鼓膜が痺れるかと思うほどの甲高い音で目が覚めた。ベッドの上でごろりと体勢を変えると、むわっと湿度を含んだ空気が部屋に流れてくるのを感じる。全開の窓とその横に立つ下着一枚の先生を見て、先ほどから聞こえる音は蝉の鳴き声だと理解した。
「ごめん、起こしたかい」
こちらを向く先生の、夏の朝日を浴びて眩しく光る白い肌に赤い痕がいくつも残っているのが、堪らなく心を満たす。
「綺麗だな、先生」
呟くように言うと、先生は首を傾げて窓を閉めた。蝉の声が急に遠ざかっていく。
「何か言ったかい、左馬刻くん」
「…いーや、別に。朝メシにしようぜ」
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