Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    きらず

    @L0Yid6

    筆が遅い

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    きらず

    ☆quiet follow

    急なセキショウ。当時のメモによると、
    「オレが責任取るよ」って言ってくれたじゃないですか!って攻め攻めショウちゃんとタジタジセキさん(↑このネタを一生擦る)
    らしいです。
    元の世界に帰れないことを悟り押せ押せになっているショウちゃん、切な可愛い。

    SSSセキショウ(レジェアル)「言ってくれたじゃないですか」
    ショウの顔がずいと近づく。
    「『オレが責任取るよ』って」
    確かに言った。言いはしたが。
    「そういう意味じゃねえよ……」
    「わかってますけど」
    じゃあなんで毎度毎度言ってくるんだ。このやり取りもう何回目だ。文字通り何度目かもわからないやり取りだ。
    「──決めた」
    首を傾げるショウに、この流れで本当にわかってないのかと内心思うことは許して欲しい。
    ──今日こそは、このやり取りに終止符を打つ。
    「今日こそは問うぞ、ショウ。何故こんなことをする?」
    「……何故、というと」
    いつもと違うセキの雰囲気を察したのか、ショウが不安げに瞳を揺らして聞き返す。
    その所在無い様子に、心を鬼にして、という決意が早くもぐらついてしまう。俺はこんなにも軟弱な男だったろうか、とセキは思わず自問自答しかけ、やめた。
    軟弱だからなんだ。彼女も言ったように、セキに「責任を取る」とまで言わしめた人間であるショウに甘くなってしまうのは仕方ない。
    残念ながらこの場に、それはただの開き直りなのでは、とセキへと指摘できる人間はいなかった。
    「心配すんな、迷惑だと思ったら最初に言ってる。……正直に言っちまえば、あんたとのこのやり取りも存外楽しかった。でもよ」
    そこで一旦言葉を切ったセキは、ショウの瞳をじっと見つめた。
    「あんたがなんのかんの言い始めたのって、こないだの宴の時からだろ。……何があった?」
    先日のギンガ団、シンジュ団合同の祭りを思い出す。
    恐らくあの日以来なのだ。ショウの様子がおかしくなって、やたらとこうして『例の発言』を蒸し返されるようになったのは。概ね何処かの連中に何かを吹き込まれたのだろう。
    「いい加減、逃げんのはナシだぜ。あの日以来、こんだけ逃がしてやってたんだから何故こうなったか、オレに説明するのが道理だろ」
    フンと鼻を鳴らすセキにショウが押し黙る。
    「…………えっと……」
    しばらくそうして黙り込んだあと、かなり言いにくそうにショウが口を開いた。
    「…………と……」
    「うん?」
    「……こっ、こうでもしないとっ!」
    「お、おう」
    ショウの急な大声に、思わず怯むセキに構わず、というか構う余裕を無くしていたのだろうショウは続けた。
    「セキさんに、迫れないので……」
    「は?」
    今、彼女は、一体なんと。
    流石に己の耳を疑ったセキだが、頬を赤らめたショウを見て、己の聞き間違いではないのかもしれないと一旦話を聞く姿勢を取り直した。
    「セキさん、前に『奥ゆかしい女もいいが強気な女もいい』って言ってた、から」
    「……そんなこと言ったか?」
    「言ってました。先日のお祭りの席で。たぶん酔ってたのかな、と思いますけど」
    「………」
    嗚呼、ここまで己を呪った事が今迄あっただろうか。いやない。何が『オレに説明するのが道理だろ』だ。馬鹿なのかオレは。馬鹿なんだろうな。
    「ここの女性の方たちって控えめというか、セキさんが言ってたように奥ゆかしい人が多いから、強気にいった方がセキさんの印象に残るかな、と、思って……」
    吹っ切れたのか話し続けるショウは耳まで真っ赤だ。些か可哀想になってきた。誰のせいだ。俺か。
    (にしたって、)
    こんな健気なことをひたすらに聞かされるこちらの身にもなって欲しい、とセキは思った。ショウの火照りが伝染ってこちらまで火照ってきそうだ。
    あの時は本当にそういうつもりで言った訳ではなかったけれど、今もし同じことを言うなら、もしかして、己の中にも『そういう』気持ちがあるのかもしれない。というか、こんなに可愛らしいことを告げられて、意識しない男なんかいないだろう。こんなの。
    柄にもなく、心臓が軋む。これは近いうちにショウへの向き合い方を再考しなければならないな、とセキは観念した。
    もっとも、セキ自身が気づいていないだけで『観念した』と認めているあたり、答えは出ているようなものだったが、それを指摘できる人間は生憎いなかった。
    兎にも角にもセキは過去の己を殴り飛ばしてやればいいのか、はたまた過去の己を褒め称えればいいのかわからなくなりながら、とりあえずオーバーヒートしているショウを宥めることにした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator