微睡む油断目が覚めて、うつ伏せのまま時計を確認するとちょうど10時半になろうとしていた。このぐらいの時間に目を覚ますと休日らしいなと寝惚けながらにロージーは思う。
体を横にして隣に手を伸ばす。が、昨夜まではそこにあったはずのぬくもりはなく、その手はそのまま冷たいシーツへと落ちた。
きっと先に起きたのだろうと思い体を起こし、椅子に掛けてあった上着に手を伸ばし、袖が大幅に余るのを気にせずに羽織る。
寝室を出て、欠伸をしながら廊下を進みリビングの扉を開く。と、そこに探していた人物が真っ先に目に入った。
「あ、起きた。おはようロージー」
「ん…はよ…」
まだ完全に覚醒しきってないロージーは朝日のような笑顔の同居人、キオに抱き付く。
「おっと…珍しい…どうした?まだ寝惚けてるのか?」
「お前が横にいねェから…探しにきた…」
起きた時に横にいなかったのに拗ねているのか頭をぐりぐりと押し付ける。普段のロージーからは考えられない、珍しい行動に嬉しさを感じながら宥めるように撫でる。
「ごめんごめん。いつも通り目が覚めちゃって。それに気持ちよさそうに寝てたから起こしちゃ悪いなって思って。お詫びに朝食作ってあるから食べよ?」
「ん……食う…」
大きな手に撫でられてふわふわした気持ちでいたロージーだったがあることをふと思い出す。
「そう言えば今日、お前のゲーム仲間が来てここでゲームするんだろ?いつ来るんだ?」
「え、あ、あー……それなんだけどな…」
キオにしてはとても歯切れが悪く、目を泳がせている様子に疑問を抱き、首をかしげる。
「なんだよ、予定が無くなったのか?」
「いや、無くなってない……その、言いにくいんだけど……来てるんだ…既に…」
「……は?」
その言葉に一気に覚醒したロージーは勢いよくリビングのソファの方に顔を向ける。
そこにはキオのゲーム仲間のネオンとアウルがソファに座りながらこちらを見ていた。
「な、なな、な…!!」
「お邪魔シテマス………その…なんだ…すまない…」
「おはようロージー。ロージーって、キオに対して結構あたりが強いイメージだったけど、2人きりだとそんな感じなんだね」
わなわなと小刻みに震えるロージーに恐る恐る声をかけようとした瞬間。首まで真っ赤にした顔で睨みつけ、キオに勢いよく掴み掛かり、思いっきり揺さぶる。
「なんでもっと早く言わねェんだアホキオーーー!!」
「ご、ごめん!!抱き付いてくるロージーが珍しくて言うタイミング逃しちゃって…!」
その後、しばらく機嫌が悪かったロージーにキオはお手製のふわふわなパンケーキを食べてもらい、みんなでゲーム大会をして、なんとか機嫌を取り戻す事が出来たのだった。