食べたい俺と、食べさせたくない俺の攻防※ハイプビースト×ワイルドスピード
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Day1
「ちょっと仕事してくるから、いい子にしてろよ」
「んー」
昼飯を食った後、ソファで雑誌を読んでいた俺の頭をポンっと撫でてからテジュンは自分の部屋に消えてった。
パタン、と扉が閉まる音がしてからテジュンの部屋を振り返る。暫く扉を見つめテジュンが出てくる気配がないことを確認して、俺はそろりと立ち上がった。
(おっやつーおっやつー♪)
俺はルンルンでキッチンの戸棚に向かう。俺のおやつが入ってる棚だ。
(今日はどれにしようかなー!)
テジュンお手製のジャーキー、チーズクラッカー、ビスケット、あとマフィンもあったはず。
音でバレないようにそっと戸棚を開ければ、そこには……
「!!!」
俺のおやつがない!
「そこにはないぞ」
「おやつない!」
「ないと言ったろ」
声に振り返れば、自室の扉に凭れかかっているテジュン。いい子にしてろといったろ。と言ってまた部屋に戻っていった。
「おやつー!!!!」
Day2
「シャワー浴びてくる」
「おー」
テジュンを見送って、シャワーの音が聞こえ始めたところで、俺はおやつ探しに向かう。
昨日はいつものところになかったけど、今日のおやつはキッチンから出てきたのを俺は知ってる。
つまり
(おやつはキッチンにある!)
「で?これはなんだ」
「俺のおやつどこに隠したんだよ!」
「言うかよ」
キッチンの棚という棚を開けて、中身もひっくり返してみたけど俺のおやつは見つからなかった。
「おやつ!!」
「今日はもう食ったろ」
ぐちゃぐちゃになったキッチンはテジュンが片付けてた。俺を騙した罰だ。ふん。
Day3
「どこいくんだよ」
「二階の掃除」
「ふーん」
テジュンはそう言って二階に上がっていった。少しして降りてこないことを確信した俺は今日もおやつ探しだ。
キッチンにないとすれば、ダイニングにあるはずだ。
「ほら!あったぜ!Jaja!!」
ダイニングに置いたチェストの中に、半透明のアクリルボックスがあった。半透明だから俺のおやつがよく見える。
意気揚々とボックスを引っ張り出して開けようとするとちょっと開いたところでガチャンと何かが引っかかった。
「…………鍵」
「さっきマフィン食ったろ」
「鍵!!!!」
かけられた鍵のせいでボックスが開けられない。目の前におやつがあるのに食えないなんて!
「拷問だ!!」
「なにが拷問だ」
「ー!虐待!」
「いい歳した大人が何言ってんだ」
「おやつー!!!」
おやつボックスは取り上げられて、テジュンの部屋に持って行かれた。
Day4
「買い物行ってくるから、いい子にな」
「うん。いってらっしゃい」
ちゅっと俺の額にキスをして、テジュンは買い物へと出掛けていった。
「よし」
俺の部屋に行って財布を引っ掴んだ。玄関で少し時間を潰してから俺は家を出た。
向かう先は、コンビニだ……!
「どーれーにーしーよーおーかーなっと」
しょっぱいもんも食いたいし、甘いもんも食いたい。コンビニの決して広くない店内をうろうろして物色する。
クレープ、プリン、ケーキ、チョコレート、アイス、ポテチ、いろんな味のスナック菓子……。
「全部買えばいっか」
冷蔵庫に入れなきゃヤバいやつはクリプトが帰ってくる前に食べなきゃいけないから三つまでにしておこう。スナック菓子はいっぱい買って部屋に隠せば大丈夫。
色々考えて俺は手に持ったカゴにあれこれ入れていく。
「よし、こんなもんだろ!」
カゴいっぱいにおやつを入れてレジに向かおうとしたところで、見慣れた金髪ドレッドが視界に入った。
「!?」
「お前は本当に……」
カゴは奪われておやつは全部棚に戻されていった。
「おやつ〜〜!!!」
「なんでここにいるんだよテジュン」
「嫌な予感がしたからな」
「ちっ」
Day5
ミラージュからケーキをもらった。なんでも客から差し入れられたらしいが、ランパートと二人じゃ食べきれないからと分けてくれた。
ショートケーキ、ガトーショコラ、チーズケーキにフルーツタルト。
テジュンは、「ディナーの後に一個、明日のランチの後に一個だ」と言っていたが、俺は今食べたい。二つ。
テジュンは、仕事のクライアントに会うとかで出掛けていった。暫くは帰ってこないだろう。
となれば、俺のすることはただ一つ。
「ケーキを食う!」
「ふはー!食った食った!」
「そりゃ全部食えば満足するだろ」
「うぎゃっ!?」
「一週間おやつ抜きだ」
ケーキを四つとも食った俺は、本当に一週間おやつ抜きをくらった。
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おなかぽんぽんのチータビオみたいです。
2022-08-17 一生休日
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2022−08−31 一生休日