情人節の贈りもの 〜後日談〜 その瞬間、尚清華は自分が宙に浮いたのを感じた。
(げっ 投げ飛ばされた)
ハッとしてすぐに受け身を取ったが、常に体術の鍛錬を怠らない百戦峰の連中とはやはり訳が違う。深刻なダメージは回避したものの、かなり無様に壁に叩きつけられた。
「大王、どうし・・・・・・」
最近では手酷く扱われることはほぼ無くなっていたこともあり、前触れも無い暴力にただただ驚く。
「出ていけッ! 今すぐ出ていけ!」
困惑した表情を浮かべながらヨロヨロと身体を起こす尚清華に向かい、北疆大王は彼の後ろを指差し怒鳴る。尚清華が振り向くと、壁だと思ったのは豪奢な細工が施された居室の扉板だった。
「えっと・・・・・・」
何が気に障ったのか全くわからない。
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