情人節の贈りもの 「・・・・・・貴様、今なんと?」
ここは魔界宮殿の謁見の間。
上奏したいことがあると呼び出され、長い脚を組んで手摺に肩肘をつき玉座にふんぞり返った洛冰河は、魔王業の執務の都合上渋々魔界に戻っていた期間であり、そもそもが上機嫌ではなかった。が、話を進めるにつれそれは更に悪化し、目を眇めて眉間の皺を深めていき、こめかみに浮かんだ血管をヒクつかせると、ついに憤怒の様相を露わにし始めた。
えー・・・と と、尚清華はこめかみを掻く。コレ絶対何か誤解してるやつ。
しかし目の前の魔王は激マジだ。氷点下のオーラを放ちながら地を這うような低音で、一言一句を確認するかのように言葉を紡ぐ。
「つまり・・・貴様は、この俺を使って、俺の・・・俺の師尊を、暗殺するつも・・・」
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