誘惑ハイプビースト×ワイルドスピード ハイプの描写はないけどハイプだと言い張る。
※二階建ての戸建に住んでる2人
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「昼寝してくる〜」
くぁあっと大きなあくびを俺に見せて、二階へと上がっていくオクタビオを見送りカチャカチャと特有の足音が遠ざかっていくのを確認してから、自分の作業に戻る。少しの間作業に集中し一区切りついたところで息をつくと、ふと背中に突き刺さる視線を感じた。
「昼寝はやめたのか?」
そう言いながら視線の方に振り返れば、階段の一番下の段にちょこんと座って、ちらりと顔を覗かせるオクタビオがいた。手にはお気に入りのうさぎのぬいぐるみを抱えている。
「……それ終わったのか?」
どうやら俺の作業が終わるのを待っていたらしい。テーブルの上の“それ”に視線をやってからまた俺を見る。
(終わったわけではないが、これは終わっててほしい目だな)
「ああ。とりあえずな」
「ほかにやることねぇの?」
伺う視線に、本心を見抜かれないように注意を払って「今のところはないな」と答える。本当は今やってた作業だって半分ぐらいしか終わってないし、洗濯もしたい、お前がおやつを食べすぎてストックが減ってきたから買い物も行きたいけれど。俺の顔と、階段の先の上の階を交互に視線をやっていれば、バカでもわかる。
(素直に上に行こうって言えばいいのに)
おやつやご飯、あとセックスのときだって素直におねだりできる割に、こういう細やかなことで甘えるのはとんと苦手らしい。一度上がって降りてきたのだから、何か見せたいものがあったか何かだろう。そう思って、「二階に上ろうか」とこちらから提案すると目をキラキラさせて喜んだ。近寄って手を差し伸べるとぬいぐるみを抱えていた片方の手を離して俺の手を握る。
ぐいぐい引っ張るわけでもなく、それでいて嬉しそうに先に階段を登っていくオクタビオの尻尾は嬉しそうに天を向いて揺れている。今にも鼻歌でも歌い出しそうだな。二階に上がって、オクタビオのお気に入りの昼寝スポットに行けばふかふかのラグの上に広げられた昼寝用のタオルケットと枕が二つ、……二つ?
「たまには一緒に昼寝しよーぜ?」
「…………」
「……だめか?やっぱりなんかやることあった?」
初めてのことに呆気に取られてしまい言葉が出せないでいたら、変に受け取ってしまったオクタビオがしゅんと耳と尻尾を下げて落胆してしまい慌てて訂正する。
「い、いや、何もない。驚いただけだ。昼寝のお誘いとは思ってなかったから」
「本当はなんかあるんじゃねぇの?」
「何もない。ほら、おいで」
俺を誘うために作られた寝床へと、手を引いて今度は俺が誘う。反対側にある寝室からわざわざ枕を持ってきてまで俺と一緒に昼寝をしようとしてくれたことが嬉しすぎて、口元がにやけそうだ。変な顔になってオクタビオに引かれないように必死に押さえ込んで、ラグの上でゆっくり横になれば同じように俺の横で横になったオクタビオ。タオルケットを手繰り寄せてかけてやると、
「半分こ」
そう言って、俺の方に体を寄せたオクタビオが自分だけにかかっていたタオルケットを分けてくれた。感謝の意味を込めて優しく頭を撫でてやればくふくふと嬉しそうに笑ている。
「気持ちいいな」
「だろ?今日は、いつもより気持ちいーから…、だから…、……てじゅん…と、いっしょ……に……」
心地よい眠気に誘われながらも一生懸命俺に話しかけてくれるのがまた愛おしくてたまらない。とろん、とした目はすぐに閉じられて、すぅすぅ穏やかな寝息を立て始める。
「おやすみオクタビオ」
曝け出された丸い額にひとつキスをして、俺も迫り来るまろい眠気に身を委ねた。
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一緒に上に行こう?と誘う犬だか猫だかの動画を見たのを思い出した。もふもふ。
2022-08-05 一生休日
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2022-08-31 一生休日