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    @conishi524

    地雷がある方は閲覧しないでください。

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    トップオブトップ!現パロ
    地雷がある方は読まないでください。


    2496プロダクション、通称フシプロ。
    大田区にあるボロくて小せえ雑居ビルの二階に居を構える、超弱小芸能事務所。社長は金策のため駆け回っていて、殆ど会社にはいねエ。最後にカオを合わせたのは何年も前だ。
    女性アイドルのプロデュースを主に行っていて、所属アイドルは十人。ソレに事務のオンナ、プロデューサーが一人ずつ。

    ンでオレがそのプロデューサー……。

    「ダーリン♡お仕事頑張ったからゴホービチョーダイ♡」

    ウチの事務所にマトモなニンゲンは一人もいねエ。社長も、事務員も、プロデューサーも、モチロン、コイツらアイドルも。
    今こうしてボロボロでペッチャンコのソファに座るオレに跨りカラダを寄せてるオンナは一応事務所のエースで、たまに回ってくる仕事を唯一こなせるオンナだ。ゆえに、多少のワガママや横暴が許されており、他のオンナ共へのタイドもオレとの関係も目を瞑られている。
    こんな弱小事務所じゃオーディションのハナシなどそうそう回ってくるハズもなく、仕事のホトンドは社長かオレのコネで獲ってきたモノ。ソレをコイツが全部持っていっちまうモンで、他のオンナからは煙たがられていた。
    といっても、他のオンナは全員酒、タバコ、シャブを切らすと十分もエガオを保てねエどーしようもね~メンヘラばっかなモンで、どちらにせよ仕事は回せねエが。

    「オーエライエライ、撫でてやろ~なア」
    「ブー!子供扱い止めて~」

    コイツもこの事務所に入った十四の頃から酒もタバコもシャブも嗜んでるバカだが、この事務所には珍しくソレらに依存せず、遊び程度に留めている。しかしその分セックス依存症といっても過言でないホド、空き時間さえあれば事務所だろうが楽屋だろうが行きずりのオトコを引っ張り込むので、社長からの命令でオレが世話を見るコトになったワケだ。
    ソレから素行は良くなったが今度はオレへの依存が著しくなり、仕事中も目に見える範囲にいなけりゃ騒ぎ出し、レッスンはサボリ続き、事務のオンナにさえ敵意を向け、お話にならない状態が続いていた。
    そろそろ潮時だな……もう十八過ぎたし、コイツの良さって、若さと中毒症状が比較的軽いトコだけだから。多分、その内社長が新しい若いオンナを連れてきて、今度はソイツに仕事を回すようになり、このバカは挿げ替えられる。
    マ、ソレマデは可哀想なガキのゴキゲンをとるのがプロデューサーのオシゴトってワケだ。
    拒食ギミで骨の浮いたセナカに手を這わせ、カオを寄せる。うっそりとした濁った眼がトロンと閉じて、コチラに身を委ねた。

    ドガッ!

    「…………………………」

    オンボロ事務所に相応しいアルミのドアが思い切りカベに打ちのめされ、ドアノブで穴が開く。パラ、パラと石膏のカケラが落ちる音さえ聞こえる静けさを破ったのは、実はずっと事務所内にいた事務のオンナだった。

    「え、誰すか?」

    ドアが開いたというコトは誰かが開けたというワケで。
    ロングのパツキン、デカイグラサン、オーバーサイズのMA1を肩に引っ掛け、デカイオッパイを突き出してエラソウに、短いパンツから飛び出したアシはスラリと長くハダは輝いてる、唯一見えているクチモトから覗く表情はブアイソで、明らか友好的なニンゲンには見えねエ。

    「…………今日からココの所属になるモンやけど。聞いてヘンの」

    事務員とオレとでカオを見合わせ、ソレからもう一度オンナを見る。チッ!と特大の舌打ちが聞こえ、ソレからズカズカと上がり込み、オレらの正面のソファにドカッと座り長いアシを見せつけるヨウに組んだ。

    「社長の知り合い?」
    「マア、そんなトコ。なア、直近の予定は?」

    事務のオンナが薄汚れたホワイトボードに目線をやる。ソコには数少ない仕事のスケジュールの下に、担当アイドルの名前が書いてあった。といっても、全て、このセックス中毒に割り振ってあるため、書かれた名前は一種類のみだ。

    「ソレ、全部ウチが行くから。先方にはそう連絡して」
    「ハア!?ザケンな、テメエ何様だよ!!」

    モチロン噛み付くよなア、とヒザの上のオンナをカタチばかり宥めるが、スグに向かいのキンパツオンナがやり返す。

    「そのナリで、よお芸能の仕事勤まると思えるなア。引っ込んどれや、ドブス」
    「!?」

    途端オレのヒザからポーンと飛び出し、テーブルを踏みつけてパツキンオンナに飛び掛かる。蹴っ飛ばされた山盛り灰皿が引っくり返って灰が舞った。パツキンオンナは伸ばされたウデをとって、グルンと捻るとセク中オンナを事務所の床に叩き付けた。骨と皮ばかりのカラダでは衝撃を散らすコトが出来なかったヨウで、声も出せずにもがく。

    「~~~~~ッ!!テ、メエ~~…………!!」
    「タフやなア。ホナら、諦めつくヨウしたろか」

    そう言って、転がったセク中のカオを躊躇いなく蹴り上げた。
    暴力に慣れすぎだ。カタギじゃねエな、このオンナ。
    オンナがスポサンだったのが幸いして出血こそしてねエが、打撲の跡がクッキリ残っていて、恐らくこの後内出血でデケエアザになるだろう。
    恐ろしいコトに、オンナはソコで手を……足を?緩めずに、何度も何度も、座ったままセク中オンナのガンメンを蹴飛ばした。
    抵抗のイシもなくなったコロ、小さな小さなハンドバッグから万券を取り出し、フタツに折ってクチに突っ込む。

    「アンタ、コイツ送ったって」
    「エエ、アタシすか……」

    新た万券を差し出し、ツリはいらんし、そのまま上がってエエよと言われ、事務のオンナはザースと張り切ってタクシーを手配し出した。イチヌケズリーぞ!
    やがて事務所に誰もいなくなり、仕方ナシにオレはオンナに話し掛ける。

    「エート、ホントにアイドル志望?」
    「何か文句あるん」
    「イヤだってサア」

    見てくれだけ見たら大手にだって通用しそ~だし、金にも困ってないみてエだし、小さい頃からアイドルに憧れてます♡みたいなタイプにも見えねエし。

    「ウチ、何でもやるからにはトップやないと気が済まんの」
    「っぽいねエ」
    「やから、ウチが」

    アシを組み換え、サングラスのスキマから上目遣いをして、ニヤリと口角を上げた。初めて見せたそのエガオはとてもじゃないがアイドルとは言い難い邪悪さを放っていて、イヤな予感がビシバシする。

    「必ずトージクンをイチバンにしたる♡」

    何でオレの名前をと思って飲み込む。ウソかホントか、社長の知り合いってンだからオレのコトを聞いてたってオカシくない。この事務所には、オレ以外はパッパラパーのオンナしかいねエしな。
    どちらにせよ、オレはココの社長に借金があって働かされてる身だ。元は羽振りのイイオンナだったのが、芸能事業に本腰を入れた途端に業績が悪化して、ソレまで自宅で囲われてたオレをタダ働きさせて採算をとろうとするシマツ。
    マア、その気になったらいつでもバックレるコトは出来るし、メンドウになるまではとテキトーにプロデュース業務に日夜励んでいたワケだが。

    「それより、早よ先方に連絡したら?最速明日やろ」
    「そんな大した仕事じゃねエーし、向こうも誰が来るかなんて気にしちゃいねエーよ」

    一応コイツのキゲンを取るために、ホワイトボードの名前を書き換えておくか。オレはトキに長いモンには巻かれる主義なんだ。
    ユビでセク中のオンナの名前をギュウと消して、マーカーのキャップを取ったトコロで気が付く。

    「オマエ、名前何てーの?」
    「………………なおや」
    「ナオね。怖い関西弁はウケが悪ィから仕事中は東京弁にしたホーがイイぞ~」

    ナオちゃんナオちゃん…………漢字……はメンドクサイからいっか。ナオ、と書いて、他の仕事の下にはチョンチョン、同じというマークを書いていく。

    「じゃあ明日は事務所集合な」
    「何で?現場教えてや。直接行くから」
    「オマエ、現場入ったコトあんの?」
    「ナイケド」

    謎の自信に気圧されスタジオの場所を教えると、来たトキと同じヨウにズカズカと事務所を出て行った。モメそう……ゼッテーアイサツとか社交辞令とか出来ねエタイプだよな、アイツ。
    シャーネエから早めに行ってフォローしてやるか。言うてオレのホーが芸能界のパイセンだしな……。
    しかし次の日フツーに寝坊して、トックに仕事が終わったコロにナオちゃんに蹴っ飛ばされるオレであった。














    「なア。去年の仕事やけど、コレ、bvexのフェスの枠なんて何で貰えたん?」

    新調されたソファの座面はパンパンに張っていて、座面に寝っ転がるとカラダと反発して痛エ。事務所は全面禁煙になり、吸い殻や怪しげなパケや幻覚に怯えて動けなくなってるオンナが床に落ちているコトもなくなった。
    ていうかオレと事務のオンナ以外全員叩き出された。
    ウチの元エースの仕事を文字通り力づくで奪ったナオはどの現場でも要求以上に仕事をこなして見せたが、アイソがないのでスタッフ受けは悪い。ただし“持っている”側のニンゲンだったらしく、些細な仕事がバズにバズり、アッと言う間に認知度を上げ、次々と仕事が入ってくるヨウになり、ホワイトボードは先の予定でビッチリ埋め尽くされた。
    アイドルとしてあるまじきコトに、ファンにもスポンサーにも一切媚びず度々炎上しているが、今のトコロ実力と見目の麗しさで捻じ伏せている。
    コイツのファンのオタは、篩に篩を掛けられて残った、“もうオマエはソレで良い”っていうヤツらで、SNSナドではナオ炎上のたびにファンが代わりに謝罪したり、賠償と称し詫び募金をしたりする流れマデ出来ているようだった。
    後は今一瞬の盛り上がりを楽しめれば人間性なんてドーデモイイ、というライトな層がホトンドなので、炎上しては話題になりを繰り返し、プラマイでチョコッとずつプラスになっているような状況だ。

    「あ~~ソレ。オレの知り合いがビーベに居てさ。何か仕事チョ~ダイって言ったら枠空けてくれたンだ」
    「フウン…………その割にはほかの仕事に繋がってないヨウやケド」

    そのトキのコトを思い出して吹き出すと、ナオはイラついたカオで続きを促した。
    “bvax”。音楽事業、マネジメント事業など芸能に携わる企業を持つ大手グループで、毎年所属アーティストを中心に行われる大型フェス“b-nation”を開催している。ソコの数少ないゲスト枠として、2496ジムショーノメンメーンが出演した年があった。
    モチロン、大した実力もない上に中毒患者の集まりであるトコロの我が事務所アイドル達は散々なパフォーマンスを披露し、無事タイムテーブルにトイレタイムを作り出したとういう……。

    「サイコーに笑えたぜ~。途中で一人ステージから客席に降りてさア、そのまま戻って来なかったンだよな笑」
    「ウチも出たい」
    「知り合いには爆笑しながらひっぱたかれたし、当時SNSがそんなに普及してなかったから大して話題にもなんなかったし………………何だって?」

    ナオは、ニコニコー!と笑って圧を掛けてくる。
    出たい、ってサ…………。

    「知り合いがおる言うたやん」
    「バカ、ムリだって。出禁だよ出禁」
    「ウチは実績あるモン。どうにか交渉するンがプロデューサーの役目やろ」

    ナオはツンとアゴを反らしてスマホでSNSのチェックに戻った。
    オレはシブシブ、件のビーベの知り合い…………白木サンに電話を掛ける。留守電設定がされてないのかコールは中々止まず、ドンドン気が重くなる。ヤダな~~メンドクセエな~~。

    『オゥ、フシグロちゃん久しぶりイ』
    「ア~~どもッス、白木サン、お久しぶりッス」

    出ちまった…………。
    最近どーよと言うお決まりから始まり、今度麻雀どう、とか、ジャブのような世間話をしていると、ナオがテーブルをガツンと蹴って催促してくる。バカオマエ、こーいうのが大事なんだって、男社会は……。

    「実はちょぉっとお願いがあってェ」
    『出たよ~フシグロちゃんのお願い笑 いつも軽~くムチャクチャ言ってくるからなア』
    「ヘヘ、サーセン笑」

    カチッと音がして、シバシ無音になる。タバコに火を点けたヨウだ。
    シメタ。あんまり忙しくねエみてーだ。ダラダラクダ巻いてゴリ押しイケッかも。

    「また枠貰えませんかね、“b-nation”…………」
    『…………………………』
    「アハ~、やっぱムリすか……?」

    及び腰のオレに、ガン!ガン!とナオがテーブルを蹴る。ギギギと威嚇され、シッシと手で払うと身を乗り出してきてガブ!とユビを噛まれた。

    「イデ!のクソ、」
    『ンー?大丈夫?』
    「アア!全ッ然ダイジョーブっす!…………で、キビシーすかね…………笑」
    『キビシーつうか、やマア、キビシーだろ笑 何年前だっけ?アレ、ヤバかったモン笑』

    ヘヘヘヘエと笑うと、笑えね~~!とヒザを叩いてグチが始まる。
    当時の映像は後日ビーベからイヤガラセにDVDで送られてきていて、ナオはどっから掘り出したのか、ソレを大音量で再生し出した。アタマをパン!とはたいてミュートにさせる。
    だだっ広いステージの上、立ち位置もバラバラなオンナが七人、センターはあのセク中のオンナで、踊り出しは異様に張り切ってるものの、観客が次々と立ち去る、長々とオシャベリを続ける、スマホで他のヤツらの動画を見るナド、全く相手にされてないコトに気付くと、トタンに手を抜き、振りは間違えるわ歌唱パートは間違えるわ、ドンドンパフォーマンスの質が下がっていくのが目に見えてわかった。

    『てかさー、あんトキ、フツウに帰ったヤツいたよね?アレどうなった?』
    「未だに帰ってきてません笑」
    『爆笑』

    ひとしきりヒイヒイ笑って、スウとタバコを吸って、白木サンはソレからマジトーンになる。
    気さくなヨウで、大型アイドルをバカスカ立ち上げてはヒットさせてる敏腕プロデューサーだ。オレみてエな名前だけのお飾りとは違う。前回みたいにたまにゃお遊びもあるが、見込みのないモンに情を掛けたりはしねエ。

    『ンー…………前回ね、刺激が欲しくて枠空けちゃみたケド、結果、残せなかったからねエ。僕、エライオジサンからかなり詰められたよ~』
    「すんませんした」
    『ただ歌って踊ってをこなすだけの子らが立てない場所に、ただ歌って踊るコトすら出来ないシロート以下のバカオンナが、バカヅラ揃えて…………イヤ、揃ってすらなかったか笑』
    「その節は大変申し訳ございませんでした」
    『イヤイヤ、思ってもないコト言わなくてイイよ笑』

    イヤ流石に思ってるって。
    気マズすぎてあのフェス以降コレが初めての連絡だもん。

    『つか良くそのハナシ出来たねえ。ずうっと連絡なかったし、流石のフシグロちゃんも気マズイのかと思ってた』
    「イヤ~、ハハ…………」
    『ってコトだからさ、このハナシは聞かなかったコトにしとくよ。また雀卓を共に囲もうじゃないの』

    業界人は声がデカイ。スピーカーになんてしてないのに会話は筒抜けでだ。話題が収束しかけたそのトキ、イライラしっぱなしのナオが組んでたアシをパッと解いて、前のめりにオレのスマホを引ったくった。

    「オイオッサン、ウチをあのポン中共と一緒にしてンなや」
    『ハア?誰、キミ』
    「ホンマに業界長いンか?アンテナ鈍っとるンちゃう?何かと話題のフシプロアイドル、ナオ言いますが」
    『知らないなア…………』
    「最近インプットサボッとるやろ。基本のキィ出来んヤツはアシ掬われんで」

    ベラベラとマア、初めて喋るオエライジジイ相手によくこんなに悪態が吐けるな…………。

    「アンタんトコに、カルパスだかアメダスだか言うプロデューサーおるやろ」
    『笑 もしかして、カルロスのコト?』
    「名前なんて、ドーデモエエねん。ソイツにフシプロのナオ言うてみい。聞かんかったらアンタは昨日と明日、二回フシプロにハジかかされるコトなんで」

    ナオは一方的に捲し立て、スマホをオレにポイッと投げ返す。そしてまたドッカリとソファに掛け、フキゲンソーにスマホをチェックし始めた。

    「…………すんません、ウチのバカが」
    『イヤ~、フシグロちゃんのトコってマトモな子いたコトないね』
    「すんません」
    『いいよいいよ。そーいうトコがオモシロイんだし』

    白木は呼ばれちゃったからもう行くねと通話を切った。
    フウーー、息を吐いて、ジロッとナオを見ると、クチビルをとんがらせてソファに寝っ転がっている。

    「オマエなア」
    「ホンマのコトしか言うてヘン」
    「…………ア~~ア、せっかくチョイチョイ仕事入ってンのに、コレでビーベ関係キャンセルされるよ」

    ナオは履いてたサンダルをオレに投げつけ、ベエと舌を出し中指を立てた。
    オレに背中を向けテアシを縮めて完全に不貞腐れてやがる。どんな分際で…………!?

    「オメーが悪イだろ、今のは。何でキレてんだ、イミわかんね」
    「…………………………トージクンがヘコヘコするから」
    「ハア?そりゃすンだろ」
    「アイツらがカスでも、ウチが最強やからプラスマイナスで言うたらプラスやモン!!謝る必要なんかナイ!!ムシロ感謝してホシーくらいやワ!!」

    スゲー理屈だ。
    ナオはもうカタッポのサンダルもオレに投げ付け、避けンな!とキレてまたソファで丸まった。
    コイツがこーいうキレ方すンの珍しいな……。と言ってもオレもまだ数か月の付き合いだし、知らない一面があるのもトーゼンか。こんなに出たがるなんて、ビーベに移籍でもしたいンか?

    マア、別に何でもイッカ。

    正直最近仕事が多すぎてイヤんなってきたトコロだったし。ココらでナオちゃんには干されてもらって、オレは日常を取り戻すってコトで。
    ホワイトボードには明日以降の予定もビッチリ書かれている。でももう誰かの名前が書かれるコトはない。前いたヤツらは追い出され、新しくアイドルを募るコトもしない。
    社長はトックに高飛びしてて、債務も膨らみ、いつ事務所が差し押さえられてもオカシくない状態だった。オレも事務員も前までいたアイドルも、ソレに気付かないフリで日々をやり過ごしていたダケ。ソコにコイツが現れて、ホンのチョコッと延命しちゃいるが、行く先は変わらん。
    だとしても、コイツホドの実力と今の人気があれば大手からスグにコエが掛かって、ドコでも成功するだろう。
    オレは元々根無し草だ。
    死ぬマデ何とか、生きていくダケだ。















    いくつかの野外ステージが組まれるこの会場では、タイムテーブルを元に目当てのステージにファンが行き来を繰り返す。大型のステージでは常に注目度の高いアーティストや押し出し中のアーティストが質の高いパフォーマンスで観客を盛り上げていて、その熱狂が途絶えるコトはない。
    今演奏しているのも、最近若いヤツらのアイダで爆流行り中のヒットチャート独占バンドで、ユーチューブに載せてるMV再生数は一億越えがザラだ。そしてコイツらの後はその昔、何十曲もヒットソングを叩き出したビーベのカリスマ的アーティストが控えている。コイツは白木がプロデュースしてヒットさせたアーティストの代表格で、現在はその手を離れ自身でプロデュースをしていて、まアイマイチパッとはしないが、いかんせんヒット曲が多いためライブで演れば必ず盛り上がる鉄板のセットリストがある。

    ホンで、その二組の間に実はコッソリ紛れ込んでるのがウチのナオちゃんね。

    あの後白木サンから出演枠をネジ込んでくれると連絡が入った。どうやら、話で出たカルロスというPにナオの話を聞いたらしい。
    そのカルロスと言うのが話題性重視のアーティストを短期連発で押し出すタイプのPで、ナオの名前を出した瞬間に白木サンに推しまくってくれたらしー。
    ただし、タイムテーブルには載せない、ビーベのカバーを一曲限りというカタチでの出演が条件。
    その条件にナオはスナオに頷いたと思えば、数曲をMIXした六分超のメドレーを歌うと言い出しまた白木サンと言い合いになっていた。ナオはゴリ押しで要望を通し、その日のうちにレッスンを始める。
    オレはと言えばレッスンスタジオへの送り迎えのみ許可されて、レッスンに立ち会うコトは一度も許されなかった。

    「オマエ、ホンットーにダイジョーブなんだろーな。オマエのパフォーマンス如何によってはオレはバックレるかんな」
    「アホ!!ウチの何を見て来たんや!!」

    無言でデカイオッパイを見てたらレースアップのサマーブーツでスネを蹴られる。ダンス用のブーツは普段履いてるよりヒールが低く、併せる目線がホンの少し下がった。
    こんなデカイステージは初めてのハズなのに、当の本人は特段緊張した様子もなくイツモドーリだ。神経がワイヤーロープくらい太い。
    怒号にも近い大歓声が上がり、前のヤツらのステージが終わったヨウで、スタッフが素早く機材の撤収を始める。
    ナオの出番だ。

    「あんさア」
    「ア?」
    「トージクン、ズゥットカンチガイしとるみたいやケド、ウチ、ナオやなくてナオヤ言うねん」

    ナオはステージに視線を向けちゃいるが、その目はソレよりもモット遠く遠くにあるモノを見ているヨウに見えた。オレがウンともスンとも言わないでいる内に、ナオはステージに飛び出す。

    「ちゃんと見ててな」

    一瞬日差しでスガタを眩まして、またそのスガタを捉えたトキにはDJが轟音でメドレーを流し始めていた。聞き覚えのあるヒットソングにステージへ注目が集まる。誰だ誰だとタイムテーブルをスマホで確認するも名前はなく、その内走り出した歌の圧倒的声量に再びカオを上げステージを見た。ボンテージのキンパツオンナが、歌も踊りも手を抜かず、本気百パーセントで魅せ付けてくるパフォーマンスに盛り上がり重視のフェス客は次第にヒートアップする。
    そうだ、ステージに立ってるのが誰かなんて客には関係ねエ。今アツクなれりゃソレでイイ。
    そっからはタダタダ音と熱のぶつかり合いだった。
    六分間、ナオは歌唱もダンスも、そのドチラもがドチラのアシを引っ張るコトもなく解き放つ。曲の切り替わりのたんびに観客はヒートアップしていく。タイミングもクソもないコーレスやバラバラのジャンプやメチャクチャなダンスでも全員が盛り上がれるのは、ソコにいるヤツらがステージしか観えてない証拠だった。

    『オイもっと声上げろ!!!』

    間奏にがなり立てられた怖い関西弁のイントネーションに、一部がナオに気が付いた。最前のオトコがデカイコエでナオの名前を呼ぶ。
    フツーだったらイヤモニで聞こえない上に反対端にいるその声をナオは捉え、ギロリとオトコを睨んだ後、ソイツのいるステージ端へとマジダッシュで向かった。そして歌うのを止めずにスピーカーをガツンと蹴飛ばした後、ソイツに向かってメンチ切りながら中指を立てた。
    そしてまたダッシュで本来の位置に戻り息も吐かずに踊り続けてる。
    ラストワンフレーズ、絶叫とも呼べるロングトーンを出し切って、スグサマハイテンポなダンスパートに入る。ダンサーもいないのに長いテアシをメイッパイ振るだけでステージで存在感が出るのは天性のカリスマだろう。気付けば曲がフェードアウトし、ナオはラストポーズでステージを〆ていた。
    ドオオと言うカミナリのヨウな歓声と地響きのヨウなジャンプに、ステージがミシ、ミシと鳴き声を上げている。
    コレは、文句ナシのステージパフォーマンスだ。
    プラスマイナスもプラスになった。
    この後一言自己紹介をして、インスタフォローヨロシクで掃けてくるナオ…………ナオヤを、流石に労ってやろうとタオルとドリンクを片手にステージ下手に回り込もうとした。

    『オマエら暴れ足りんやろ!!!』
    「ハ?」

    観客を煽るナオヤのデカイコエがして、振り返る。ナオヤはスピーカーにガツン!とヒールを叩きつけ、マイクを客席に向ける。オオオオオ!!と高まり始める観客をヨソにオレはイヤなヨカンにカラダが冷えてくる。
    ナオヤはタンタンとジャンプして観客にもっともっと欲せよと両腕を広げた。ソレに応えるヨウに客席のボルテージもドンドン上がり、ソレがマックスに達したトキ、

    『DJ!!』

    やりやがったあのアマ!!!

    バックで流れてたBGMが大音量になり、そのまま次の曲に繋がれていく。
    DJなんてイキモンは、企業に飼われていようとモトはお祭り好きの目立ちたがり屋、その上サービス精神が旺盛で煽てられたらカンタンに乗せられちまう…………。しかもフロアが冷えるのを何よりも嫌うから、こんな風にお膳立てされて曲を止められるワケがねエーンだ。
    全部わかってやってやがる。
    ハナっから一曲で終わってやるツモリなんて、サラサラなかったんだ。

    「しかもこの曲、次のヤツのセトリに入ってンじゃねエーか!!」

    ンで煽るコトしか出来ねエの!?















    “b-nation”から数ヶ月が経ち、オレらを取り巻く状況は前後で大きく変化していた。
    ナオヤはあの後も数曲歌い続け、出番だけでなくセトリまで奪われキレた大御所アーティストがムリヤリ乱入しナオヤと一緒に歌うカタチで終幕となった。ナオヤは乱入されても素知らぬカオで歌い、近年ダンサーに任せっきりで自ら踊るコトが滅多になくなったと批判意見のある大御所への当て付けのようにステージの端から端まで駆け続けた。実際、パフォーマンスの上でナオヤと比べて見劣りしていたとスポーツ紙の芸能面に酷評を書かれていた。
    しかしモチロンもっとボロクソ書かれていたのはワレらがナオヤチャンで、自称・ステージ関係者からのリークであのステージがナオヤの独断で行われたコト、他アーティストへのリスペクトのなさ、その後の反省の見られないタイドなど取り沙汰され、ソコにナオヤが火に油を注ぎ続けた結果、記者会見の切り抜き動画やライブの違法撮影動画がバズにバズり、知名度はウナギ上りだった。
    様々な仕事が舞い込んできたが、トーク系だけは全てハジいている。なんて有能……。
    ビーベの白木サンは、ステージ袖で爆笑しながらオレにゲンコを落とし、カクゴしとけよと不穏なヒトコトをくれた。ンで次の日。bvexの新レーベルとフシプロのナオヤとのコラボでオリジナル楽曲の制作が決定したコトを、お昼のワイドショーで初めて知るオレ達…………。
    白木サンの仕返しに対し、ナオヤは以外にもキレたりせず、契約内容と楽曲提供者を検め、ツマラン曲は歌わないとダケ言ってビーベの企画を全面的に受け入れた。
    話題性もあったし、ビーベスタッフによるクオリティの高いダンスMVもバズッて配信チャートをシバラク独占し続けたナオヤだったが、二曲目以降の企画には決して頷かず、ゲスト出演したライブでは今までドーリにカバー曲を歌い続けている。
    そして今日、ナオ初めての単独ライブ。
    バズッた当初は中々箱が押さえられず、ようやく漕ぎ着けた開催。大型会場は一年以上先まで埋まっていたから、キャパシティ三千人の箱になってしまい倍率はそりゃあヒドイモンで、当落日にはSNSのタイムラインが阿鼻叫喚の様相となっていた。グッズだけでも、音漏れだけでもと会場を推しにくるバカなティーンやキモイオタクへの通報が相次ぎ、会場周りは出動した警官によって厳しく戒められている。
    開演まであと数時間。リハが終わり、衣装に着替えるまでの間の控え室。
    ナオヤはストレッチをしながらとんでもない爆弾を落とす。

    「ウチ、今日で引退するから」

    飲みかけのお茶がクチハシからダラーと落ちていく。ナオヤに買ってもらった新しいスーツ。ジャケットは脱いでたがシャツとスラックスはビショビショに濡れた。

    「チョット、せっかくウチが見繕ってやった一張羅!」
    「オマエ今なんつった?」
    「チョット、せっかくウチが見繕ってやった一張、」
    「ベタ!!引退って何!?」

    ナオヤは気にせずストレッチを再開してしまった。

    「引退とかウソだろ?今やっと金が回ってきたトコロじゃん。ヤダヤダ引退しないで!!」
    「わあっ、ちょお!」

    ストレッチ中の華奢いカラダをガクガク揺さぶるとカポン!とペットボトルで殴られる。今回の物販、ラベルにナオがプリントしてあるミネラルウォーター、ナオ水。(※ナオとお水をかけてる)特製ストラップ付きで二千円。コレもかなり物議を醸したシロモノだ。

    「何で引退とかゆーの?理由は?歳は?年収は?」
    「ウルッサイなア。アイドルが引退する理由なんてイッコしかないやろ」

    全く思い当たらずいると、ミミを引っ張られてクチビルを寄せられる。

    「ケッコン♡」
    「…………………………ハアアーーッ!?」

    どんな権力者にも、どんなイケメン俳優にも媚びず靡かなかったこのオンナが、ケッコン!?

    「お相手は一般男性!?」
    「ブー。業界の方ですゥ。カワイクてサイコーでパーフェクトなウチをいつも支え…………てくれたワケやないケド、もう十何年も前からコイツしかおらん、ってキメてたん♡」

    誰だ。
    ソイツと何とかお近づきになって、アイドルと良妻……恐妻、二足の草鞋を説得してもらわねエと……。フェスでの蛮行への贖罪はまだ始まったばかりだ。コイツにはこれからも大いに稼いでもらってbvexに借りを返してもらわんと、今度こそ白木サンにブッ殺されちまう。

    「ナ~オヤチャン、その旦那さんイッペン紹介してヨ~~チョットアイサツするだけだからさア……」

    ヒトんチのウリモンに手ェ出して、営業妨害のケツを持たせてやる。あと純粋にこのオンナでイイのというシンパイもしてやる。

    「紹介ィ~~?ベツに構ヘンケド……」
    「ホント~?じゃあとりま今日のライブでは引退のコトは、」
    「ハイ、ドーゾ」

    ペランと眼前に出されたのは、薄っぺらい紙ッキレ。
    名前や住所を書く欄があり、ソコのホトンドは記入されていて、オレの名前も書いてある。オレの名前の上には分類が明記されており、夫、に、な、る、人…………ってコレ婚姻届じゃん!?

    「…………オレェ!?」
    「イチオー業界関係者やろ?」
    「イヤイヤイヤイヤ」

    もう一度婚姻届けをようく見てみる。

    夫になる人、禪院甚爾

    禪院ってのは、オレの生家だ。キョートにある旧家名家の大地主で、ソコの当主の次男として生まれたオレは一族連中と折り合いが悪く、ある日フラッと飛び出してソレッキリ。向こうも落ちこぼれのオレにキョーミなどなかったヨウで、一度もコンタクトをとったコトもない。
    そんなハナシをコイツにした覚えはねエが…………紙面に目を滑らしてフと気が付いた。

    妻になる人、禪院直哉

    「…………ぜんいん?」
    「ウン。ウチ、イトコの直哉」
    「イトコって、」
    「ギリ結婚デキル」

    アアソオ。
    ピースサインのナオヤを前に、しかし冷静に考えると、逆にチャンスなのでは?旦那を説得してコイツを説得させようとしてたケド、ソコを一段階飛ばしてオレが説得すりゃアイイってんだからさ。こんな災害が服着て歩ってるヨウなでもオンナはオンナ。結婚したがるホドオレのコト好きってンだから、カワイくすら見えてきたぜ。

    「ナオヤちゃん、結婚するにしても、別に今スグでなくてもエエんでナイ?せっかく仕事も軌道に乗ってきたし、モッタイないじゃないですか~」
    「イヤや。続ける理由ないモン」
    「カワイくね~~!!」

    思わず本音を叫んじまう。ギロッと睨まれて人差し指を眼前に詰められる。

    「ウチのドコがカワイくないって!?」
    「見た目のハナシじゃね~~ワ、チットは媚びるとかねーのか!!」
    「必要ナイモン」

    やっぱムリだわ。
    コイツがニンジンブラ下げられて大人しく言うコト聞くタマかっつの。

    「つ~かムリだから。結婚出来ねエから」
    「やから、イトコはギリイケるて」
    「じゃなくて。オレ、既婚者だから」

    禪院甚爾は旧姓。
    飛んじまった2496プロダクションの社長と籍を入れてるから、今は伏黒だ。
    元々はヒモとして転がり込んだ身だったんだが、景気のイイトキに強請られてケーソツにサラサラとサインしちまった婚姻届。その後業績が悪化し、いつの間にか共同経営者なんつうモンにさせられてたオレは、会社の負債も抱え込まされるハメに。
    社長が先にバックレて、ソレでもまだ取り立ては激しくなかったし、衣食住に困らなかったからダラダラとガキのお守りをしながら小銭稼いでいたワケ。いよいよ本格的に沈みそうになったら、ガキ共売ってトンズラすりゃイイと思ってたし。
    ツマリ、オレは既婚者のまんま。

    「だからオマエと結婚はムリ。オーケー?」
    「……………………」
    「ア~~メンドクセ。もーイーわ。辞めたかったら辞めろよ。オレもライブの間にバックレっからサ」

    イッキにヤル気がなくなり、ナオヤがストレッチ用に敷いてたヨガマットに寝転がる。白木サン、スマンがオレは一抜けた。後は頼む笑
    天井の蛍光灯を眺め脱力する。さんざ振り回されたケド、最後はチョットだけオイシー思いさせてもらって、オレ個人としちゃ十分だな。さ~てドコに行こうか。パスポートは金が掛かるから、とりあえず国内で、ナドと考えタバコに火を点けた。
    ドスン!とデカイケツが降ってきて、思わずクチからタバコを取り落とす。ナオヤがオレのムネに跨って、エラソーにオレを見下ろしている。反動でユッサユッサ弾むオッパイを睨みつけていたら、ガンメンにバシリ!と紙ッペラを叩き付けられた。

    「ブッ、ンだこのアマ!つかタバコ」
    「そないなコト、ウチが知らんワケナイやん。言うたやろ?続ける理由、のうなったって」

    紙を離してよく見る。
    オレの名前が書いてあり、シツコク婚姻届を出されたのかと思ったが、今度の名前は“伏黒甚爾”、隣の欄には、ナオヤでなく伏黒から始まる女性名……恐らく社長の名前が記入してあった。
    とどのつまり、その紙ッペラは離婚届だったのである。

    「ヨ~サン知り合いがおったヨウで、チョコマカチョコマカ、見つけンのに苦労したワ。最終青森のハジ~~のホウよ!?なァんもないの。ウチが行ったワケやあらヘンケド」

    ベラベラとウルサイナオヤをヨソに社長の筆跡を見る。ブレはあるモノの見覚えがある。なんのコダワリか、社長は名刺の氏名を手書きサイン風にしていたから。
    ブレもだが、用紙の所々に茶色いシミが付いてるのも気になる。コレ、血痕じゃね……?
    オレがドン引きしてると、跨ったナオヤが上体を崩してオレのカラダに乗り上げた。アップ用のタンクトップからオッパイがズイッと押し上がり、サンカクのスキマが空く。
    ピッと離婚届をボッシューされ、代わりに両手をキュッととられ、デカイオッパイに導かれる。

    「ツイデに会社も借金ゴト買い取ったで。債務はウチがポケットマネーで払って、名義はトージクンにしといたから、2496プロダクション改め104プロダクションになるケド、ビーベのオッサンに慰謝料代わりにくれてやったワ。トージクンは、今までドーリなァんも考えんでエエよ♡ ウチと一緒に余生を楽しく過ごそな?」
    「……………………」
    「サテ、ウチはそろそろお仕事やね」

    チュ、とガキにするみてエに額にキスして、ナオヤはスルリとオレのカラダを降りた。オレの目の前で構わずポイポイ脱いで、衣装に着替えている。
    次いでメイクが何人か入ってきて、小うるさいナオヤの注文ドーリにメイクを施し、アッと言う間に開演の時間だ。
    オレはその間、ボーゼンとしているヨウに見えて今後の身の振り方を考えていた。
    そうだ。旧知に連絡をとって、シゴトを振ってもらおう。海外のヤツ。渡航しちまえばいくら生家の金だろ~がコネだろ~が、限界ってモンがあろう。
    早くステージ行け~~行け~~と念を込めて薄い背中を見ていたら、ナオヤはカオだけコチラを振り返りフフンとドヤガオをしてみせる。

    「逃げたかったら、好きにしてエエよ?ムダやと思うケド。言うたやろ?何でもやるからにはトップやないと気が済まんの。やから、ウチが」





    「必ずトージクンをイチバン幸せにしたる♡」

    ライブのアンコール、ナオヤはフツウの女の子に戻りますゥと爆弾を落とし、ラスト曲を歌い出し、ファンによる暴動が起こった。飛んでくるUOを全て避け中断せず歌いきるスガタに、アンチも手のひらを返すホドだった。
    結局オレらはライブ後スグにモルディブに移住し、ナオヤの不動産収入で遊んで暮らしましたとさ。
    ちなみに空港で待ち伏せてたマスコミに囲まれたトキに、これからはマイクやなくてチンポ握って暮らしますゥ~って中指立てて煽ったせーでオレのチン長予測図がネットで出回るハメになった。

    ンで煽るコトしか出来ねエの!?





















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