底辺審神者がちゃんと審神者になるまでの話審神者になった当初の認識が『刀達は自分が主という存在だから敬ってくれるだけで、別にそれは自分じゃなくても構わない』だったので、自己肯定感が底辺。
どんなに短刀達が懐いても、どんなに世話焼き達が世話を焼いても『ありがとう』とは言うけど次に続く言葉が『お礼は何がいいかな?』
刀達は確かに主である人間を敬うようになっているが、それだけでここまで一人の人間を愛することはない…と告げても暖簾に腕押し馬耳東風。
そのうち体調不良を隠したり、無理なスケジュールで仕事を詰め込むようになったので初期刀ストップが入る。
『まだやれるよ』『頑張らなくちゃ』『私は皆の主だから』
初期刀ぶちギレ。
『もう無理やが』『そんな頑張ってほしくないき』『わしらがいつ、そんな無茶をすることを望んだ』
主と初期刀の言い争いの仲裁は初鍛刀、皆大好き薬研ニキ。
『大将の言い分も分からなくはないが、俺っち達は大将に無茶してほしいわけじゃねぇ。むしろもっと俺達を頼ってほしい、俺達はそんなに頼りないか?あんたの抱える荷物を欠片も持てないような、そんなひ弱な存在だと思ってんのか?』
否定する審神者だが、刀達も負けてはいない。
『でも、皆は私たち人間の代わりに戦いに出てもらってる。これ以上は』
『それで主が倒れたら本末転倒ぜよ』
『大丈夫だよ、そんな簡単に倒れたり』
『最近、寝れてないんじゃないかい?食事だって、どんどん量が減っている』
『…無理は、してないよ。大丈夫だから』
『そんな言葉で、俺っち達が納得するとでも?』
『自分はひ弱な人間だから、たいした取り柄もないから、あなた達に主と呼ばれるほど偉い存在でもないから。だから、せめて皆の手本となるような、皆の自慢となるような主になりたくて』
主の言葉が気になった初期刀、誰にそんなことを言われたのか問いただす。
『え…担当さん、だけど』
初期刀以下数振り、いい笑顔でこんのすけを呼び出し政府に訴えかける。
担当が主に対して『何の取り柄もない、平々凡々、むしろひ弱な役立たず、書類整理しか出来ない』等の言葉を投げ掛けていた証拠を提出して担当を替わらせる。
そのゴタゴタの間も卑屈な主にいろんな刀が寄り添い自尊心を育てていく。
就任一年過ぎたら大分落ち着いたけど、たまに卑屈が顔をだす。