天の川も血の海も泳いで 連日持ち込まれる書類の中には、日付の記入を求められるものがある。そんなわけで本日の日付を記した時、はたと鯉登は気がついた。今日は七月七日である。
「愛する相手と年に一度しか会えないなんて酷い話だな。そう思わんか」
「七夕の話ですか?」
こちらはこちらで各所への手紙を書くのに忙しい月島が、突然振られた話題にもかかわらずそつなく拾った。
「与えられた仕事をしないからそういう罰を与えられたんでしょう。少尉殿も手を動かしてください」
喋っているとこちらまで間違えてしまう、と注意しながら、月島は自分の書いた文面を念のため読み直した。鯉登は手にした万年筆を振りながら大仰に嘆いてみせる。
「私なら耐えられん!あと50年生きるとして、50回しか会えんということだぞ。想い合っていながら離れ離れなど、寂しくて死んでしまう」
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