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    猫耳の🧸ちゃんが見たかった
    ⚠︎ばじえま(幼馴染)(距離感バグ)
    ⚠︎マイエマ(兄妹)(距離感バグ)(鼻ちゅー)
    ⚠︎ドラエマ(両片思い→両思い)(ちゅー)

    #ドラエマ
    drayma
    #ばじえま
    #マイエマ
    myEmma

    白馬に乗った王子様は子猫を迎えに来るのか『場地、お前動物詳しかったよな』
    「好きだけど。それがなに?」
    『今すぐうち来い』
    「は?なんで」

    だよ。と最後まで言葉になる前に、耳元に当てた携帯電話は通話終了を告げていた。
     休日の朝っぱらから電話をかけてきた暴君、佐野万次郎の天上天下唯我独尊的言動は今に始まったことではない。理由もなく呼び出されて、意味のわからない暇つぶしに付き合わされることも少なくない。
     どうせ今回も同じことだろう。このまま無視して猫の集会所へ行って戯れるのもいいと思うが、後日会った時めんどくさいことになるのが目に見えている。
     場地圭介はため息を吐いて愛機のキーを手に取った。

     幼い頃から通いなれた、大きな家の門をくぐって中に入る。休日ということもあり、敷地内は静かだ。平日の夕方になれば、自身も通った空手教室によって喧しくなる。ここに住む4人兄妹の兄たちの友人が集まるとさらにうるさい。
     さて、呼び出した本人は一体どこにいるのか。無遠慮に母屋の玄関の扉を開く。

    「マイキー、来たぞー」

     茶の間にいれば聞こえる程度に声をかけたが、返事はない。仕方なしに声を張る。

    「おいマイキー!?」
    「場地ー、上がってー」

     呑気に返事が返ってきたのは奥の部屋、おそらく仏間か床の間あたりからだろう。
     場地はまた大きなため息を吐いて、踵が潰された靴を揃えて声のした方へと向かった。

    「なあ何の用だよ。電話で言えや」

     何のためのケータイだ。
     中途半端に開けられた襖に手をかけながら溢した不満は、衝撃的な光景により遥か彼方へ吹き飛んだ。
     マイキーの膝の上に心地良さそうに居座る、金色にも似た長毛の猫。日が差し込む畳の上で胡座をかくマイキーの猫を撫でる手つきの優しさはまるで割れ物に触れるようで、猫はその手の体温にすり寄る。

    「マ、マ、マイキー、お前、猫」
    「おー場地、助けて」

     マイキーは足が痺れたと言って、雑に猫を持ち上げた。
     猫に負担になるような持ち方をするな。場地は慌てて猫を抱き上げる。猫は寂しげに鳴いてマイキーの方へと身を乗り出す。

    「場地来て助かったわ。なあエマ」

     脚を伸ばしてストレッチをするマイキーだが、聞き逃せない言葉があった気がする。

    「エマ?」

     この空間にはいないマイキーの妹。そう言えば今日まだ見かけていないけれど、想い人の龍宮寺と出かけているのだろうか。いつもはマイキーとベタベタくっついて、見ていて暑いから離れろと言うくらいなのに。
     首を傾げていると、脚の痺れがとれたらしいマイキーが立ち上がって、場地の腕の中にいる猫の小さな頭を撫でた。

    「朝俺が起きたらこうなってたんだよな。なぁエマ」
    「にゃー」

     ニコニコと笑い合う一人と一匹。
     状況が全くわからない一人は詳しい説明を求めた。
     説明といっても、マイキーが今日も今日とて遅起きをしてきたら、台所にはつい先ほど温め直したばかりの朝食とこの猫がおり、エマと声をかけたところ返事をしたから多分この猫はエマである、ということしか説明できない。

    「ケータイ置いてどっか行くことねえし」

     エマに言わせれば可愛いらしい、目が大きなピンク色のクマのストラップがついたケータイは茶の間の机の上に放置されている。
     状況を鑑みれば確かにこの猫がエマなのかもしれない。名前を呼べば返事するし、きっとそうだ。

    「なんか悪いことでもして、カミサマが怒ってんじゃねえの」

     そう言うけれど、喧嘩だけでなく暴走行為も行なっているお前らと比べればマイキーのアイスを食べてしまったことくらいカミサマは許してくださるはず。エマは怒ったようで自分を抱き上げる場地の腕を噛んだ。

    「おーおー、噛むな」

     悪かったと耳の付け根をくすぐれば、エマは目を細めて大人しく場地の腕に治る。その様子を見てさすが動物大好きヤンキーと揶揄うマイキー。

    「俺じゃ落ち着かなかったのになぁ」
    「お前の抱き方が悪いんだろ。なぁ、エマ」

     なんだか誤解を生みそうなセリフに、素直に頷けず、エマは少し戸惑いながら頷いた。

    「場地の方が好きか〜?ん〜?」

     少し拗ねたマイキーは、意地悪して猫のエマの眉間の辺りを指で撫でながら顔を近づける。エマは喉を鳴らして、マイキーの顔に自らも近づく。
     ちゅ。と音はつかないものの、二人いや一人と一匹の鼻先がくっついた。すると、

    「うおっ!」
    「きゃぁ!」

     突然猫が姿を変えた。
     片手でも持てなくもない重さから両手で抱える重さに変化したことで、支えきれなかった場地は畳に腰を打ちつけ、その上に猫だったエマが落ちた。

    「った……エマ、戻んなら戻るっつえよ」
    「ごめん〜!でもウチにもわかんなかったし、喋れなかったし」

     疲れたと言って寝転がる場地の腹筋の上に座り込むエマだが、様子がおかしい。

    「エマ」
    「うん?っひゃぁ!?」

     エマの背後から、異変に気づいていたマイキーが声をかけてその異変、スカートからはみ出している尻尾を撫で上げた。
     驚きを隠せないエマ。そして異変に気がついた二人目、場地はエマの頭に手を伸ばす。

    「耳と尻尾、残ってんじゃん」

     エマを乗せたまま上半身を起こして、場地は様子を探る。口開けて、舌出して。ざらざらの猫の舌を指でなぞる。完璧に猫から戻ったわけではないらしい。残っていたのは耳と尻尾、舌、そして撫でられて気持ちいい部位とゴロゴロと鳴る喉。
     場地とマイキーに散々撫でられて、エマは気持ちいいが疲れてしまった。
     時間が経てば戻るのかと思えばそういうわけではなく、気持ち良くなればいいのかと思えばそういうわけでもない。一体なぜ中途半端に元に戻ったのだろうか。

    「ちゅーとか?」

     エマが口走った言葉に場地とマイキーが勢いよく振り返る。
     確かに、あの時マイキーとエマは鼻でキスをした。本当は唇どうしでなければならないところを鼻どうしでやったから中途半端になってしまったのではないだろうか。
     じゃあまたマイキーと鼻ちゅーすればいいってことかと、当たり前のように人間の姿でも躊躇いなく顔を近づけて、鼻先を擦り合わせるが、変化はない。

    「場地もやってみ」
    「えー!なんでケースケと。やだぁ」

     マイキーに言われてそんなのできるかと言い返そうと思ったけれど、即座に拒否されるとなんだか癪だ。
     場地はカチンときて、エマの腰に腕を回して無理やり引き寄せた。

    「何が嫌だって?」
    「ちょ、待って待って!やだ!無理!」
    「!?マイキーと変わんねえだろ」
    「変わるって!マイキーは猫みたいなもんだけどケースケは違うじゃん!」

     男として見られていないショックを受けるマイキーと、一応、男として見られているらしいことになぜかちょっと優越感を覚える場地。場地はマイキーに背中を蹴られた。

    「あーもうしょうがねえ」

     マイキーは取り出したケータイでどこかへ電話をかける。

    「もしもし、俺。今から俺ん家来て、今すぐ。エマが大変なことになってっから、じゃ」

     名乗らず、用件も言わず一方的に命令して通話を終了させる傍若無人な態度にエマは眉を顰め、場地はため息を吐いた。
     しばらくすれば来るからとだけ言われて、説明もないため誰が来るのかとエマが問いただすが、マイキーはエマの喉をくすぐって黙らせた。ここから何がどうなろうが知ったこっちゃない場地もエマの残った猫耳や尻尾で遊び始めたのだった。
     自分は困っているのに、お前らは歳上のくせに、役に立たない上に遊び始めるとか一体何を考えているんだという気持ちと裏腹に、猫に慣れている場地の触り方が心地良すぎて文句が言えず、エマはなんとも形容し難い表情で撫でられ続けた。
     遠くから聴き慣れたエンジン音が聞こえた瞬間、猫耳がピクンと動き、尻尾も一緒に立ち上がる。

    「おー早」

     近づいてくる足音がいつもよりはっきり聞こえる。ドキドキしている胸の音もよく聞こえて、外まで漏れているのではないかと錯覚するほど。
     ピンと立ち上がったりゆらゆらと彷徨ったりする尻尾を場地は目で追いながら、尻尾と耳があるといつも以上にわかりやすいなコイツと思い、頭をぐらぐらと撫で回す。

    「エマ!?」

     マイキーに突然呼ばれて慌てて速度制限をガン無視して来たのは、エマが恋い慕ってやまない龍宮寺堅その人だ。
     なぜかエマを撫でている場地と、揺れる尻尾を狙っているマイキー、そして尻尾と猫耳をつけたエマ。目の前の状況を飲み込めず、龍宮寺は3秒ほど息を止めた。

    「……どういう?」
    「エマが猫になっちゃって、キスしたら治るっぽいからケンチンよろしくって状況」

     は?と眉間に皺をこさえながら、言われたことを頭の中でぐるぐると回してようやく理解した瞬間、龍宮寺の鋭い視線は場地の方に向かい、エマの耳をいじっているその手をはたき落とした。

    「場地、テメエ!!」

     猫になっちゃってキスしたら治ると分かっていて、エマが中途半端に猫の姿を残しているということはつまり誰かがエマにキスをしたということだろ。龍宮寺は案外頭の回転が早い。

    「俺じゃねえよバカ!」

     そしてその手をすぐに戻すな。馴れ馴れしくエマを撫でるな。ガルガルと唸って今にも噛みつきそうな勢いで睨みつける。

    「そうそう、場地じゃなくて俺だから」

     なー、と言ってエマの顔を覗き込んだマイキーはエマと鼻を擦り合わせて、龍宮寺をチラリと見て自慢げに笑う。
     龍宮寺のこめかみに青筋が浮かぶ。エマの腰に回していたマイキーの腕を無理やり剥がして、エマを抱き寄せた。

    「け、ケンちゃん!?」

     驚きを表すようにピコンと立ち上がった耳が、感情を隠す術を奪う。赤く染まった頬を龍宮寺は片手で挟んで、目線を逸らせないように固定して覗き込む。
     蜂蜜色の瞳に映っているのが自分だけだという優越感、独占欲、その他名付けることのできない感情が龍宮寺を満たした。

    「ケンちゃん……?」

     不安げにこちらを見上げるその表情に庇護欲がくすぐられて、エマが何か口を開こうとした瞬間龍宮寺は噛み付くようにキスをした。
     驚いたエマは息の仕方も忘れて、苦しくなって龍宮寺の胸板を叩く。流石に限界かと思ったところで一度離れて、息継ぎができたら何か言う前にキスで塞ぐ。それを2、3回繰り返しているうちにエマの尻尾が背中に回された龍宮寺の腕に巻き付いた。
     それに気づいた龍宮寺は気をよくして、さらに深く口付けを交わそうとエマのキツく結ばれた唇の隙間を舌でなぞる。くすぐったさに口を開きかけたその時、二人の間に邪魔が入った。

    「はいはいそこまで。ベロチューは無し」
    「気分悪いもん見せんなボケ」

     友人と幼馴染のラブシーンなど誰が見たいと思うか。気持ち悪いもんを見せられたため癒されたいと、場地はエマの頭にあった猫耳に手を伸ばした。が、そこに求めた癒しはなかった。

    「耳ねえじゃん!」
    「え、あ、ほんとだ!耳ある!」

     猫耳はなくなり、人間の耳が戻ってきた。
     猫耳と一緒に尻尾もなくなって、すっかり普通の人間に戻ったエマは片想いの相手にキスをされたということよりも、普通に戻れたという喜びが大きく、龍宮寺に抱きついた。

    「ケンちゃんありがとー!」
    「おー、どういたしまして。ってことで、エマ連れて帰るからよろしく」

     ひょいと軽く抱き上げられて、エマは逃げ場を失う。
     状況を飲み込めないエマと、なぜか嬉しそうなマイキー、そしてウゲェと吐くジェスチャーをして不快感を露わにする場地。
     龍宮寺は鼻歌でも歌い出しそうなほどご機嫌で、玄関でエマのサンダルを拾い上げたかと思えばエマをバイクに乗せた。

    「俺ん家とラブホ、どっちがいい」
    「え、え!?ま、待って何!?」
    「さーん、にーい、いーち。決めた?」
    「き、決めらんないよ……」

     エマは困った顔をすると眉が下がる。龍宮寺は笑みを深めてバイクに跨った。

    「ちょ、ケンちゃん!?」
    「しゅっぱーつ、ちゃんと掴まっとけ」

     龍宮寺の腹に回った細い腕。抱きついてくる柔らかい体。その全部を今日、自分のものにする。
     安全運転かつ、焦りを隠せない運転で龍宮寺はエマを攫った。
     王子様のキスで呪いは解けたけど、エマの王子様はバイクに跨るちょっと悪い人だったらしい。


    「ダチの事情とか知りたくねえよ……」
    「てか、エマの事情が知りたくねえんだろ」
    「っせ。エマがいねえと晩飯も用意できねえくせに」
    「やば晩飯どうしよう。場地何か作れる?」
    「ペヤングなら」
    「料理じゃねえじゃん」
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    DONE⚠︎最初から最後まで全部『ONE PIECE FILM RED』の結末のネタバレです。自己責任で。
    ⚠︎ONE PIECEを少し齧っている人間が書きました。原作と異なる点があるかと思います、ご容赦ください。

    REDからしばらく経ったある夜の話。

    見終わった後、速攻マブに連絡して生まれたオタクの幻覚です。
    マブに支部の垢バレるの恥ずかしいのでポイピクで。
    赤髪海賊団の音楽家 今晩レッドフォース号の不寝番を担当するのは、副船長のベン・ベックマンと何人かの船員。ベックは今日は甲板の担当だ。他は晩飯を食べ終わって、自由に過ごして勝手に自分の部屋で寝て始まる。
     僅かに残っている夜更かし共が集まる食堂にベックは足を運んだ。

    「まだ起きてんのか。誰か俺と当番代わってくれんのかよ」

     そう言うと全員揃って首を横に振る。自由にする夜更かしが好きなだけで、義務の夜更かしである不寝番は嫌なのだ。それを分かった上で揶揄ったベックはくつくつと笑いながら、小さな宝箱を開ける。あ、と小さく溢したのは誰だっただろうか。
     ベックはその中の電伝虫を手に取って、シーっと人差し指を口元に立てた。
     今日の波は穏やかで、雲ひとつない星空は宝箱と見間違うほど輝いている。そんな中、ベックはハンドレールに置いた電伝虫を起こした。
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