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    suika2022kita

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    suika2022kita

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    🔥🎴ss『もう一歩先に進んでみませんか』

    ■付き合いはじめて半年たつのにまったく進展のない🎴と🔥だが、突然🔥が「恋人として先に進みたい」と言い出して…
    原作軸のなぞ時空、ギャグ風味のお話です。

    「恋人として!もう一歩先に、進みたいと思うのだが!」
    煉獄さんからそう告げられたのは、吹く風にも乾いた涼しさが混ざりはじめた九月の縁側でのことだった。
    「一歩先、ですか」
    突然に放たれた懇ろ宣言を俺は、片手にみたらし団子というとても情けない格好で受け止めた。任務の合間に煉獄さんの館で稽古をつけてもらい、その小休止に千寿郎くんが淹れてくれた熱い茶と団子を満喫していたところだった。
    「君と恋仲になってはや半年だ!そろそろ、進展をしてもいい頃合いだと判断した!」
    「はあ……」
    今年の春に紆余曲折を経て恋仲となった俺と煉獄さんだが、任務が忙しすぎてろくに顔を合わせないまま半年が過ぎてしまっていた。
    たまに互いの都合を擦り合わせることができてもほとんどの時間が鍛練に消えてしまうから、季節を二つ越えたあとも俺たちの関係は以前となんら変わってはいなかった。
    「やはり、気が進まないだろうか?」
    「え!あっ、いえ、そうじゃ」
    予想外の申し出についぼんやりして返事を忘れていた。はっと我に返れば、判断の早い煉獄さんはすでに俺の答えを否と受け取ってしょんぼりしてしまっていた。
    (ああぁ――――!違うんです煉獄さん!)
    嫌だなどと思うわけない。むしろ願ったり叶ったりなんです。
    (だって煉獄さん、二人きりになってもそういう感じがぜんぜん無かったしっ)
    そりゃあ時々は手を握ったり、微笑んでくれたりとかはあったけど。それくらいは前から普通にあった。
    煉獄さんの恋人になれた時、俺はどうしようもなく浮かれていた。奇跡みたいな幸福が自分におとずれたことに心から感謝した。そしてこの先に待つ、あれやそれやに思いを巡らせていたのだ。
    それこそ飽きるほど何度も何度も。
    なのに付き合うと決まったあとも煉獄さんの態度はまったく変わらなかった。どれだけ時がたっても、どんな状況であっても。そうして自分の勝手な期待を弾かれた回数が十を越えるころ、俺は期待することをあきらめた。
    煉獄さんの中で同性と付き合うということは、これくらいの距離感を保った上に構築されているんだ。そばにいられるだけで幸せだと満足しなくちゃ。
    過度な接触なんて求めるべきものじゃない。そう言い聞かせてきたのに。
    (今さら先に進みたいなんてっ)
    こちらはとうの昔にけりをつけたはずのものを今さら蒸し返されても。そんな憤りがむくむくと頭をもたげる。ここで俺がやんわりと接触を拒んだら、煉獄さんはどう反応するんだろう、なんて意地の悪い考えまで浮かんでくる。
    「そう、だな……。俺が勝手にそう思っただけで、君はまだ心の準備もできていなかっただろう」
    「え!?あの、煉獄さ」
    「性急にことを進めた俺が悪い!すまなかったな!今の言葉は忘れてくれ!」
    「ちょっ――――待って!!」
    勝手に自己完結しかけている煉獄さんの言葉に思わず怒鳴っていた。しまったとすぐさま後悔したがあとの祭りだ。恐る恐る煉獄さんの方を見れば、尻尾をつかまれた猫みたいに目を真ん丸にして固まっていた。
    「俺もっ、……煉獄さんと一緒に、この先へ進んでいきたいんです。嫌なんじゃなくて、もう諦めてたから驚いたんです。恋人なのに触れあえなくて本当は寂しかったから――」
    勢いにまかせて吐き出した俺の気持ちを、煉獄さんは黙って聞いてくれていた。やがて小さくそうかと呟くと、安心したように顔を綻ばせた。眉尻がへにょりと下がった、気の弱そうなその顔は、俺が一番大好きな煉獄さんの笑顔だった。
    「ありがとう竈門少年。俺の我が儘を受け入れてくれて」
    「俺がしたいって思ったんです!我が儘なら俺のほうが――」
    一歩もゆずらない覚悟で食い下がる俺と煉獄さんは、しばらく言い争ってから小さく吹き出した。
    「どちらも望んでいるなら、もう遠慮はいらないな!」
    「はいっ!」
    元気に答える。見つめあった俺の顔も、煉獄さんの頬も、興奮で赤くなっていた。
    「竈門少年――――いや、炭治郎」
    「煉獄さん」
    もうなんの遠慮もいらない。真っ赤になっているであろう顔に満面の笑顔で俺と煉獄さんは、同時に口を開いた。



    「君を抱きしめたい!」
    「接吻がしたいです!」


    その時、直前まであれほど濃厚に漂っていた甘い空気がまばたきのうちにひとつ残らず消え失せた。時が凍りつく。そんな瞬間が存在するのだと、人生で初めて俺は体験することになった。
    「……」
    「……」
    再び無言で見つめあうことふた呼吸のち、かっと目を見開いた煉獄さんが叫んだ。
    力強く、威厳に満ちたその声が告げた言葉の、一言一句をたぶん俺は一生忘れない。


    「接吻はまだ心の準備ができていないので無理だ!!」


    終)
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    Replies from the creator

    suika2022kita

    DONE🔥🎴ワンドロワンライ作品
    お題【ふたりぼっち】
    キ学軸。大雨で🔥よ車で家まで送ってもらうことになった🎴。せまい車内で二人きりなだけでもドキドキなのに、🔥のある行動に🎴の心は嵐のごとく翻弄されて…。
    🎴が勝手に片思いだと思い込んでるだけの両片恋のお話です。
    声が優しいのはずるいと思います時おり強まる風にあおられた雨粒が、車の屋根を激しく打ちならす。
    炭治郎はくぐもった水音に満たされた車内の空気を落ち着かない気持ちで受け止めながら、雨に煙る窓ガラスの向こうをじっと見つめていた。
    (やっぱり、断るべきだった…っ)
    激しい後悔がひっきりなしに炭治郎の心を強襲する。けれど過去の選択をどれだけ悔やんでも今が覆ることはなく、おのれを取り巻くこの状況は歴として目の前に横たわっているだけだった。
    細く息を吐きながら、逸らしていた視線を少しだけ隣に動かす。首は真正面にむけたままなので、視界は焦点のあわないぼんやりとした光景だけが映りこんだ。それでも目の端にとらえた金色の髪と白いワイシャツの残影に胸は一瞬で激しくざわつきを深めた。目を背けたい衝動と、もっとよく見たいという欲求がせめぎ合う。どちらを選ぶべきか葛藤している炭治郎の耳に、柔らかなピアノと深い弦楽器の音色が流れ込んできた。
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    suika2022kita

    DONE🔥🎴ワンドロワンライ作品
    お題【自惚れても、いいのだろうか】
    キ学軸。🔥に好かれているとは思いつつ、告白して受け入れられるかどうかいまいち自信がもてない🎴が💎に悩みを相談するお話。
    ギャグ風味なうえ、🔥さん最後に少し喋るだけです😓
    rntnワンライ『自惚れても、いいのだろうか』昼休みに訪ねた美術室で、宇髄先生はなぜか大きな真紅の羽織を着て熱々の蕎麦を食べていた。
    「失礼します宇髄先生!ぜひご相談したいことが――……」
    道場破りのように勢いよくドアを開き美術室へ足を踏み入れた瞬間、自慢の鼻がひくりと動く。ただよう優しい出汁の香りの中、目当ての人は黒板のすぐ前にある教卓に陣取っていた。
    「竈門!?」
    教室の後ろのドアの前に立つ俺を見たキメツ学園美術教師・宇髄先生が驚いた様子で叫んだ。
    「おまっ……、ノックぐらいしろ馬鹿!」
    「えっ、すみません……」
    女子生徒に絶大な人気を誇る男前な顔が今まで見たことないくらい焦っていて、俺は思わず続けるはずの言葉を忘れてしまう。
    たしかに突然の訪問ではあったけど、まさかここまで怒られると思っていなかった。いつもの先生ならこんな突撃、にへらと笑ってすませてくれるはずなのに。不思議に思いながらもいちおう無作法を謝ると、宇髄先生はまったくよぉと小言を漏らしながらも手招きをしてくれた。
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