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    Hotate_Whisky

    @Hotate_Whisky

    自立思考型電脳人形No.217(@No_217_ )さんに関する小説を書きます。
    『第一部 博士とニーナの話』
    『第二部 全日本人類消滅本部の話』

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    Hotate_Whisky

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    橙星あかつき(@Akasora_channel )さん。天瀬怜(@u0_amase )さん。黒鉄メタル(@kurogane_metalV)さん。自立思考型電脳人形No.217(@No_217_ )さん...

    第二部 第五話 『結論』 目の前にはニーナの背中があって
     右足を踏み込んだ体勢の自分がそこにいて
     手の中にはニーナを殺す機械が収まっていた。
     その機械のカウントが、ゼロコンマ9秒の表示で止まっていた。
     
     時が止まったんだと、そう思った。
     音が聞こえなくなって
     空気の流れすらも感じなくなって
     自分の身体の感覚すらも曖昧で。
     でも、違った。
     カウントがゼロコンマ8秒に減る。時間が止まってくれたわけではない事を理解した。
     これから俺が、ニーナを殺す。
     殺したくないから、まだ殺していないこの瞬間を、スローモーションに捉えているだけだ。
     
     ゼロコンマ7秒
     いつもみんなで馬鹿をやっていた時の事を思い出した
     
     ゼロコンマ6秒
     いつも?
     いつもって、いつだ。
     それもわからない。
     わかるのは、わかるのは、ただ––––
     
     ゼロコンマ5秒
     ……いいのか
     これでいいのか
     これで、いいのか
     俺は
     俺は––––
     
     ゼロコンマ4秒
     身体が軋むのがわかった。
     
     ゼロコンマ3秒
     苦しい
     でも大丈夫だ。
     苦しくても大丈夫。
     身体は––––身体は、動く。
     
     ゼロコンマ2秒
     『これでいいのか』?
     
     ゼロコンマ1秒
     いいわけ、ないだろうが
     
     ––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
     
     自問に対し荒削り極まりない回答が導き出されたその瞬間、ゼロコンマ数秒という刹那でしかない一瞬の中にあって、その感情・情動・意志が、あかつきの肉体に––––人間の限界を超越する超人的反応をさせた
     。
    【HPEM ––Generator】発動まで残りゼロコンマ4秒––––あかつきの右手は最早引き絞るかの如く振り被られ
     
     発動までゼロコンマ3秒––––【HPEM ––Generator】は渾身の力でもってあかつきの手を離れ
     
     そして発動時、電磁パルスがニーナを襲う事はなかった。
     常人であれば瞬きをするのが精々という刹那の中で、なんとあかつきは【HPEM ––Generator】をニーナの直線上––––陽炎目掛けてぶん投げるという離れ業を成し遂げていた。それは山なりの軌道を描く事なく直線を突き進み、本来ニーナを内部から破壊する筈だった電磁パルスは、特務工作員の文明レベル10の全装備品へと流れ込む。先ほどまで陽炎でしかなかった場所に現れたのは一つの人影。
     しかしあかつきはそれを視認するよりも先に次の行動へと移っていた。今の状況は背後から銃口を突き付けられた状態で綱の上を全力疾走しているようなものだ。ゴールはあるが、その道は果てしなく険しい。一歩でも踏み外したら、それで終わり。それだけで、全てが終わる。
     一歩一歩の成功確認している暇など存在しない。成功を前提として即座に次の行動に移らなければそれだけで死ぬ。
     ただ、それでもいい。ニーナを手に掛けるくらいなら、死んだ方がまだマシだ。理屈なんかどうでもいい。それは、それだけは出来ない。
    「な、何!? あかつき!? どうしたの!?」
     背後から突然駆け寄って来たあかつきにニーナは驚きと困惑を隠せない様だった。しかし、状況を説明している暇などは一瞬も無い。
     彼女の手を取って、無理矢理に駆け出した。
    「何も聞くな! 走れ! 走れ!! 走れ!!! 俺はお前を助けたいんだ! 正解なんて知るか!」
     
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