RESERVED金曜、15時。まだ空は明るくて、外はどうしようもないくらいに暑い。
俺の職場の最寄り駅で待ち合わせて、そこから電車で三駅。俺たちは今まさにクラフトビールフェスの会場についた。始まったばかりのビールフェスはまだそこまで賑わっていない。つまり今なら選び放題ということだ。
前後左右、所狭しと醸造所のテントが立ち並んで、キッチンカーも出ている。隣の泉水は目を輝かせながらキョロキョロと四方に顔を動かしていた。
「あっ、ねえ連城! 山梨のビールだって」
「あれは? 神奈川……へー! 湘南かあ」
「うーん、栃木のいちごのビールもおいしそう」
「せっかくなら東北とか! 九州もいいなー、それか沖縄!」
花火がひらいたように、パッと俺を振り返って笑う。
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