学パロ エイミー食べ歩き〜ヴァンノアを添えて〜期間限定めんたい海苔チーズたこ焼き〜黄金の味〜をまるまる一個頬張る。
タコのぷりぷりした食感に海を感じる海苔の風味。明太子の辛味と少し癖のある味が大量の黄金色のチーズで覆われ、まろやかになることで更に美味しくなっている。いや、明太子だけでもご飯何杯もいけるし美味しいのだけど。
そんな風に食べ歩きしつつ星3.7かしらと評価を下しながら放課後の街をエイミーは歩く。
エンプーサやアイオナも途中までは食べ歩きに付き合ってくれたが流石にもう入らないと2店目を終えて別れてしまった。(ハティはえづきながら最高4店目まで付き合ってくれた記録があるが今日は陸上部の活動のため不参加である。)
現在5店目、もうそろそろ帰らないとゴールドランドに怒られてしまうだろう。彼は心配症なのだ。「栄養バランスを考えないと身体に悪い、せめて夕食は家でしっかり食べるように。壊血病になってしまうよ。」なんて一体いつの時代の話だというのか。
しかし壊血病にならないためにはビタミン、つまりフルーツ。となるとデザートが必要不可欠だろう。
ふらふらと歩いたせいで学校からだいぶ離れてしまった見慣れぬ街並みを見渡し、今日はこれで最後にしようと路地に入った先にひっそりと隠れるようにある喫茶店に目をつけたのだった。
チリンと鳴る軽やかなベルの音と共にドアを開けると照明を抑え目にした店内の壁一面に沢山の本が並んでいるのが見えた。どうやらブックカフェなるものらしい。
席は小洒落たパーテーションや観葉植物で仕切られ、落ち着いた空間を演出している。
エイミーはいそいそと空いている席に座り苺パフェを注文した。
メニューの中のパフェは粒よりの苺・生クリーム・バニラアイスのシンプルな組み合わせではあるが、上に乗った苺達がキラキラと輝き目を惹きつける。
パフェが届くまでの暇つぶしに周囲を見渡すと本を選んでる人が見えた。どうやら壁に並ぶ本は好きに読めるようだ。
アイオナやノアが好きそうなお店ですね、と目を細めていると店内のほのかな光を反射する銀色が目につく。
肩までの内巻きの銀髪、制服姿の細身だが筋肉のついた引き締まった後ろ姿。
ノアだ。
パーテーションの透かし模様の先に見えるその姿はまさしく思い描いていた人物の内の1人だった。
彼は同じ制服に身を包んだ人物と2人、横並びに座っており、その人物もまた自分の知る人物であった。
癖のある茶色い髪、姿勢の良い後ろ姿、ヴァン・ヘルシングである。彼は生徒会に所属しており、簡単に言うなら生真面目で潔癖。エイミーの早弁に対してもよく苦言を呈してくる。
時折ノアとミステリードラマなどについて話しているのは見かけていたが、2人でカフェに寄るくらい仲が良かったとは。
新たな発見ですね、と思いつつのんびり眺めていると不審な点にエイミーは気付いた。
あの2人、距離が近過ぎるのだ。
肩が触れ合うほど近くに並んで座っており、どうやら同じ本を一緒に読んでいるらしい。
時折ノアが楽しげにヴァンに耳打ちし、それに答えを返すヴァンの横顔もいつもの眉間に皺を寄せた仏頂面からは考えられない程優しい表情だ。(これはエイミーが注意されることが多く仏頂面ばかりを見ているからそう感じるのかもしれないが…。)
同性同士の気安さなのかとも思った。
しかしエイミーの元に苺パフェが届いた瞬間、2人の座る椅子の背もたれの隙間からノアの右手にそっとヴァンの左手が重ねられたのが見えたではないか。
2人共そろって耳が赤くなっている。
パフェの上に赤く輝く苺を見比べて、同じくらい色付いているようにエイミーには思えた。
パフェが甘いですね。何故でしょう、いつもより甘く感じます…
その後、帰宅して人生初の胸焼けをエイミーは経験した。
夕食は食べられないと告げるエイミーを見てゴールドランドが驚愕の渦に叩き落とされるのはまた別のお話。