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    別れて再開する系のやつ
    🌟が🎈との将来を考えて、🎈のことを思って別れ切り出すn番煎じネタ

    🎈🌟「オレと別れて欲しい。」

    その言葉に目の前にいる男は目を見開く。

    「…えっ…と……別れるって…?」

    男は酷く困惑した様子で問いかけた。

    「そのままの意味だ。
    オレはもう類とは付き合えない、だから別れてくれ。」
    「…なんで……急にそんな…」
    「…本当に急なことか?」

    そう問い詰めれば、類は何も言わなくなった。
    当然だ。
    だってこれは、突然起こった出来事ではない。
    オレが入念に計画し、少しずつ実行してきたことなのだから。

    「オレはここ数週間、類のことを避けていた。
    類も気づいていたんだろう?」
    「そんなことっ…だ…だったら!その別れる理由はなんなんだい!?僕は何か悪いことでもしたのかな……」
    「違う、類は悪くない。これはオレの問題だ。
    そうだな…類と別れたい理由は一つだ。
    オレに類以外の好きな人ができた、それだけだ。」
    「好きな人……?僕以外の…好きな………」

    ガシャンとフェンスが大きな音をたてる。
    強く押し付けられた背中が少し痛い。
    いつもは優しく触れてくる手が、今は跡が出来そうなほど強く腕を握られている。

    「許さないよ…司くんが僕以外の人を好きになるなんて。」
    「…そういう所が嫌なんだ。」

    類の目を真っ直ぐ見つめてそう告げると、類の息を呑む音が聞こえた。
    強く握られていた腕の力が少し弱くなる。

    「オレはスターになる男だ。
    これからオレは色んなところで注目を浴びる。そうすれば世界中の人の好意を受け取ることになる。その度にお前は嫉妬して、こういうことをするのか?」
    「それは…で、でも僕は輝く君が好きだから…嫉妬する事があったとしてもちゃんと抑え込むよ。」
    「今、出来ていないのにか?」

    また掴む力が弱くなった。
    ほとんど触れているだけの状態である、類に掴まれている手を振りほどく。

    「もうオレは耐えられない。」

    いつもは目を合わせて告げている言葉が、今は類の顔を見て告げることが出来なかった。

    「……そっか…ごめん、司くん。君にそう思わせていたことに気づかなくて。」

    涙は無く、ただ悲しいそうな表情で類はそう言った。

    「司くんが僕と別れたいなら…別れよっか。
    あ……でも、これからもずっと役者と演出家として一緒にショーはしていたいかな…司くんが良ければ…だけど……」
    「それは構わん。それに、オレも類とは良い仲間でいたいと思っているぞ。」
    「うん、ありがとう。それじゃあ、元通りだね。」
    「あぁ…そうだな。」
    「……最後に一つだけいいかな?」
    「…なんだ?」
    「司くん。
    僕は君のこと、本当に大好きだよ。司くんはもう僕のことは好きじゃないんだろうけど、それでも僕は…君以上に愛おしいって思える人はいないから。それだけは伝えさせて。」
    「…そうか。オレも類のことは大好き"だった"ぞ。」
    「うん…ありがとう。」

    そう言って類は屋上から去っていった。
    この後は稽古がある。
    互いに今まで通り―いや元の距離感に戻らなくてはいけない。
    類なら大丈夫だろう。
    類は演出家であると同時に一人の役者だ。
    きっと、ちゃんとしてくれる。

    「問題なのは……オレか…。」

    誰に言う訳でもない独り言を呟く。
    胸が苦しい。
    張り裂けそうなくらい、苦しかった。
    でも、全てはオレが始めた物語だから、泣くことなんで出来ない、許されるわけがない。
    類にあんな顔をさせたのは、全てオレの責任なのだから。
    脚に力が入らなくなり、フェンスの音を鳴らして冷たい地面へと座る。
    類が最後に触れた少し赤くなった腕へと手を伸ばす。
    そこはまだじんわりと痛くて、いつも優しく触れる手がこの跡を残したのだと思うと嬉しくなった。
    一生、この跡が消えなければいいのに―。
    だってこれは、類がオレの好きな"誰か"に嫉妬して出来たものだから。
    今後叶うことの無い、類に愛されていた証になるのだから。
    類にされることならなんだって嬉しい。
    痛いはずのその跡だって、類がつけてくれたものだと思うと愛おしさすら感じる。
    稽古の時間が近づくまでの間、すぐに消えてしまうであろうその跡をただ眺めて過ごした。
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