ )さんに関する小説を書きます。
    『第一部 博士とニーナの話』
    『第二部 全日本人類消滅本部の話』

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    Hotate_Whisky

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    橙星あかつき(@Akasora_channel )さん。天瀬怜(@u0_amase )さん。黒鉄メタル(@kurogane_metalV)さん。自立思考型電脳人形No.217(@No_217_ )さんに対する二次創作です。

    第二部 第三話 『命令』 時は深夜に差し掛かろうという時間帯。街中はまだ充分賑わっているのだろうが、閑静な住宅街ともなると人気(ひとけ)はほとんどなくなる。そんな路地を、あかつきは一人歩いていた。どこか重そうな足取りで、それでいて明確な意志を持って、その足を動かしていた。
     あかつきには明確に『後悔』と呼べるものが存在していない。
     しかしそれは、全く苦労もなく失敗もしてこなかったという訳では断じて無い。
     少なくはない、苦難を味わった。
     少なくはない、失敗をしてきた。
     ただ、その時の自分は全力を尽くした。その上の結果である以上、そこに後悔する余地がない。それだけのことだ。
     しかし、このあと起こる事に後悔の念を抱かない自信は、どうしてもなかった。
     上着のポケットに右手を突っ込み、中に入っている無機質な物体の感触を確かめる。
     その寒気を覚える程に残酷な感触が、逃れようも無い現実を突き付けていた 
     それは、高強度電磁界により電磁パルスを発生させ、半径五メートルの電子機器を一瞬のうちに不可逆的な機能停止へと追いやる機械。
     HPEM -Generator 
     それが、その残酷な物体の名前。
     この後、自立思考型電脳人形No.217に対して使用される兵器の名前。
     
     何か別の方法がある筈だと、散々考えた。何度も何度も考えた。
     しかしそれは希望的観測に過ぎず、成功率と次善の策が皆無な事から、どうしても同じ結論に帰結した。
     
     どこの国家であっても同じことが言えるが、全体が一枚岩と言うことはまずあり得ない。
     あかつきの母星では国家間の境を無くし星単位で連邦となっているのだから尚更だ。宗教、人種、思想などの理由でどうしても派閥が生まれる。
     あかつきは––––正確に言えばあかつきの上官は一大派閥の穏健派に属している。他の惑星に対し侵略することを良しとせず、移住するとしても外交を通し血を流さず穏便に。そういう思想の派閥だ。その交渉材料を得るため、調査員としてあかつきが派遣されている。
     ただそんな現状をよく思っていない過激派閥が、発言権の強化及び穏健派の弱体化を狙い活発化している。彼らはおよそ人道に反する特殊作戦を秘密裏に決行し、成果が得られた場合は後付けの大義名分と共に戦果を声高に主張する事で徐々に発言権を強化してきていた。
     結果を出している事に加え、都合の悪い事に対する証拠隠滅・隠匿・自派閥を正当化する為の捏造報道の手際が凄まじい彼らを支持する人間は着実に増え続け、台頭されるのは時間の問題だった。
     そんな彼等が次に目を付けたのが、あかつきの報告書に記載されていた自立思考型電脳人形。
     伊達に過激派と呼ばれていない彼等に、穏便な手段を取るという思考は無い。これまでと同じく、他派閥に悟られる暇も与えない電撃的な速さで、電脳人形を拉致するという強行的極まりない特殊作戦の立案・決行が成された。
     この特殊作戦が成功した後には専守防衛的な大義名分を付けて『自星に対する侵略思想を持つ他次元国家が有していた自立兵器の鹵獲に成功した』とでも報告するつもりなのだろう。
     この情報を穏健派が掴めたのは奇跡に近かった。
     だが、絶望的なまでに直前だった。
     
     作戦決行、今夜。
     特務工作員、潜伏済み。人数不明。
     工作員の兵装文明レベル、10
     作戦阻止に動ける人員、調査員橙星あかつき のみ。
     橙星あかつきの兵装文明レベル、4
     援軍が間に合う可能性、0%
     政略での作戦阻止、不可能。
     
     電脳人形の死守は、どう考えても不可能と判断された。
     数刻前、あかつきの通信デバイスに送られた命令内容は、電脳人形の完全な機能停止だった。
     
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