好かれているとは思っていなかった。ここに来た時から彼らはずっと唸ったり遠巻きに見たりするばかりで近付いては来なかったし、なんなら彼らのテリトリーに入って引っかかれたこともある。そりゃ、いつもはレイシオがやっている餌だの水だのの取り替えを知らない人がやっていたら驚きもするだろう。特に小さく薄い色の方は、ついこの間まで酷い環境にいたらしいし。
アベンチュリンがこの家で暮らし始めてから数ヶ月が経って、レイシオはついに仕事を本格的に再開したらしい。今までは「右も左も分からない子供を家に招き入れたから」とのらりくらりと逃げていたらしいが、アベンチュリンもバイトという形で仕事が出来るくらいには落ち着いたのだ。だから断る理由もなくなった、というところだろう。
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