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    POIPOI 29

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    CPP2期修正済校正前

    第7話「にじいろのかき氷」「やっぱりだめそう。」
    「えぇ〜〜やだあ行かないでワタシのかき氷!りんご飴!焼きそば〜〜!」
    「なしなうるさい。」

    むせび泣くなしなにナシバから窓の外をちらりと眺めわかめだが冷たく言い放つ。
    ポコとフガはもちろんセレナーデも共ポジも初めてだという日本の夏祭りをみんなで体験しよう!となしながいつも以上に張り切り予定を組み、浴衣まで準備したというのに生憎お祭り当日の天気は雨。
    「昨日はあんなに晴れてたのに!!」
    「夜まで降るらしいよ。」
    「そんなあ〜〜。」
    「夏祭り、行けないポコ?」
    「残念だけどこの雨だと多分…。」
    「レインボーアイスも食べられないフガ?」
    「う〜んあれは屋台限定だし。」

    フ、フガーン!!と雷に撃たれたように固まる妖精2人となしなの姿。
    「ふふふ、ワタシ気づいたわ!夏祭りがないなら作ればいいじゃない!!!わかめだ!ポコ!フガ!みんなに連絡して!スーパー行くわよ!!」
    ワタシやっぱり天才かも。
    がたんと椅子にぶつかりつつ勢い良く立ち上がったなしながそうにやりと笑顔を浮かべる。

    ーーーーーーーーー

    「よいっしょっと。」
    「お邪魔します。セレナーデの家って実は初めてかも。」
    「え、わかめちゃん私になったときにお家にいたでしょー?」
    「ちょっと何言ってるか分からないですね。」
    「えっ?」
    「え?」
    「オマエら邪魔アル運ぶものあるからさっさと退くネ。」
    「セレナーデさんのお家って一軒家なんですね!すごいです!」

    セレナーデとわかめだの後ろからダンボール箱を持った共ポジとスーパーの袋を抱えたユーロが声をかける。

    「さ!みんな入った入った!お家夏祭りやるわよー!」
    そのまた後ろで家主でもないなしながノリノリで足を進めていく。

    ーーーーーーーーー
    「みんな順番に浴衣持って来てね私が着付けるから。」
    「あー私のそこのクローゼットに入ってるよ!」
    「ここ?開けるよ。」
    ガタンッ
    バタンッ
    クローゼットから顔を背け空高く天井をわかめだが見つめる。
    「え、わかめちゃんどうして閉めるの?!」
    「ちょっと心が拒否する柄がたくさんあって。」
    「えっ」
    「え?」

    「でじゃぶフガ?」
    こてんっとフガがその体ごと小さく首を傾ける。

    ーーーーーーーーー
    「浴衣、初めて着たけど動きにくいネ。これじゃ戦えないアル。」
    「も〜〜共ポジ!これは戦うための服じゃないの!ワタシ達が可愛く!楽しくなるための服なんだから!ほら!」

    着心地が気になるのかブツブツと文句を言う共ポジの手をなしなが引く。
    赤い金魚が描かれた可愛らしい浴衣と大きな向日葵が咲き誇る黄色い浴衣が空間を鮮やかにする。

    「セレナーデとっても可愛いんだポコ!」
    「えへへ〜ありがとう。」
    水色に白のストライプが入った今風の浴衣を着こなすセレナーデ。
    「ポコとフガもとっても可愛いよ!食べちゃいたいくらい!」
    ポコとフガはそれぞれつまみ細工の花の髪飾りを頭につけている。
    「フガとポコのは色違いなんだフガよ!」
    嬉しそうに愛おしそうにフガがピンクの髪飾りを撫でる。

    「わかちゃんお疲れ様、みんなの分もありがとうね。」
    「久しぶりだったけど上手にできて良かった。うん、なしな達よく似合ってる。」
    「みんなだけ?」
    「……かわいいよ。」
    足元に花をあしらった緑のシンプルな浴衣と白をベースとした浴衣の可愛らしい紫の花が隣で揺れる。


    「!!大事なこと忘れるとこだったわ!ほら!みんなー!夏祭り!するわよーー!」

    ーーーーーーーーーーー

    「なんか思ったより…。」
    「お酒のつまみ一軍達が集まっちゃった。」
    スーパーで買い揃えられた枝豆、焼きそば、唐揚げ、たこ焼き、机の上に並べられた食品の数々なしなとわかめだが眺める。
    「これは飲めって啓司!わかめだ行きます!」
    「待ちな酒カス!ワタシが先よ!」
    実はこっそりと準備していたモノを取りに冷蔵庫へ走り出そうとする2人の前にユーロが立つ。

    「わかちゃん、なしなさん今日はこれで我慢してください。」
    トンっと机に置かれたのはよく水色の瓶に包まれた昔懐かしいラムネ。
    「なあにこれとってもきれい!」
    瓶に入ったラムネを初めて見たセレナーデ達宇宙組が目を輝かせる。
    「きれいな丸が入ってるポコ〜!」
    「これも宝石フガ?」

    「皆さんの分も冷やして持ってきたので飲んでくださいね!中に入ってるビー玉をこうやって押してあけるんですよ。」

    ユーロが瓶の口元に手を添えプシュッ…トンっとビー玉が下に落ちる。
    泡が溢れる。
    「!!はやく共ポジ飲んで!溢れちゃう!」
    「??なんで我アルか」
    「いいからはーやーく!」

    シュワッとよく冷えた爽やかな液体が共ポジの喉を通る。
    「…美味しいアル。」
    「ね!」
    「なんで錠前がドヤ顔をするネ、ユーロが持ってきてたやつアル!」

    「ま、待つフガ!これはポコはゼッタイ飲んじゃだめフガ!!」
    「フガ?どうしてそんなイジワルするんだポコ!」
    フガの制止も聞かずポコがその液体へ口をつける。
    「ぼ゛っ!!!」

    シュワシュワの泡にポコが吹き出しスローモーションのように後ろ倒れる。

    「ポコーーー!!!」
    「フ、フガもうポコはだめなんだポコ。おじーちゃんになっちゃったんだポコ。」
    倒れたままにスーパーの袋からカサカサと取り出し顔につけたのは白い雲のような甘いお菓子。
    「やだフガ!ポコが未来に行っちゃったんだフガ!!!」
    「スペースジョークポコ!」
    シュワシュワに攻撃を受け倒れたことも忘れ、けろりとスペースジョークとともに立ち上がるポコの頭の触覚をフガが引っ張る。
    「ポコーーー!触覚が取れちゃうポコ!でも甘いポコ!!」
    「甘いフガ。」

    「セレナーデ何味にする?」
    「味〜?」
    「かき氷、お家特典で好きなのかけ放題だよ。」
    「氷を食べるの?楽しそうー!」
    わかめだが家から持ってきたかき氷機を抱えセレナーデ達へ声をかける。
    「夏祭りって言ったらかき氷でしょ、ほら好きなのかけて。」
    わかめだから砕いた氷をよそわれた器を受け取る。
    「悩んじゃう。」
    「好きなのでいいの。」
    「う〜ん、じゃあ水色の!」
    「ブルーハワイね、頭キーンってするから食べる速さは注意だよ。」

    ぱくっ、シロップがかかり艶々とした色に輝く氷を口に入れる。
    「美味し〜〜!!」
    もぐもぐもぐもぐ
    早口で美味しいひんやりを口へ放り込む。
    「はうっアタマが!」
    「だから言ったのに〜。」
    頭を抑えるセレナーデとそれを見てわかめだが笑う。

    「わかめだ〜〜!ワタシ達にもーーー!」
    それを見ていたなしなが器を両手で持って近づいてくる。
    一軒家の特権である広い庭を眺め廊下に座りなしな達がかき氷を食べる。
    「共ポはいちご?」
    「そうネ甘いアル。」
    「なしなのそれ何味?」
    「にじ味!」
    「入れすぎてモトが何色かもわかんないネ。」
    「真っ黒なんだポコ!」
    「かき氷ってかけ放題のとことか選ぶと大体そうなっちゃいますよね。」
    ユーロが優しくフォローをいれる。

    「ユーロさん以外うるさい!!いくらでも氷を足せばいいのよ!!見てなさいワタシが本当のにじかき氷ってヤツ教えてあげるわ。」

    「暗いままですけど。」
    「うるさい。」
    意気揚々と氷を足して帰ってきたなしなが少し気まずそうに量だけが増えたそれをスプーンで掬っていく。
    ーーーーーーーーー
    「フガそれさっきのやつ?」
    「セレナーデ。」
    「綺麗だよねそれ。」
    「ポコがくれたんだフガ。」
    シュワシュワが飲めないくせにフガのために中身を減らし綺麗に洗って渡してくれたそれはフガの小さな手で包まれそのピンク色を反射させていた。
    「そっかあ……ねえフガ、フガはやっぱりポコのこと好き?」
    「うん。すきフガ!」
    「うん、そうだよね。」
    すぐ返ってくるその答えにセレナーデが優しい笑顔を向ける。
    「ねえフガ私なしなちゃん達にもフガの昔のこと、記憶の事を話したい。それはフガには辛いことかもしれない。
    でも大切な大好きな仲間だから、大好きなフガの事だから。」

    「……うん。いいフガよ。」
    「フガ本当にいいの?」
    「フガもみんなのこと大好きだから。」
    本当は少し怖い。手が…少し震える。
    でも大丈夫セレナーデと2人手を繋ぎみんなの傍へ歩いて行く。

    ーーーーーーーーーーーー



    「夏祭りってとっても大好き!!ワタシ来年もみんなと一緒にいたい!それでね来年は誰が1番多くヨーヨー取れるか勝負して、りんご飴を食べて、今度は空高い大きな綺麗な花火をみんなで見るの!
    絶対ぜっ〜〜たいよ!約束なんだから!」

    線香花火を早々に落とし両手に2つ火花を輝かせた手持ち花火を掴んだなしなが立ち上がり大きな声でそう宣言した。

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