夢見る百足が這う話新しい年を迎えた桃源浄土の上空を覆うように突如現れた「無禮蛟」と呼ばれる巨大な一匹の蛇。
蛇が現れてからすぐ桃源浄土では如何に飲み食いしてもモノを破壊しても人を殺しても数秒すれば元に戻るという現象が起こっていた。
しかし流石は桃源浄土、屋台の者たちはこれは好機とより客を手招き、喧嘩っ早い者たちは嬉々として殺し合いを始める始末だ。
そういった点ではこの現象は桃源浄土と相性が良かったのだろう。
そんな中、三が日経った今日も街がより混沌となっていく様を四六法師はただぼんやりといつも通り眺めていた。
戦いはあまり好きではない。奇蟲の國での大戦で嫌という程思い知らされた。戦いとは何かを得て何かを失うものだ。しかし失ったものがあまりにも多かった。
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