月夜のデート「観音坂…」
神妙な顔をした躑躅森先生が私を見下ろしている。
そして私はというと、両膝の上でぴったり合わせた握りこぶしをぶるぶる震わせながら先生の次の言葉を待っていた。そう、気分はさながら死刑囚のようだ。
「………すまんが補習や。このままやとヤバいかもせん」
「あ、あああああああ…!!」
放課後の教室。険しい顔した先生と二人きり。この言葉を投げられる予想はついていた。ついていたけど…ッ
(面と向かって言われるとやっぱり堪える…)
がくりと肩を落とし深い溜息をついた。いや、本当に溜息をつきたいのは私より先生の方かもしれない。だって折角親身になって私の飛行魔法の練習に付き合ってくれてたのに。
「観音坂は真面目やねんけどなぁ。授業中に寝たりもせえへんし、宿題も忘れずちゃんとやってくる。頑張り屋なんはよう分かっとるから先生もなんとかしたいと思っとったんやけどな…」
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