二面宮の奥の一室。
綺麗なシーツの上に、金色の四肢を持つナル神とザル神が横たわっている。
ただ二体とも全く動く気配はなく、今は人形のように抜け殻となっていた。
意識と少しの力をナル神が作り出した器へ移し、人の子の活気を見に出かけたのが数刻前。
今は陽がてっぺんを過ぎたところだ。
神としての力の大半が残された体は、意識が帰ってくるまでは、しんと静かな部屋に置かれているだけであった。
意識が無ければ動くことはない。
だが不思議なことに、今まで何一つ動かなかった金の体が僅かに動きだす。
ゆっくりと、ゆっくりと。
隣の半身が居るであろう方へ腕が伸ばされ、それに引っ張られるようにしてお互いの体が向き合う。
耐えず半身へ触れようと動く腕。
しかし意識ないままではしっかりと触ることはでず、その様は生まれて間もない赤子が親を探すように手探りでおぼつかない。
シーツを掻き、這い、辿り着いた半身の指先から形を確かめるようになぞり、時間をかけて上に登っていく。
ナルの右手がザルの肩までよたよたと登っていたが、途中ずるりと重力に従いシーツの上に落ちる。
再度ザルの方へ進めば、今度は胸元へ触れた。
胸元の輪がナルの指に掛かるが構うことなく金属の厚い胸を這う。
それに反応してか否か、ザルの背が僅かに丸まった。
手に引っ掛かる輪も布も気にせず進めば、それらが引っ張られるのは自然なことで、ナルの手によりザルが身に纏う白いローブは肌蹴、大きく胸元を曝け出される。
ザルもまた緩徐だかしっかりとナルの体に左手を這わせており、腕から胸元を通り下へ、人で言えば臍のあたりへ滑っていく。
そこを念入りに確かめるように、数回ぐるりと撫ぜれば、その動きに合わせてナルの体がなにかを耐えるように、震えた。
徐々に動きは腕だけでなく、全身で相手を求め始め激しくなる。
時折ぴくりぴくりとふたりの体が小さく跳ねる
金属のあたる軽やかな音とシーツの擦れる音が、静かだった部屋を満たしていく。
相手をもっと受け入れたいのか、または相手にもっと受け入れて欲しいのか。
ザルの足は普段より大きく開かれ、ナルはそれに応えるように縋るようにザルの足を絡めとる。
そのおかげで体が更に密着し触れやすくなり、より一層相手の体を縦横無尽に手が這った。
ふたりの表情は悩ましげに眉が寄せられ、閉ざされている口から息が吐かれていたならば情熱的な熱くなった息だったろう。
少し触れ合うだけでビクビクと体が跳ね、身を捩る。
時間が経つにつれ相手を撫でる余裕も無いほどとなり、お互い相手の背に腕を回し抱き寄せることしかできなった。
そこから時間は掛からず、一際大きくビクリとシーツから体が浮くほどふたりが跳ね、ガシャンと音が響いた。
それを最後に動きはぴたりと止まり、夕陽に染められた部屋に静寂が戻ってくる。
綺麗だったシーツは幾つもの皺が刻まれ、その中央に抱き締め合い、額を突き合わせる自分達の姿を見て頭を悩ませるのはまた数刻後のお話。